ハイスクールD×D 死を宿した人外   作:ゼルトナー

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今更ですが、主人公の概要を簡単に書いておきます。
身長182cm、体重86kgの黒髪に紅い瞳のイケメン。学園では可能な限り生徒とは関わらないようにしながら学園生活を送っているつもり。だが、実際のところは学年問わず男女両方からの人気が高い。その理由は困っている生徒に的確なアドバイスをしたりしているのと学園内でもトップのイケメンだからである。このことについて本人は知らない。最近の噂では、こっそりリアスと朱乃のどちらかと付き合っていると思われている。(本人曰く親友だと言っている)
戦闘時は裾と袖がぼろぼろになっている黒のロングコートと黒のズボンにロングコートに付いているフードを深く被り、顔には骸骨の仮面を被っている。戦闘方法は基本的には剣と魔法を同時に使い相手に攻撃する隙を与えない方法で戦っている。また、気に入って相手には全力で戦っている。気に入らなかった相手は犬の餌にしている。

以上です。少し長くなりました。


Life.7 お前らは犬の餌だ

 悪魔祓い(エクソシスト)達と戦闘を始めてから数分が経っていた。周りには恐怖や絶望など負の感情に顔を歪めて死んでいる者達に、喉を食い千切られて死んでいる奴らの死体があった。

 

 その惨劇を見ていた俺の周りを紅い眼を爛々とした黒い犬が尻尾を振りながら歩いていた。

 

 何故こんなことになったのかは大鎌を構えて、悪魔祓いと戦おうとしたときに戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪魔祓い(エクソシスト)と戦闘を始め様と大鎌を構えると、目の前に魔方陣が突如として現れた。その魔方陣からは瞼を閉じた一匹の黒い大型犬が出てきた。

 

「まったく。エレナの奴、余計なことを」

 

 この黒い犬はヘルハウンドと呼ばれる冥府に生息している魔物だ。伝承ではイギリスやアイルランドの民話に登場するブラックドッグやバーゲストと同様、死を運んでくる魔物として有名だ。

 

 エレナはおそらく俺がこの大鎌を出したのを感じとり、ヘルハウンドをここに召喚したのだろう。

 

 このヘルハウンドは俺が幼い頃から使役している魔物で普段は冥府に放し飼いをしていてる。

 

 理由は人間界には連れて来てはいけないからだ。連れて来るときは極稀のことで、その内の一つは俺が大鎌を出した時などだ。

 

「魔物を一体だけ呼んだところでこの状況に変わりはないぞ!!」

 

 悪魔祓い(エクソシスト)の一人が叫び、剣を構えると他の悪魔祓い達もそれに呼応するかの様にそれぞれの獲物を構え始めた。

 

 ヘルハウンドが相手の戦意を感じとると、歯を剥き出し低い唸り声をあげて悪魔祓い(エクソシスト)達を威嚇し、地下全体に響くほどの大きな声で吠えた。

 

 それが引き金になったのか悪魔祓い(エクソシスト)達がヘルハウンドと俺に武器を構えて突撃してきた。

 

 悪魔祓い(エクソシスト)達を迎撃しようと武器を構えたが、ヘルハウンドが俺の前に出てきた。そしてヘルハウンドは閉じていた瞼をゆっくりと開いた。

 

 その眼は紅く爛々としており、眼の奥には真っ赤な炎が燃えていた。その眼を見た悪魔祓い(エクソシスト)達はなんの前触れもなく動きを止め、武器を落としてった。

 

「う、うわああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 悪魔祓いの一人が悲鳴を上げるとそれに続いて、ヘルハウンドの眼を見た悪魔祓い全員が悲鳴を上げ始めた。

 

「嫌だ、嫌だー!!」

 

「来るな、こっちに来るなぁ!!」

 

「死にたくない!死にたくなぃぃ!!!」

 

 悲鳴を上げた奴らはそれぞれ別の反応をしていた。恐怖に顔を歪めて死んでいく者、正気を失って何もないところに話し掛けている者もいる。

 

 ヘルハウンドの眼を見ずに済んだ奴らは突然起きたことに戸惑いを見せている。

 

「おい、お前らどうした!何をやっているんだ!」

 

 その中でも冷静に状況を把握している奴らは正気を失っているもの達に声をかけていた。

 

 ヘルハウンドは正気を保っている奴らから足音をさせることなく背後から一気に喉に食らい付き喉を引きちぎっていた。他にも虚空に話し掛けている奴らも同じようにしていった。その行為はまるで作業のように進んでいき悪魔祓い(エクソシスト)達は一人、また一人と数を減らしていき、ついに地下には俺と二人の堕天使を除いて一人残らず生きているものはいなくなった。

 

 このようなことが起き、冒頭に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 周りには悪魔祓い(エクソシスト)の死体だらけで、この惨劇を生み出したヘルハウンドは久しぶりに血の味に絶望していく奴らの表情を味わえたのが嬉しいのか機嫌が良さそうに尻尾を振っていた。

 

「ヘルハウンド、良くやった」

 

 ヘルハウンドを誉めながら頭や喉元を撫でてあげると、この惨劇を生み出したとは思えない甘えた声を出した。

 

 さて、そろそろリアス達の後を追うか。あっちも今ごろ決着が着いている頃だ。

 

 ミッテルト達を肩に抱えて階段を上ろうとしたが、後ろにある死体の片付けを忘れていた。歩くのを止めた俺はヘルハウンドが来る時に通ったものより巨大な魔方陣を展開した。

 

 その魔方陣からは巨大な獣が出てきた。その獣は死体を見るとよだれを垂らしながら死体を食べ始めた。ヘルハウンドはそれを羨ましそうに眺めていた。

 

 死体なんてものをよく食べられるな、と考えながら俺は獣をその場に残してヘルハウンドと共に階段を上っていった。

 

 

 

 

 

 階段を上り教会の聖堂に入るとそこでは白髪の男が兵藤に満面の笑みを向けていた。

 

「イッセーくん、イッセーくん。キミ、素敵な能力持っていたのね。さらに興味津々なり。殺したがいあるよねッ!キミ、俺的に殺したい悪魔ランキングトップ5入りだからヨロシク。次に出会ったらロマンチックな殺し合いをしようぜ?」

 

 なんだ、あの少年神父は?兵藤に興味があるから殺すとか狂った考えの持ち主だな。

 

「じゃあね!バイバーイ!みんな、歯磨けよ!」

 

 手を振ると、奴はその場から素早く逃げていった。追い付けない速さではないが、別に追いかけなくてもいいだろ。

 

「さて、下僕にも捨てられた堕天使レイナーレ。哀れね」

 

 リアスに対して恐怖を抱いているのか体を震わせているレイナーレは辺りを見渡していた。

 

 あいつの眼にはこの場からどうすれば逃げられるかという強迫観念にたたされているように見えた。

 

 辺りを見渡していたレイナーレが俺を見るとまだ生き残れると思ったのか体の震えが止まった。

 

「カラワーナ、ミッテルト!寝ていないで私を助けなさい!!」

 

 レイナーレが気を失っている二人に声を掛けたが、二人は起きる気配を見せない。どうやらレイナーレは俺を見たから助かると思った訳ではなくてミッテルトとカラワーナの二人を見たから助かると判断したんだろうな。

 

 だが、声を掛けても無駄だ。しばらくの間はどんなことが起きても眼が覚めないように暗示をかけた。

 

 レイナーレが何度もミッテルト達に声を掛けているが起きないと判断したのか次は兵藤に媚びるように近づいていった。

 

「イッセーくん!私を助けて!」

 

 兵藤に助けを求めるその姿は哀れとしか言いようがなかった。

 

「この悪魔が私を殺そうとしているの!私、あなたのことが大好きよ!愛している!だから、一緒にこの悪魔を倒しましょう!」

 

 涙を浮かべて兵藤に懇願しているが、あまりにもバカな行動に呆れて溜め息をついてしまった。ミッテルト達を聖堂の長椅子に座らせてヘルハウンドの傍に寄った。

 

「ヘルハウンド、あれは餌だ。食べてもいいぞ」

 

 餌、という単語を聞いたヘルハウンドはレイナーレに飛び掛かり、兵藤に伸ばしていた腕に噛みついた。

 

「な、何よ!この犬は!放しなさい!!」

 

 ヘルハウンドを振りほどこうと光の槍を形成しようとしたが、先にヘルハウンドがレイナーレの腕を噛み千切った。腕を噛み千切られた痛みに悲鳴を上げるが、そんなことお構い無しに次は喉に噛みついた。

 

「レイナーレ。お前は俺達が直接殺す程の価値もない。お前は犬の餌だ」

 

 レイナーレは何度も助けを媚びていたが俺達はそれを無視していた。いや、無視しなければならなかった。ヘルハウンドがレイナーレの体の一部を噛み千切るたびに肉が千切れ、血が飛び散り、骨が砕ける音に、悲痛な悲鳴を上げていた。

 

 兵藤はその光景を眼の前で見てしてしまいその場で嘔吐し、木場と小猫は酷すぎるあまり視線を反らした。リアスと朱乃は青ざめた顔でその光景を見ていた。

 

 ヘルハウンドがレイナーレだった物を食べ終わったあとには、重苦しい空気に黒い羽しか残っていなかった。

 

 

 

 

 ヘルハウンドが食事を済ませると、俺の傍まで歩いてきて口にくわえている淡い緑色の光を発光させている物を渡してきた。

 

「これは、『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)か」

 

 レイナーレを食い殺していたときに偶然見つけてくれたんだろうな。

 

 ヘルハウンドの頭と喉元をまた撫でてあげると先程と同じように甘えた声を出した。

 

「ハース、その神器を渡してちょうだい」

 

 リアスが手をさしだして『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)を渡すように頼んできた。一瞬だけ『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)に視線を移したが、リアスに『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)を渡した。

 

 『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)を受け取ったリアスは兵藤の元に近づいていった。

 

「さて、これをアーシア・アルジェントさんに返しましょうか」

 

「で、でも、アーシアはもう・・・」

 

 兵藤の近くで倒れている金髪の女性を助けてあげられなかったのが悔しいのか、兵藤は顔を伏せてしまった。

 

「・・・部長、みんな、俺とアーシアのために本当にありがとうございました。で、でも、せっかく協力してくれたけど、アーシアは・・・」

 

 顔を上げて礼を言う兵藤だが、また顔を伏せて彼女、おそらくアーシアのことを見ていた。

 

「イッセー、これ、なんだと思う?」

 

 リアスがポケットからの『僧侶』(ビショップ)の駒を取り出した。

 

「それは?」

 

「これはね、イッセー。『僧侶』(ビショップ)『僧侶』の駒よ」

 

「へ?」

 

 間の抜けた声を出した兵藤はリアスを見つめた。

 

「あなたに説明するのが遅れたけど、爵位持ちの悪魔が手にできる駒の数は『兵士』(ポーン)が八つ、『騎士』(ナイト)『戦車』(ルーク)『僧侶』(ビショップ)がそれぞれ二つずつ、『女王』(クイーン)が一つの計十五体なの。実際のチェスと同じね。『僧侶』(ビショップ)の駒をひとつ使ってしまっているけれど、私にはもうひとつだけ『僧侶』(ビショップ)の駒があるわ」

 

 リアスが兵藤にこのことを話した意図がわかったぞ。つまり、もうひとつの『僧侶』(ビショップ)の駒でアーシアを蘇生するつもりなんだ。

 

 リアスは駒を持ってアーシアのもとに足を進めて彼女の胸に駒を置いた。

 

『僧侶』(ビショップ)の力は眷属の悪魔をフォローすること。この子の回復能力は『僧侶』(ビショップ)として使えるわ。前代未聞だけれど、このシスターを悪魔へ転生させてみる」

 

 兵藤はリアスが何を言っているのかわかっていないのか首を傾けた。

 

「兵藤、リアスはその『僧侶』(ビショップ)の駒を使えば彼女が生き返ると言っているんだ」

 

 『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)にはそんな力もあるのかと知った兵藤は信じられないといった表情でリアスを見た。

 

「ほ、本当なんですか!部長!?」

 

「ええ、そうよ。でも、死んでから時間が経ちすぎていると流石に生き返らせられないけれどね」

 

 アーシアが生き返るかもしれないという事を聞いた兵藤は嬉しそうに笑い出した。

 

 話が終わるとリアスの体を紅い魔力が覆い、兵藤を悪魔にしたときとは違う呪文を唱えた。

 

 その時、駒が紅い光を放ちアーシアの体に入り込まれていき、それと一緒にアーシアの『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)も淡い緑色の光を発光させて入り込んだ。

 

 その二つがアーシアの体に入るのを確認すると、リアスは体を覆っていた紅い魔力を解いた。

 

 息を吹いたリアスはアーシアの傍から離れた。すると瞼を閉じていたアーシアが少しずつ瞼を開き始めた。

 

 瞼が完全に開くと府抜けた声を出して辺りを見渡した。それを見ていた兵藤は今にも泣きそうな顔をしていた。そんな兵藤にリアスは優しい笑みを浮かべた。

 

「悪魔をも回復させるその子の力が欲しかったからこそ、私は転生させたわ。ふふふ、イッセー、あとはあなたが守っておあげなさい。先輩悪魔なのだから」

 

 イッセーにアーシア守るように言ったリアスは俺の傍に来た。

 

「お疲れ様、ハース。今日はありがとう」

 

「別に礼を言われるためにしたんじゃない。俺は大切な後輩を殺そうとした堕天使に個人的な恨みを抱いたからやっただけだ」

 

 そんな俺の態度にリアスは眼が点になると、口を押さえて、肩を震わせながら笑いそうになっていた。

 

「俺は何か変なことを言ったか?」

 

「いいえ、ごめんなさい。あなたがそういう人だというのを改めて思い出しただけよ」

 

 どういうことだ?俺はいつもどうりのはずなんだが。

 

「ところで、リアス。兵藤はどうやってレイナーレに勝ったんだ?今のあいつの実力だとレイナーレには勝てないはずだが?」

 

 兵藤だけが戦った可能性は低いと思った。聖堂には木場と小猫の二人も向かったのだから加勢していると思ったのだが、木場達が加勢した痕跡が見当たらない。そのことから兵藤は単独でレイナーレを倒したと考えた。

 

「そうね、今のイッセーからはレイナーレを倒したようには見えないけど、確かにイッセーは一人でレイナーレを倒したわ。私がこの眼で見ていたのだから」

 

「どうやってレイナーレに勝ったんだ?」

 

「イッセーの神器は『龍の手』(トゥワイス・クリティカル)なんかじゃなくて『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)だったの。レイナーレとの戦闘の途中で神器が覚醒したおかげでイッセーはレイナーレに勝てたわ」

 

 『赤龍帝の籠手』、それを聞いた俺は顔にこそ出さなかったものの内心は驚愕に満ちていた。

 

「そうか、イッセーが今代の『赤龍帝』か。こんな運命もあるんだな・・・」

 

 皮肉なものだ、俺の知り合いには『白龍皇』がいるんだ。今頃ヴァーリの奴はライバルの出現を感じ取って喜んでいるのかもしれないな。

 

「ねえ、ハース。私も聞いてもいいかしら?」

 

「なんだ?」

 

「あの黒い犬はなんなの?」

 

 リアスは俺の後ろで寝ているヘルハウンドに指を指した。

 

「あいつはヘルハウンド。名前ぐらいは聞いたことあるだろう?」

 

 ヘルハウンドの名前を聞いたリアスは顔を真っ青にしていた。

 

「ヘルハウンドって、冥府に生息している魔物じゃない!どうしてそんな魔物があなたの傍にいるのよ!?」

 

 不味いな、このことは親友のリアスにも話すわけにはいかないな。

 

「リアス、これだけは言っておく。このことについてはあまり深く知ろうとするな。三大勢力にも大きな影響を与えるぞ」

 

 リアスは俺の言ったことを理解したのか「わかったわ」とだけ言って今日は引き下がってくれた。良かった、引き下がってくれて、そうでもしてくれなかったらリアス達の記憶を変えなきゃいけなくなるからな。

 

 俺はリアスとの話を終えると兵藤とアーシアの二人を見た。それだけ確認すると聖堂にある長椅子に座らせていたミッテルト達を持ち上げて、ヘルハウンドと共に家に帰った。

 

 

 




テスト期間に入るため、投稿をしばらくお休みします。次回はおそらく二週間後になります。
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