東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「注意!注意!今回ちょっとだけそーゆー表現が入ります!苦手な人は回避して下さい!それ以外の人はニヤニヤしていってね!」
真「お前は何を言っているんだ!!」


第八章第八話「夜明け」

強烈なデコピンによって気絶した隔を俺は静かに運び、誰にも見られない様に自分の部屋へと抱えて行った。

ここだけ切りぬくと犯罪臭が凄まじいが、断じてそんな事はしていない。

 

段々白み始めて来た空を前に、俺は窓を開けるがカーテンを閉める。涼しい風は入るが、朝日は直接照らされない。俺は隔をベッドに寝かせ、自身は直ぐ近くにあった椅子に座った。

 

しかし、さっきのこいつは・・・

 

悍ましい瞳と雰囲気。あっさりと羅刹の対応をされ、少し泣きたくなる。

ティッシュで鼻の辺りを拭うと、かなりの痛みが走る。やっぱり折れたかな、と思いつつ永琳さんの所へ行かなければと思いつつ。

 

やっぱり思考は、さっきの戦闘に持っていかれる。

 

「・・・[天開・羅刹]じゃあ・・・足りないって事なんだよな・・・」

結構長らく使ってきた技が、届かなくなる。

バーストも最近通用しない事が多くなって来た。

 

椅子に深く座ると、背もたれがギイイッと軋む。

 

お先真っ暗と言う所か。進路に全て、壁がある。

 

俺は多くの傷が刻み込まれている右手を掲げ、まじまじと見つめた。

・・・いやまあ、特にいつもとは変わらないんだけど。

 

ため息を付き、俺は椅子の上で目を閉じる。

深い微睡に沈んでいく。意識は、暗く落ちて行く。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

目が覚めると、そこは異世界だった。

・・・では無く、見覚えのあるけど見覚えの無い天井が広がっていた。

むくり、と何故か痛む全身に顔を顰め隔は起き上がる。寝間着でも無く、そしてここが自室では無い事が直ぐに分かったらしい。訝し気に辺りを見回し、一つの所で隔はひっと息を飲んだ。

 

そこには、すーすーと寝息を立てる天音真の姿が。

 

数秒の硬直。何かを思い立ったように、隔は突然自身の体に異常が無いかを探し始める。

 

汗だく。服はメイド服のボロボロで、髪も乱れている。

ベッドもまるで誰かが寝ていたかのように・・・隔も寝てたが、彼女は寝相が良い・・・シーツがぐしゃぐしゃ。

青ざめて行く表情のまま、隔はぎぎぎ、と首を動かし真を見つめ。

 

 

「じ、事後・・・!?」

 

 

ぽつりと、とんでもない事を呟いた。

いやでもまあ真なら良いや、意識が無かったのがちょっと残念だけど・・・と一瞬思うも、直ぐに顔を真っ赤にさせて爆発。

 

自分は何を言っているんだ!?というパニック状態に陥った彼女は、ベッドの上で軽やかに跳ねると。

 

 

「起、き、ろおおおおおおおおおおおおーーー!!!」

 

 

大きく叫びつつ、自身のしなる右足を真の頬へとブチ当てた。

 

「ぶふぉお!!」

 

何やら不思議な奇声を上げて座っていた椅子から吹き飛ばされる真。真っ赤な顔でぜえぜえと肩で息をしつつ、慌てている少年へと声を投げかける。

 

「・・・ねえ」

「ふぇっ!?あっ、隔起きたか、良かった良かっt

 

 

「事後?」

「お前いきなり何言ってんのかなああああああああああああああああああ!!??」

 

笑顔になったのも束の間、爆弾発言を遠慮なく投下した幼馴染に真は大きく叫んだ。

しかし隔の顔が真剣であるのを見ると、呆れたように肩を竦め、

 

「・・・ああ、そうだよ。色々あったし、(戦い)やったよ」

「うにゅあ!?」

「痛かったな・・・(怪我)隔も痛そうだったけどな・・・(デコピン)」

「ん、ん、んにゃ・・・!?」

 

どんどん真から距離を取り、顔を赤らめて行く隔。

対して真は揶揄いの意味も込めて敢えて会話がすれ違う様に話している。慌てる隔を見て、ニヤニヤしているのを隠しているのだ。

だがしかし焦る隔。逃げる隔。そんなのに気づくはずも無く。

 

「そ、そんなにしたかったの・・・?」

「いや、全然。寧ろしたくなかった(戦闘)」

「んだとおるああああああああああああああ!!!眠れる乙女に散々ッな事してくれたなああああ!!!」

 

マジ切れ隔さんである。

今にも椅子を構え飛びかからんとするところで、突然真が声を張り上げた。

 

「待て、お前夜中の事覚えてないのか!?」

 

さっきとは打って変わり、今度は真の方が焦り驚いていた。

普通では無い彼の様子を見た隔は椅子を下ろし、首を傾げつつ小さく頷く。

 

「・・・マジか・・・」

 

ため息を付き、真は地面へと座り込む。

その様子を不審に思った隔は、椅子を持ちつつ近づいた。

 

「お、おーい。大丈夫?」

「ん・・・大丈夫。というか、お前は寝てろ」

 

ひょいっと抱きかかえられる隔。お姫様抱っこだ、うわーー!!と思った次の瞬間、彼女はベッドへと投げられていた。しかし不満の声を出すよりも速く、真は隔へと指を突き付ける。

 

「自覚は無いかもしれないけど、隔は相当疲れてる。もうちょっと寝てろ。俺がご飯持って来てやるから、安静にしてた方が良い。・・・後、お前の考えてる様なその・・・R指定入る様な事はしてないからな」

 

「チッ」

 

「おい待て今舌打ちしませんでした?」

「してないわよ。それなら、お言葉に甘えておくね」

 

「全く・・・」と言いつつ、真は扉を開けて廊下に出る。

窓から入って来る日差しが少年の体をやんわりと包み込み、思わず真は欠伸をした。

 

そして、食堂とは逆方向に歩き始める。

 

 

真剣な面持ちで、彼はレミリアの部屋へと歩き始める。


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