東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「はい、夢幻魂歌によく出て来る根っからのクズが降臨しましたね」
真「お前本当に悪い奴だすよな・・・」
ラ「悪い奴が一番敵として認識しやすいからね。」
真「後速く早苗の奴だせよ」
ラ「二話書き直そうか迷ってるんだよ・・・」
真「まあいいか。リアルでも色々あったしな。・・・頑張れ?」
ラ「頑張る」

夢月「では、始まります。・・・夢月って名前結構良く出てきますね。」


第三章第五話「馬鹿野郎」

限界まで霊力を使い、ただひたすらに東へと駆けて行く。

見据えるのは前のみ。

他は、眼中にも無かった。

宙に青白い軌跡を残しつつ、土と草を撒き散らしながら地面に亀裂を入れていく。

 

そうする事、数十分。

 

開けていて、人の手が入っている道で。

 

俺は、どこからともなく現れた少女とすれ違った。

視界を掠めたのは一瞬。

長いサイドテールが視界の端にチラつき、まるで霞みに包まれた月の様に朧げな少女を視線が交錯し。

 

俺とそいつは同時に地面を蹴り、大きく後ろに飛び退りながら向かい合った。

 

その漆黒の瞳と眼があった瞬間、本能が大きく騒めくのを感じる。

余り高くない身長。それに似合わぬ強者の風格。

まるで、霊夢と相対している様な(、、、、、、、、、、、)――――

 

「・・・失礼しました」

 

二秒ほどの沈黙が途切れ、少女はぺこりと腰を折った。

凛として響く綺麗な声に俺の意識も引き戻され、吊られるように俺も頭を下げる。

 

「いや、此方こそごめん」

 

「・・・いいえ、私の方が殺気を出してしまったので・・・。私は夢月、と言います」

「俺は天音真だ。こっちも過剰に反応しちゃったからお相子で」

 

じっと俺を見据え口を開いた夢月に俺は返し、それでもまだ訝し気に此方を見つめる夢月におれはどうした、と問いかけた。

するともう一度夢月は口を開き、眉を顰めつつも話し始める。

 

「いえ、その・・・お急ぎの様でしたので、何か事件でもあったのかな、と」

「・・・幼馴染が攫われてね。犯人の闇鬼って奴に今から殴り込みにいこうかと」

「!!」

 

俺が闇鬼、と言った所で夢月が目を見開いた。

その一言が鍵となったのか、夢月は初めて感情を前面に押し出し始める。

 

「私も・・・私も、闇鬼を倒そうとしているんです!何か情報などはお持ちではないでしょうか!?些細な事でも良いんです、何か無いでしょうか!?」

 

「・・・東。月の登る方角に行ったって話だ」

 

「東?・・・そんな、じゃあ私の居た村がッ・・・!?」

 

悲痛の叫びを、思わずといった風に夢月が叫んだ。

切羽詰まった様子の彼女。しかし突然降り注いだ声に、彼女はその動きを止める。

 

 

「正解!そう、お前は嵌められたんだヨッ!」

 

夢月の後ろから、体の色んな部分に黒い靄がかかった一本角の鬼が現れた。

1m程度の小柄な体躯。しかしその手に携えているのはぬらりとした殺気を纏う業物。

白刃を太陽に煌めかせる子鬼は、口を厭らしく歪めながら更に言葉をつづける。

 

「だからあ、今はもう闇鬼様がてめえの居た村から若い女の子を生贄用と食料用、ああどっちも一緒カ!・・・まああまり公に言う事ではないから趣味とさせてもらうぜェ?・・・の為に、全員攫っている頃だろうよ!ヒャハ!闇鬼様はお前を欲しいって言ってたゼ!?そのしなやかな肉体と、瑞々しい霊力が欲しいってナ!」

 

一気に言い終えた子鬼はまるで夢月の反応を楽しむかのようにそこで言葉を止め、自身の獲物である両刃刀を紫色の舌で舐める。

 

「この・・・下衆がっ・・・!」

「下衆?ヒャハ、大いに結構ダ!何せこれからてめえは闇鬼様の物に成るんだからなあアアアア!!!!」

 

奥歯を噛みしめる夢月に対し、子鬼は急に襲い掛かった。

まだ対応が出来ていない少女に対し、妖力を存分に詰め込んだ白刃を振り降ろす。

猛烈な風切り音が高鳴り、夢月の脳天へと一直線へとその刀は迫り―――――

 

 

 

 

「流石にさ、それは無いんじゃない?」

 

 

 

子鬼と夢月。

両者の間に滑り込んだ俺が翳した右手に触れたと同時に、その刃は溶けてボタボタっと地面に垂れ落ちた。

燃え盛る炎が急激に酸素を消費し、そのまま右腕を振ると同時にその炎は子鬼の頬を灰にする。

 

至近距離に居たため俺の右手で繰り出した炎と裏拳を諸に喰らい、その頬の皮は焼けただれ筋肉が剥き出しになっていた。

 

「がアア・・・?ウルセエナア、お前は何者なんだヨ!」

 

 

「天音真」

 

忌々しそうに叫んだ子鬼に向かって、俺は静かに答える。

 

 

「唯の馬鹿野郎だよ」

 

 

そして、右拳を強く握りしめた。

 


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