「元テログループ桃源団のリーダーの「ハンマーヘッド」だな?」
リクルートスーツを着たハゲ頭の大男に俺はそう声をかけた。声をかけられたハンマーヘッドは体をビクッと震わせて驚いたが俺は構わず話を続ける。
「俺はA級ヒーローの青ジャージ。知名度は低いがな……ああ、安心しろ。別に捕まえに来たわけじゃない。「バトルスーツ」のことについて聞きに来た。時間はあるよな?」
F市で暴れた犯罪者集団「桃源団」その頭であるハンマーヘッド。彼らは「働きたくない」というしょーもない理由で暴れまわった過去がある。これだけなら大した事件でもなかっただろう。問題は彼ら
「悪いけど俺が知っていることなんて殆どないぞ? あのバトルスーツも組織の目を盗んで手に入れたものだし…」
「その「組織」とやらからの接触はないのか?」
「なんか俺が死んだと勘違いしたのか、あれから会ってない……です」
「そうか…」
そのあとハンマーヘッドからは組織のことについて問いただした。わかっていることは…
「接触してくるのはAIを搭載したロボットのみ」
「バトルスーツの性能を確かめるためにハンマーヘッドを泳がせた」
「口封じのためにハンマーヘッドを殺害しようとした」
「――ってことぐらいなんだが、参考になるのか?」
「何もわからないよりはマシさ」
「ロボット及び機械類を使った犯罪、正直メタルナイトと結びつきたくなる話なんだがな…」
「それを言うならジェノス君を改造したという博士も怪しくなるけどね」
いつものヒーロー協会の支部。その一室。あのあと俺は組織から守るために協会から監視していることをハンマーヘッドに告げて、そのあと報告のために協会の支部に来ていた。
「仮に接触したとして協会はどうするつもりなんだ?」
「彼らの持つ機械技術が欲しいんだろう。メタルナイトは気紛れで動くことは少ないし…」
「稀に動いても実験だといって辺り一帯を火の海に変えるしな…」
「彼の場合はヒーローとしてというよりは技術者としてS級ヒーローに任命した意味合いが強いから間違ってはいないんだけどね。それでも自重して欲しいのが本音かな? 建物を直すのだって莫大な費用と時間がかかる」
A市に現れた災害レベル竜の怪人に、B市とD市を破壊した巨大生物。Z市に落ちた隕石。さらにJ市に集団で襲撃してきた海人族。コイツらの残党は今も各地で暴れている。街の復興のために金銭は必要不可欠だが、そのお金を自分たちの豪遊のために使う上層部が跡を絶たない。
「それも当然のことかもしれないね。設立者は世界的に有名な大富豪アゴーニ、彼ほどの人物が私財を投げて組織を立ち上げれば――彼の財産にたかろうとする蝿が寄ってくるのは必然」
「設立して三年で上層部が腐ったら元も子もないだろうが…いや、元からか?」
「さすがの彼でもこうなるとは予想しなかっただろうね」
「ヒーローのための組織、だがそれを纏める連中はそれに相応しいとは言い難い。アゴーニともあろう方がそれを見抜けない無能なのか、それとも見越した上で作ったのか…? だとしたら何のために? 俺たちはこのままこのヒーロー協会にいるべきなのか? なぁ、あんたはどう思うんだ?」
顔見知りの職員は――――
「君の思う “ ヒーロー ” としての行動をすればいいさ」
表情の読み取れない笑顔で答えた。
(´・ω・)にゃもし。
短いので投稿した。ここまで読んでくれて、ありがとう。