東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第十一章第八話「攻略」

飛び込む俺の動き。それは予想していなかったのか、一瞬の停滞が見られる。

俺がいつまでも射程距離拡張でやってると思うべからず。さて、一回暴れるか。

 

「作戦、Bd

「一人目」

 

里の上位三人ではない奴が作戦を出した瞬間に、俺はそいつに零距離まで接近。一番奥に居たそいつの顔面を白楼剣の柄で殴り飛ばし昏倒させ、ついでに近くに居た天狗も峰打ちで気絶させる。

 

俺の勝利条件は、天狗を全員気絶などの戦闘不能にさせるか、降参させる事。

相手の勝利条件も同じ。俺一人を戦闘不能にさせるか、降参させれば相手の勝利だ。

 

作戦を失い崩れ始めた陣形の中。その奥に居る俺へと向かって、三人の天狗が飛び出してくる。

顔を見れば、それは上位三人ではない。しかし斧、大剣、ハンマーと重い武器を両手で振り回す彼らには、風の恩恵が吹き荒れていた。

時間稼ぎだろうか。彼らは俺の視界を塞ぐように前面から飛び出し、大ぶりの一撃であわよくば、と仕留めに掛かってくる。二刀を手にしたまま、俺はその場で膝を折りたたみ。

 

「ハアッ!!」

 

気合一声。力を溜めた足を振り抜きそいつらのこめかみを爪先で穿つ。三人仲良く真横に吹っ飛んだそいつらの後ろでは、もう次の陣形が出来ていた。

前面に射撃部隊。その後ろには風の力を使える奴らで盾を創り、そして弓の補助をする係だろう。

 

「撃てええええ!!!」

 

後ろから、新たな指揮官の声が響く。ぎりぎりと弦が引かれ、そしてそれは綺麗に放たれた。

それらは風を纏う。ドリルの様に鋭く、螺旋状に突き進む矢を見据える。

軌道が変わる。横一直線だったのはいつしか俺へ全ての矛先が向いている状態に変わっており、今にも俺を貫きそうだった。が、それでは俺を倒せない。

 

まず一本目を、右手の桜ノ妖で下に撃ち落とす。次いで、左手の白楼剣で真っ二つに砕き割る。下に振り抜いた状態の右手を上に振り上げながらバク転し、四本目、五本目、六本目を二刀をクロスに切り払う事で一斉に叩き落した。

そうして開く、相手への道。地面に亀裂が入る。強く強く右足を踏み抜き、俺は射程距離拡張を使用しながら前面の遠距離部隊を全員昏倒させ、左手の白楼剣で相手のど真ん中を切り裂いた。

 

天狗の悲鳴が。慌てる声が。それを鎮静させようとする声が聞こえてくる。中には独断で俺を迎撃しようとするやつも現れるが、そのなってしまってはダメと言う事が分かって居ないらしい。

 

二刀を、俺は鞘に納める。そして右の手のひらと左の掌を合わせ、俺は左右に勢いよく開いた。

その瞬間、開くに連れて生成される青白い直刀。鈴の音の様な音を鳴らしながら、それは今再び、俺の元へと現れた。

 

「霊刀[羅刹]!」

 

久々に使用した刀。懐かしさを存分に噛みしめながら、俺は戦場を一気に駆け抜けた。

一秒にも満たない走行。一瞬の静寂が戦場を包み込む。

 

そして次の瞬間。瞬きの一瞬に、俺の走り抜けた軌道にある地面が、天狗が、全て炸裂した。

地面は全面が抉られ、打ち上げられた天狗は全員意識を失っている。作戦も何もかもを、全て上から押さえつけぶち壊すような行動に天狗は固まる。俺は確かな手ごたえを感じ、振り向きざまに射程距離拡張を放つ。

 

案の定、振り返りつつ切った斬撃でまた数人が気絶した。慌てて態勢を整えようとする彼らの中から一人、遂に飛び出して来たのは――――

 

里内三位。

謁見だった。

重く、硬いであろう大剣を両手で上段に構える彼の体には、他の奴らよりも明らかに強い風が纏われている。謁見はそのまま体を撓らせ、一線。

 

慌てて羅刹で受け止めようとするも、一瞬で羅刹が砕け散る。

 

謁見は勝利を確信した笑みを浮かべ。

俺は、その状態で――――

 

彼を攻略したと。そう、確信した。


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