東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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夢幻魂歌にも、沢山のオリキャラが出てきましたね。
皆さんは誰が一番好きでしょうか?

因みにラギアの友達は『暁』らしいです。

ラギアは『陽炎』です。

真君?シラナイデスネ。
では、どうぞ!


第十二章第四話「惨劇」

渾身の一撃は、大した効果も無く弾き飛ばされた。

レミリア、魔理沙の魔力は切れかけている。妖夢は地面に倒れ、霊夢でさえも悪夢の攻撃を防ぐので精一杯だ。フランは辛うじて戦えるかどうか。

鋭い紅の瞳が一人一人を見つめる。そして彼女は、黒い霊力を纏った。

 

惨劇が、始まる。

 

最初の標的は、一番隙を見せたら厄介そうなフランと霊夢だった。

その狙いに気づいた二人は、違う方向へ飛び始める。お互いのフォローをしようとすれば、お互いが死ぬ。それを理解しての行動だった。

しかし、彼女たちは知らない。博麗悪夢は、[憑依した相手の能力を複製する程度の能力]と言う事を。

博麗家の近くには、いつも無数の妖怪や人が居た。

 

それは七賢者、八雲紫も例外ではなく。

憑依の力は、そこまで及んでいる。

 

高速で飛んだ霊夢とフランの先に、次元を切り裂いた”スキマ”が現れる。

方向転換をする暇もなく、スキマに突っ込む霊夢とフラン。悪夢の目の前に繋げられたそこから飛び出した二人は急いで減速し、結界を貼るが。

 

悪夢はその結界を回し蹴りで粉砕する。流れるような動きで彼女は二人に拳を叩き付けると、そのまま掌に黒い霊力を集中させた。

放たれる力。

空中でバランスを崩していた二人は、一瞬で地面に叩き落とされる。呼吸すらも困難。全身が痺れて動かず、口からは掠れた呼吸しか出ない。

直後、彼女は襲い掛かってきたグングニルを片手で掴んだ。

最後の魔力を振り絞っての神槍。深紅の魔力を解き放ちながら穿たれた最後の一撃は、左の掌に呆気なく潰される。

奥歯を噛みしめ、悔しがるレミリア。そこへ三つの拳が叩き込まれ、レミリアは力尽きた。

 

そして彼女は指を大きく鳴らす。すると突然現れた黒い霊力の球体が魔理沙の至近距離で爆発し、箒ごと彼女を吹き飛ばした。

真のスーパーノヴァと同じような原理の一撃。

 

最早興味を無くした悪夢は、ものの数秒で倒した幻想郷の強者を見て思う。

 

――――こんなものか、と。

 

暴走妖は用意しなかった。

ここで倒されても悪くはないとも思っていた。

……弱すぎた。彼女を止める者は居なかった。

 

悪夢が夢幻魂歌を使いたい理由は、その過去にある。

 

理不尽すぎる世界。幸せになれなかった自分たちの歴史を変える。

最後まで笑顔の一生にするために。彼女は、その叶うことのない母親と死んでいた父親、三姉妹の笑顔を夢見て願う。

ひたすら、純粋に。

その純粋さによって歪み捻じれた思想をもって。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

空へ打ち上げられる虹色の魔力。そこには紅の奔流も混じっていて、それが俺には見覚えがあった。

人里の防衛中。といっても、基本的には何時でも結界を張れるように待機しておくだけなのだが。

 

『……今の魔力、レミリアと魔理沙だね。同時にすっごく強い霊力の反応もあったよ』

 

脳内で陽炎が呟く。恐らく二人の合体技だろうか。

いや、何にしろ、真上へ打ちあがっている時点で可笑しい……というよりは、あれは強引に曲げられた軌道だと感じる。

途中まで地面と平行だった砲撃が、突然垂直に跳ね上がった。

魔理沙のマスタースパークは曲がらない。八卦炉を使って、マスタースパークと同じ原理でレミリア様と魔理沙自身の魔力を撃ち出しているのなら、それも曲がらないはずなのだ。

 

「嫌な予感しかしないぞ」

『うん。行った方が良いかもね――――ここまで走り出すのを我慢してたわけだしさ』

 

俺の言葉に、陽炎も便乗する。にやりと笑みを浮かべているあいつの顔が目に浮かぶ様で、俺は思わず笑みを零した。

そして直後に、近くに居た早苗とパチュリーに向かって叫ぶ。

 

「ごめん、行ってくる!!説教は後で聞くから、皆に言っておいて!!」

 

それだけで、パチュリーはまたか、という風に。早苗は行ってらっしゃいと、元気よく手を振ってくれた。

俺も一回手を振り、人里内を駆け出す。人の間を縫って、外へと飛び出し。

腰に付けていた桜ノ妖を抜き放つと、俺は叫んだ。

 

「バースト!!」

 

出力、24%。全開。

 

青白い光が弾ける。俺は地面を踏みしめ、森の中を全力で駆け出した。


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