東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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えーと、一日待たせてしまいすみません。
そして、短いです。すみません。

最近ラギアのリアルが圧迫されてきて、実は結構体調もボロボロだったりします。
毎日投稿もちょっとキツクなり始めて来たって言うのが本音ですね。

何とか、この生活に慣れて行きたいと思います。

本当に、昨日投稿できずすみませんでした。


第七章第三話「曇り空」

「えっとね・・・霊力を纏わせて、こう!」

 

ヒュッ!! という風切り音と共に、お札が奥にある木へと突き刺さる。

白い光粒の軌跡を描き飛んだ紙。達人技とも言えるそれを披露した霊夢に、俺は思わず感嘆の声を漏らした。

 

「結構難しいけど、ちょっとやってみて?」

「分かった」

 

霊夢に促され、俺は一歩前に出る。

お札を人差し指と中指で挟む様にして持ち、俺は霊力を込めた。

青白い光が夜空に飛び、力の奔流が弱弱しくも風を巻き起こす。

 

体を捻り、一秒ほど力を溜め。

 

鋭い呼吸と共に、俺はお札を飛ばした!

 

 

風切り音が唸る。

俺達の目の前で、お札は青白い光を巻き起こし―――――――

 

 

木を飛び越えて、夜空の星へと混ざる様に飛んで行った。

 

「・・・たーまやー」

 

霊夢の気の抜けた声が虚しく響く。己のノーコンぶりに絶望しつつ、俺は手に持って居たお札を懐にしまった。

 

「俺、お札直接貼るわ」

「うん。その方が良いと思う」

 

木に刺さったお札を回収する霊夢へと震えた声を掛け、俺は桜ノ妖を抜いた。

 

「・・・舞え」

 

一言呟く。次の瞬間、紫紺の刃から刃と同じ色の蝶が数羽飛び立った。

 

「綺麗ね・・・それが新しい刀の力?」

「桜ノ妖って言うんだけどね。・・・どんな能力か分かって無いです」

 

自嘲気味に、霊夢の疑問に答える。

実際、今の俺は俺自身の事でさえ分かっていない事があるレベルなのだ。

 

明日も朝は早い。俺と霊夢はもう切り上げ、宿の中へと入って行った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

妖怪の山までは、確実に今日で着く。

俺は異変解決メンバーと時間をずらす為、霊夢が出発しても残り、昼頃にやっと人里を飛び立った。

天気は曇り。灰色に染まった雲が太陽を隠し、じめじめとした湿気が幻想郷を包み込む。

手で風を送りつつ、俺は改めて地底への行き方を確認する。

 

「妖怪の山の麓の・・・西側に、大穴があるんだよな・・・」

 

便箋の一部を指でなぞり、俺は顔を上げた。

まだ妖怪の山は見えない。どっちが西だとかも正確には分からないため、取り敢えず行って周りを一周するくらいで良いだろう。

 

今皆はどの辺だろうか。もう地底とやらに着いたのだろうか?

 

八咫烏は強く羽ばたき、スピードを上げる。

同じような景色が延々と続く。段々と飽きて来た俺は、欠伸を何とか噛み殺した。

 

 

この時。

 

俺はまだ、地底に迫る恐怖と、降りかかる災難を。

 

―――――――それらの可能性さえも、気づけてはいなかった。


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