東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「七章だ!」
真「今日は帰りが遅くなって・・・。十時から一応頑張って書いたんですが、遅くなってしまいすみません」
ラ「妹の習い事が・・・。まあ、平常運転で行きますよ!」
真「そうだな。では、どうぞ!」


第七章「地霊殿・覚める恐怖」
第七章第一話「真夏の始まり」


「じゃあ、行ってきますね!」

「行ってらっしゃい~」

「いってらー」

 

妖夢が玄関の扉を開け、元気よく飛び出していく。

楽しそうだが、彼女は別に遊びに行く訳では無い。

異変解決に行くのだ。

 

え?俺?ははは、やだなあ。

 

 

異変解決メンバーに選ばれませんでした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

妖夢が居ない分、俺の仕事は増える。

・・・と思っていたのだが。

 

「じゃあ、折角二人きりだし外食でもしに行きましょうか」

「了解です」

 

掃除が終わり、関門である昼食時。

突然幽々子様がそう持ち出し、従者である俺は素直に従う事にした。

桜ノ妖を腰に括り付け、直ぐに動けるよう靴の紐を固く結ぶ。

常に幽々子様の斜め後ろに居る様に心得つつ、俺達は冥界から現世へと続く黒い大穴へと飛び込んだ。

 

着地時に少しだけ幽々子様に掴んでもらい減速、特に怪我もせずに地面に足を付ける。

そろそろ八月。強い日差しが肌を焼き、蝉時雨が降り注ぐ。

何もしていないのに汗が噴き出る。俺は額を腕で拭い、人里へ向かって歩き始めた。

 

 

幽々子様が一つの店の前で足を止める。店の前には大きく『氷』と書かれており、暖簾をくぐり俺達は中に入って行った。

躊躇いなく、幽々子様は店の奥へと歩いていく。中にはひんやりとした空気が漂っているが、原理は分からない。

やがて幽々子様は一つの机の前で足を止め、椅子に座った。

壁際の、一番端の席。しかしそこには先客が居る。

 

長い金髪を背中に下ろし、その女性は深く麦わら帽子をかぶっていた。

白いワンピースを着ているも、その人から感じる雰囲気はそんじょそこらの人からは感じられない強さだ。

暑さとは違う汗が噴き出る。俺が椅子にすごすごと座ると、女性は帽子を被ったまま口を開いた。

 

「今日はわざわざ暑い中来てくれてありがとう。真、それに幽々子」

「別に良いのよ、紫」

 

俺の向かい側に座る女性は、八雲紫だった。

微笑を浮かべる紫はメニューを手に取り、幽々子様へと渡す。

 

「私はもう決めてるから、幽々子も決めちゃいなさい。真も、ここはラーメンが食べられるわよ」

「ら、ラーメン?幻想入りしてたの?」

「私が調理方法教えたの。食べたかったから」

 

隣で眼を輝かせる幽々子様の横から、俺もひょいとメニューを覗き込む。

成程、確かにラーメンは醤油、塩、豚骨、味噌と王道は全て抑えてある。

余談だが俺はラーメンなら醤油だ。隔もだ。

 

因みに、隔も異変解決メンバーです本当にありがとうございました。

 

「私は・・・どうせなら夏限定の冷麺にするわ~」

「あら、足りるの?」

「・・・食べ過ぎは行けないもの。かき氷も食べたいしね」

「そう。なら私は味噌ラーメンと苺練乳のかき氷にするわ」

「俺は醤油ラーメンと抹茶小豆のかき氷で」

 

何時の間にか来ていた店員さんに注文をし、俺達はメニューを机の横に立てかける。

コップに入った氷を噛み砕き、俺は紫に話しかけた。

 

「・・・で、何かあるの?」

「まあ、あるから呼んだんだしね。・・・えっと、私がいつも異変解決メンバーを選んでいるのは知ってるわよね?」

「うん」

「で、今回真を外したわけだけど・・・ちょっと待ってそんな暗くならないで!?」

「ウン。クラクナッテナイヨ」

 

面と向かって突き付けられた事実。

思わず片言になってしまった俺は、紫の表情を見て直ぐに気を引き締め直した。

 

「・・・今回の異変は、各地で突然間欠泉が噴き出し、地震が起きたりした元凶を倒しに行くわ。その舞台は、」

 

紫はそこで言葉を切り、人差し指で下を指す。

 

「地底。幻想郷の中でも、特に嫌われている者や荒くれ者が辿り着く場所よ」

「成程・・・、で、そこと何の関係があって俺は外されたんだ?」

「真には、異変とは別の事の調査を頼みたいの」

 

厨房から、ラーメンが運ばれてくる。

それを受け取り、割り箸を割った所で、紫が続きを小声で話した。

 

 

「地底で、雷って言う・・・いいえ、説明は省きましょう。悪夢(、、)が目撃されたわ」

「!?」

 

思わず、箸で掴んでいた煮卵を落としてしまった。

ちゃぽん、と軽い音を立てて卵はスープに着地。汁が撥ねるも、それは器内だけに留まる。

 

「率直に言うわ。真には、地底に一人で行って悪夢と雷っていう人物の調査をしてもらいたいのよ」

「・・・分かった。俺で良ければやる」

 

俺の答えを聞き、紫は小さく頷いた。

決して多くは無いが、店内には俺達以外にも客が居る。余り大声でも、そして長くも話せないのが辛い所だろう。

割り箸を置き、紫は懐からすっと便箋を一つ取り出した。

俺に向けて差し出されたそれを素早く受け取り、今度は俺が着物の内側にしまい込む。

 

「後で読んでおいて。後、絶対に戦闘はしない事。今回は調査なんだから、無駄な戦闘は絶対に避けなさい」

「・・・了解」

 

念を押され、俺はゆっくりと頷いた。

紫との約束は、破ったら何をされるか分からない怖さがある。

 

これは戦えないなー・・・・と思いつつ、俺は今度こそしっかりと煮卵を掴み、そして口へと運んだ。

 

 

真夏の始まり。

 

照り付ける太陽の元、たった一人での俺の冒険も始まる。




ラーメン食べたくなって来ました・・・(`・ω・´)

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