東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「長野から帰宅、どうもラギアです」
真「帰ってこなくてよかったんだぞ?」
ラ「泣くぞ?ラギアさん泣いちゃうぞ?」
真「泣け泣けー!」
ラ「・・・畜生、真と爛漸苦のそーゆーの書いて来てやる!!」
真「おいやめろ」

(流石に書きませんよ・・・?)

隔「ではどうぞ!私、また悲惨な目に会いそう!!」


第八章第二話「地底での暮らし」

「えっと・・・生きてたから」

「マグマに落ちて死んだ筈じゃあ・・・」

「いや俺生きてるよ!?」

 

呆然と妖夢が呟く。

刺身を食べる手を一旦休め、俺は妖夢へと向き直った。

 

そういえば。

今日はやけに、妖夢と幽々子様の服が黒い気がする。

まるで、誰かの葬式に行った後の様な。

 

「な、何があったんですか!?マグマに落ちた後!」

「あー・・・えっと、そこら辺は記憶が曖昧なんだけど・・・」

 

ぽりぽりと頬を掻きつつ、俺は記憶を辿り始める。

そう、あれは地霊殿で―――――――

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

意識が、朦朧としている。

全身が動かない、そして締め付けられている。

 

ゆっくりと、俺は意識の覚醒と共に瞼を持ち上げて行く。すると、そこには見慣れない猫耳の少女が居た。

 

「ん?おお、起きたかい」

「・・・あ・・・すみ・・」

「ああ、休んでな。怪我酷かったからねえ。あたいはちょっと、さとり様呼んでくるよ」

 

喉がしゃがれて、声が出ない。

熱だろうか。寒気がするのに体は熱い。咳き込めば肺に痛みが走る。

 

どうやら、かなり重症らしい。

 

数分後、猫耳の少女が再び帰って来た。

連れて来たのは、紫の髪をした小柄な少女。不気味な眼と体を繋いでおり、その人は俺を見ると一礼した。

 

「古明地さとり、です。この度はお空を助けて下さり、ありがとうございました。・・・ああ、喋らなくても結構です。私は人の意思や感情を見れますので」

 

そう言い、さとりは俺へと近づいた。

 

試しに、俺は脳内で呟いてみる。

 

(・・・ここは?)

「ここは地霊殿です」

(俺は・・・マグマに落ちた筈だけど、何で生きてるんだ?)

「それは・・・そうですね、本人に聞きましょう」

 

呟き、さとりは猫耳の少女に一言二言言うとその少女は扉から直ぐに出て行った。

誰かを呼びに行ったのだろうか。

 

「あの子の名前は火焔猫燐。お燐と呼んであげて下さい」

(分かりました)

 

心の中で返事すると、ドアががちゃりと開いた。

体が動かせないため、視線だけを其方に向けると、そこにいたのは幼い少女だった。

 

瓢箪を手に持ち、赤く火照った頬を手で仰ぎ冷ます。

頭の横に二本の大きい角を生やす――――鬼の少女。

 

「ん?ああ、起きたのかいそいつ。調子はどうだい?」

(・・・この人は?)

 

さとりが少女へと目を向け、口を開く。

しかしそれよりも先に、少女は察した様に笑みを浮かべた。

 

「ああ、悪い悪い。私の名前は伊吹萃香。・・・鬼の四天王だ、宜しくな!」

「・・・とまあ、貴方を助けたのは鬼の四天王の一人、萃香さんです」

(!?)

 

絶句する。

いや、無論口は動かせないのだが、それでも驚愕を隠せない。

これで俺は鬼の四天王の内三人と知り合いに成ったと言う事である。

その中で一人とは全力で殺し合った。

 

・・・俺、そろそろ真面目に死ぬんじゃないかな。

 

(調子は良くないです)

「調子は良くないそうです。まあ、マグマに一瞬でも落ちましたからね。萃香さんが真さんを散らしてくれなければ真さんは今恐らく死んでます」

(・・・散らす?)

 

嫌な予感をひしひしと感じながら、俺はそっとさとりに聞く。

気まずそうな顔で、ゆっくりと頷き、彼女は口を開いた。

 

「分子レベルまで真さんを分解して、再構築したんです。萃香さんが」

「そういうこった!まあ、体がボロボロなのはその所為もあるんだよなー」

 

恐ろしい。

冷や汗がだらだらと背筋に浮かぶ。寝っ転がっているため服に染み込む汗は、非常に気持ち悪い。

 

いや、それでも萃香さんは俺を助けてくれたのだ。

 

(萃香さん、ありがとうございます)

「萃香さん、ありがとうございます・・・だそうです」

「はっはっは、気にする事無いよ!たまたま見つけただけだし、勇儀と闇鬼の件知ってたからって言うのもあるし、何よりあそこまで体をはって誰かを助けられるって言うのに感動しただけさ」

 

瓢箪をくいっと仰ぎ、手首に付けた鎖をじゃらじゃらと鳴らす。

そして、真剣な面持ちになる萃香さん。

 

「あんたが治るまで、あんたのあの時の頑張りに免じて色々世話する。鬼は嘘を付かないからね」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・とまあ、萃香師匠の協力もあって俺は三日間で全治したってわけだ」

「相変わらずの生命力ですね・・・。ところで、三日間で治ったなら直ぐに帰って来ればいいじゃないですか」

 

不満げに頬を膨らます妖夢に対して、俺は苦笑する。

わさびの入り過ぎた醤油にちょこっとだけ刺身を付け口に放り込み、飲み込むと俺は続きを話し始めた。

 

「その後、勇儀師匠と萃香師匠が会って、意気投合して・・・勇儀師匠が俺の事を何故かべた褒めして・・・」

「それで?というか、何で師匠が増えてるんですか!」

 

師匠は私だけでいいんです、と憤慨する妖夢を宥める。

ああ、大変だったなあと思い、思わず俺は遠い眼に成った。

 

「・・・萃香師匠と勇儀師匠がね。俺の事を鍛えようって言い始めてさ・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

すっかり良くなった体に白い着物を着た俺は、地霊殿の庭に出ていた。

そう、昨日急に鬼の四天王二人に『修行だー!』と言われなし崩し的に修行に巻き込まれた俺は、今日も朝っぱらからずっと戦っている。

 

汗もだらだら、体には泥が付く中で――――

 

「うーん、真、あんたは体の中から霊力を形成している所為で、高速戦闘中に一瞬隙が出来ちゃうんだよ」

 

勇儀師匠の講義を、受けていた。

 

「零からのスタート。真は何をやるにもそれなんだ。でも、それじゃあ私とかの戦闘じゃ勝てないよね?」

「はい」

「だから、ある程度の準備・・・真で例えるなら、霊力を溜めて置く事。ある程度形成しておく事」

 

言い終えると、彼女は俺に滅壊ノ星撃の真似事で良いからバーストでしろと告げた。

バースト12%の状態で、俺は言われた通りに右腕へと意識を集中させる。

 

刹那、青白い霊力が尾を引き始める。

 

肘を抜け、ロケットのエンジンの様に霊力が噴き出る。オーバーレイ状態程の威力は無いが、それでもまあまあ出る様にはなっていた。

 

「その状態で、維持して!」

「い、維持ですか!?」

「そう!形を作って、その霊力を・・・”技の土台”を形成する!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

俺は空に成った漬物の皿と入れ替えにお味噌汁を取り寄せつつ、ため息を吐いた。

 

「・・・こんな事をずっとやってたんですよ」

「で?出来る様になったんですか?」

「うん。ある程度はね」

 

流石に鬼の四天王に鍛えて貰って居ながら、出来ませんと言うのは無理である。

死に物狂いでやりました。

 

「成程、成程・・・」

 

分かってくれたか、と思い俺は再びご飯を食べ始める。

妖夢は俺の方へと向き、とてもとてもいい笑顔を浮かべ――――

 

「つまり真さんは私達が真さんの心配をしてる時に色んな女の人たちと仲良くハーレム生活してたって事ですよね!?私分かりました!!!」

「待って違う何もわかって無いよ!?」

 

叫ぶ妖夢。突っ込む俺。

楼観剣にも負けず劣らずの殺気を放つ妖夢に必死で謝ると、急に立ち上がり彼女は俺の耳へと口をそっと近づける。

 

「・・・明日、隔さんと暁さんと霊夢さんと魔理沙さんに会いに行きましょうね」

「あれ?俺明日死んじゃいます?」

 

処刑宣告と等しい囁きを受けた俺は、眼から汗を流しつつさとりの一言を思い出す。

 

 

 

 

 

『隔さんに、注意して下さい』

 

 

 

 

その、一言を。


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