とりあえず現実の方が落ち着いたので、どんどん小説が書けます。あぁ、なんて幸せなんだ・・・。
ほんでま、本日の内容は、少々シリアス要素入ってます。
ではどうぞ。
突如、ネコが拾ってきたカードから出現した生物(?)、[ケサランパサラン]は、ヴァルキリーの姿を確認すると、その場にしゃがみ込んだ。
その迫力は凄まじく、ヴァルキリーも呆気にとられてしまった。
すると、ケサランパサランは低い呻き声を上げ、彼女をつまみあげた。
「!?き、貴様!何をする!離せ!」
ヴァルキリーは、この怪物が何をするか分からず、激しく抵抗した。
しかし、怪物は彼女に危害を与える訳でもなく、そのまま肩へ乗せた。
「・・・?お前・・・まさか、味方についてくれるのか?」
ケサランパサランは、口で返事をする代わりに、コクリと頷いた。
そして、再びゆっくりと立ち上がった。
「う、嘘でしょ・・・あんなでかい奴をどこから・・・!?」
アリスは、怪物の姿に怯えながらも食い下がろうとはしなかった。
「しょ、所詮ただ大きいだけよ!あの化け物を討ち倒しなさい!」
彼女の言葉を合図に、大勢の人形が飛び立ち、ケサランパサランの周囲に散らばる。
そして各自、針や銃を使った猛攻を仕掛けてきた。
しかし、怪物はビクともしない。
「お、お前・・・痛くないのか!?」
その全く怯まない姿に、また新たな驚きが生まれた。
怪物は、人形達の乏しい攻撃に痺れを切らしたのか、腕を大きく振り回し、人形達を次々と跳ね飛ばした。
「え!?私の人形達を一瞬で・・・!?」
ケサランパサランとヴァルキリーを取り巻いていた人形は、一つ残らずいなくなった。
あまりの力の差をを目にし、アリスはその場で尻もちをついてしまった。
「な、なんて力だ・・・」
ヴァルキリーも、驚きを今も尚隠し切れない。
標的をアリスに変えたケサランパサランは、じりじりと彼女と間合いを詰めた。
アリスは逃げたくても、何故か体が言うことを聞かない。
その間にもケサランパサランは、彼女の前で足を止め、しゃがみ込んだ。
「あぅ・・・あ・・・」
恐怖のせいか、声も出ない。
怪物の瞳は、怒っているのか、悲しんでいるのか、全く感情が読めなかった。
すると、怪物は拳を握った右手を大きく上に挙げた。
「やだ・・・死にたくない・・・!」
「ま、待て!そいつは殺しちゃ・・・」
拳は、そのままアリスの方へ振り下ろされた。
アリスは目を瞑った。
「・・・あれ?」
全く痛みが来ない事に疑問を持ち、そっと目を開ける。
確かに拳はもう目の前に来ていたが、そこから下へ動く気配は無かった。
「・・・助かった・・・?」
「どう、まだ戦う?」
ケサランパサランの肩から降りたヴァルキリーは、アリスの元へ歩み寄る。
「・・・もう、降参。私の負け。煮るなり焼くなりして。」
そうアリスが言うと、ヴァルキリーは即座にカチューシャをとった。
彼女は気を失ってしまったようで、ぐったりと横になってしまった。するとその直後、
「・・・あぁ、死ぬかと思った・・・。」
「全くだぜ・・・。」
「崖っぷちだったにゃ・・・。」
聞き覚えのある声に、ヴァルキリーは振り向いた。
そこには、先程殺されたはずの三人が肩を並べていた。
「霊夢!魔理沙!ネコ!生きていたのか!?」
「まぁね・・・。トドメを喰らう直前に小さい結界をつくったのよ。」
「そこであの化け物が出て来なければ、確実に息の根をとめられてたのぜ。」
「そうか・・・良かった・・・。」
ヴァルキリーの目から、再び涙がこぼれ落ちた。しかし、
「・・・?さっきの怪物はどこにゃ?」
ヴァルキリーはとっさに後ろを見たが、もうそこにケサランパサランの姿は無く、あのカードが落ちていた。
それを拾ってみると、ネコが拾った時よりも黒ずんでいた。恐らく、しばらく使えないという事だろう。
「・・・ありがとう。しっかり休んでくれ。」
彼女の顔には、明るい笑みが溢れていた。
翌朝―
「・・・ん?ここは・・・」
「よっ。目、覚めたか?アリス。」
魔理沙の家へ運び込まれたアリスは、無事に意識を回復した。
「・・・?なんで私、魔理沙の家に?それに霊夢と・・・丸い妖怪と鳥の妖怪がいるけど?」
霊夢とヴァルキリー、そしてネコは、椅子でぐっすりと眠っていた。
それと引き換えに、魔理沙の目の下には、紫のクマが出来ていた。
「それがだな・・・」
魔理沙は手短にだが、事の成り行きを全て話した。
「・・・ごめんね。まさか私が魔理沙どころか、霊夢やヴァルキリーさんにも迷惑をかけてしまったようね・・・。」
「気にすんなって。このカチューシャが原因なんだ。お前は利用されただけ。責任を感じる必要なんて無ぇぞ♪」
アリスを元気付けるため、魔理沙はいつもの満面の笑みを見せた。
彼女もつられ、ついついクスッと笑ってしまう。
「でも魔理沙、一晩中私の面倒を見てたんでしょ?」
「何だ、バレてたか。」
「そのクマを見ればすぐ分かるわよ。ちょっと寝たらどう?」
「うーん・・・そうだな、じゃあお言葉に甘えて。」
魔理沙はベッドの傍らで、すぐに眠ってしまった。
「・・・全く、無茶ばっかりするんだから。」
アリスはそっと、魔理沙の肩に手を添えた。
次回はいつになるかなー?
ではでは。