Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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英雄王

「……遠坂邸にもいない」

「やっぱり出掛けてるのかな? まだお昼だし」

 

 車で移動する綾香達だったが、衛宮家にも遠坂邸にも人がおらず、接触できない。車内で次は何処へ向かうかと、ブレイカーが考えていた。助手席では、酷く気だるそうに外を眺めるアルカ。出発してからと言うもの、殆ど喋らず、呆然と座る以外に何もできていない。

 

 まるで世捨て人のような状態だが、彼女自身は身を焼き焦がしそうな憎悪を爆発させないため、あえて表層意識を深層世界に待機させているのだ。自分の怒りを客観的に見て、少しの拍子で味方に爆発させないように。

 

「お姉ちゃん?」

「……」

「どうしよう、やっぱり……」

「ほっとけ。いざとなれば誰より暴れる気だろう」

「困ったね。綾香、他に彼等が居そうな場所は心当たりあるかい?」

 

 地図を車内で広げながら、セイバーが綾香に尋ねる。しかし綾香自身あの二人との交流はない。遠坂凛に関しては、少しは話すが付き合いはない。逆に衛宮士郎に関しては、名前と顔を知っているくらいだ。当然移動する場所など分からない。

 

 完全に手詰まりで、ブレイカーも窓から町を眺める事しかできない。だが、停車する車の横を通り過ぎたタクシーを見て、指を弾く。

 

「どうしたんだい?」

「え?」

 

「静かにしてろ。……えーこちら、26号車のアルゴ。今日の客で不審な、黒髪のツインテール、オレンジ髪の坊主を乗せた奴いないか?」

 

 急に指を弾いた彼にセイバーと綾香が目を向ければ、車内に備え付けられた無線に話しかけるブレイカー。言い終えてから、暫く黙りこむと返信があった。

 

『こちら6号車。その特徴に合う客は先程乗せた。冬木の森林で降ろしてほしい言われたから、不審だとは思ってた。家出か?』

「似た様な感じだ。冬木の森って言うと、迷いの森だな?」

『あぁ。だが、2人じゃなかった。金髪の外国人も一緒に乗せたぞ』

「金髪? いや、そっちに心当たりはないな。だが、感謝する。仕事頑張ってくれ」

 

 無線での連絡を終えたブレイカー。彼は冬木で働くタクシードライバー。当然ながら同業者との情報交換はしており、遠坂凛がタクシーで移動するのは知っているため、このような情報収集になった。場所がハッキリした以上、車を走らせる。

 その場所が、アンの消息が立たれた場所である事は、不幸か幸いか。どちらにせよ、アンを殺した犯人と遠坂凛とアインツベルンが重なる最悪の場所と化しているのは確定。どうなっているかは、想像できないが事態は一気に躍進する。

 

 

--------

 

 アインツベルンの城。そこでは、現在大英雄と英雄王の二人が周囲にはばかることなく対峙していた。

 

「どうした大英雄? 我を相手にハンデがあっても勝つつもりか?」

「■■■■■!!!」

 

 アインツベルン城の玄関ホール内で、英雄王が背後に王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を展開し、底から繰り出される無数の宝剣や神槍をバーサーカーへと向けて射出する。その数は一秒間に30発もの激しい機銃掃射。それら一発一発がバーサーカーの持つ最強の防御”十二の試練(ゴッドハンド)”の護りを突破するAランクの宝具。それらを無尽蔵に発射する英雄王に対して、バーサーカーは不利というしかなかった。

 他者を圧倒する巨大な肉体、それがアーチャーの中では精度に難がある王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)にはマイナスに働く。身体が大きいと言う事は的が大きいと言うこと。本来なら彼の十二の試練によって通常の射撃などは無力化できる筈。しかし、相手は人類最古にして全ての財を治めた英雄王。その存在そのものが全英雄に対しての切り札となるべき規格外。

 聖杯戦争においてのバーサーカーの優位性は、英雄王の存在によってひっくり返っているのだ。さらにバーサーカーには最大の弱点があった。

 

「バ、バーサーカー!」

「フハハハ、いつまでその人形を護りながら戦えるかな、大英雄!」

 

 それは、バーサーカーのマスターであり、この時代において彼の護るべき対象。イリヤスフィールの存在だった。自分の背後で、バーサーカーの勝利を願いながら戦いを見届ける彼女。普通の英霊相手なら守りながら戦うことも可能で、自分の全力を振るうことが出来る。

 だが、英雄王の攻撃は明らかにイリヤを巻き込むように繰り出され、その身一つで彼女を護るバーサーカーは、どうやっても被弾を免れない。斧剣で3つの宝具を弾き、我武者羅に振るう巨木の様な腕で5つの宝具を弾く。だが、がらあきの胴体に10数本の剣や槍が突き刺さる。それにより命のストックが一つ消費される。彼の鋼のような身体を易々と貫き、血飛沫を発生させる宝具の数々は、止むことなくバーサーカーを撃つ。

 

「うそ、バーサーカーが……」

 

 明らかな劣勢にイリヤの表情が絶望の色を帯びて行く。その表情を見て英雄王の表情に、僅かな愉悦が浮ぶ。明らかにイリヤの反応を見ている。

 

「■■■■!!」

「どうだ、ヘラクレス。その重荷を捨て、己が身一つで挑めば我に対しても勝機があるやもしれぬぞ?」

 

 イリヤを護りながら、英雄王を倒す。それは不可能な行動。彼の言う通りイリヤを捨て、全てを英雄王を倒す事に向ければ、一矢報いる可能性がある。だが理性を失った獣にも、一つの矜持はある。彼が召喚に応じて誓った一つの覚悟。それはイリヤを守り通す事。生前守れなかった小さきものを、今生にて護り通す事が彼の使命であり戦う理由。

 

「ふん」

 

 挑発するも一切乗ってこず、中途半端な攻撃しかできないバーサーカー相手に英雄王の興味も薄れ始める。今日英雄王がアインツベルンの城に上がり込んだのは、彼と契約していた言峰綺礼とのラインが切れたため、彼の策に乗ってやる必要性が消えた。そのためあらかじめ計画していた聖杯を使っての人類の間引きを行動に移したためだ。

 聖杯の器であるホムンクルスの心臓を早々に手に入れておくかという、軽い気持ちでの行動だった。そこでヘラクレスと戦いに発展し、余興のつもりで戯れていたが、結果は見えてしまった。故に終わらせるかと宝具の雨を命をすり減らしながら突破したバーサーカーに対してとっておきの宝具を取り出す。

 

「■!? ■■■■!!」

「逃げられはせん」

 

 王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から発射された無数の鎖。それらは危機を感知して回避行動を取ったバーサーカーを追尾しながら、空中に逃げた彼の体を拘束して行く。一見細い鎖であり、バーサーカーの怪力の前には、無力に見えるかもしれない。だがそれは、10年前にライダーの神威の車輪(ゴルディアスホイール)すら完封した天の鎖。神性を持つ存在を決して逃がさない戒め。それはサーヴァントとして最上級の神性を持つヘラクレスに対して、絶望的な効力を発揮する。

 全身の骨を砕くような力で拘束され、動くことすらできない。

 

「戻ってバーサーカー! うそ」

 

 イリヤは、自力で脱出できないバーサーカーを前にして、令呪による強制転移を行う。だが消費された令呪に反応せずバーサーカーは囚われたままだ。こんなのおかしいと焦るイリヤに、英雄王が口を挟む。

 

「無駄だ人形。天の鎖に繋がれたものは、神であろうと逃れられん。令呪による空間転移など我が許すものか」

 

 英雄王はそう言葉にしながら、右手に王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から巨大な槍を取り出す。それを軽く放り投げ、投げられた槍は魔力を帯びながら加速。瞬時に動けないバーサーカーの心臓を貫通する。

 そして、狂化の魔力が弱まり、バーサーカーが力無く鎖に身を預ける事になる。

 

「そんな、嘘だって言ってよ、バーサーカー!」

「どうやら命を幾つか削っていたらしいな。大方、恐怖王にでも削られたか」 

 

 英雄王は、消滅を始めたヘラクレスに目を向けず、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から細身の剣を取り出す。その矛先は、立ち尽くす事しかできないイリヤに向けられる。彼にとってイリヤは最も嫌う雑種の最たる例であり、聖杯の器でしかない。

 必要なのは心臓であり、イリヤ自身は必要ではない。なので早々に殺して心臓を取り出そうと刃を振り下ろした瞬間、突然背後から殺気が迫り、剣を背後の気配に向ける。

 

 キィンと金属がぶつかる音と共に、英雄王は後ろに跳ぶ。そして自分に攻撃を仕掛けた下手人に紅い双眼を向ける。明らかに不機嫌さを隠さない視線、それは黒と白の鎧を纏う金髪のサーヴァントに向けられる。巨大な旗を掲げ、細身の剣を持つそのサーヴァントは、イリヤを庇うように立ちはだかる。

 

「ほう、誰かと思えば、ルーラーとか名乗る英霊か」

「えぇ。英雄王ギルガメッシュ。御推察の通りです。ですから、貴方には私の行動の意味がわかっておいでですね?」

「王たる我に質問をするか? 聖職者風情が、わきまえろ雑種」

 自分に対する不敬な態度に英雄王は、背後の空間から宝具の射出での仕置きを行う。一撃一撃がヘラクレスの十二の試練を突破する一撃必殺。ルーラー目掛けて発射された5本の宝具は、彼女の体を貫く前に彼女の振るう旗によって攻撃が逸らされる。

 受けるのではなく、威力を別の方向へ向ける。おかげで彼女の背後の壁に次々突き刺さる宝具によって、城は破壊されていく。しかし、真後ろで立つイリヤには、怪我ひとつ負わせる事はない。

 

「凌ぐか。ルーラーの英霊など、とるに足らん有象無象だと思っていたが……」

「イリヤーーー!」

「ちょっと士郎!」

「お兄ちゃん」

 

 自分の攻撃を技術のみで捌いたルーラーを少し評価していた時、階段を駆け下りて衛宮士郎と遠坂凛がルーラーの背後に駆け寄る。士郎は木刀を構えながら、呆然と立ち尽くすイリヤを背に護る。そして凛はガンドを構えながら、慎重に英雄王と対峙する。

 

「雑種が他にも二匹潜んでいたか」

「させません」

 

 群れた雑種には興味がないとばかりに王の財宝を展開する英雄王。背後に居る3人を守るべく、ルーラーが宝具の開放を思案し、旗を掲げる。それが宝具であるのは一目瞭然、ならば遊んでやるのも一興かと英雄王の興が乗る。

 

「その貧弱な旗で、我の攻撃を防ぐつもりか雑種?」

 

 明らかに挑発を含む表情。英雄王の前では、聖杯戦争において戦況を左右するルーラーですら、警戒するには値していない。士郎と凛も、得体の知れない英霊の纏う魔力と無数に宝具を射出し、バーサーカーすら消滅に追い込んだ能力を目の当たりにしていた。

 

(あの攻撃を、どれだけ凌げるか…….)

 

 すました顔で英雄王の攻撃に備えるルーラーだが、アインツベルンの城に向かう士郎達に同行し、英雄王(前回のアーチャー)の実力は把握した。明らかに規格外で大き過ぎる力を持つ彼は、それを自制することなく気分のまま振る舞う暴君。最悪の場合、自分のもう一つの宝具を早々に使ってでも、倒さねばならない敵。

 しかし、この聖杯戦争で彼女が召還された理由は、英雄王のためだけではない。ブレイカー、英雄王、そして未だ見ぬ脅威に対峙するため、聖杯の自浄作用として召喚されたのだ。

 だが、強大な力の前にただ狩り殺される命を救わねばならない。サーヴァントを失い戦う術を持たない少年少女。敵が何者であろうと、ルーラーとして召喚された自分は、彼等を保護しなければならない。そして、巻き込まれる冬木の住人達を見捨てる事は出来ない。

 

「では、死ぬものぐるいで耐えるがいい」

「士郎君、凛さん、私の背後に!」 

 

 50近い王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の宝具の弾丸が装填され、それらは全てルーラーに向けられる。決死の覚悟で旗の宝具ではなく、禁断である剣の宝具を解放しようとした時。

 

―――ドォオオンとアインツベルンの城の壁が砕け散り、破片が英雄王に向かって飛来する。

 

「何」

 

 突然発生した爆発による瓦礫の弾丸を、ルーラーに向けた宝具の弾丸で迎撃した英雄王。だが、至近距離で不意を突いた瓦礫の雨全てを防げず、来ていた黒のライダースーツに傷が付き、土ぼこりを被る羽目になる。当然、自尊心の高い彼に、そんな無礼を働いたものが居れば、即座に八つ裂きにされるだろう。

 だが、英雄王は瞬時にライダースーツから、黄金に輝く鎧を身に纏った上で、赤き瞳で襲撃者を見据える。

 

「数日ぶりだな、英雄王」

「恐怖王……どういうつもりだ?」

 

 全人類を見下す赤き瞳と正面から睨み合うのは、同じく赤き瞳。先程までと打って変わり、楽しむという雰囲気ではなくなった英雄王。そして彼の殺気を受け止めながら、抑える事無く殺気をぶつけ合うのは、灰色の外套を身に纏ったブレイカー(恐怖王)。

 10年前に決着をつけられなかった2体のサーヴァント、互いに受肉し、互いを殺すと決めた人類最古と人類最後の英霊。戦う理由がなかった、それだけで流れてきた戦い。それがブレイカーの発する殺気とそれに受け答えるように殺気を放つ英雄王の間で、決戦の火蓋が切って落とされる。

 腕を組み、刺し殺す様な鋭い睨みを向ける英雄王に対して、右腕を軽く振りながら、全身に破壊の刻印を浮ばせるブレイカーが答える。

 

「一つ質問させろギルガメッシュ」

「相変わらず、無礼な奴だ。我に対する不敬な振る舞いは、見逃してやると決めたが、我の慈悲にも限りはあるぞ」

「お前のプライドはどうでもいい。俺が質問するんだ、お前は答えろ」

「貴様」

 

 一歩一歩、英雄王に歩み寄るブレイカー。彼は英雄王との距離が1mになるまで迫りながら、ガンを飛ばし合う。天井知らずのプライドの持ち主の彼を前に、それを否定する事は殺される覚悟があると言うこと。

 

「うちの奴が殺された。それに使用されたのは、お前の宝具で相違ないか? 今、戦闘の後を調べたら、お前の宝物庫にあった宝具をいくつも見つけたが」

 

 周囲で聞いていた士郎は、英雄王と対峙するサーヴァントの言葉を聞いても理解出来なかった。彼自身は、ブレイカーと遭遇したことが無いためと、もう一つは突然現れたサーヴァントから感じる禍々しい殺気に動けなかった。自分ではなく英雄王に向けられたものであるが、殺気だけで金縛りにあったかのように動けない士郎。

 そして、凛とイリヤとルーラーは、ブレイカーと面識があり、沙条陣営の誰かが殺されたのだと知る。

 

「……ふ、ふははははは。ハハハフハハハ、なるほど、そういう姦計か……、くく確かに我の宝物庫の中にあったものだろうな」

「いまいち、俺自身は納得できないが……仕方ない」

 

 ギルガメッシュは、肩を震わせながら高らかなに笑う。肩を震わせる英雄王に対して、肩をすくめるブレイカー。2人して世間話をしているように見えるも、互いに殺気は消さず飄々としている。どう考えても常人には不可能な殺気を抱きながらの与太話。通常の神経では、耐えられないであろう事を平然と行える歪な二人の関係。

 殺し殺される中でありながら、相手を認めたが故に築かれる信頼にも似た時間。

 

 それを崩すのは、ブレイカーの決定権を持つ……世界を壊す権限を持つ人間、アルカだった。先程まで気配を消して霊体化していた彼女は、ブレイカーの背後に現界する。

 

「アルカ」 

「沙条!」

 

 凛と士郎は、それぞれ突然現れた沙条愛歌(アルカ)に驚く。現界した彼女は、長い金髪を整えることなく、放置し、前髪が顔に掛っている。そして、七色の瞳には生気がほとんどなく、まるで死人のように現実を見ていなかった。だが、ギロリと英雄ををにらんだ瞬間、彼女の魔力回路が全て開く。セイバー(アルトリウス)の魔力放出のように迸る魔力は、風となってアインツベルンの城に流れる。その魔力量は、この十年間で最大規模だった。いうなれば、制御を覚えた今ではなく、感情のままに暴走する10年前と同規模だった。

 

「!?」

「なによこの魔力! サーヴァント並じゃない」

 

 その魔力量に凛とイリヤは驚く。人間離れした魔力量を持つホムンクルスであるイリヤよりも多い魔力。それを放ちながら、平然と英雄王を睨むアルカは、何処か今までの彼女と違う。見た目は愛歌だが、性質は全く別。

 

「女。どうやら、怒りで被っていた人間の皮がはがれたようだな」

「……ん」

「その様子からして、アレは死んだようだな。だが、元々消えゆく運命よ。英霊とは死者に過ぎん、奇跡を起こし生き長らえようと、それは仮初だ」

「ん……けれど、私には本物だった。それをお前が奪った」 

「ふん、元々我とお前達は、殺し合う関係。恨む事すら、筋違いというもの。それに、お前は失った事を悲しんではない、ただ怒りしか感じていない。……どうやら成長に失敗したようだな女。今の貴様は、醜い。見るに堪えない愚かな女と言う怪物だ」

「……ブレイカー、好きに暴れていい。だから、アンの仇を壊して」 

  

 心底詰まらないと首を振る英雄王。10年前のアルカは、面白味があった。だが今のアルカは安定を選んだが故に歪んで、進化を止めた愚かな雑種になり下がる。やはりあの時殺しておくべきだったかと考えた時、アルカがブレイカーに命令する。命令を受けたブレイカーは、無言で頷くとルーラー達に目を向ける。

   

「ルーラー、そのガキ共を連れて行け。今から此処は後型も残らなくなる……行け」

 

ブレイカーの指示に、ルーラーの持つ啓示のスキルで彼と英雄王の戦いが周囲一体を吹き飛ばす規模だと理解する。無言で頷きながら、士郎達を連れ、離脱する。

 

「これで静かになった。心置きなく、戦争をしよ?」

 

アルカの言葉と共に、二人の英霊は後ろに飛び退く。そしてブレイカーは、右腕の刻印をほどく事で白と黒の破壊の魔力を解き放つ。

ギルガメッシュも既に慢心を捨てたのか宝物庫から、乖離剣エアを抜き起動する。

 

アインツベルの城内で、赤い螺旋の魔力と白と黒の竜巻が溜めの動作だけで吹き荒れる。

 

「最初から飛ばすぞギルガメッシュ、慢心は自由だ。勝手に死ね!」

「今生において、お前の相手のみ慢心は捨ててやろうアンゴルモア。この我を楽しませてみせよ!」

 

二人は同時に自分の誇る最大級の攻撃を放った。

 

「この世全ての終わり(ブロークン・ファンタズム)」

「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」

 

空間すら破棄し尽くす原初の地獄と星を終わらせた終焉の地獄が現世でぶつかり合い、激しい光と振動のもと、アインツベルンの城は瞬時に塵芥となって消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 






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