とある科学の青春ラブコメは間違っている   作:一級狙撃手

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はいどうも、一級狙撃手です。

今回からしばらくは、とあるメインではなく、俺ガイルメインでいきます。

タイトルに俺ガイルsideとは書かないので、頭にいれておいてください。


それでは、本編をどうぞ。


第十話

俺らがこっち(千葉)に引っ越して来てから約一週間。事件は突然起こった。

 

もしかしたらこの不幸体質が関係しているのかもしれない。

 

でも、そんな事はどうでもよかった。

 

 

──この事態をどうにかできるなら。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

周りにいるのは全員同じ顔。

 

その手には一人を除いてライフル銃。

 

その一人はライフル銃の変わりに片手にコイン。

 

そして、もう片方の手には黒い物体。

 

俺は今、どうしようもない状況にいた。

 

 

髪の色は茶色一色。そして、俺の見慣れた制服に身を包み、額からは蒼白い光を放っている。

 

 

 

ここまで確認してしまったからには間違いようがない。

 

「み……さか」

 

まだうまく現実を受け止め切れていない俺に、学園都市の第三位は、

 

「ようやく見つけたわよ、アンタ。………もう、逃げられはしないから」

 

そう言って一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

本来なら、俺の隣にはもう一人、女子がいるはずだった。

 

だが、今はいない。

 

御坂と同じ制服に身を包んだLevel4、白井黒子によって既にテレポートさせられた後だった。

 

 

 

 

今、俺がおかれている現状は、降参するしかない状況で。

 

でも、俺自身は、降参する気はない。

 

そもそも、俺が逃げているのは御坂を怒らせてしまったからではなかったか。

 

なら、謝ればいいだろう。

 

そう思う人がほとんどだろう。

 

だが、そんな段階はもうとっくに過ぎている。

 

 

なぜなら、俺は既に御坂に言ってしまったから。

 

『佐天さんと付き合っている』と。

 

後は、御坂がどう出るか、それを見届けるしかなかった。

 

「さあ、私の友達に手を出したって事は、覚悟はできてるのよね?」

 

「いやー、そのー、……別に手を出した訳じゃ……ないんですが」

 

かなり弱腰に反論した俺に、御坂はひときわ低い声で、

 

「問答無用」

 

と言い放った。

 

 

 

 

直後。

 

超電磁砲(Railgun)が放たれたのを合図に、妹 達(シスターズ)からも射撃が開始される。

 

 

一応、当たっても気絶するだけで心配はないらしいが、そんなのは関係無い。

 

結局、当たれば猛烈に痛い訳である。

 

 

 

「ぐっ……がぁぁぁぁぁっっっっ!!?!?!!?」

 

そこで俺の意識は、途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

─────

「ぐあぁっっ!」

 

「きゃぁぁっ!!?」

 

再び意識が覚醒すると、ベッドの上だった。

 

隣にはもう一人、びっくりしている佐天さんがいた。

 

どうやら夢だったらしい。

 

その事実に、安堵して思わず溜め息が出てしまう。

 

「ふぅ、……ゆ、夢だったか」

 

「何かうなされてましたよ?先輩」

 

「………今日、外に出て大丈夫だよな?」

 

思わず俺は、佐天さんに確認をとる。

 

「どういう意味ですか?意味が全く理解できないんですけど……。ってか先輩、本当に大丈夫ですか?汗ヤバイです」

 

「ああ、大丈夫だ。……実はさっき佐天さんがうなされてたって言ってたけど、見てた夢が御坂に捕まる夢でな。その日付けが今日と同じだったんだ」

 

「今、一番見ちゃいけない夢を何で先輩は見ちゃうんですか………」

 

と、佐天さんに深く呆れられつつも、こうして一日が始まる。

 

 

今日はバイトの日なので、割と急ぎつつ、バイト先へと向かう。

 

 

このバイトも、親父と佐天さんとこのアパートを最初に訪れて大家さんと話したあの日、あの後にそのまま向かったところだった。

 

もちろん、ピックアップしておいてくれたのはお袋だ。

 

 

 

 

 

 

 

何分か歩き、近くのバス停でバスに乗り、高校前を過ぎて、ちょっと行ったところで降りる。『高校前』から三つ目のバス停だ。

 

そこで降りると、少し歩き、見えて来るのはファミレス。

 

そのファミレスの名前を、一度は聞いた事があるだろう。

 

想像がついている方は、もう分かっていると思うが、そう、【サイゼリ○】だ。

 

その【サイゼ◎ヤ】で、俺と佐天さんはバイトしている。

 

基本的な内容は接客がメインである。

 

だが、その辺のバイトは既に学園都市で何回も経験している。……俺も佐天さんも生活がかかってたからな。いや、もちろん今もかかってるけど。

 

なので、基本的な事はほとんどできるし、ある程度の問題ならその店の対処の仕方さえわかれば対処できる。

 

 

加えて、佐天さんはその美貌から、結構佐天さんの為にくる客、というのが存在している事が分かった。

 

なので、俺より少し貰う量が多かったりする。

 

 

 

 

俺は、そんな佐天さんと自分を比べ、不公平だ、と嘆きながらも、バイトを頑張っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー(俺ガイルside)ーー

朝、いつものように折本と家を出て、学校へ向かう。

 

この風景も随分慣れたものだ。

 

一階に降り、チャリ小屋からそれぞれチャリを引っ張り出して、登校する。

 

そして、俺が折本に着いて行く形で俺と折本は毎朝登校する。

 

 

学校に着いても、基本的には教室までは隣で過ごし、教室に入ると、俺とは違って友達が沢山いるし簡単に友達をつくってしまう折本だ。すぐに声をかけられ、そいつのところへ向かう。

 

対して俺はと言えば、以前と変わらず、自分の机で突っ伏している。

 

 

──なので俺は、この時最近由比ヶ浜や川崎からの視線が少し変わっていた事に気づく事が出来なかった。

 

 

 

 

戸塚との朝の時間を無事に終えて、戸塚と一緒に授業を受け、たまに折本に抓られつつも戸塚と一緒に体育をして、昼休みは、折本が作ってくれている弁当を折本と食べ、午後の授業を終えると、待っていたのはHR。

 

特に変わった事は言われなかった。が、HRが終わって、解散直後、

 

「比企谷ー、ちょっとこい」

 

いきなり平塚先生に呼び出され、俺は折本と顔を見合わせた後、「………うす」と小さく返事してから向かった。

 

 

 

──だが、向かった先に待っていたのは地獄だった。

 

 

名前をつけるなら……『独身の悲痛な叫びを聞き続ける地獄』だろうか。

 

名前からするにいやな地獄だ。というかそのまんまだ。

 

 

先生のところまでつくと、いきなり先生が、

 

「比企谷、まさかとは思うが、奉仕部には行ってるんだろうな?……まさかとは思うが、『彼女ができた』なーんて嘘を言い訳にしてるわけじゃああるまいな?」

 

 

……ニコニコとした笑顔に、殺意のようなものが混じったいつもより高めの声で、そう言われた。

 

「い、いや、そのー、最近奉仕部にしゅっしぇきしてないのには理由がありましてでしゅね?」

 

噛みまくったよ……。何だよ『しゅっしぇき』って。

 

ってか、先生も先生でそんな『お前は独身側(こっち側)だろ?』みたいな顔でこっちを見るんですか!

 

「ま、まあ、比企谷に恋人などできる訳がないか。その目もあるし」

 

ちょっとー、教師自らが生徒をいじめちゃう学校なのに進学校ってどうなのー?

 

とか考えつつも、一応折本の為にも反論はする。

 

「い、いやでも、折本の件は本当ですよ?……あいつが、………そのー、……」

 

と、俺がそこまで言うと、急に平塚先生が泣きながら、

 

「この裏切りものー!……何で比企谷に出来て私には現れないんだぁ!!」

 

とか叫びながら廊下の向こうへ消えて行った。

 

 

 

すると、そのタイミングで由比ヶ浜がやって来る。

 

「何か先生の叫び声が聞こえたけど……」

 

「気にすんな。……じゃあな」

 

「うん。じゃあね………じゃないよっ!」

 

一人でボケツッコミまではもう少しだな。将来はピン芸人だ。

 

「ヒッキーは部活でしょ!?」

 

と言うと、問答無用と言った感じで俺の左腕を掴んで引っ張っていく。

 

結局、反論すら出来ずに久しぶりの奉仕部部室にやって来た。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

部室に着くと、当然、由比ヶ浜に引っ張られてきたため、由比ヶ浜が先に入る。

 

部室には、暖房が入っているらしく、廊下よりはあったかかった。

 

「やっはろー!」

 

相変わらずの馬鹿丸出しの挨拶である。……でも不思議なのは同じ挨拶を小町や陽乃さんがやっても馬鹿には見えないところだ。

 

つまり、結論をいえば、『由比ヶ浜は馬鹿』だ。結論言わなくても分かってたね。うん。

 

っと、つまり、そんな馬鹿丸出しの挨拶に続く形で俺も久しぶりの部室に入る。

 

「………うっす」

 

と、俺ら二人が部室に入ると、先に来ていた雪ノ下が、

 

「あら由比ヶ浜さん、今日は少し早いのね」

 

………………………。

 

……………。

 

……。

 

MU☆SHI

 

見事なまでの無視だ。まるで俺の存在などないかのような振る舞い。

 

しかも由比ヶ浜は由比ヶ浜で普通に雪ノ下と会話始めちゃってるし……。

 

俺は反論すら面倒だったので、とりあえず椅子をいつもの場所におき、読書を……、

 

ピロリン♪

 

っと、何か知らんが急にスマホがメール着信の音声をつげる。

 

確認してみると、

 

『比企谷、今どこにいんの?三十秒後に電話いれるから』

 

という文面。どうやら送り主は俺の彼女様らしい。今頃気付いたが、確かに言ってなかった。

 

とりあえず三十秒後に電話がくるらしいので、脳内で数えつつ時間を待つ。

 

(………11、12、13、……18、19、………24、…26)

 

そして、

 

再び着メロ。ただし今回はさっきのとは違う。

 

俺は、無視されているので、二人には声をかけずに、静かに部室を出て廊下に向かおうとしたのだが、

 

「……部活中にどこへ行こうと言うのかしら?」

 

いきなり雪ノ下に声をかけられた。それも割と寒い感じの凍てつく声で。

 

「………電話が来たから出るだけだよ」

 

俺はそう答えて、扉を開けた。

 

 

ーーーーーーーー

ーーー

廊下に出ると、まだ寒さを感じる。

 

とりあえず部室側の壁に背中を預けて、画面を開き、急ぎ通話ボタンを押す。

 

『……比企谷、出るの遅い』

 

「ちょっと事情があってな。……ってか三十秒後にって言ってたが、二十七秒位だったぞ?」

 

『んなどうでもいい事はいいから、今どこ?』

 

「部室だが……」

 

『まだ時間かかるの?』

 

「何が言いたい?」

 

『いや、………一人で帰ると寒いから……』

 

「なっ!!?」

 

『あっ、引っ掛かった?……比企谷慌て過ぎウケるw』

 

「明らかに電話越しなのに文末に『w』がついてたように聞こえたんだが……」

 

『はいはい、気にしない気にしない。んじゃ今からそっち行くから、じゃね』

 

「あっ、ちょっ、待っ、おい!」

 

ツーッ、ツーッ、ツーッ…………

 

 

 

──まさかの彼女と女王様に板挟みという。

 

俺、死んじゃうの?

 

 

ーーーーーーーー

ーーー

部室に戻ると、雪ノ下と由比ヶ浜から微妙な視線を送られたが、あえて無視した。

 

そして、今度こそ読書を始める。

 

 

パラ……パラ……

 

 

静寂感漂う部室。俺はこの静寂は嫌いじゃない。むしろ好きだ。

 

だが、そんな静寂に耐えられない奴が一人、この部室にいた。

 

「……………」

 

由比ヶ浜。

 

俺はともかく、雪ノ下はその性格ゆえにいつも一人で行動しているため、俺や雪ノ下は沈黙や静寂には割と慣れている。

 

だが、由比ヶ浜だけは違い、いつも煩いあの葉山や三浦のグループに属している。そして、三浦の近くにいる。

 

言い換えれば、それ程三浦に似ている、と言う事でもある。

 

ああいうグループの場合、もちろんヒエラルキー的な話で強い奴、カリスマ性の高い奴が頂点に立つ。そして、そいつの周りには、(三浦は典型的だが、)基本的にボスを喜ばせたり楽しませるなど、そういう事に向いている奴が選ばれる傾向が高い。又は話の合う奴。

 

今回の由比ヶ浜の場合は、(グループにいる時の)由比ヶ浜が、三浦にとってそういう存在であるのに加え、三浦自身の無意識的な庇護欲や、保護欲とも合間って、こういう結果になっていると言えよう。

 

そして、由比ヶ浜自身の明るい性格のお陰もあって、今まで俺のような、(グループの)奴等からしたら『笑い者』や『話のネタ』になるような人種とは関わる可能性が低かった事や、大抵のそういう奴なら味方に引き寄せてしまうその性格ゆえに、こういう静寂を経験した事は少ないし、そもそもとして彼女が苦手とする傾向がある。

 

なぜなら、そもそもの問題として、静寂や沈黙、孤独といったものを気にしなかったり、受け入れられるならば、別にグループに所属したり明るい振る舞いを周りにまで振りまく必要はない訳で。

 

つまり何度も言うが、由比ヶ浜は静寂が苦手だった。

 

「あー、えーと、………ひっ、」

 

しゃっくりでも出たのだろうか?と思っていたら、

 

「ヒッキーはこれからも部活来るんでしょ?」

 

既に質問の内容が明らかにおかしくなっていた。まあ、質問内容が決まる前に手をあげてるようなもんだからな。

 

「……………………ああ」

 

「何か物凄い間があった!?」

 

「気にすんな」

 

本を読みつつ、返事をする。

 

だが、返事が遅れたのには実際、あまり意味はない。考え事をしていて気付かなかっただけだ。

 

(それにしても折本の奴、本当に来る気か?)

 

他人同士の友好関係などどうでもいいのだが、今回ばかりはそうはいかない。

 

由比ヶ浜はまあいいとしても雪ノ下は絶対まずい。後で俺が死ぬ。

 

とりあえず何とか防がなくては──。

 

そう思った矢先だった。

 

 

部室のドアに誰かがノックをした。一瞬、背中に冷たいものが流れる。───そして、

 

雪ノ下が返事をするよりも早く、そいつは入って来た。

 

「ヤッホー、ゆいっち!」

 

「かおりちゃん!?…………あ……」

 

俺は、とりあえずこの時だけは神を信じて祈りを捧げていた。

 

俺と折本と由比ヶ浜は同じクラスであるため、其れなりに互いの事を知っているのだが、雪ノ下はそうではないので、「誰かしら?」となるのかと思っていたら、

 

「見慣れない顔ね。もしかしてあなたが転入生の折本さん?」

 

「うん。折本かおり。前は隣の海浜高校にいたんだけど、ちょっとした事情で総武に来たんだ。よろしくねっ、……えーと」

 

「………雪ノ下よ」

 

「よろしくねっ、雪ノ下さん」

 

「ええ。よろしく」

 

これが、折本と雪ノ下の初会話だった。だが、雪ノ下は穏便に終わらせるつもりはなかったらしい。

 

「………ところで、折本さん」

 

急に雪ノ下が折本を呼んだかと思ったら、

 

「あなた、そこのゴミにどんな弱みを握られているの?」

 

「……俺はゴミなのかよ」

 

今の俺と雪ノ下のやり取りで、雪ノ下の言ったゴミが俺だと気付いた折本は、予想外の答えを雪ノ下に言った。

 

「ゴミって……ウケるんだけどっ……。前の比企谷にピッタリじゃん」

 

腹を抑えて体を震わせながら笑いやがった。

 

「うるせーよ」

 

とりあえず俺はそう言ったのだが、

 

「……………」

 

「……………」

 

他の二人は怪訝な顔をしていた。

 

先に口を開いたのは由比ヶ浜だった。

 

「かおりちゃん、『前の』って……」

 

「え?………あ、ああー、えーと、(チラッ)」

 

え?そこで俺を見るの?

 

とりあえず俺は軽く首を振り、否定の意を示した。

 

折本はそれに同意したらしく、視線を戻して、

 

「比企谷とはおな中なだけ。で、だから『前の』比企谷な訳。ねっ?」

 

「あっ、ああ、そうだな。うん」

 

「なーんか変な感じ」

 

「……では、折本さんが比企谷君の彼女、という噂は嘘な訳なのね」

 

いきなりの雪ノ下の言葉に、その前に由比ヶ浜の言葉もあったせいで(由比ヶ浜にはどうにか誤魔化せたと思って安心しかけていたから、)ビクッと反応してしまう。

 

「どうしたのかしら?」

 

と、雪ノ下が言ったところで、全身に寒気が奔る。

 

当の本人、雪ノ下は『?』という顔で首を傾げている。

 

……いやだから、そんな顔で首を傾んなよ。これで質問がこれじゃなければなぁ。

 

 

 

──だがここで、俺と折本に救世主が現れた。……いや、現れた訳じゃないか。

 

『あ、あー、比企谷八幡君、折本かおりさん、至急生徒会室に来てください。繰り返します……』

 

「……めぐり先輩から呼び出しか?」

 

「ヒッキー何かしたの?」

 

由比ヶ浜が聞いて来る。が、俺は思い当たる事がないので首を振る。

 

折本にも視線を向けるが『さぁ?』と言っていた。

 

とにかく、これで話はそらせ………

 

「放送で呼び出しがかかってしまっては仕方がないわね。今日、とりあえずこの後由比ヶ浜さんが他校の生徒さんと会うらしいのだけど、そこに私も呼ばれているのよ。場所は近くのサイ◆リヤよ。終わったら呼ぶから来なさい」

 

──全然話をそらせてなかった。

 

俺は一度折本と目を見合わせてから諦めて従う事にして、部屋を出た。

 

 

 

 

───────────

─────

「ところで、」

 

「んぁ?」

 

部室を出て俺の先導で生徒会室に向かう途中、いきなり折本から声をかけられた。

 

「さっき比企谷が言ってた『めぐり先輩』って誰?名前からして女子だよね?」

 

「ん?ああ。城廻めぐり先輩。今の生徒会長だよ」

 

とりあえず名前と役職だけ説明する。

 

「へぇー、生徒会長何だ。でも何で比企谷が会長と知り合いなの?」

 

「………ご想像にお任せします」

 

何となく正攻法で答えたら面倒になる気がしたので、適当に誤魔化す。

 

そして、そうこうしてるうちに、俺と折本は生徒会室に着いた。

 

生徒会室に着き、扉をノックする。

 

「比企谷八幡です」

 

俺に続いて折本も、

 

「折本かおりです」

 

折本が名前を言い終わる頃、丁度扉が開いた。

 

「あ、来た来た。やっほー、比企谷くん、かおりちゃん。ちょっとそこの席で待っててね?」

 

と言うと、先輩は内線を使ってどこかに連絡し始めた。

 

その後一分もしない内に、生徒会室の扉が開き、平塚先生が入ってくる。

 

「よぉー、比企谷。まさかこんな事態になってるとは知らなかったぞ」

 

「何がですか先生。主語がないのでわかんないっす」

 

「折本の件だ。まさか同棲してたとはなぁ。……これはあれだよな?『ファースト』から『ラスト』まで連続でも問題ないよな」

 

そう言った先生に、俺は体を震わせながら全力で否定した。めぐり先輩は「あはは………」などと言っている。ちなみに、折本は先生の言ったネタを知らなかったらしく、意味がわからないらしい。

 

「はぁ……、まあいい。とりあえず、その辺の状況を教えろ。状況によっては学校側としても指導いれないと出しな」

 

なるほど、今回呼び出されたのはそれか。

 

 

とりあえず俺は、折本と一緒に、現場と至った理由、関係する過去を誰にも言わない約束で、めぐり先輩と先生に話した。

 

 

 

 

 

 

───────────

─────

 

ーー(折本side)ーー

比企谷と私が先生に状況を話した後、帰ろうとして今は自転車小屋。

 

「比企谷ー、帰ろっ」

 

「おう。………………あ」

 

急に比企谷が何かを思い出したようにした。ちょっと気になったので聞いて見る事にした。

 

「どしたん?何かあったん?」

 

「あー、いや、今思い出したが、今日この後サイゼに行かないといけないんじゃなかったか?」

 

「そう言えばそうだったね。行くの?」

 

「……行きたくはないが行かないと殺されるだろうな」

 

「じゃあ行こうよ。比企谷おごりね。とりあえず隣に座るから」

 

いろいろ今のいちに注文して行く事にした。

 

比企谷は少し反論して来たが、結局は折れ、諦めて私に従うらしい。

 

「…………ま、たまにはな。[彼氏っぽいところでも見せますか]」

 

後半、物凄い小さい声だったので、一部聞こえなかったけど、聞いてしまった部分だけでも言いたい事は伝わってしまったので、私は彼にバレないように気をつけながらも、赤くなる顔を抑えられなかった。

 

 

 

 

 

 

サイゼに着くと、店の奥に見た事のある姿が見えた。

 

 

──そこにいたのは、隣の住人の一人、佐天涙子ちゃんだった。

 

 

ーー確か彼女は中学生じゃなかったっけ?

 

 

そんな疑問が頭をよぎったが、気にはせずにとりあえずそのまま比企谷と一緒に店に入る。

 

すると、

 

「いらっしゃいま……何だ、比企谷と折本さんじゃないか。どうしたんだ?」

 

「上条?何でここにいんの?……ってか似合ってなさ過ぎウケる……ククッ」

 

「同じ事を佐天さんにも言われたよ……」

 

と、そんな事を話しつつも待ち合わせの件を上条に伝える。

 

その上条の案内で向かったテーブルからは、既に近寄りたくない雰囲気に、冷たい視線、何となくだが、殺気まで感じてしまった。

 

 

ーー私、ここで死んじゃうのん?

 

 

 

 

ちょっと変になりつつも、隣の比企谷と一緒にガクブルしながら確実に地獄へ向かっている事を確信していた。


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