東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「いやあ・・・良かった」
妖「何がですか?」
ラ「ssだよ」
妖「ラギアさん、ss読むんですね。ジャンルは?」
ラ「幼馴染(`・ω・´)」
妖「激しく納得です。で、斬っても良いですか?」
ラ「良くないです。それでね、ちょっといいのがあったんですよ」
妖「(´・∀・`)ヘー」

ラ「うん。興味ないね」
妖「はい。どうせR指定なんでしょ?」
ラ「いやいや、あれですよ、涙腺をボッコボコにしてくる奴です」
妖「かくいうラギアさんは?」

ラ「号泣しました。えとね、良いか分からないけどタイトルは

  『男「引っかかったなwwww」幼馴染「…………」 』

  です、お勧めですよ!気が向いたら、是非」

妖「・・・・はあ。今日は少し私がボコられる&あれ?真君てこんなキャラ?という要素が含まれます。」
ラ「因みに俺は東方キャラで妖夢が一番好きです。はい。」

妖「では、どうぞ!」


第九章「例えお前が化け物でも」
第九章第一話「すれ違い」


歩き出した俺の目の前に、すっと何かが降り立った。

朝日を背に、抜いてある双刃を銀に煌めかせる銀髪の少女。ぞっとするほど冷たい瞳は、真っすぐに俺を射抜いていた。

 

「・・・妖夢」

「おはようございます、真さん。お出かけですか?」

「あ、ああ。悪いけど、永琳先生とかに伝えておいてくれ」

 

トン、と軽い音を立て妖夢は地面に足を付ける。

そのまま無表情で俺を見ていた妖夢は徐に息を吐き、告げた。

 

「そうですね。真さんが脱走しようとした、でも捕まえましたと言いに行きましょうか」

「・・・?どういうことだ?」

「こういう事ですよ」

 

バーストも何も使って居ない俺の腹に、一瞬で俺へと迫った妖夢の膝がのめり込む。

くの字に折れ曲がる体。肺から酸素が一気に抜けると同時に、今度は背中へと楼観剣の柄が叩き込まれた。

 

「ガッ・・・」

 

強く地面に打ち付けられる。砂が口の中に入り、舞う粉塵が視界を覆い尽くす。

 

「・・・隔さん、死ぬらしいですね」

 

妖夢は冷ややかに、そして静かに呟く。

倒れたまま、視線を上に向ける。そこには、俺を見下ろし、ふっと口角を吊り上げる妖夢。

 

「しょうが無いですかね。運が無かったんですよ」

 

その言葉が胸に突き刺さる。同時に、プツンと頭の奥で何かが切れた。

砂ごと拳を握りしめる。それを妖夢に投げつけ、俺は砲声した。

 

「オーバーレイ!!!」

 

初っ端から全力。

左右から黒と白の霊力が揺らめき立ち、俺は霊力を炎に変換した蹴りを足払いの様に掛ける。

倒れはしない。でも、バランスを崩した妖夢の胸倉を強引に掴み全力の頭突きを噛ます。

 

「・・・なんですか、真さん。私は真実w

 

「黙れ」

 

一瞬、妖夢の蒼い瞳が微かに震えた。

しかしそれも束の間、妖夢の鋭い槍の様な蹴りが俺の鳩尾へと叩き込まれる。

 

ドガン!!と鈍い音。しかしそれはクリーンヒットした音では無く、俺が妖夢の足を掴んだ音だった。

 

「・・・ごちゃごちゃ言ってんじゃねえよ。しょうがねえとか勝手に決めてんじゃねえ」

「逆切れですか?見苦s

 

「黙れつってんだろうが!!!」

 

叫んだ瞬間、激しい自己嫌悪に俺は襲われる。

ここまで感情を出したのは、人生で初めてかもしれない。

妖夢の肩がビクッと跳ねる。明らかに、俺を見る目の色が畏怖へと変化した。

でも今更止まれない。溢れ出した感情は濁流の様に言葉となって外へ出て行く。

 

「あいつはまだ死んでないだろうが!運が無かったとか勝手に決めつけんな!まだ助かるかもしれないだろ?お前に取って隔が死ぬことは『らしい』かもしれないさ!でも俺にとっては俺が死ぬ事より嫌で!!不安で!!怒りが込み上げてくんだよ!!」

 

妖夢の胸倉を掴んだまま、オーバーレイの状態で右腕をしならせる。

地面を抉りながら遠くへ吹き飛ぶ華奢な体。それを視界に収めつつ、俺は姿勢を低く構える。

ミシッと軋む足の骨。筋肉。

 

「・・・そうですか。全くどうでも良いですね。取り敢えず、隔さんのとこには行かせません、とは言っておきましょう」

 

「もう二度とその口開くなよ」

 

自分でも驚くほどの速度で、俺は宙を駆けていた。

低い姿勢のまま妖夢の真下へと迫る。すぐさま白楼剣が振り下ろされるも、それを横に回避。

楼観剣を持つ右手をまず左手で蹴り上げ、その反動でバク転。

 

態勢を崩した妖夢に、正確に言えば妖夢の顔面に、俺はバク転した体制から逆再生する様に跳び――踵落とし。

 

ミシイッ!!と嫌な感触が、音が足に伝わる。響く。

ああ、やってしまった。自己嫌悪が一層強くなる。今までお世話になった恩人にここまでした自分が、本当に嫌いになる。

 

俺は、こんなに感情的だったか。少女の顔面を砕く中、思考はうざったいくらいに冷静だった。

 

「んぐっ・・・けほ、げほっ・・・」

「・・・」

 

激しく咳き込む妖夢。鼻と口からは鮮血が零れ、蹴り上げられ腫れた右肘から先は力なく垂れ下がる。

 

「・・・言いたい事は。やりたい事は、それだけですか」

 

それでも、妖夢は口を開く。

真っすぐな視線で。俺の眼を正面から射抜き見つめ、声を張り上げる。

 

 

「貴方のやろうとしている事は、隔さんの覚悟を踏みにじる行為なんです!真さんのとこに手紙が来たでしょう?ちゃんと読まなかったんですか?何で知ってるかって、私の所にわざわざ隔さんが来たからですよ!!」

 

左手で、妖夢もまた悲しそうに目元を拭い、続きを話す。

 

「私がここまで言っても、真はきっと来てくれるだろうから。来ちゃうだろうから。真に殺されたいとか言っちゃったけど、やっぱり死ぬところは見られたくないなあって。隔さんが言ってたんです。貴方には分かりますか?自分自身が世界を滅ぼしかねない爆弾で、いつ爆発するかも分からない。暴走妖だから、理性は侵食されそれに抗えば常に激痛が身を蝕む。その苦しさが貴方には分かるんですか!?」

 

そして、最後に、叫んだ。

 

 

 

「『救ける』何て――――確証の無い事を!軽々しく口に出さないでッッ!!」

 

 

 

「私にだって分からないですよ!?でも、真はもっと分かって無い!自分の好きな人に自分の死ぬところを見られたくないって言う気持ちが!自己犠牲?笑わせないで、貴方の『救ける事が出来たら自分はどうでも良い』なんて、迷惑以外の何物でも無い!!」

 

妖夢の白楼剣の切っ先が、動けない俺の喉元へと向けられる。

白と黒の霊力が、行き場なく弱弱しく燃えていた。

 

俺が放った炎を纏った蹴りを喰らった足は火傷し。

鼻と口からは真っ赤な鮮血を溢し。

右手の肘から先は震えるだけで全く動かない。

 

それでも。蒼い蒼い、澄み切った瞳は死んでいない。

その輝きは。決意は、覚悟は。

 

妖夢の、少女の持つ剣に宿る。




真君の言葉は、意外にすらすら出て来た。
同時に妖夢さんも。

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