暗殺~SWORD X SAMURAI~   作:蒼乃翼

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コンセプトは甘酸っぱさ
でも恋愛描写が下手なので悪しからず


和解の時間

健は日課の朝稽古を終えると水シャワーを浴びていた。

鏡に映る自分の左頬にはE組行きとなった事件の縦一文字の刃物傷が残っていた。

「………」

鏡に水をかけてその姿をぼかすと健は浴室を出た。

髪を乱暴に拭きヘアゴムで一房に結うと傷を隠すように左側に垂らした。

制服のブレザーを羽織る前に昨夜手入れしておいた逆刃の小太刀を抜刀し易いようにガンホルスターを改造したベルトに差し左腰から吊るし、さらに右手で小太刀を抜くので左手で抜き撃ちができるようにベレッタM93Rの改造エアガンを右脇のショルダーホルスターに収めた。

そうして今日も暗殺の準備をして、緋村健は登校する。

 

 

三年E組暗殺教室に

 

 

 

 

● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ 

 

 

 

E組では毎日が暗殺の日々だった。

元野球部の杉野が対先生BB弾を埋め込んだボールで暗殺を試みるが、失敗。

野球部での挫折経験もあり杉野は落ち込んでいたが、殺せんせーがNYに行ってメジャーリーガーの筋肉配列まで調べて変化球のアドバイスをしてきっちり手入れされてしまった。

 

 

 

「ふっ!」

健は廊下ですれ違い様、殺せんせー目掛け小太刀を横に振るった。

「ぬるふふ、甘いですよ緋村く…」

出席簿で健の刃を止めたと思った殺せんせーは驚いた。

受け止めた小太刀は納刀状態だった。

「せぁっ!」

健はそこから電光石火の早業で抜刀し、振り下ろし様刀身を反し、対先生物質がコーティングされた峰打ちを繰り出した。

「にゅっ」

しかし、殺せんせーはマッハで躱してしまった。

「二段構えの抜刀術ですか、ですが、まだまだ先生を殺すには遅いですね。あ、それと髪の毛を手入れして置きましたよ。せっかく綺麗な赤毛なのですから男子といえどヘアケアは大切ですよ」

「っ!?」

健の赤毛は梳かれてめっさサラサラヘアーにされていた。

 

 

 

その日の放課後・・・・・・

 

 

 

「なぁ緋村、今からカキ氷食ってる殺せんせーを暗殺に行くんだけど、一緒にどうだ。カキ氷食べに行く振りしてみんなで取り囲んでナイフで襲うんだ」

放課後マッ●に行かないか?くらいの乗りでE組クラス委員長の磯貝から暗殺の誘いの受けた。今朝暗殺を失敗した自分を気遣っての誘いであったが・・・・

「悪い、今からちょっと野暮用…、また今度………」

健は気だるそうに立ち上がると小太刀をベルトに差して教室を出た。

 

 

 

「………」

そんな健を見て、倉橋も後を追う。

 

 

 

 ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎

 

 

 

 

「ひーちゃん」

健が裏山のいつもの場所に来て独りで抜刀の稽古をしていると、陽菜乃が後ろから声をかけた。

「倉橋…、何?また虫の仕掛け?」

「ううん、違くて…、なんか………、私のこと避けてる?」

「…」

「もしかして………、春休みの事…?」

「…ッ!」

図星を指摘され、健は左頬の傷に思わず触れた。

「………だって、あれのせいで倉橋までE組落ちに…」

「え、そんな………ひーちゃんは私のこと助けてくれたんでしょ、私のは単に成績悪かっただけだし…、それならむしろ………不良に突っ掛かって行った私のせいで………ひーちゃんが………」

「………俺は別に気にもしてないし後悔もしてないよ。何だかんだでこの剣の活かせる場所に…、先生に会えたし」

「じゃあ…、私のこと嫌って避けてたわけじゃないの?」

「嫌うわけっ!………………ないじゃん」

健がぶっきらぼうに答えると陽菜乃はぱぁと笑顔になった。

「よかった~、私ひーちゃんに嫌われちゃったとばっかり思ってた。じゃあこれからも一緒に仲良くしよ!」

 

「…~っ、」

その笑顔に健は自分の顔が真っ赤になるのを感じて慌てて顔を反らした。

 

「どしたの?」

「………なんでもない…」

健は制服の袖で顔を擦って誤魔化した。

(反則すぎんだろ!…なんだよその笑顔…………、始めて会った時から…本当に………)

 

「………可愛すぎんだろ…、陽菜乃………」

が、思わず本音がぽろっとこぼれた。

 

「ん?」

「だ~!何でもない何でもない!!ひな………、そうヒナ、ほらあそこに」

健が指差した方向には鳥のヒナが地面に落ちていた。

「あ、本当だ。巣から落ちちゃったのか~、じゃあ今戻してあげるね~」

陽菜乃はヒナを制服の胸元に入れるとするする木を登り出した。

「ちょ、ひな…、倉橋、俺が行くって…」

「だいじょぶだいじょ…」

陽菜乃が巣がある枝に手を伸ばそうと手近な枝に足を乗せると・・・・・・・、

 

ポキ

 

「あ…!」

枝が折れ、陽菜乃がバランスを崩し木から落ちてしまった。

「陽菜乃!」

健は驚異的な脚力で木を垂直に駆け上がると落下する陽菜乃を抱きかかえ、幹を蹴り上げさらに上昇、巣のある太い枝に着地した。

「ふぁ~…、びっくりした………、ひーちゃんすごいね…」

「びっくりしたのはこっちだよ、前々から思ってたけど、陽菜乃はスカートで迂闊に木登りし過ぎ。俺がいる時は俺に任せてくれればいいから、1人の時もあんまり高い木には登らないでよ」

「………」

陽菜乃はぽかーんとした表情で健を見ていた。

「何…?」

「いや、ひーちゃん今…陽菜乃って…」

 

「あ………」

健の顔はみるみる真っ赤になった。

 

「あははは、ひーちゃんってすぐ顔に出るよね。いいよ、陽菜乃って呼んでも」

「………クラスの皆の前じゃ恥ずいから倉橋って呼ぶ………」

健は耳まで赤くしながら顔を反らしてぼそっと呟いた。

「ん、OッK~それでもいいよ」

 

 

 

 ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎

 

 

 

陽菜乃と健の2人が木から降りてE組に戻ると入口の所で烏間と会った。

「あ、烏間さんだ~、こんにちは」

「こんにちは、俺も明日から体育教師として君達を手伝う。よろしく頼む」

「じゃあこれからは烏間先生っすね」

「ところで、奴は?」

3人が周囲を見回すと茅野がロープと棒を持って走って来た。

「あ、カエデちゃん、殺せんせーは?」

「それがね、殺せんせーってば花壇荒らしちゃって、今お詫びのハンディキャップ暗殺を開催しているの」

花壇の側ではぐるぐる巻きにされた殺せんせーが木からぶら下がり、それを磯貝や前原が中心になりエアガンや棒の先にナイフを括り付けた即席の槍で攻撃を仕掛けていたが・・・・・

 

 

ぬるん ぬるん

 

「そこだ!刺せ」

「くそ!こんな状態でもぬるんぬるんかわしやがって!」

「ほら、お詫びのサービスですよ。こんな身動きできない先生そう滅多にいませんよぉ」

黄色と緑の縞々模様の舐めきった顔色の殺せんせーに当たる気配は無かった。

 

 

「どう?渚」

「うん、完全に舐められている…」

「これって…暗殺って呼べるのか?」

「う~ん…びみょ~?」

一応小太刀を構えた健と銃を構えた陽菜乃も棒立ち状態だった。

「あ、でも待って、殺せんせーの弱点からすると…」

渚が独自に記し始めた殺せんせーの弱点メモ帳を読み返す。

 

 

「ヌルフフフ、無駄ですねE組諸君。ハンデをものともしない圧倒的なスピードの差。君たちが私を殺すなんて………」

 

ギシギシ

 

ボキ

「あっ!」

 

ボト

 

・・・・・・・・・・・・・・・括り付けていた枝が折れ、簀巻き状態の殺せんせーが地面に落ちた。

 

 

「今だ殺れッ~~~~~~~~!!!!!!!!」

「にゅやぁッ~~~~~~~~!!!!!!!!」

それを見逃さず、E組の一斉攻撃が始まった。

 

 

「…弱点メモ、案外役に立つね」

「…うん、どんどんメモしていこう」

 

殺せんせーの弱点①【カッコつけるとボロが出る】

 

 

「ちょ…、待って、縄と触手が絡まって………」

地面をのたうち回りながらナイフやBB弾を躱す殺せんせー。

 

殺せんせーの弱点②【テンパるのが早い】

 

「にゅ…、しょ~うね~ん…、ジャンプッ!」

「あ、抜けやがった!」

「くっそ」

マッハで何とか屋根の上に逃げた殺せんせーは汗だくだった。

「ここまでは来れないでしょう?基本性能が違うんですよ、バーカバーカ!」

 

 

「あぁ行ってるけど?ひーちゃん」

陽菜乃が首を傾げて健を斜め下から見上げる。その表情は何かを期待しているようだった。

「…………フッ!」

その期待に応えるべく、健は小太刀を抜くと一気に加速、E組校舎の壁を駆け上がり、小太刀を反して刃の部分(峰)に左手を添え、対先生物質がコーティングされている峰(刃部)を油断し切っている殺せんせー目掛け斬り上げた。

「にゅやっ!?!?」

 

ザシュッ

 

殺せんせーは間一髪躱した、が、服の一部が大きく斬り裂かれていた

「チッ、外れたか…」

「ちょっと緋村君!どうしてくれるんですか!!これは先生が手作りした天然素材100%の一張羅なんですよ!!!」

「え…、いや…、ごめんなさい?」

顔を真っ赤にした殺せんせーの予想外の反論に健はたじろいだ。

「………………明日出す宿題を2倍に、緋村君は服を斬って赤いから3倍にします」

「小っさ!!!」

 

殺せんせーの弱点③【器が小さい】

 

 

マッハで服の材料を取りに行った殺せんせーを見送ると健は屋根から飛び降りた。

「惜しかったね、ひーちゃん」

「あぁ、でも今まで一番惜しかった」

「どう?殺せんせーは殺せそう?」

「当然、活かして殺るよ。それくらいじゃなきゃあの先生の生徒はやってられないよ」

陽菜乃の問いかけに答える健の表情と殺意は、穏かに明るくなっていた。

 

 

(まぁ………本命の………、標的は別にいるけどね………)

 

 

健は若干頬を紅くしながら陽菜乃のゆるやかな笑顔とふわふわな髪に見蕩れていた。

 

 

 

 




緋村健の弱点①【顔がすぐに赤くなる】
同じように髪の色合いも変わる
感情が昂ぶると鮮明な赤に、怒りや負の感情が強まると濁ったどす黒い血の赤になっていく

一応これで健の状態は流浪人の剣心と同じくらいになりました
目上の人間には「~っす」口調で話すようになります

今回の使用技
双龍閃・雷
龍昇閃


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