とある科学の青春ラブコメは間違っている   作:一級狙撃手

7 / 12
はいどうも。一級狙撃手です。

最近この作品を書くのが楽しくて仕方ありません。……で、一ヶ月も待てない!と言う事で投稿します。次回は、出来れば本来のペースに戻したいので、八月半ばくらい…かな?

それでは、本編をどうぞ。


第七話

黒子が話を終えると、三人はそれぞれの反応をした。そして、

 

「そうそう、黒子ちゃんわね~……」

 

と言って詩奈が切り出す。

 

「……もう、昔はすごい当麻にべったりだったのよね。……最後の頃なんて当麻の事をなんて呼んでたと思う?」

 

と、詩奈が言った瞬間、恥ずかしくなったのであろう黒子は、顔を耳まで赤くしてその場にしゃがみ込み、次の瞬間、消えた。……おそらく、恥ずかしさに耐え切れなくなり、逃げたしたのだろう。

 

だが、そんな黒子にはお構い無しに、話は進んでいく。

 

「……当麻…君とか?」

 

と、美琴が照れながら言うと、詩奈は、残念、と、小声でいい、そして、答えを言った。

 

「正解は……、『当麻兄さん』でした~」

 

と言う詩奈。予想もしなかったであろう答えに、美琴と初春の二人は目を見開く。そして、詩奈が言うとほぼ同時に、黒子が再び現れ、そして、言った。

 

「………え、ええ。もういっその事認めてしまいますわ。……確かに私は当麻の事を『お兄ちゃん』と呼んでいましたわ。……ですからなんですの?お姉様にでも不都合がありましたか?///」

 

ーーどうやら、逆ギレ気味に開き直ってしまったらしい。……だが、その顔はまだ赤かった。

 

結局、その後開き直ったとは言え恥ずかしかったらしく、再びふさぎこんでしまった黒子のご機嫌とりを美琴がする羽目になり、黒子が機嫌を直した後、いいタイミングで美琴のお腹の虫が鳴き、詩奈さんにご飯をご馳走になる事になった。(流石にサンドウィッチ一つだけはキツかったのよ!)

 

「……物凄く久しぶりに詩奈さんのご飯を食べますわね」

 

黒子がそう言うと、初春もそれに乗る。

 

「あ、白井さんも食べたことあるんですか?……美味しいですよね、詩奈さんのご飯」

 

この二人は、時期が違うとはいえ、それぞれ当麻と関係を持っていたのだ。だから、詩奈の料理も食べた事があるのだ。

 

黒子は小学生の頃は普通に上条家に来ていたし、

 

初春は、当麻と初めて会ったのが学園都市の中で、それぞれ学園都市の生徒になった後だったから、大覇星祭などのイベントのお昼で。

 

だから、この中で食べた事がないのは美琴だけだった。

 

なぜなら、当麻が高校に入ってからは当麻自身が、自分で作るから、と言って拒否したためである。

 

「いいなー、私も食べてみたい」

 

「そんなに焦らなくてももうすぐ食べられますよ」

 

初めて食べる詩奈の料理を早く食べてみたい美琴を、初春が牽制する。黒子は、そんな二人に割ってはいる。

 

 

ーーそんな三人を見ていた詩奈は、少し微笑ましいものを感じながら、一方で自分の息子を問いただしてみたくなる衝動に駆られていた。

 

 

「……はーい、出来たわ。どうぞ、食べてみて?」

 

そういいながら、詩奈が持ってきた料理は、季節が冬、という事もあってか、鍋料理だった。

 

「ごめんね、少し時間かかっちゃって」

 

そういいながら、テーブルの上に鍋を置き、(もちろん下には鍋敷きがテーブルとの間にはいってまっせ)人数分を取り分けてくれる。

 

そして、取り分けたそれを、三人の前に持っていき、その後で詩奈は自分の分もよそって座った。

 

「それじゃ、どんどん食べて」

 

と言う詩奈の合図で全員食べ始める。

 

「「「いただきます」」」

 

ちなみに、今回の鍋は豆乳鍋だった。

 

大覇星祭などのイベントでしか詩奈の料理を食べた事のない初春とは違って、家が近かった事や、当麻と仲が良かった事などから、何度も上条家に来ていた黒子は、当然、詩奈の鍋料理も食べた事があり、(基本的に全部美味しいのだが、)何が美味しいのか、など、そういうところを完璧に熟知していた。

 

その経験をもとに、五年ぶりに詩奈の料理を食べる。

 

最初は白菜からだ。

 

「……この味、……………物凄く久しぶりですわ……」

 

少し感動した感じで、まだポニーテールのままの黒子が言う。

 

その言葉に、詩奈は満足したのか、安心したのか、少しホッとした表情になる。

 

今日初めて食べる美琴や、初春も、その味に驚いたようで、初春なんかは当初の目的を忘れて料理の作り方なんかを詩奈さんに聞いている。

 

そんなこんなで、昼ごはんを詩奈と一緒に食べて、残りの作業を開始する事にした。

 

 

ーー忘れてはならない、今回の本来の目的を。【上条当麻を探し出し、佐天涙子を守る】という目的を。

 

 

 

 

 

 

上条家を出た三人は、結局なんの収穫もないまま、次の場所へ移動する事になった。

 

たが、次の場所、というのは、具体的にココ、と決まっている訳ではない。

 

皆さんお忘れの事と思うが、捜索隊はこの三人だけではない。

 

 

ーー別働隊として、日本全国に散らばった、【MNW(ミサカネットワーク)】の使用者、妹達。

 

学園都市の科学力をもってして、美琴の細胞、能力データ、その他をもとに美琴そっくりに作られた体細胞クローン。……それが、妹達。

 

その妹達もまた、美琴の意見に賛成した者で、MNWを行使して上条当麻捜索に全力を上げている。

 

その捜索方法は、美琴のクローンであるがゆえに授かった、電気系の能力を使うことで、さがしている。

 

その使用方法は、成功率は一律なため、人数の多い場所ほど、見つかりやすい。

 

それは、学園都市の機器でなければ感知できない程の微弱な電気を辺り一面に流し続けることで、学園都市から出るときに埋め込まれたチップのみに反応する環境を作り上げ、反応した者がいれば、そこへ向かい、確認する、というものだった。簡単に言えば、電磁波による、広域空間捜索だ。

 

そんな探索方法をとっている妹達だが、あくまで、美琴のクローンとしてこの世に生を受けてしまった彼女達は、当然その元になったものより生まれ持った素質は低かった訳で。

 

なので、めぼしい場所をその方法で見つけた後、彼女達自身で軽く捜索した後、美琴に引き継ぎ、美琴のLevel5の能力でもって、本格的なその周辺及びその場所の広域探索を一気に行い、それが始まるまでには妹達は別の場所へ行き、それぞれ別の場所を捜索している妹達の中の一人が、めぼしい場所を見つければ、その場所を見つけた妹達がそこを軽く捜索し、美琴に引き継ぐ。というのを繰り返している。

 

今回は、最初に、まぁ、当たり前ではあるが、選ばれたのは東京とその周辺だった。

 

だが、横浜まで含めて全てを同時に行うため、流石に美琴だけでは手が足りず、今回は例外的に妹達も全員集まり、なんとか捜索範囲内に全てを収めることができた。

 

 

そして、前述の通り、電気を流したところ、反応したのは十四人。ただ、今回はいちいちその場に行っている時間がないので、初春のハッキング力を使い、正規ルートと非正規ルートを織り交ぜながら学園都市製の人口衛星のカメラで、該当人物を探した。(今回は、ハッキング先が学園都市のジャッジメント関係のところから侵入し、初春も実際ジャッジメントなので、別に問題にはならない。衛星の方は、使用許可をとった上で使っている。……まぁ、並大抵の人は使用許可などとれはしないのだが)結果、十四人中、十一人が振り落とされた。

 

残るは、店内に入っていた二人と、地下鉄に乗っていた一人。

 

ここまでくれば、後は簡単なので、妹達はどんどんばらけて行き、再び日本全国に散らばって行く。

 

美琴、初春、黒子の三人は、それぞれが一人ずつ担当する事になり、詳細な位置情報は、美琴から携帯で送られて来ていたので、見つけるのにそう時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

ーー(初春side)ーー

 

「あれ?春上さん!」

 

 

初春が追い掛けていたのは、どうやら春上らしく、まさか向こうも学園都市の外で初春に会うとは思っていなかったのか、少し焦っていた。

 

「これからどこへ?」

 

と、初春が聞くと、

 

「ゆ、郵便局です……」

 

と、相変わらずちょっと焦り気味な口調でそう言った。

 

その後、少し話してから別れ、とりあえず美琴達との集合場所へ向かう事にした。

 

 

 

 

ーー(美琴side)ーー

 

(反応が近くなって来てる。……間違いないあそこにいる奴だわ。……だけど、アイツじゃない……のかな。………ハズレ、か。他の二人は見つけたのかな……。いや、決めつけるのはまだ早いわね)

 

美琴は、相手との距離を確認しつつ、相手に悟られないように近づき、人混みの間からその人物を探した。

 

たが、そこにいたのは、海原の時、私がアイツに声をかけた時にいた二人の青髪の方だった。

 

(やっぱり、アイツじゃなかった……か。……そもそも私、アイツに会って、佐天さんと離したあと、どうするつもりなんだろ……)

 

そんな事を考えつつ、美琴も、初春と同じく自分が集合場所に指定した店に向かって歩く事にした。

 

 

 

 

 

 

ーー(黒子side)ーー

 

(お姉様も初春も行ってしまいましたし。では、私も行きますか)

 

黒子は、心の中でそう呟いた後、人目につかない位置から、能力を使ってテレポートし、ターゲットがいる近くにあった、路地裏にテレポートする。そして、表通りに出ると、そこに当麻のような髪型の男性や、佐天さんと思われる女性はいなかった。

 

「いない……ですわね」

 

今度は口に出して呟いたが、その声は人混みの喧騒に呑まれて誰にも届くことなく、黒子にさへ届かずに消えて行く。

 

結局、当麻の家、そして今回、ともに敗戦した。

 

黒子は、少し焦りを感じつつも、とりあえず結果を報告するために美琴が指定した集合場所へと向かった。

 

 

 

 

 

ーー(美琴side)ーー

 

美琴がその店に着くと、既に初春がいた。

 

「あ、御坂さーん」

 

「初春さん。もう来てたのね」

 

「もう、と言っても既に一時間弱はかかってますけどね」

 

実は、先程書いたのはほんの一部でしかなく、他にも色々捜索はしていた。が、結果は変わらなかった。

 

「……全く、どこに隠れてんのよ」

 

「本当に、どこに隠れてるんでしょうね……」

 

二人して、軽く溜息をつきながら、黒子が来るまで今後の事を離す事になった。

 

「……まぁ、そもそも、とりあえずは連絡が入るまではこっちも動けないんだけど、どうする?」

 

「そうですね……、私がハッキングしちゃえば一瞬で片がつくんですが、流石にそれは……」

 

「でも、初春さんなら証拠も消せるんじゃ?」

 

「できない事もない、とは思いますけど、失敗した時のリスクが高すぎて……」

 

と、堂々巡りが始まったところで、黒子がやって来る。

 

「遅れてすみませんですの。……収穫はありませんでしたわ。申し訳ございませんの」

 

「大丈夫よ。……いやまぁ、大丈夫じゃないんだけど、私も初春も収穫はなかったし」

 

「そうなんですの?」

 

「……残念ながら」

 

その場に、少し重い空気が漂い始める。

 

ここで、いつもなら佐天さんがあの持ち前の明るさでどうにかしてくれるんだけどな……、なんて事を考える美琴。

 

その考えを知ってか知らずか、初春が、

 

「こ、こんなところで黙ってても見つかりませんし、日も傾いてきましたし、一旦今日は学園都市に帰りましょう。……私たちの場合は、期間が無期限の変わりに最低二日に一回は学園都市に帰らないといけない、っていう制約付きなんですし」

 

「……そうね。よし、そうと決まれば行きましょうか!」

 

「そうですわね」

 

いつもより少し明るめの声で美琴がそう答え、黒子はいつもの口調でそう答えた。

 

 

 

 

店を出ると、夕日が眩しく、上を見上げれば、高層ビルの合間から夕日をうけた緋色の空が広がっている。

 

まだ人は多く、歩くのに時間もかかったが、それでもなんとか駅には辿り着く。

 

「……とりあえず一日目の情報は……」

 

と、美琴が言うと、それに答えるように、初春が、

 

「白井さんが、ターゲットの事を昔『当麻兄さん』と呼んでた事ぐらいですかね?」

 

と言うと、二人の間で寝ていた黒子が、ピクッと動き、次の瞬間、黒子が初春のスカートをめくった。……いつもの佐天さんのように。

 

流石に予想外だったらしく、顔は赤くなり、口は開いた状態で固まっていた。

 

「な……、な……!?///」

 

そんな事をしている二人を、美琴はなだめる羽目になっていた。

 

 

 

 

ーーそんな三人には構わず、列車は進んで行く。

 

ーーその列車が、ある駅を通過した時、その駅のホームには黒髪ボサボサの男子と、黒髪ロングの女子、目がある意味で終わっている男子に、茶髪のゆるふわ系ショートの女子の四人が立っていた。

 

 

 

ーーだが、互いが互いに気付く事もなく、その列車は駅を過ぎて行った。

 

 

当麻達が学園都市から逃げたして丁度二週間が経ったある日の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー(side by 当麻&佐天、八幡&折本)ーー

 

月日は少し戻って、逃避生活八日目。こっちに来てから四日目。

 

正直、ここまであり得ない速度で色々決まった。

 

大体、不動産屋で家をみつけて、住むまでが一週間って……。

 

 

そして、現在に至る。

 

今は、佐天さんの提案で隣に住んでいる比企谷と、その彼女らしい折本さんが家に来て、一緒に晩御飯を食べていく事になった。

 

比企谷は、こういう事に慣れていないのか、ちょっと挙動不審になっていて、見るのが楽しかったが、折本さんの方はそういう事はないらしく、今は佐天さんと仲良く台所で何かやっている。

 

俺は、どう想像しても、この二人が恋人になった経緯がわからず、結局本人に聞く事にした。

 

「……なぁ、比企谷」

 

「ん?(やべ、名前なんつったっけ?)」

 

「お前と折本さんって本当に恋人なのか?」

 

「……………………………そう、らしいな」

 

「めちゃめちゃ間があったのは?」

 

「気にするな……」

 

「……失礼だとは思うが、どういった経緯で?」

 

「……本当に失礼だな……。まぁ、あえて言うなら、『昔のある出来事がきっかけになった』……って事か?」

 

比企谷は、そこまで言うと、これ以上は言わねぇぞ、と言って俺から視線を外した。

 

 

ーー(side by 佐天&折本)ーー

 

「お邪魔しまーす」

 

「どうぞー」

 

そう言いながら、私は台所へと向かって行く。

 

台所へ着くと、出しかけだった皿にご飯とカレーをよそい、(折本さんにも手伝ってもらって)持っていく。

 

そして、再び台所へ戻って、エプロンを壁のハンガーにかけていると、折本さんが、

 

「……涙子……で、いいよね。でさ、涙子と、上条?って付き合ってるの?」

 

「……そうできたらいいんですけどねぇ……。かおりさん……でしたっけ?かおりさんは付き合ってるんですよね」

 

と、私が聞くと、そうだけど、と頷くかおりさん。そして、

 

「どうやって攻略したんですか!?……なんとなくあの二人には同じ『女たらし』のにおいを感じていまして……。もし良かったら攻略法の伝授を!!」

 

と、言いながらかおりさんに言いよると、

 

「と、とりあえずご飯の後に……ね?」

 

……答えを濁されてしまった。

 

 

 

ーー(side by 四人組)ーー

 

「それじゃ、隣人同士の親睦会、第一回パーティーを始めまーす」

 

と言う、折本さんの音頭によって、今回のパーティーがスタートした。……ちなみに、パーティーを二回言ったのは気のせいですよ。

 

現在の席順は、丸テーブルを囲む形で、俺、その右横に佐天さん。俺の向かいが比企谷で、比企谷から見て右横、俺から見て左横に折本さんがいる。

 

パーティーが始まると、早速比企谷が、折本さんのおもちゃにされていた。

 

折本さんは、カレーを一口分すくったスプーンを、比企谷の口の前に持っていき、頑なに口を開かない比企谷に、身体ごと寄せて、無理やりでも食べさせようとしている。……結局は比企谷が折れて、アーン、をしてもらっていた。

 

 

ーー比企谷、お疲れ様。

 

 

俺は、心の中でそう告げると、自分のカレーを食べようとして、……気付いた。

 

「……スプーンが無い……だと!?」

 

そして、思考が繋がり、全てを悟った時には既に、時遅し。

 

満面の笑みで、佐天さんが横からカレーの乗ったスプーンを俺に向けて突き出していた。

 

「はい、先輩。今度は先輩の番ですよ。……ほら、アーン」

 

そう言いながらスプーンを突き出してくる佐天さん。

 

 

ーー皆さんは、『明日は我が身』と言う言葉を知っているだろう。

 

だが、俺は訂正を加えたい。

 

正確には『明日』じゃなくて『数秒後』なんじゃないか!?と。

 

とりあえず、あのいつもの言葉で閉めようと思ったが、念願の『女子からのアーン』が達成できる事を考えると、不幸ではないように感じてきてしまった。

 

 

ーー脳内で試行錯誤しまくった結果、俺も比企谷と同じ運命を辿る事になってしまった。

 

 

 

 

 

ーー兎にも角にも、こうして第一回親睦パーティーは始まってしまった。




次回も投稿が早くならないように気をつけまする。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。