秋が冬に近づこうとしていた日、光は飛鳥の部屋へ遊びに来ていた。
「飛鳥の部屋は何か様変わりしたな。ちょっと片付けた」
「季節によって、部屋を変えてみる。人が例え訪れなくとも、自分に季節を感じさせるのはいい事だよ」
もっとも、今は君が来るけどねと言いながら、飛鳥はいつものようにサイダーを差し出す。
「そろそろサイダーって季節でもなくなってきたな。おしることかいいかもな」
「緑茶とコーヒー以外ならボクはいいよ。温まる甘いものならね」
サイダーをコップに汲みながら飛鳥は光に差し出す。
その光はというと壁に整理されて置かれてあるエクステに目を取られていた。
「飛鳥、エクステも季節によって変えるのか?」
「勿論。仕事のステージの違いもあるけど季節や自分の感情、天気やその場の雰囲気で変える事もあるよ」
「そっか」
光はエクステにさわりながら、じっと見ていた。
「何なら、光もつけてみるかい?」
「いいのか?」
「いいけど、君のその長い髪には合わないと思うけどなぁ」
「あ、それならアタシつけてほしい色があるんだよな」
光は、飛鳥に幾つかのエクステを選んでつけてもらう。
光の黒い長い髪に赤のエクステがつけられた。
「これぞ、南条光。フレイムスタイルだっ」
「……」
飛鳥はため息を付きながら青いエクステを渡す。
「南条光、アクアスタイル。はい、飛鳥にはこの前もらったカレースープ。アタシの一番始めのをあげる」
「それはどうも。でも、まだまだ立川さんにはかなわないよ」
「まだまだ、あるぞ、この赤と黄色の二つを合わせて……南条光、マグマスタイルだ」
「何か急に別物が出たね」
「前にあるヒーローが色の違うコインを付けて変身しているのをみてさ。それが色んなフォームが作れるんで面白いなと思ったんだよ。だから、飛鳥のエクステで出来るかなと思った」
「ボクのエクステは変身道具か……まぁ、一理あるけど」
飛鳥が苦笑を浮かべる中、その後、エクステの色を変えたり、他の色を組み合わせたりして南条光の色んなフォームを飛鳥に見せた。
「そして、これがっ!」
エクステを羽根のようにいくつもつけ、背中の髪がもう一つ生えているようにまでなっている光が叫ぶ。
「南条光、インフィニティスタイルだー!!」
「……」
飛鳥は茫然とそれを見ながら、自分の付けているのを触ると光のエクステを外しにかかる。
「あ、こらやめろ。せっかくここからの必殺技が」
「君に必殺技があってもボクのアイデンティティをないがしろにされちゃこまるんでね」
結局、光の必殺技はお倉入りになった。
これが、南条光と二宮飛鳥のふとした一日
なんとなく書きたくなったのでさっと書いてみました。
次はもう少し実のあるのを書きたいと思います。