東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
暁「・・・なんで昨日投稿しなかったの?」
ラ「えっとですね、頭痛、発熱、咳、くしゃみ、鼻水、意識が朦朧とするなど結構真面目に苦しんでいたからです」
暁「単刀直入に」
ラ「薬飲んで八時間寝て風邪が治りました。昨日投稿できなくてすみません」
暁「ごめんなさい、ではどうぞ」
私の目の前には、私が居た。
私の右手は、傷だらけだった。
そして、私の中で誰かが呟いた。
――――初めまして、隔、と――――
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意識が、深い深い何かから浮かび上がってくる。
瞬きを数回繰り返す。冷たい風に揺れるくすんだ草が、そして澄み渡る青い空が私の視界に映る。
ツン、と鼻を衝く鉄のにおい。体にもたれ掛かる重み。
不審に思い、少し視線を下に下ろす。するとそこには、血まみれで動かない真の姿があった。
その瞬間、全ての記憶が蘇る。
そうだ。最後、真は私の、魂魄隔と天音真の魂だけを入れ替えてあの不思議な赤い霊力を使ったんだ。
私の中の核は壊れた。
でも、それと入れ替えに私の中にあった真の魂も壊れてしまった。
核が壊れているということは、真の使ったのは霊力を破壊するもの。
妖夢ちゃんから聞いたのは、魂も霊力。つまり、やろうと思えば魂をも霊力で表せると言っていた。
私がさっさと死んでいれば。
私が、真に何も言わずひっそりと自害していれば。
夢を叶えたいなんて、欲張らなければ。
色んな黒い感情が渦巻き、何も考えれなくなる。手が震える。自分の両手は、酷く汚れていた。
涙が溢れ出る。止まらない感情の波。
桜ノ妖が視界に入る。気づけば、私はそれに向かって手を伸ばしていた。
黒く冷たい柄を握りしめる。自分自身に刃を向け、無我夢中でその刃を心臓へと突き刺した。
・・・いや、突き刺すはずだった。私の両腕は、桜ノ妖ごと真上に弾かれていたのだ。
目の前で、紫の雷が瞬く。右手に持っている小刀を上に振り上げたままの態勢で、突然現れた少女は落ちてきた桜ノ妖を左手でつかみ取った。
涙で霞む視界の奥で、赤いマフラーと金色の簪が見える。
「・・・暁、ちゃん・・・?」
「隔ちゃん・・・分かるの!?」
慌てて目を拭う。思った通りに、そこに居たのは驚いている暁ちゃんだった。
露出の激しい服をマントで隠しているけど、スタイルの良さまでは隠せない。私は、暁ちゃんに促されるまま全てを話した。
「・・・そっか。うん」
暁ちゃんは、私の話を聞いている時もずっと真の体に紫色の力を送り続けていた。
まだ、死んでいない。妖力・・・?によって、回復していっている。虫の息でも、生きている。
ふらり、と暁ちゃんの体がよろめく。大丈夫?と聞いても彼女は無言で頷くだけだった。
「・・・隔ちゃん」
「な、なに?」
額にうっすらと汗が滲んでいる暁ちゃんは、震える声で、それでも私の目をまっすぐに見て言った。
「夢を叶えたいと思うのは、欲張りじゃないよ」
「っ・・・でも、その所為で真が・・・!!」
思わず声を荒げてしまう。びくっと体を跳ね上げ、その後に暁ちゃんはおずおずと笑った。
力のない、弱弱しい笑み。気を抜けば倒れてしまいそうな、そんな姿。
「・・・まだ、死んでないから・・・。ね・・・・?」
「暁ちゃん!?・・・ちょっと、どうしたの!?」
暁ちゃんが、真の体へと倒れこむ。
力を送りすぎちゃったのだろうか。二人を運ぶにしても、暴走妖の力を失った私にそんな事は出来ない。
あたりを見回す。勿論、誰もいない。幻想郷の果てに居る人なんて、絶対に居ない。
「はいはい、慌てない慌てない。こっち向いてー」
「!?」
突然響いた声。
声のした方へ振り向くと、宙に蒼い女性が浮かんでいた。
にこやかに笑っている。それだけなのに、名前も知らない女性に漂う雰囲気は並大抵の物じゃないことが本能的に感じられる。
女性はにっと含みのある笑みを浮かべ、答えが分かり切っているように私へ手を差し出した。
「なあ。・・・真と暁、助けたくないかい?」
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そこは、白い世界だった。
終わりがない、無限に続く世界。
どうやら俺は寝っ転がっているらしい。ぼけーとしている内に、記憶が浮かんでくる。
「上手くいったのかな・・・」
隔の魂と俺の魂を入れ替え、俺の魂と核を破壊。
あいつは助かる方法。俺の魂はぶっこわれるのだが、それはこの際気にしない。
未練はある。
でも、きっとあのまま隔を殺していたらそっちの方が俺は嫌だった。
むくり、と上体を起こす。
欠伸を噛み殺し、眼鏡の位置を直すと。
「やっはろー!!」
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
目の前に、ショートカットの女の子がふわふわと宙に浮かんでいた。
最後の子は、ラギアにしては珍しくショートカットです。
因みにこの流れは一部から考えていました。この子は、結構直ぐに居なくなります。
・・・多分。