東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「俺じゃない。面白い小説が悪いんだ」
隔「何言ってんの?」

ラ「遅くなって&短くてすみません。では、どうぞ」


第八章第七話「中断」

駆け出した俺に向かって、無表情のまま隔は数回斬撃を繰り出す。

俺は天開・羅刹を大きく横に薙ぐことで、全てを弾き返した。隔との距離は3m程。射程距離拡張を発動し、隔へと刃を振るう。

 

―――――しかし、隔は避けようとしない。

 

「っ!」

 

慌てて羅刹の軌道をずらす。それと同時に、此方へ駆け出す隔。

女の子を基本的に殴らない性格を逆手に取られ、俺は思わず体を硬直させてしまう。

刹那、鋭い蹴りが俺の腹部へと突き刺さる。しなやかな筋肉を存分に使った一撃は、吹き飛ばしはしなくとも相当のダメージを俺に与えた。

次いで、隔は更に俺へと接近。黒い刀の形を変え、羅刹に巻き付けるとそれを捨てる。武器を失った俺達は、同時に肉弾戦へと意識を切り替えた。

ボッ!! と鋭い拳が俺の耳元を掠める。瞬時に二発ほど放たれた突きを、バックステップで回避。

そんなカッコいいもんじゃない。ただ、頑張って後ろに飛び退っただけだ。

だが、それだけで攻撃が止むはずがない。隔のスカートが派手に捲りあがり、俺の顔面に黒い革靴が迫る。

 

「お・・・おおおおっっ!!」

「・・・っ」

 

腹の底から気合を入れ、俺は顔を必死に後ろへと持っていく。極限まで仰け反った状態に成り、急いで立て直そうとしたところで。

 

ヒュンッ、と軽い音を立てて隔は上段の回し蹴りを俺の真上で停止。直後、踵落としが顔面へと突き刺さった。

 

脳が直接揺らされたんじゃないかという衝撃が体を襲う。更に襲い掛かる隔のパンチを未だに揺れる視界の奥で受け止め、俺はさっきよりも大きく隔から距離を取った。

 

鼻の奥から血がだらだらと流れる。腕で強引に拭うと、少し鼻の骨がひび割れている様な感触で手に伝わった。

回し蹴りを止めての踵落とし。器用すぎるその技をしても尚余裕のある隔。

 

・・・割と真面目に、やるしかないらしい。

 

「陽炎」

『ん?』

 

 

「三分間・・・ぶん殴るつもりで戦う(、、、、、、、、、、)。三分経ったら、合図くれ」

『・・・分かった』

 

 

そう言い、俺はそっと体から力を抜いた。

目を閉じると、夜風が頬を撫でて行く。雨で湿った空気の香りが、鉄の匂いと混ざり合う。

一回、俺は長く息を吐いた。

 

 

そして、右拳を強く握りしめる。

 

 

ミシッ… という、筋肉と骨が軋む音が静かに響く。俺は地面を強く、蹴り砕いた。

 

世界が加速する。バースト15%は、勇儀師匠と萃香師匠との修行で初めて辿り着いた。

隔との距離が一瞬で零に成る。驚きを隠せず目を見開くも、直ぐに彼女も応戦。

 

・・・が、その時にはもう俺は隔へと右拳を振るっていた。

 

 

吸い込まれるように拳を隔に迫る。

 

しかし、当たる寸前で――――

 

「・・・ああもう!」

 

俺は、拳をぱっと開いた。

そのまま中指を親指で押さえつけ、それでも霊力は盛大に込めて。

 

パアアンンッッ!!! 

 

と、派手な音を撒き散らしデコピンをした。


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