東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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過去編、スタートです。
幻夢ではなく、悪夢やその姉妹がメインですね。
では、どうぞ!


「Memories of blood」
「悲劇の前日」


私の家族は、ちょっと特殊だ。

まず初めに、父は死んでいる。二つ目に、霖之助という人が父と同年代なのにも関わらず兄の様である。

三つ目。母が異常に強い。妖怪退治もお手の物で、デコピンで村全体の人が起きると言うバカげた霊力の持ち主だったりして。

かくいう私も、その母の仕事である「巫女」を継ぐのだけれど。

 

まあ、そんなこんなで。三姉妹揃って一つの大きいベッドで寝ている私、長女の、

 

博麗良夢(らむ)は今日も元気です。

 

☆★☆

 

三姉妹の中で、一番最初に起きた私はまずベッドの横に付いているカーテンを開けます。空は青く澄み渡っていて、今日もいい天気です。流れる白い雲を少しの間眺めてからベッドを飛び降り、家の母の部屋へ行きます。

母はお寝坊さんです。強いのに。

名前は、博麗幻夢。優しさと鋭さ、厳しさを兼ね備えた宇宙の様に深みのある黒い瞳の女性です。肌も綺麗で、村中の人からはかなり人気があります。当人は気づいていませんが。

まあ、その夫は子供を守って死んだらしいです。寂しさは、まあちょっと感じる事はありますが。

何より、霖之助さんがまるでお父さんの様なので気になりません。これは三姉妹共通です。

私たち三姉妹は結構性格がバラバラで、長女の私は困っています。時々母も含めて四姉妹に成るときがあります。

誰が長女かって?・・・本職である私ですよ!!

 

「お母さん、起きてください。もう朝です」

「知ってるかい良夢。三大欲求を」

「早く起きろやがれ下さいお母さん」

「お母さんこんな娘に育てた覚えないよう!」

 

布団を剥ぎ取ると、夏前なのでかなり薄着のお母さんはやっと起き上がりました。今日もまたノースリーブのシャツ一枚に短パンです。涼しいのでしょうが、14歳の娘の前でその恰好ですか・・・。

私はポニーテールに纏めている髪を揺らしながら、母が起きた事を確認して台所へ走ります。

因みに、母は家事が壊滅的です。布団さえ干せません。

ということで、なし崩し的に私が朝ご飯を創ります。お昼は時々霖之助さんが作ってくれるんですよね。

卵を割って、鉄板の上で四つ目玉焼きを焼いていきつつ、御飯も炊きます。イノシシの肉の味噌漬けも焼いていると、美味しい匂いが家中を満たしていきます。幸せです。

そろそろ、私の妹たちも起きてくる頃でしょうか。悪夢と、怪夢です。11歳、9歳の妹はそれぞれ赤い瞳と紫の瞳を持っています。どちらも凄く綺麗です。

一家全員黒髪で、怪夢はセミロングですね。悪夢はすごく長いです。

つるりと光沢を放つ目玉焼きに、私の緑色の瞳が一瞬輝きます。今日もいい出来です。

 

「御飯ですよー!早く起きてきてくださーい!」

 

呼びかけると、どたどたと階段を母と妹が降りてきます。

いつもと変わらない、日常の風景。

 

 

その翌日から、私達は狂い始めるのです。


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