みんなの笑顔~日ノ丸新太の非日常~   作:人生美味礼讚

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今回は磯貝、片岡、岡野、前原との絡みです
視点は第三者視点で書いています


見据えるのは今じゃなくて未来 By磯貝悠馬

E組が始まった次の日のこと

 

「雪村先生、おはよーございます!!」

 

「日ノ丸くん、おはよう!」

 

隔離校舎に向かう山道の途中

新太は昨日と同じように雪村先生に元気良く挨拶をする

今日も彼は平常運転だ

 

「雪村先生、疲れるから荷物持つよー!」

 

「いや、いいわよ。そこまでしなくても…」

 

「僕が持ちたいのー!」

 

そう言って半ば強引に雪村先生から荷物を奪い取る形で荷物を持って山道を登る

このE組へと向かう山道は坂になっていて登るだけでもしんどいはずではあるが彼はそんなこと関係なしに雪村先生の横でルンルンとスキップしながら登っていく

 

「そういえば、聞いてよ雪村先生!昨日さ、捨て猫拾ったんだけどさ…。その猫人懐っこくてめっちゃかわいいんだよ!ミルクあげたら頬スリスリしてくるんだよ!」

 

「それはかわいいわね!今度見に行ってもいいかしら?」

 

「もちろん!」

 

新太の顔がパアァ…と明るくなる

この後のこの2人の話は猫の話題で持ちきりだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなー、おはよー!」

 

新太が教室のドアを開けて大きく挨拶をするが誰も返してはくれなかった

昨日と同じ暗い雰囲気であった

新太はそんなことお構い無しにニコニコ笑顔で自分の席へと座る

そして、鼻歌をしながら『魔人探偵脳噛ネウロ』を読み出した

連載が終わって随分古いマンガだが誰がみても鼻歌を歌いながら楽しそうに読んでいた

 

「こっちに来ても堂々とマンガ鑑賞かよ」

 

「さすが、元A組はデキが違いますなぁ…」

 

吉田と村松の皮肉めいた発言は新太には届かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は変わって放課後

授業自体は新太が元気良く発言したり雪村先生に抱きついたりとさほど変わったことがないので割愛しよう

磯貝と片岡は学級委員の仕事で他のみんなが帰っていく中帰らずに残っていた

彼らはクラスの推薦により、学級委員に抜擢されたが彼らから目に光を感じられない

彼らもまたE組の劣等感を抱えている人である

 

「全く…。なんで私たちがこんな仕事を…」

 

「仕方ないさ。クラスの推薦なんだから」

 

「ハァ…」とため息つきながら片岡は手を動かす

彼らは今、クラスの時間割表を作成している

これまでに名簿作成、座席表作成、更衣室の整理などいろんな仕事を任され、時間割表作成で最後だ

 

「それにしても、なんで日ノ丸は学級委員に立候補しなかったんだ。あいつが1番やりたがると思ったんだけど」

 

磯貝がふと新太に対して疑問に感じて手を止めた

新太は何でもやりたがる性格だ

それは昨日今日の授業から磯貝は分かっていた

数学の演習の解答、国語の教科書の朗読など自分から進んでやっていた

学級委員も新太が立候補してもおかしくないと思ってたが、学級委員だけはみんなと同じく磯貝と片岡の2人を推薦していた

磯貝は新太が学級委員になぜ立候補しなかったのか疑問に感じていた

 

「さあ……。元A組の考えることなんて分からないわ」

 

片岡はそっけなく答える

磯貝は「そうだな…」と小さく言うと止めていた作業を再開する

それから2人は黙々と時間割表を作っていく

そして、10分後………

 

「ふぅ、やっと出来た」

 

E組の時間割表が完成した

2人は仕事を終えた少しばかりの達成感にひたっていた

 

「さて、職員室に持っていきましょう」

 

片岡はそう言うと立ち上がる

磯貝もすぐに立ち上がる

今日作った名簿、座席表、時間割表等のものを職員室に出しに行かなければならない

2人は必要なものを持つと教室から出て、職員室に向かおうと廊下に出た

そこで2人はあるところに目が止まった

彼らが見ているのは職員室ではなく、その奥…廊下のつきあたりのところである

そこには2人の生徒がいた

前原と岡野である

この2人は学級委員の2人の手伝いをしてくれた者である

先程帰ったと思ったがなぜまだ校舎に…

磯貝と片岡は同じ疑問を持っていた

 

「おーい、前原、岡野。どうしたんだよ?」

 

磯貝は2人の名前を呼びながら片岡とともに駆け寄る

2人の口はあんぐりと開いたままだった

片岡が「どうしたの?」と質問する

 

「あれ、見てみろよ……」

 

ザシュ……

前原の声とともに聞こえてきた謎の音

彼の指を指す方向を見てみるとバスケットゴールがあった

さっきの音はボールがネットをくぐった音なのだと磯貝と片岡は納得する

そのボールを打った人物は……

 

「日ノ丸…?そうか!あいつバスケ部だったな!」

 

磯貝は日ノ丸の姿を見て思い出すようにして言う

新太は磯貝、前原、片岡、岡野の4人に気づくことなく黙々とシュートを打ち続ける

そして、何時もの彼とは違った雰囲気を感じていた

 

「30本目……」

 

岡野がボソッと呟く

そのことに対して片岡が「何が?」と聞く

 

「あいつ、さっきから30本同じアーチ、同じ入り方で入れてる」

 

「え……………」

 

岡野の言葉に磯貝と片岡の2人は目を見開いて驚く

それに続くようにして前原が言葉をつなげる

 

「俺らも最初は面白半分で見てたんだ。けどよ、見てるうちに……なんか…………鳥肌立っちまった。俺はサッカー部だったからさ、なんとなくシュートの入る入らないとか感覚で分かるんだよ。でも、あいつのシュートは…………ボールを指先から離れた瞬間、ボールの軌道が見えるんだよ……。感覚とかそういう問題じゃない。はっきりと見えるんだ、ボールの軌道が。入るか入らないかが打った瞬間分かるんだよ…」

 

前原がそう言っている間にも新太は3本もシュートを決めている

そのフォームも素人目から見ても分かるほどに綺麗かつ洗練されていた

彼のシュートはもはや芸術の域である

4人はそう感じていた

 

「どうしたの……?」

 

「雪村先生………」

 

突然、声をかけられ後ろを振り向くと雪村先生の姿があった

雪村先生は窓の外でシュートを打っている新太の姿を見てニッコリしていた

 

「日ノ丸くん、今日もシュート打ってるのね」

 

「今日も……?」

 

雪村先生の「今日も」という言葉に引っかかった磯貝は聞き返す

 

「日ノ丸くん、昨日もシュート打ってたのよ、500本も。今日は1000本やるって言ってたわね」

 

「1000………!?」

 

その予想外の数に4人は目を見開く

あのシュートを1000本も打つのか

そんなに打つと思うとゾッとした

 

「でも、どうしてそんなに……」

 

「僕には身長っていう才能がないからだよ」

 

今度は窓の外から声がしたのでそこを見るとひょこっと顔を出している新太がいた

 

「バスケはね…、身長のスポーツ、背の高い人が勝つ競技だよ。それでも、僕はバスケが好きなんだ。バッシュから出るスキール音、ボールがネットをくぐる音、観客の歓声……どれも僕は好きなんだ。だから、バスケは好きだし好きなもので負けたくないしその背の高い人に勝つためには身長以外で勝負しなくちゃいけないんだ」

 

新太はバスケに対してそう語る

その雰囲気はいつもの幼い雰囲気ではなく、どこか大人っぽい雰囲気だった

 

「それでも、ここでは部活は禁止なんだよ!こんなことしても……………意味無いでしょ!」

 

岡野が目に涙を浮かばせながらそう叫ぶ

岡野の言葉を聞いて他の3人も暗い雰囲気で俯く

彼女もまた部活に力を入れていた人間で成績不振のため、このE組に来させられたのだ

その悲痛な叫びを聞いて、新太はにっこりと笑って答える

 

「確かに今は意味は無いね。でも、だからって好きなものを辞めたくない。心から好きなものをE組に来たからって、部活できないからって諦めたくない。今は羽ばたけなくても未来の自分が羽ばたければそれでいいと思う。それまでに何百、何千の挫折はするよ。それでも、そのたった1度羽ばたくために僕は頑張りたい。「大器晩成」……………………………それじゃダメかな?」

 

新太はまっすぐ岡野たちを見てそう言った

最後の方は照れくさそうに頬を指でかきながら話していた

それを聞いた岡野たちはさっきの暗い雰囲気とは違って表情に明るみを帯びていた

自分の好きなことに肩書きや世間の意見なんて関係ない

どうやら、4人ともそのことに気づいたようだ

 

「あんたって、元A組でヘラヘラしてるから私は嫌いだった」

 

片岡があからさまに嫌な表情をして話すと新太は「えぇーー!!」と文句言いたげな声をあげる

しかし、片岡はその後「フフッ」と小さく笑い言葉をつけ足す

 

「でも、そんなことなかったわ。むしろ、私たちよりしっかりした考えがあったわ。こんな小さくても頑張ってる子がいるのに私たち、バカみたいね。ごめんね、日ノ丸くん」

 

その言葉を聞いて新太はパアァといつもの満面の笑みになる

 

「ホントだよな。どんなちゃらんぽらんな奴かと思ったけどなぁ」

 

「前原くんに言われたくない」

 

「なんだと!!?」

 

その前原と新太のやりとりを見て、この場にいる6人から笑いが起きる

昨日今日では出ることのなかった心からの笑いである

 

「そうだ!せっかく6人いることだし、3on3やろうよ!」

 

新太の提案に磯貝、前原、片岡、岡野の4人が快く受け入れる

 

「え、でも新太入れて5人じゃない?」

 

「雪村先生も含めたら6人でしょ?」

 

新太のその言葉に雪村先生は「え、私も?」みたいな顔をする

 

「ご、ごめんね。私はちょっ……」

 

「よーし、みんなやろうー!」

 

新太のそのかけ声とともに雪村先生は磯貝たち4人によって連行されていった

この後、雪村先生を含めた6人で夕方まで3on3をしていた

 

 

 

 

 

 

ーー日ノ丸新太は太陽である。

暗い気を晴れやかにしてくれる。ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《NG集 1》

前原「入るか入らないか打った瞬間分かるんだよ」

 

岡野「え、じゃああれはどう?」

 

前原「あれも入る」

 

ゴンッ

 

磯貝「…………………………………次のはどうだ?」

 

前原「これは………入る」

 

ゴンッ

 

片岡「…………………………………………………………………次は?」

 

前原「………入る」

 

ゴンッ

 

前原「てめ、なんで俺が予想してる時だけ外してんだよ!!!」

 

磯貝「前原落ち着け!今回は見栄張ったお前が悪い!!」

 

前原「そもそも、話につっこんできた岡野も問題だろ!!」

 

岡野「はぁ!?なんで私が悪いのよ!!」

 

片岡「2人とも落ち着いて!これNG集だから!!」

 

新太(なんか、楽しそう……)




なんか、絡みという絡みがなかった気が………
ちなみに毎回、NG集はつけていきます
さて、ヒロイン誰にしよう…………?
誤字脱字、ヒロイン希望、コラボしたいなどありましたら感想の方でお伝えください

新太「露骨なコメント稼ぎー!」

うるさい!!

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