王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の内部へと叩きこまれたブレイカー。凄まじい攻撃を、受けた彼だが爆発の中心地から、脱出し周囲を見渡す。
宝物庫なのに先を見渡せず、黄金の輝きが全てを照らす。重力を感じず上も下もない。あるのは星のような数の財宝が周囲に浮かんでいる世界。
英雄王の宝物庫、人類最古にして全てを収集した場所。広さは無限であり内蔵する宝物の数は冬木で見たものが、砂漠での砂一粒以下だと知る。
ここはまさに人類の全てが詰まった場所。過去と未來全てを収め、見届ける彼に相応しい宝具。
「どうだ、これが我以外は一人しか訪れたことの無い、英雄王たる我の蔵」
「素晴らしいな。俺は人生で最も尊い瞬間を過ごしているようだ。だが」
「この叡知を見て、苦しげな表情か」
ヴィマーナに乗る英雄王は、宝物庫で悲しげに目を逸らすブレイカーを見る。
「これ全部、壊すことになるんだからな」
「だろうよ。お前は人類全ての成果を相手にせねば、生きて出られはせん」
「だが礼を言う。手加減の必要の無いフィールドを用意してくれた英雄王に、敬意を払い」
ブレイカーは、そう言いながら上半身の灰色の外套を脱ぎ捨て、鍛え抜かれた褐色の体を晒す。そして、深呼吸をしたのち、彼の魔術回路が全て最大起動する。
それは、攻撃ではない。言うなら前準備であり、大気のように魔力が黄金の宝物庫で放たれる。
そして、その魔力はブレイカーを囲う原典の数々を消滅させた。溶けるでもなく、砕けるのでもない、破壊という現象の元、この世から消失する。
一瞬で財宝の数々が破棄されたギルガメッシュだが、怒りはなく寧ろ、笑っていた。
「此処に極まるか」
そう呟いた英雄王は、ヴィマーナの玉座から立ち上がり、腕を振るう。この宝物庫の所有者の意思に従い、全ての財宝が異物であるブレイカーへと矛先を向ける。
まさに星そのものが、宝具の宇宙全てがブレイカーとーへと飛来する。
「では、戦争だ。お前は我が倒すに値する脅威。手加減油断一切なし、我の財全てを擲とう」
「はっ」
自分の持つ全てを仕向けると宣言したギルガメッシュをブレイカーは、一蹴する。改めて言われるまでもなく、ブレイカーは彼の宝具全てを凌駕した上で勝つつもりだった。
己を倒せる可能性のある人物、それは世界の命運を握る彼のマスターに選ばれるという存在の次に、彼の望むもの。手加減は許さず、全力で相手させる。
英雄王に対する不敬が極まった思考でもって、ブレイカーと言う男は対峙する。
ギルガメッシュが指を弾くと、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に内蔵された星の数にも勝る宝具が流星となって中心点に居るブレイカーへと発射される。そして、その発射された速度は、通常の射出の二倍以上の速度を誇って、まさに隕石としてブレイカーに集まる。
その種は、ギルガメッシュの持つ原点だった。投擲物の速度を上げ続けるという無限に近い投擲物を持つギルガメッシュにとって反則的な代物。実際はギルガメッシュすら忘れていたが、10年の間に宝具を吟味していた彼がこれを使うのは必然。
それを迎え撃つのは、無我の境地スキルによって極限まで集中力を高めたブレイカー。無数の宝具など無くブレイカーにあるのは、破壊の魔力と言う宝具のみ。全てに特化しうる王に対して、彼の取れるのは一つを極めるのみ。
両手の掌に魔力放出のコントロールで魔力弾を形成する。それが鍵となり、ブレイカーの持つ取得スキルがブレイカーのステータスを更新する。
投擲(魔力):EX
魔力弾を精製し、投擲するスキル。魔術ではなく、あくまでスキルの一種であり、イメージと魔力があれば発動が可能。
突然強化されるサーヴァントは稀だろう。だがそのスキルを理解したのかブレイカーは、全方位から迫る槍や弓、剣の銀河を両掌から発生させた同じく無限に等しい魔力弾の射出によって、迎撃して行く。
宝物庫の内部で、魔力弾と宝具の原典が火花を散らし、互いの存在を否定する。何百も何千も爆発を起こしながらも、投擲スキルによってEXクラスの宝具であるブレイカーの魔力が弾丸として、全て指向性を持って発射される。
英雄王の宝具をひとつ残らず撃ち落としていく。爆発が爆発を生み、連鎖爆発が発生。その爆発を恐れない魔力弾と宝具の銀河は、互いの存在の否定をやめない。
もとより王の財宝にある武器とはいえ、有効でないことは分かり切っている。あえて使用するのは、英雄王であるギルガメッシュ自身が引導を渡すため。彼は王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)で時間を稼ぎながら、蔵に納められた神代の薬草などを飲み込む。
エヌルタの灰油などにより宝具の威力(切れ味)をあげ、王律権ダムキナやそれに類似する原点によって、無限に等しい魔力を誇るブレイカーに尽きることのない魔力供給で抵抗、王律権キシャルなどのドーピング用の原点を用いることで、彼の戦闘能力に並ぶまでステータスを強化する。
当然無理をしており、最強の英霊であるギルガメッシュもこの戦いの後は、一切動けないだろう。人類最古にして人類の英知という途方も知れない怪物に挑むのはブレイカーだが、同じく地球そのものを滅ぼし終えた怪物と対峙するのは、ギルガメッシュも同じ。
互いに相手を認め、挑みはするが勝機など今回ばかりは見えない。ブレイカーから見ればありとあらゆる手段を講じてくるギルガメッシュ。ギルガメッシュから見れば、どんな手段も力技で突破するのがブレイカー。
ギルガメッシュの持つ千里眼ですら、この先の未来は不鮮明となる。何故かと言えば、ブレイカーという男が人理、はては宇宙のピリオド、特異点たるゆえんでもあった。いつでも未来を終わらせることのできる存在、ゆえに未来を知ることがブレイカーの前ではできない。
そして、ギルガメッシュは、右手に激しく回転し最大出力を保ったまま、魔力弾で宝具を撃ち落とすブレイカーへとヴィマーナを動かす。周囲に自動防御用の宝具と数々の宝具をはべらせ、ギルガメッシュはアンゴルモア(ブレイカー)との最後の決戦を挑んだ。
防戦をしていたブレイカーも魔力を抑える必要もなくなり、全ての財宝を破壊する勢いで魔力の放出を繰り返した。
ーーーーーーーーーーーーーーー15時間後。
それからの戦いは悠久の時にも思えた。やむことのない魔力弾と宝具の流星、それによって巻き起こる破壊の連鎖。王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中で、時間間隔もなくブレイカーとギルガメッシュは、ただ殺しあっていた。
尽きぬ魔力を利用し、延々と続く射撃に飽きたのか、ブレイカーは両腕に魔力の渦をまとい、ギルガメッシュが乖離剣エアを最大出力でとどめたまま、何度も火花を散らす。
そんな争いがさらに2時間以上続いた。ブレイカーは何も見ても驚くことなく、正確にして徹底的に破壊する。ギルガメッシュは何を壊されようが、動じず宝物庫を操る。すでに宝物庫の8割がブレイカーによって塵にかえるといういう事態を迎えていた。
接近戦をするギルガメッシュの鎧はすでに上半身が砕け散り、何度も別の鎧を着込むも無駄だった。やがて、無意味だと思ったのか、上半身裸で何度もぶつかりあう。ギルガメッシュの体には、彼の魔力の現れか赤い刺青が浮かび上がり、死力を尽くした接近戦を繰り広げる。
ブレイカーの手刀や脚刀を感覚強化の秘薬と、筋力増強の薬草で対応。技量では劣っているが、ギルガメッシュも乖離剣の威力をそのままに振り回すことで重い一撃を連打する。
「ハッ!」
「その程度かアンゴルモア!!」
最大限に魔力のこもった拳と同じく最大出力の乖離剣が衝突。余波で周囲の宝具をすべて消し去り、両者吹き飛ばされることで一定の距離ができる。
そして、距離ができたことでギルガメッシュは数時間前に破壊された光の船の残骸へと手を伸ばす。そして、その内部から黒い砲身の銃を取り出す。しかし、それに触れる前にギルガメッシュは巨大な籠手を装着し、わざわざ籠手越しに握る。
「それは?」
「数千年後のものだ。貴様よりもはるかに未来にある武具だろうな」
すでに過去ではブレイカーを倒せないと感じ始めている。それこそ有効な手段が乖離剣以外ギルガメッシュにはない。だからこそ、未来の原典へと切り替えた。そして、長き戦いの中で起こりうる可能性のある旧人類最後の武器を取り出した。
その武器は、黒の銃身(ブラック・バレル)
この銃によって放たれた弾丸は、エーテルによって活動する存在ならばいかなる能力値をも無視して傷を与える魔の一撃。神殺しの銃であり、攻撃対象になる生命種が強大な力、魔力を含むほどにその殺傷能力は飛躍してゆく。ゆえにエーテルを含むギルガメッシュにとっても有害な武器。
だが、無限の魔力を含むブレイカー相手はどうだろう。
「いやな武器持ってるな」
ブレイカーは、その銃弾をよけるつもりはなかった。ギルガメッシュが引き金を引くと、弾丸が発射される。それは王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の内にあるエーテルを破壊しながら、ブレイカーへと迫る。命中すれば即死につながる魔弾、遠い平行世界の未来では、とある惑星で最強の生物アルティメット・ワンの一体を倒した物体。
「けどよ、わかってるだろ。俺に”絶対”は意味がない」
必殺の弾丸は、ブレイカーが全力でふるった拳により効果を発揮する前に”破壊”された。呆気ない結末に、ギルガメッシュはブラックバレルを捨てる。
そしてようやく確証がいった。
「なるほどな、貴様の力は『権能』そのものか」
「正解だ。俺の力は、理論をすっ飛ばして破壊する。破壊することが俺の力であり、俺に与えられた権限」
そういったブレイカーは、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の空間を埋め尽くすような魔力を右腕から放出しだす。これまでで最大出力の宝具を放つ準備をしていた。
「なればこそ、その権能、我が打ち砕いてみせよう。限界を超えろエアよ」
ギルガメッシュは、乖離剣をどこでもない足元の空間に突き刺した。そして、エアの刀身が自動的に回転しだすと、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)内に巨大な三層の力場を出現させ、そこから発生する極大のエネルギーを相手に叩きつける構えをする。
さらに、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に残った全ての原典が乖離剣をバックアップし、ブラックホール3つを操るような英雄王の宝具を強化していく。
「貴様には、地の理や天の理すら生ぬるい。これぞエアの権能、遺伝子に刻まれた原初の地獄を見るがいい」
「全ての終わりを知れ、英雄王!」
自分の崩壊、そして抑止力の干渉すら度外視にエアの権能を解き放つギルガメッシュ。本当の全力を見せられたブレイカーも同じく権能に到達した宝具を開放する。
「「これで最後」」
「死して拝せよ――天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)ッ!」
「この世全ての終わり(ブロークン・ファンタズム)ッ!!」
王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の内部、黄金の世界が二つの権能の衝突により、空間が乱れ、無へとつながる亀裂と破壊による消滅が巻き起こり、当事者以外の全てが拒絶される。
王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中心、そこで拮抗する二つの力。三層の力場と赤い魔力の竜巻の混ざった必殺の宝具と白と黒の混沌の魔力。それらは互いに相手の権能を否定しあいながら、相手を消し刺そうとぶつかりあう。
すでに威力や規模は、互角。その戦いは、星を創った権能と星を終らせた権能。相容れぬゆえに表裏一体、その勝負は5分ほど続いた。しかし、勝負がつくときは、一瞬だった。二人の戦いの命運を分けたのは、ひとえに武器の違いだった。
自分の体を酷使するブレイカー。平然と戦っていたが、サーヴァントである彼の体は大きすぎる自分の魔力に内側から破壊され始めていた。王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)では傷がなくてもダメージは魔力を使うほど嵩む。
だが、それ以上に酷使されていたのはギルガメッシュの乖離剣エアだった。今日だけでも何発も最大放出を放ち、エネルギーを貯めたままEXランクの宝具であるブレイカーの魔力と打ち合い、想定されていない使い方をされたことで、不具合を起こした。
激しい回転にむらが発生し、威力の減退が発生する。
「く、ふんばれエアよ。ぬうううあああああああ」
「押し込む!!」
拮抗は乖離剣のオーバーヒートによって崩れ、次第に弱まった天地乖離す開闢の星をブレイカーのこの世全ての終わりが押し切る形で勝負がついた。
ーーーーーーーーー
「がふ、ごほ」
崩壊し始めた王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中で、どうにか原形を保っていたギルガメッシュだが、すでに消滅の一歩手前まで追いつめられていた。そして、口や全身から血を滴らせながら、戦いの勝者であるブレイカーを赤き瞳で見つめる。
それを見下ろす赤き瞳をもったブレイカー。彼も原形の残らないほど破壊された右腕を抑えながら、ギルガメッシュにとどめを刺しに迫る。
「--言い残すことは?」
「……ないな」
完全な敗北、満身や油断は一切なく、本気で殺そうとして敗れた。確かにこの世界の人間を間引くという目的はあったが、この戦いは価値のある戦いだった。人類の行く末にして、その結末の一つが自分を打ち倒すほどの存在となった。本来観測者であり裁定者である自分を下したのが、特異な力を持ちながらもれっきとした人間という結果、悪くはないと思っていた。
「ぐ、あああ、マスター……魔力を回せ、封印する」
ギルガメッシュにとどめを刺そうとしたブレイカーだったが、暴走する魔術回路から破壊の魔力は吹き出し、傷だらけの体を破壊し始める。彼の指示に従い、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の外側で魔力を生成しながら待機するアルカが念話で答える。
ラインを通じてアルカから、莫大な魔力が高圧力をかけた給水ホースのように流れてくる。その魔力を利用して、破壊スキルの刻印を体中に施していく。ブレイカーの戦闘にマスターの魔力は必要ない。
仮に衛宮士郎であってもブレイカーは全力で戦える。だが、それは自爆覚悟で世界を滅ぼす可能性を考慮しない場合。
戦闘が終わった後、ブレイカーは自分で出力を制御できないため、封印のためにマスターの、それも無尽蔵な魔力を持つ彼の魔力を封じられるだけの魔力がいるのだ。
体中に刻印が刻まれ、魔力の放出がようやくおさまる。ただでさえ披露したところに封印を施したことで、ブレイカーは、ふらつく。それは封印にほぼ全ての魔力を奪われたアルカも同じだった。妖精化をはじめ、魔力量が激増したアルカですら外では満身創痍だった。
今頃は、両膝を地面についているだろう。
{ここまで、なんて、聞いてない}
(悪いな)
ギルガメッシュは卸した後は、セレアルトだけだとブレイカーが次の戦闘の前にギルガメッシュを完全に消滅させようとしたとき、ギルガメッシュの既に乖離剣を離した右手から黒い魔力は吹き出し始める。
「何だと!? 汚物め、このような仕掛けを! ぐぅう」
「マスター、釣れたぞ。狙ってやがった」
ギルガメッシュの腕から発生した黒い魔力は、ギルガメッシュの魔力を奪いながら増大。王の財宝の中でサーヴァント召喚の魔方陣を作り上げる。黒い魔力で編まれた魔方陣は、内容が魔術を使えるブレイカーでも理解できない構成だった。
そして、それが輝くと召喚陣から黒と銀の鎧姿の馬鹿げた魔力を纏った英霊が現れる。そしてその手には、金色と黒の鞘に収まった、剣が握られている。
黒い鎧騎士は、兜の呼吸穴から魔力を吐き出し、呼吸する。まるで世界に始めて生まれた動物のように。
呼吸だけで膨大な魔力を生成する生き物、そんな印象をブレイカーが感じたとき、それは黒い鞘から、黄金にして黒い……星の聖剣を抜いた。
そして見覚えのある聖剣、それを汚した上で打ち直したような武器は、呪いを纏いながら星の外敵であるブレイカーを殺さんと剣自身が殺気を放つ。
見ただけで乖離剣に匹敵する宝具が、何倍にも出力を上げ、ブレイカーに降り下ろされる。
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「がっ、ごほ」
王の財宝の外で待機していたアルカは、感覚共有でブレイカーの前に現れた存在を見たあと、泥で構成したコンテンダーを構えるも、不意打ちのように背中から黒い刃がアルカの胸の谷間を越えて生える。
激痛とダメージから吐血するアルカ。襲撃者は、そんな彼女の髪を背後から撫でる。
「うふふ、狙い通り。こんばんわアルカ。そして、さようなら」
アルカを背後から突き刺したのは、腕を刃に変化させたセレアルト。彼女は自分の持つ空想具現化による転位を使用し、アルカの背後へと現れたのだ。
ブレイカーは消耗、ギルガメッシュは戦闘不能、アルカが魔力切れ。タイミングは完璧だった。
ずっと狙っていた邪魔物を消す瞬間、そして達成した事にセレアルトは笑う。アルカは魔力切れで霊体化も出来ず、地面に倒れ伏す。その無様な姿を見て、彼女はアルカの頬を撫でる。死んだ哀れな存在を愛でるように。
世界は自分のために回っている。それを信じきった彼女は不要な存在の消去が一辺に叶ったことで気分を良くしていた。
だから気が付かなかった。刺されたアルカが、無表情でセレアルトの腕を掴み、油断したセレアルトの額を掌で掴む。
「しぶといわね……」
「……これを狙っていたのは……私」
セレアルトを引き摺り出す方法、それをアルカは見つけていた。彼女はブレイカーを苦手とし、避けてきた。妖精化したことで思考がセレアルトに近寄ったこと、同じ存在だった事がアルカに彼女の性格を先読みさせた。
セレアルトなら絶対見逃さないこの瞬間こそ、セレアルトを捕まえるチャンスだと。
「私を嵌めた……貴方が? ふざけるな予備の癖に‼」
「死んで、セレアルト。お前は絶対許さない」
セレアルトは、無数の触手をアルカの体に突き刺し続ける。しかし、アルカは彼女を離さない。
「install」
「なんで」
アルカがなけなしの魔力で使った彼女の魔術。それは愛歌の死体に寄生する、セレアルトの魂を再び己へと内包したのだった。