Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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 FGOのガチャ、どうも日本の英霊がよく当ってる気がしますw衛宮一家そろってテンションあがりました。


意外な結果

 

 一日で二度目の固有結界。荒野に剣が刺さった心象風景。その世界に桜とセレアルトを招いたアーチャー。元より勝つ事は視野に入れていない。時間を稼げればいいのだ。あわよくば状況を打破できるヒントをつかめれば、儲けもの。

 すでに死地だと言うのに、アーチャーの気分は晴れていた。答えを得たからかもしれない。

 

「ここが、アーチャーの固有結界なのね」

「先輩、どこにいっちゃったんですか」

 

 世界が一変したことで桜が再び不安定になる。だが聖杯の負の塊である現在の桜を固有結界に閉じ込めたは良いが、少しづつ侵食されていく感覚がある。しかし、アーチャーにはそれより気になる点があった。

 

「どうしたのかね、まさかおじけついた訳ではあるまい?」

 

 先程まで、サーヴァントである自分ですら勝てない不気味な魔力を持って居たセレアルト。一度沙条愛歌と遭遇した事はあるが、確かに中身が別物だ。聖杯戦争初期の少女と眼の前の少女、見た目は同じでも性質が違いすぎる。

 そして、アーチャーが一番気になる点は、セレアルトが固有結界を展開されると同時に疲れを見せ始め、魔力が10分の一以下になっている所だ。

 

「まさか、とても楽しみよ。どうやってエスコートしてくれるのかしら?」

「そうだな、手始めに剣の雨などどうだ」

 

 アーチャーは、既に肩で息をするような程消耗しているセレアルト目掛けて、固有結界内の剣群を空中に停止させ、一斉に掃射する。まさに剣で構成された絨毯がセレアルトへと迫る。その攻撃に反応した桜の使い魔が剣を飲みこみ桜への攻撃を無効化する。

 だが、それはアーチャーにとっては問題ではなかった。衛宮士郎だった彼に桜を攻撃するつもりは無く、セレアルトにだけ攻撃が成立するなら行幸だ。そして、先程アーチャーの剣を摩訶不思議な力で砂に変えたセレアルトは、何故かその力を行使せず先程まで空中に浮遊させていた宝石を使った魔術で剣群と撃ち合っていた。

 そして、互いに拮抗した剣と魔弾で数10分以上争いが続く。天秤は傾く。

 

「これは、想像以上に……ふふ」

「余裕だな。このままも押し切らせてもらおう」

 

 無限の剣に有数の宝石魔術では、剣群が全て宝具ではない鉄の剣だとしても物量で圧倒出来る。現に百近い宝石を使いきったセレアルトには無骨な剣が幾つも刺さっていた。胸や足、そして目にまで刺さり徐々に剣の筵に包まれていく。

 

 まさかこうもあっさり勝負がついてしまうのかと淡い期待を抱いてしまうアーチャー。全身を剣で串刺しになれ、生きている人間はいない。だが、剣の山となったセレアルトの居た場所から、彼女の笑い声がする。

 

「アハハハ、いたーい。もう、折角取り返した身体が穴だらけよ」

「取り返した、か。凛達の話では乗っ取ったのではないのかね? それに君は本当人間か?」

 

 体中に剣が刺さり、流血の代わりに呪いを孕んだ泥が傷口から流れるセレアルト。泥が固有結界に触れるたびに、内側から汚染されていくアーチャー。けれどダメージは確実にある様で、セレアルトの魔力が弱まる。

 

「失礼ね。これは、元々私のなのよ。後、私は人間なんて下等な生き物ではないわ……それと、桜……折角手伝って貰おうと思ったのに腕を大事そうに抱きしめちゃって」

「桜君がこうなったのは君の仕業か」

「違うわよ。桜がこうなったのは必然。まぁ私が桜の背中を押した事は否定しないわ」

「……桜に何をした」 

 

 突然アーチャーが怒気を込めてセレアルトを睨む。摩耗したとはいえ、衛宮士郎の記憶に桜の姿はいつも存在した。自分にとって日常を与えてくれる彼女の事を弄ぶのなら、正義の味方ではない、衛宮士郎として許せはしない。

 そのアーチャーの心の内を知ってかセレアルトが体に刺さった剣を抜きながら語る。

 

「衛宮士郎、貴方の辿る可能性、その全てを見せてあげたの。あなた、聖杯戦争で一歩間違えれば死ぬ未来が多いのね。それを桜が見たことで、彼女は願ったのよ。衛宮士郎が他人の犠牲になって欲しくないっとね。この世全ての悪である私と」

「この世全ての悪……」

「今の桜は、抑えつけてきた悪意の化身。ほら、さっきまで傷付けて苦しんだのに、もっと先輩を欲しがってる」

 

 セレアルトが指をさせば、桜は幽鬼のように立ち上がって、士郎の腕を大切そうに抱きしめ、喜んでいる。

 

「さて、と。そろそろデートも飽きたわ。時間を稼ぎたいのはわかったから、相手してあげたのよ。でも、うふふ」

 

 魔力が減少し、顔色すら悪くなるセレアルト。その光景を見て、アーチャーはセレアルトの摩訶不思議の力を推察していた。強がっているが、もう数十秒も現界を保つ事は出来ない。

 だが、セレアルトも余裕は言葉ほど感じられない。何らかの魔術を使うのか、血液の体に滴る泥で魔法陣を描いて行く。黒い魔法陣が荒野に描かれ、発動する。

 

「刺激的なデートだったわアーチャー」

「……(考えろ。彼女はこの世界に来てから、明らかに様子がおかしい)」

 

 時間稼ぎのつもりの固有結界。なのにセレアルトは、奇怪な異能を使わず高位とは言え、魔術のみを使用している。その分、火力が低下している。そして人間離れした魔力に、人間ではないと言う発言。それらを組み合わせ、守護者の時に一度戦った幻想種を……。 

 

(そうか)

 

「君の力、空想具現化だな。精霊に近い幻想種などが用いる異能だと聞いていたが」

「へぇ。わかるんだ」

 

 空想具現化、本来自然、世界の触覚である精霊が持つ能力。自己の意思を世界と直結させ、範囲は局所的ながあら因果に干渉して、その望む空間になる確率を意図的に取捨選択し、世界を思い描く通りの環境に変貌させる秘術。 

 実質無敵に思える能力だが例外もある。それは世界から離れつつある人間や機械などの人工物に干渉できぬ点。だがそれ以外なら世界を操れる彼女に有効な攻撃は少ない。しかし、彼女の書き換える世界そのものを、塗り替えてしまうのが固有結界。元々空想具現化の亜種だが、その本質は人や人工物ですら塗りつぶす世界の改変。そして固有結界で作られた世界は、まぎれもない人の心象世界そのもの。

 それをセレアルトは、改変する事が出来ない。これがセレアルトの弱体化の理由だろう。

 

「けど、さようなら」 

「ふっ」

 

 黒い魔法陣から突然滲みだした膨大な魔力の塊。それが何か判断する事は出来ず、限界を越えたアーチャーを黒い閃光が呑み込んだ。消滅の瞬間、アーチャーは願った。

 

(今得た情報、お前達で活かせ)

 

 アーチャーが消滅した後も、逃げた凛達によって衛宮士郎に移植された腕を介して、彼等に情報が伝わる事を信じて。 

 


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