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ガストレアウイルスによって体が保てなくなり、ガストレア化した感染者を討伐した音波は、警察の到着を待っていた。
近くにはガストレアの残骸があるため、イニシエータである九魅はさっきに帰らせた。九魅は一緒に残ると言い張ったが、小さい子、ましては女の子にはあまり見せるべきものではないために、条件付きで家に帰らせることに成功した。
因みに蓮太郎たちは、もやしの特売日だとかで急いで帰って仕舞った。
「暇だ…。」
ボソッと呟くのと同時に、ポケットに入れていたケータイが、震える。
音波は顔を歪ませ少し
予想は的中、音波が最も恐れていた人物からの電話だった。
その相手とは———『社長』
音波は究極の二択に責められた。このまま居留守を貫くか。それとも電話に出るか。
音波は考えた。悪いことはしていない、依頼はしっかりこなした、むしろ褒められる方だ。その答えがあっているなら出るべきだ……。
決心がついた、答えは出ることにした。通話ボタンに指をかけようとした瞬間……。
「おい、民警到着したぞ!」
後ろから低い声の男が声をかけたきた。
それにビックリした音波は、誤って電話を切ってしまった。
(……おわったぁぁ………。)
音波は奈落の底に落とされた気分になり、涙を一粒流し、後ろの男に振り返った。
男は、あのアパートで蓮太郎と話していた、男だった。
「あんた、タイミングを見て呼んでくれよ」
「あぁん? 何言ってんだおめぇさんは?」
「いや、うん、なんでもない、気にしないでくれ……」
「・・・まあいい、それより民警、これから何をすればいいんだ?」
「あんたここの中で長みたいなやつだろ?」
「けっ自分で考えろかよ、じゃあこっちは好き勝手やらせてもらうからな」
そう言って男の刑事は音波の前を通り、今の現状を調べに行った。
現状を確認した刑事は、顔を真っ青にして戻ってくる。
「お前ら随分と派手にやってくれたな、ひでぇ絵面になってんぞ」
「確かにやったのは自分達だけど、
「それにしてもだッ! もう少し綺麗に倒せなかったのか?」
「被害が出るよりはましだろ? そんなことより報酬を寄越せ! 自分は早く帰りたいんだよ!」
「せっかちなガキだな、ほれやるからさっさと帰って母の乳でも吸ってろ!」
刑事は封筒を二枚投げつけてきた。一つは里見くんの報酬だろう。
音波は中身を確認してから刑事に視線を戻して敬礼する。
「確認した、じゃあねオッサン、また困ったときに呼んでくれよ」
そう言い残して、音波はその場から去った。後ろからは刑事が怒鳴っている声が響いているが、気にすることもなく、ただ目を向けずに手を振る。
「さて、これから社長のとこにいかないといけねぇのかぁ、嫌だなぁ」
何度も溜め息を吐きながら、重い足で事務所に向かい始めた。
次回も楽しみにしてください!