ハイスクールD×D 死を宿した人外   作:ゼルトナー

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 投稿するのが少し遅れて申し訳ありません!次回からはなるべく遅れないようにします。

 それでは、どうぞ。



Life.5 堕天使の愚行

 オーフィスが俺の家で暮らすようになってから数日が経っていた。オーフィスは今ではエレナ達と家族同然の付き合いにまでなり、俺の家に来ていた頃以上に、感情表現が豊かになっていた。これもエレナ達のおかげだな。

 

 他にもその数日の間にヴァーリから兵藤を襲った堕天使についての資料が送られてきた。

 

 どうやら兵藤を襲った堕天使の名前はレイナーレと言うらしく、こいつには堕天使の部下が3人いて、そいつらは今もレイナーレと共に行動をしているようだ。

 

 資料によると、どうやらレイナーレはまだこの駒王町にて神器所有者がいないか調査をしているらしい。この資料の内容が正しいのなら今も堕天使共は駒王町に居るということになるな。

 

 もうしばらくの間は兵藤の周りを警戒しておいた方がいいな。

 

 ああ、兵藤で思い出したが、兵藤がついに悪魔として本格的に契約をしに行ったとリアスから教えてもらった。最初は兵藤も頑張っているなと思っていた。

 

 だがリアスの話を聞いていると、兵藤が魔方陣をから依頼人の所まで行くことが出来ず、自転車で依頼人の所まで直接行くという前代未聞の出来事を起こしたということを聞いた。

 

 俺はその話を聞いた時、驚きのあまり思考を停止させてしまった。なぜなら普通は転生したばかりの悪魔でも魔方陣から転移するだけの魔力はあるからだ。転移ができなかったということは魔力が低レベルすぎて魔方陣が反応しないということになる。

 

 兵藤、お前は本当に『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)を八個も使って悪魔に転生したのか疑いたくなるよ。

 

 まあ、そんなこともあり、俺はリアスに呼ばれてオカルト研究部に来ていた。なんでもリアスが俺とチェスの対戦をしたいと申し込んできたからだ。

 

 俺はそれを承諾して現在リアスとチェスで対戦している。戦況は俺が圧倒しており、リアスは悔しそうな顔をして悩んでいる。

 

「おい、リアス。手が止まっているぞ。いいから速く駒を動かしてくれ」

 

 リアスの手が止まってから既に五分が経っており、俺はその間に駒をどう動かすかを何通りも考えていた。

 

「なら、これでどうかしら」

 

 リアスは長考した末やっと駒を動かした。だが、俺はリアスが次に動かす駒のことも考えていたので、すぐに駒を動かした。

 

「そら、リアスの番だぞ」

 

 俺が駒をすぐに動かしたせいなのかリアスはまた難しい顔になった。そしてリアスはついに諦めたのか投入を宣言した。

 

 ふう、やっと終わったか。チェスを始めてもう三時間以上は経っているぞ。

 

「また負けた。これで私の三戦三敗だわ」

 

「そして俺の三戦三勝だな。中々良い勝負だったぞ」

 

 俺はそう言うがリアスは「嘘よ。終始あなたの圧勝じゃない!」と、なんとも子供みたいに騒ぎ始めた。そうは言うが、俺にチェスでここまで張り合えた奴はそんなにいないからな。

 

 しかし、学園の『二大お姉さま』とまで呼ばれるリアスが子供みたいに騒ぐとは意外だな。今のリアスを学園の生徒が見たらどんな反応をするんだろうな。

 

「ハース、もう一度よ。次は勝つんだから!」

 

 え、まだやるの。俺もう疲れたんだけど・・・。

 

「なあ、リアス。三時間もチェスをやるのは流石に疲れたからもういいだろ」

 

「いいえ、まだよ。私が勝つまで続けるわ」

 

 リアス、お前疲れを知らないのか。しょうがない、もう少しだけやるか。

 

 そして俺は結局、兵藤が来るまでリアスとチェスをし続けることになった。

 

 

 

 

 

 

「二度と教会に近づいちゃダメよ」

 

 兵藤がオカルト研究部に来てから少しだけ時間が経っていた。

 

 どうやら兵藤は家路についていた途中に金髪のシスターに出会い、教会まで道案内をしてきたらしい。

 

 その事に関してリアスは、かなりご立腹のようだ。今も険しい顔をしているかな。

 

 リアスは兵藤に教会が悪魔にとって敵地であること、それから悪魔が教会に足を踏み込むだけで神と悪魔の間で問題が起こることを説明していた。

 

 その話が終わると兵藤は自分がとんでもないことをしたことに気づいたのか顔を青ざめていた。まあ、無理もないな。知らなかったとはいえ、天使がいたら光の槍で殺されていたかもしれないんだからな。

 

 それからリアスは他にも教会の『悪魔祓い』(エクソシスト)についてのことも説明し、悪魔祓いを受けた悪魔が完全に消滅するということも説明した。

 

 そこまで説明してリアスは兵藤が反応に困っていることにようやく気が付いた。

 

「ごめんなさい。熱くなりすぎたわね。とにかく、今後は気をつけてちょうだい」

 

 リアスが我を忘れる程に怒ったんだ。相当なバカでない限りは心配ないと思うがな。

 

「あるあら。お説教は済みましたか?」

 

 リアスの説教が済んだのを見計らうかのように朱乃が兵藤の背後にいつもの笑顔で立っていた。

 

「朱乃、どうかしたの?」

 

 リアスの問いかけに朱乃が笑顔を止めて暗い表情になった。

 

「討伐の依頼が大公から届きました」

 

 

 

 

 

 

 朱乃からはぐれ悪魔の討伐依頼を聞いてからしばらく経ち、俺たちは町外れにある草木が辺りに生い茂った廃屋近くに来ている。

 

 ここには主のもとから逃げてきたはぐれ悪魔が潜伏しており、リアス達はそいつを討伐する為にここに来ている。

 

 日付は既に変わっており、空には綺麗な満月の月が出ている。

 

 とても良い夜だ。こんな綺麗な月の下で戦えるなんて運の良いはぐれだな。

 

「・・・血の匂い」

 

 俺の隣に立っている小猫が小さく呟き、鼻を制服の袖で覆っていた。

 

 血の匂いか。小猫がそう言うってことはこの数日の間に誰かがはぐれ悪魔に殺されたということだな。

 

 しかし、周囲には殺意や敵意といったものがあるが、あくびが出そうだな。俺が最後に戦ったはぐれ悪魔の方がもっと強い殺意と敵意を感じさせていた。ここに居るはぐれと最後に戦ったはぐれを比べると天と地との差があるな。

 

 俺がそんなことを考えていると、リアスが兵藤に下僕の特性を説明していた。その説明の中には、大昔に起きていた悪魔、天使、堕天使による三つ巴の戦争についての説明もあった。

 

 その戦争は終わりが見えない程に続き、三つの勢力が戦争を起こせなくなった時には悪魔の数が激減しており、種の存続が危ういことに気づいた悪魔があるものを作り出した。それが兵藤にも使った『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)だ。

 

 そしてその『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)を使って純血ではないとはいえ悪魔を増やし始めていく内に『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)の特性を用いた競技が流行り始めた。それがレーティングゲーム。これがなんと悪魔の中で大流行して今では地位にも影響を与える程になっていた。

 

 その事をリアスが兵藤に説明していて今の自分はまだ成人していないから公式な大会には参加できないことを話していた。

 

 それから兵藤が自分の特性をリアスから聞こうとすると、廃屋から殺意などが強く向けられてきた。奴がこちらにやっと気が付いたか。

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?けど、その中でも特に美味しそうな臭いがするぞ?これはどんな味がするのかな?」

 

 廃屋の奥には上半身が裸の美しい女性で下半身が四足もある獣みたいな姿をしたはぐれ悪魔がいた。高さは五メートル以上はありそうだな。最後に戦ったはぐれ悪魔よりも身長が二倍位あるぞ。

 

「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しにきたわ」

 

 リアスが堂々としながらバイザーに向けて言い放った。するとバイザーが異様な笑い声を出し辺りを響かせた。

 

 バイザーが笑い声を止めるとこちらに近づいてきた。近づくにつれてバイザーの大きさに驚かされるな。

 

「主のもとを逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

「こざかしいぃぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁ!その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁ!」

 

 うわ、小物臭が凄くする台詞だな。リアスもそう思ったのか鼻で笑っている。

 

「雑魚ほど洒落の聞いた台詞を吐くものね。祐斗!」

 

 木場が返事をするとその場から飛び出した。悪魔にしては速いな。木場の駒は『騎士』(ナイト)か。あの速さを出すにはそれしかない。

 

 それからリアスが兵藤に『悪魔の駒』についてのレクチャーを始めた。

 

 俺は『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)の特性については全部知っているからな、リアスの話は聞かなくても良いだろう。バイザーとの戦闘を見ていた方が面白そうだな。

 

 木場は『騎士』(ナイト)の特性を活かしてバイザーを翻弄していた。『騎士』(ナイト)の特性はスピードに特化している。バイザーは今のところなんとか木場を認識できているが、木場は少しずつ速度を上げていき、手に持っている西洋剣でバイザーに切り傷を浸けていた。

 

 バイザーは木場に槍を使って攻撃してはいるが、全然当たっていないな。どうやって主のもとから逃げたのか疑いたくなるぞ。

 

 木場は一度だけ止まると、一気に速度を上げてバイザーに斬りかかった。その瞬間、バイザーが槍を持っていた片腕が切り落とされた。バイザーは悲鳴を上げ、槍を持っていた片腕から血が溢れていた。

 

 速さは今の悪魔の中では十分なレベルに達しているが、剣を振っているときに少しだけな隙があるな。今度教えてやろう。

 

 次は小猫か。バイザーの近くにいるってことは近接戦闘に特化しているのか。だとすると小猫は『戦車』(ルーク)の可能性が高いな。

 

 バイザーは小猫を巨大な足で踏み潰そうとしたが、小猫はそれを両腕で受け止めていた。その際に小猫の足元にクレーターができていた。

 

 やっぱり小猫の悪魔の特性は『戦車』(ルーク)だったか。

 

 小猫がバイザーの足をどかすと、バイザーの上半身まで高く飛び、バイザーのみぞおちに拳を深く打ち込んだ。そのままバイザーは後ろに吹き飛ばされた。

 

 小猫の奴、小柄なのに一体どこからあんな馬鹿力が出てくるんだ。見た目によらず恐ろしいな。

 

 小猫がバイザーを吹き飛ばすと、俺のところまで歩いてきた。すると突然、小猫が俺に殴りかかってきたが、俺は小猫の拳を右手で受け止めた。

 

「なんのつもりだ、小猫?」

 

「先輩が失礼なことを考えている気がしたので殴りました。いけませんか?」

 

 失礼なこと?そんなの考えた覚えはないんだがな。もしかして小柄だってことを気にしたのか?

 

 俺がどんなことを考えたのか悩んでいると、夜空から雷が落ちてきた。雷が落ちたところを見ると、バイザーが雷に感電していた。

 

 バイザーの近くには朱乃がおり、朱乃が手を夜空にかざすと再び雷が落ちた。

 

 あの雷は朱乃が落としていたのか。とんでもない威力だ。下手な悪魔なら一撃で倒せるぞ。それに耐えてるバイザーって意外と頑丈だな。バイザーの悪魔としての特性は『戦車』(ルーク)だったのかな?

 

 朱乃が満足そうな笑顔を作りながらバイザーのもとから離れた。あの笑顔、バイザーに雷を落としてた時も浮かべていたからな、朱乃はかなりのSだな。

 

 リアスがバイザーのもとに近づいていき、掌をバイザーに向けた。

 

「最後に言い残すことはあるかしら?」

 

 リアスがそう訊くが、バイザーの目にはまだ戦意が残っていた。そして奴は残った片腕に槍を持ってリアスに襲いかかった。リアスも含め朱乃達は突然のことに反応ができていないようだった。

 

「おい、リアス。戦意の残っている奴に近づくのは危険だぞ。特に瀕死の状態の奴にはな」

 

 最後の抵抗ほど恐ろしいものはないからな。俺はリアスとバイザーの間に割り込み、バイザーの槍を片手で受け止めた。

 

「え、ええ。ありがとう、ハース」

 

 さてと、バイザーはどうしようかな。・・・よし、決めた。

 

「リアス、こいつの処理は俺にまかせてもらってもいいよな?」

 

「そうね、本当は私が止めを刺すつもりだったけど、いいわ。止めはハースに譲ってあげる」

 

 俺はリアスから承諾を得てから、バイザーの槍を握り潰した。それに奴は驚き、その隙に空間魔法を使って西洋剣を取りだして、そのまま奴の首を切り落とした。奴は断末魔をあげることなく絶命した。

 

 俺はリアス達の方に振り向いたが、リアス達は目を見開いて俺のことを見ていた。

 

「どうした、リアス。そんな驚いた顔をして」

 

 俺が声をかけると、リアスが「な、なんでもないわ」と言って朱乃達の方に振り返った。俺、何かしたか?

 

「とりあえず、終わったわね。みんな、ご苦労様」

 

 やっと終わったか。もう日付が変わっているからな、流石に眠い。

 

「リアス、先に帰るぞ」

 

 転移用の魔方陣を足元に展開して、そのまま自分の家の部屋に帰ってきた。リアスが何か言おうとしていたような気がするが、気のせいだろうな。

 

 俺は意識が朧気なままベッドに倒れ込み、そのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リアス達がはぐれ悪魔を討伐してから数日が既に経っていた。あの後、俺が目を覚ますとすぐ横にオーフィスが寝息を小さくしながら寝ていた。それに驚いた俺はつい大声を出してしまい、そのせいでエレナ達が俺の部屋に入り込んできてしまったんだ。

 

 それからエレナ達が変な誤解をして、大騒ぎをしていた。その騒ぎにさすがのオーフィスも目を覚ました。俺は起きたオーフィスに誤解を解くように頼んだのだが、オーフィスは寝惚けていたのか更に誤解を招くようなことを言っていた。

 

 オーフィスが更に誤解を招いたせいでその日はとんでもない日になってしまった。後からちゃんと誤解を解くことができたが、もうあんなことが起きてほしくないと俺は切に願った。

 

 そんなことを思い出しながら俺は自分のクラスに入り、席に着いた。

 

 席に着いてから北欧の魔導書を読んでいるとリアスが俺の目の前に深刻な顔で来た。

 

「どうしたんだ、リアス。そんな深刻な顔をして」

 

 リアスの様子がいつもと違ったので話しかけると、リアスがゆっくりと口を開いた。

 

「ハース、イッセーが堕天使と悪魔祓い(エクソシスト)に襲われたわ」

 

 あ?どういうことだ。イッセーが襲われただと。

 

「どういうことか説明しろ、リアス」

 

 リアスは昨日、兵藤が契約先の人のところに行き、その時に堕天使と悪魔祓い(エクソシスト)がその場にいて運悪く兵藤が攻撃を受けたことを教えてくれた。

 

 堕天使と悪魔祓いは自分がグレモリーだということを話すと、すぐさま撤退したと言う。

 

 引き際を心得ているな、最近の堕天使共は。

 

 兵藤は幸い、今日だけ安静にしておけば大事には至らないようだ。その為、今日は学園を休んでいるとのことだ。

 

「そうか、そんなことがあったのか。まさか、兵藤が襲われることになるとはな」

 

 兵藤が襲われないようにリアスの眷属にしたのにこれじゃあ逆効果だろうが、くそ!

 

 それからリアスは兵藤を襲った堕天使と悪魔祓い(エクソシスト)の特徴を教えてから席に戻った。

 

 スーツを着た男の堕天使に白髪の少年神父で、堕天使の名前はドナーシーク、神父の方はフリードだそうだ。

 

 しっかりお前らの名前は覚えたぞ。貴様らはやってはいけないことをした。その行いは、万死に値する。覚悟してろよ、堕天使共!

 

 こうして俺は兵藤を襲った堕天使を消すことにした。

 

 

 

 




サブタイトルにあまり触れてる気がしませんが、気のせいですよね?と、とりあえず、感想、評価お願いします。

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