東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「結構前から考えてた技を出せて良かった」
レ「スーパーノヴァとは違うの?」
ラ「似てるけど威力は全然上だお("´∀`)bグッ!」
レ「へえ・・・で?次最終話?」
ラ「まだ一波乱あったりする」
レ「・・・うわあ」
ラ「引かないで!?では、どうぞ!」

レ・・・レミリア


第七章第十二話「切り裂く光」

全身が熱い。

外側からでは無く、内側から灼熱の焔で焼かれているかのような感覚。

それでも、頭は冴えていた。

静かに、冷たく世界が見える。澄んだ視界の奥で、大きく翼を広げる少女は居た。

何の為に戦うのか。

 

最後の陽炎の問いかけ、それは勿論、

 

「・・・全員、護る為・・・だろ・・・!!」

 

無理やり体を動かす。壁に亀裂を入れつつ叩きつけられていた俺は、右足で強く壁を蹴り飛ばした。

薄れていた紫紺の翅が生成され直す。美しく広がり始めた翅は、更に大きく。

 

迷いも何も無い。吹っ切れた俺は、木筒を構えた少女に向けて桜ノ妖を構えた。

 

もう誰も死なせない。俺は少女が再び砲撃をする直前、高速で上へと方向転換した。

俺の下を掠める様にエネルギーの奔流は放たれる。撃ち終わり、エネルギーを消費した少女の一瞬の硬直。そこを見逃さず、俺は自分自身の得意な状態、接近状態での肉弾戦に持ち込んだ。

 

黒い霊力によって強化されている身体能力。空気を喰らい尽くすように放たれた蹴りを、俺は撫でる様に後ろへと勢いを流す。

左手は折れているため使えない。

桜ノ妖を神速で閃かせ、俺は彼女の胸の中心にある核を撫でる様に切り付ける。

決して、体は傷つけない。妖力を纏った刃は、表面のみを切り裂く。

 

暑さは、吹き飛んでいた。

 

少女は急いで俺から距離を取る。木筒の射線に重ならない様に、そっと俺も横に避けた。

 

「グ・・・・があ・・・あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

彼女は叫び、木筒から白い輝きを撒き散らす。

溢れるエネルギーの奔流。風が巻き起こり、俺の髪をなびかせる。

 

「行くよ、幻夢」

 

そっと呟き、俺は桜ノ妖を鞘に納めた。

懐から勇儀に貰ったお握りを取り出し、一口で頬ばる。

 

彼女の全力を受け止める。そんでもって、全力で助ける。

 

「[サブタレイニアンサン]!!!」

 

少女が叫ぶ。刹那、木筒からは紅蓮の太陽が放たれた。

耐熱加工を施しているであろう銀の壁が、余りの熱に溶けて行く。

地底の太陽。絶大なエネルギーを誇るそれを前に。

 

――――俺は、右拳を強く握りしめた。

 

「オーバーレイ!!」

 

バシュンッッ! という音と共に、俺の体が黒と白の霊力に包まれる。

それは渦を巻き、俺の右拳を包み込んでいく。

右半身と左半身で別れた力は、正反対の思いを抱え矛盾を携え合わさっていく。

壊すために護る。守るために壊す。

 

流星の如き力は、強く尾を引き、白と黒の奔流をジェットの様に噴き始めた。

 

太陽を――――

 

「滅壊ノ・・・」

 

―――打ち砕けッ!!

 

「星撃ッ!!」

 

全力の体の捻り。全身の血が沸騰するような感覚を覚えつつ、俺は右手を一心不乱に打ち出した。

次の瞬間、少女の放った太陽と滅壊ノ星撃が衝突する。凄まじい衝撃波を周囲に撒き散らしつつ、お互いは負けまいと競り合う。

 

だがそれは、一瞬の拮抗。少しづつ、滅壊ノ星撃が押され始めた。

 

奥歯を噛みしめ、更に力を籠める。

しかし彼女の太陽は俺をも巻き込み滅壊ノ星撃を飲み込み始める。ひしひしと伝わる力の差。光を失った彼女の瞳は、ただ俺を殺そうとしていた。

 

左手は動かない。右手は、外したら直ぐに俺も消し炭に成るだろう。

 

その時。

 

 

一つ、一つと桜ノ妖から紫紺の蝶が飛び立ち始めた。

じりじりと押され始めている俺の腕にそれらは止まり、そして溶け込んでいく。

 

突然感じる妖力。西行妖と戦った時の感覚が甦り、背筋がぞっと粟立った。

 

霊力と妖力が合わさり、暴走していく。異なる力は互いを喰らおうと更なる力を求め、自身らを高めて行く。

 

「お・・・おおお・・・!!」

 

体の奥から霊力を引っこ抜かれるように、俺の右腕に高密度の霊力が溢れ出す。

それに対抗する様に、無数の蝶は舞い俺の右腕へと溶け込む。

 

紫紺の輝きと黒白の輝き。ふたつはやがて重なり、溶けあい――――

 

 

新たな可能性を、新たな希望の道を俺に示した。

 

 

太陽が間近に迫る。少女は、最後の止めと言わんばかりに大きく咆哮した。

 

「・・・インフレーションッ!!」

 

俺は空中で翅を大きく広げ、そして負けじと叫んだ。

急激に高まる力。右腕に収まりきらない程強大なエネルギーはミシミシと腕を軋ませる。

 

最早猶予は無い。不完全に、そして瞬く間に膨れ上がった力の塊を――――

 

全力で、俺は解き放つ。

 

 

「ビッグバン!!!!」

 

 

右腕から、幾筋ものの光が世界を切り裂く。

視界が塗りつぶされる。鼓膜は破けそうな程に張り詰める。聞こえるはずの轟音は、遠くに響いていた。

 

 


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