東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
真「遅くない!?いや遅すぎない!!??」
ラ「低ランクで、らぎゃー って言うのが居たら九割がた俺です」
真「皆さんどうぞスルーしてあげて下さい」
ラ「ちょおま」
真「では、どうぞ!」
レミリア様の部屋の前で立ち止まり、ノックする。
直後に帰って来る『入って良いわよ』という声。それに従い、俺はドアを開けた。
中ではそろそろ朝食だというのにも関わらず、奥のソファに座り机に肘を着くレミリア様の姿が。
彼女は見透かしていたのだろうか。何も言わず、その紅い瞳で俺をじっと見つめた。
「・・・隔の、事なんですが」
「ええ」
座りなさい、も何も無く。
突然、レミリア様は俺を手招きした。
近くに寄ると、小さい声で話せとジェスチャーで教えられる。俺は焦る気持ちを押さえ、話を続ける事にした。
「昨日の夜・・・というか、今日の早朝。隔と戦いました」
「詳しく教えて頂戴」
「はい、朝の三時頃ですが、ちょっと森の方で騒がしくて。・・・行ってみたら、大量の妖怪の死骸と隔が居ました」
「・・・隔は、人間よね?」
「はい」
訝し気に眉を顰めるレミリア様。
指先でトントンとテーブルを叩き、そして彼女は続きを促す。
ここから先は、結構の重要な話だ。
ドアの辺りに気配が無い事を確認し、俺は長く息を吐いた。
「その場で、黒い刀を持った隔と交戦。・・・その時、分かったのは―――――――」
「隔は、
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同時刻。
霊夢は朝食になっても来ない真を呼びに、彼の部屋へと向かっていた。
隔は恐らく仕事だろうなー、とか朝ご飯何かなー、とかマイペースに思いつつ。
何時もの紅白の巫女服に身を包み、眠そうに目元を擦る。
窓の外には青空と白い雲が広がっている。蝉時雨が遠くの森から聞こえて来る。
雨は止んだらしい。爆睡していた霊夢は改めて窓の外を眺め、そして再び歩き出す。
「入るわよー」
ドンドンとノックして、霊夢は声を掛け直ぐに入る。
遠慮何て物はない。ノックしたから良いだろうがという考え方である。
実際魔理沙はそれで困ったりしているのだが、気にしない。
だがしかし、この時だけは霊夢でさえも硬直せざるを得なかった。
だって。
ドアを開いたら。
見知った黒髪の少女、魂魄隔が天音真のベッドで寝ているのだ。
それも、物凄く幸せそうに。
ドアノブを握る手ががたがたと震える。青ざめつつ、霊夢は静かにドアを閉めた。
「・・・ふふふ・・・」
震える手で顔を覆い、不気味に笑う。
見間違いだ。きっと、見間違いだ。
現実逃避しながら、霊夢はもう一度ドアを開けた。
やっぱり居た。
今度こそ、霊夢はにっこりと笑いドアを閉める。
そしてそのまま、鋭い眼光をきらつかせ。
「真の奴を・・・とっちめるッ!!」
と小声で叫び、全速力で紅魔館の廊下を駆け抜けた。
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「――――――隔は、暴走妖です」
きっぱりと。
俺は、レミリア様に向けて断言する。
心臓の上部分にあった黒い霊力。急激に戦闘力が上がり、理性は崩壊。
それに、あんな禍々しい霊力を俺は暴走妖以外に見た事が無い。
「・・・」
深刻な面持ちで、レミリア様は俯いた。
自身の従者が、暴走妖なのだ。きっと衝撃は大きい筈。
「・・・記憶は、本人には無いようです」
俺はそっと付け加える。
今まで、俺達は恐らく大体の暴走妖は
地霊殿の八咫烏の少女、お空とかを除いて。
もしも、だ。
もしも隔が、幻想郷にとって脅威になるならば。理性を失ったなら。危害を加えるのならば。
きっと、誰かが隔を――――
始末しなければならない。