東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「遅れてすみません!東方の原作やってまし
真「馬鹿野郎が!!!」
ラ「ふぐあああっ!!!」

真「ごめんなさい、迷惑をおかけしました。今回は次回の為の準備回です。では、どうぞ」


第三章第十話「前置き」

「だあああああ!!!夢月はどこに行ったんだああああああッッ???」

『はいはい五月蝿い五月蝿い。』

「もう!明け方ですよ明け方!」

『・・・まだ妖怪居るかもしれないよ?』

「深夜テンション続行全部切り伏せてくれるッ!」

 

もう明け方の頃。

文字通り一晩中月の登る方角へと走っていた俺は可笑しいテンションを維持したまま森を歩いていた。

五月にもなったため桜はもう見えず、早朝の涼しい風が生い茂る青緑の葉を揺らしていく。

 

『・・・ねえ、何か聞こえない?』

「ふえ?」

 

歩く事数分、突然陽炎が声を上げた。

それを聞き入れ俺は一旦足を止め、目を閉じ静かな森の中で耳を澄ませる。

濾過された様に綺麗な空気が鼻孔をくすぐり、足の裏に伝わる柔らかい土の感覚。

 

ドゴンッ…

 

遠くに聞こえる、破壊音。

 

「・・・どうする?妖怪の可能性もあるけど」

『まあ、行ってみなきゃ分からないでしょ』

「だよな・・・うし、行ってみるかね!」

 

パン!手を打ち合わせ俺は呟いた。

 

音の成る方はこのまま真っすぐ。

 

それを確認し、俺は再び歩き始めた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ドゴッ!メギャッ!!!

 

近づくに連れて、段々と破壊音は大きくなっていく。

岩を砕くような音、木を圧し折る様な音。

圧倒的な力を持つ何かが意思をもってか持たないでかは分からないが、力試しの様な事をしているのは分かる。

 

…そして、遂に音が間近に聞こえるくらいまで俺は近づいた。

大木の裏に体を貼り付け、こっそりと横から俺は顔を出し、周囲の様子を確認する。

 

少し開けている広場、小川が流れる場所でたった一人、拳を突き出すたびに長い一総の黒髪が宙に舞う。

白い道着を身に纏いながら、蒼白い軌跡を宙に描く――――

 

 

「夢月いいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

「きゃああああああああああああっっ!!??」

 

 

博麗夢月がそこには居た。

久しぶりの人、しかも知り合い。

極限状態の俺は思わず木の裏から飛び出し、夢月へと半ば飛びかかる様にして駆けて行く。

 

「よ、寄らないでください変態!」

「ふごふっ」

 

しかし防衛本能か神速で放たれた回し蹴りにより俺は空中で撃ち落とされ、顔面から地面へと落ちる事と成った。

 

 

 

 

 

「・・・で、何の用ですか」

 

小川の近く、大きな岩に俺達は腰かけ、向かい合う。

白い道着の裾を伸ばし目線を反らしつつ、夢月はぼそっと呟いた。

 

「いや、闇鬼一緒に倒そうぜって」

「・・・貴方にはもう幻夢が居ないのですよ?多少剣が扱えるからと言っても唯の足手まといにしかなりません」

「大丈夫、二分だけ俺強いから」

 

強い口調で言い返してくる夢月に反論し、俺は疲れ切った体を冷たい岩の上に横たわらせた。

青く青く、どこまでも広がる無限の空を眺めつつ俺は更に口を開く。

 

「後、何でお前が闇鬼にそんなに執着するか、だ」

 

視界の端で、夢月の体がビクッと震えたのが見えた。

話したくない、でも話した方が良い。

そんな思いが胸中で漂っているのか夢月は唇を噛みしめ少し硬直する。

 

「・・・そうですね・・・」

 

しかし、夢月は意を決したかのように息を吐いた。

 

 

「話しておいた方が貴方も幻夢の事で納得できるでしょう。」

 

俺は上体を起こし、夢月に向き直る。

神妙な面持ちで夢月は此方を見据え、黒い瞳をすっと細めた。

 

「あれは、まだ私が幼い頃でした―――――


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