東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
すみません。
後、風神録の1~4面は軽く流し、早苗、諏訪子様、神奈子様戦をメインにする予定です。
では、どうぞ!
「異変?」
「ええ、そうよ~」
朝食を食べ終わり、食器を片付けた朝九時ごろ。
俺と妖夢は幽々子様に呼ばれ、白玉楼のとある一室に行き、そこで二通の手紙を渡された。
「何かねえ、妖怪の山に変な神社が現れたから、それの調査をして欲しいんです、だって。パパッと解決できるはずだから、早く戻って来てね?」
「おお・・・遂に私も異変に行けるとは・・・!」
「えっと、桜ノ蕾・・・刀はこの前暁に返してもらったから、直ぐ行けるな。」
妖夢が隣で目を輝かせている間、俺は注意事項を一つずつ確認していく。
魔理沙や咲夜さん、霊夢の様に道具を大量に使い戦う人は荷物の確認が必須だ。
しかし俺や妖夢、俗に剣士と呼ばれる人は剣があれば戦える。そのため、こういった緊急出動に対応しやすい。
「さあ、善は急げよ~、行ってらっしゃい、妖夢。真。」
手紙を懐にしまった所で、幽々子様が微笑みながら告げた。
扇子の所為で表情は余り見えないが、それでも応援してくれている事だけは分かる。
俺と妖夢は同時に立ち上がり、これまた同時に、
「行ってきます!」
と幽々子様に挨拶した。
桜ノ蕾を腰に括り付け、久々の相棒の感触を確かめる。
以前幻想郷に居た時、この
一度も砕けずに、魂を集めている奴を倒してくれた相棒。
およそ二か月ぶりに感じる刀の重みは、頼もしさを掌から伝えてくれる。
「・・・うーん、真、ちょっと待ってくれるかしら?」
「はい?何でしょうか?」
障子を開け、外に出ようとした瞬間に、幽々子様は俺を呼び止めた。
少し考える素振りをしつつ、躊躇う様に幽々子様は口を開いた。
「ん・・・そうね、真。右手を出して?」
「?どうぞ」
言われた通りに手を出すと、幽々子様のしなやかな白い指が俺の手首に触れる。
そして、幽々子様が人差し指で俺の手首を軽く叩いた。
・・・すると、紫色の蝶が象られた腕飾りが俺の手に巻かれ、鱗粉の様に紫色の粒子を散らし始める。
「んとね・・・これが壊されたら、何か起きるわ」
「何か!?」
「ええ。今は言えないのだけれど、これがあるのとないのとでは大違いなのよ。」
「そ、そうなんですか」
「確実に悪い方向へ進もうとしてる運命を、巻き戻すのにも使えるしね」
「・・・え?」
ぽつり、と呟かれた言葉にその一室は固まった。
空気が凝固し、汗が一筋背筋を流れる。
『悪い方向に進もうとしている運命』
彼女は、確実にそう言った。
紫色の腕輪が、妙に冷たく感じる。
鉄の鎖のように、それを破壊しなければ外に出られないような。
無慈悲な、束縛の感覚。
「・・・ああ、気にしないで頂戴。ほら、早く行って来なさい?」
「あ、はい。・・・いって、来ます・・・」
ぼそぼそと自然に声が小さくなりつつも、俺と妖夢は部屋を出て行った。
さっきの言葉がまだ頭に残っている中、冥界から通常世界への入り口まで続く長い長い階段を降りる。
どちらも一言も話さないまま、俺達は黒い渦の中へと身を躍らせた。
「うーん、あれは言わなくて良かったかしらね?」
幽々子は一人呟き、扇子を閉じた。
「・・・まあ良いわ。あの腕輪が壊れる様な強敵に会ったら、
真自身の能力は、何なんでしょうか?