東方猫戦争 ~ネコと女神と幻想と~   作:築地マグロ

5 / 13
マグロダヨー。
とりあえず現実の方が落ち着いたので、どんどん小説が書けます。あぁ、なんて幸せなんだ・・・。

ほんでま、本日の内容は、少々シリアス要素入ってます。
ではどうぞ。


Ep4「強大な力」

突如、ネコが拾ってきたカードから出現した生物(?)、[ケサランパサラン]は、ヴァルキリーの姿を確認すると、その場にしゃがみ込んだ。

その迫力は凄まじく、ヴァルキリーも呆気にとられてしまった。

すると、ケサランパサランは低い呻き声を上げ、彼女をつまみあげた。

「!?き、貴様!何をする!離せ!」

ヴァルキリーは、この怪物が何をするか分からず、激しく抵抗した。

しかし、怪物は彼女に危害を与える訳でもなく、そのまま肩へ乗せた。

「・・・?お前・・・まさか、味方についてくれるのか?」

ケサランパサランは、口で返事をする代わりに、コクリと頷いた。

そして、再びゆっくりと立ち上がった。

「う、嘘でしょ・・・あんなでかい奴をどこから・・・!?」

アリスは、怪物の姿に怯えながらも食い下がろうとはしなかった。

「しょ、所詮ただ大きいだけよ!あの化け物を討ち倒しなさい!」

彼女の言葉を合図に、大勢の人形が飛び立ち、ケサランパサランの周囲に散らばる。

そして各自、針や銃を使った猛攻を仕掛けてきた。

しかし、怪物はビクともしない。

「お、お前・・・痛くないのか!?」

その全く怯まない姿に、また新たな驚きが生まれた。

怪物は、人形達の乏しい攻撃に痺れを切らしたのか、腕を大きく振り回し、人形達を次々と跳ね飛ばした。

「え!?私の人形達を一瞬で・・・!?」

ケサランパサランとヴァルキリーを取り巻いていた人形は、一つ残らずいなくなった。

あまりの力の差をを目にし、アリスはその場で尻もちをついてしまった。

「な、なんて力だ・・・」

ヴァルキリーも、驚きを今も尚隠し切れない。

標的をアリスに変えたケサランパサランは、じりじりと彼女と間合いを詰めた。

アリスは逃げたくても、何故か体が言うことを聞かない。

その間にもケサランパサランは、彼女の前で足を止め、しゃがみ込んだ。

「あぅ・・・あ・・・」

恐怖のせいか、声も出ない。

怪物の瞳は、怒っているのか、悲しんでいるのか、全く感情が読めなかった。

すると、怪物は拳を握った右手を大きく上に挙げた。

「やだ・・・死にたくない・・・!」

「ま、待て!そいつは殺しちゃ・・・」

拳は、そのままアリスの方へ振り下ろされた。

アリスは目を瞑った。

「・・・あれ?」

全く痛みが来ない事に疑問を持ち、そっと目を開ける。

確かに拳はもう目の前に来ていたが、そこから下へ動く気配は無かった。

「・・・助かった・・・?」

「どう、まだ戦う?」

ケサランパサランの肩から降りたヴァルキリーは、アリスの元へ歩み寄る。

「・・・もう、降参。私の負け。煮るなり焼くなりして。」

そうアリスが言うと、ヴァルキリーは即座にカチューシャをとった。

彼女は気を失ってしまったようで、ぐったりと横になってしまった。するとその直後、

「・・・あぁ、死ぬかと思った・・・。」

「全くだぜ・・・。」

「崖っぷちだったにゃ・・・。」

聞き覚えのある声に、ヴァルキリーは振り向いた。

そこには、先程殺されたはずの三人が肩を並べていた。

「霊夢!魔理沙!ネコ!生きていたのか!?」

「まぁね・・・。トドメを喰らう直前に小さい結界をつくったのよ。」

「そこであの化け物が出て来なければ、確実に息の根をとめられてたのぜ。」

「そうか・・・良かった・・・。」

ヴァルキリーの目から、再び涙がこぼれ落ちた。しかし、

「・・・?さっきの怪物はどこにゃ?」

ヴァルキリーはとっさに後ろを見たが、もうそこにケサランパサランの姿は無く、あのカードが落ちていた。

それを拾ってみると、ネコが拾った時よりも黒ずんでいた。恐らく、しばらく使えないという事だろう。

「・・・ありがとう。しっかり休んでくれ。」

彼女の顔には、明るい笑みが溢れていた。

 

翌朝―

「・・・ん?ここは・・・」

「よっ。目、覚めたか?アリス。」

魔理沙の家へ運び込まれたアリスは、無事に意識を回復した。

「・・・?なんで私、魔理沙の家に?それに霊夢と・・・丸い妖怪と鳥の妖怪がいるけど?」

霊夢とヴァルキリー、そしてネコは、椅子でぐっすりと眠っていた。

それと引き換えに、魔理沙の目の下には、紫のクマが出来ていた。

「それがだな・・・」

魔理沙は手短にだが、事の成り行きを全て話した。

「・・・ごめんね。まさか私が魔理沙どころか、霊夢やヴァルキリーさんにも迷惑をかけてしまったようね・・・。」

「気にすんなって。このカチューシャが原因なんだ。お前は利用されただけ。責任を感じる必要なんて無ぇぞ♪」

アリスを元気付けるため、魔理沙はいつもの満面の笑みを見せた。

彼女もつられ、ついついクスッと笑ってしまう。

「でも魔理沙、一晩中私の面倒を見てたんでしょ?」

「何だ、バレてたか。」

「そのクマを見ればすぐ分かるわよ。ちょっと寝たらどう?」

「うーん・・・そうだな、じゃあお言葉に甘えて。」

魔理沙はベッドの傍らで、すぐに眠ってしまった。

「・・・全く、無茶ばっかりするんだから。」

アリスはそっと、魔理沙の肩に手を添えた。




次回はいつになるかなー?

ではでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。