それでは、引き続きどうぞ。
リアスが話を始める前に、朱乃が兵藤にお茶を渡していた。それから、俺とエレナにもお茶を渡してくれた。俺はもらったお茶を味わう程度に飲んでみた。
「美味いな、このお茶」
俺が言うと、兵藤とエレナも同じ様な感想を言っていた。
「あらあら。ありがとうございます」
自分の淹れたお茶が美味しいと言われてなのか、朱乃が嬉しそうに笑っていた。
お茶を飲み終えた俺は、ソファーから立ち上がり、エレナに座るよう促した。最初は遠慮していたが、俺がエレナが来る前からソファーに座って寛いでいたことを話すと、エレナは感謝の言葉を言ってからソファーに座った。
俺はエレナにソファーを譲った後、部屋の壁に背中を預けてリアス達の話を聞くことにした。
「単刀直入言うわ。私達は悪魔なの」
おい、リアス。いくらなんでも単刀直入すぎるだろ。そのせいで兵藤の顔が信じられないって言っているぞ。
「信じられないって顔ね。まあ、仕方ないわ。でも、あなたもあの日、黒い翼の女に襲われそうになったでしょう?」
ああ、あの女堕天使か。この間は未遂で済んだから見逃してやったけど、また兵藤達の誰かを襲ったりしたら、今度は確実に殺してやる。
そこからは、リアスが兵藤を襲った女性が堕天使と言う存在だということ、その堕天使と敵対している悪魔、さらにその二つの種族を問答無用で倒しに来る天使について簡単に説明した。
その話を理解できていないのか、兵藤は困惑していた。無理もない。いきなり堕天使、天使、そして悪魔について話されても理解できるはずがない。
それから、リアスは兵藤になぜ兵藤が襲われたのか。なぜ兵藤意外の人があの女堕天使に関することを忘れているのかを話した。
その事について、ある程度理解し始めたのか兵藤はさっきよりは落ち着きを取り戻していた。
「そうだったんですか。ところで、俺に危険な力が宿っていたから襲われたのは分かったんですが、その危険な力って何ですか?」
当然の質問だな。リアスは説明をしている時に神器については危険な力としか言っていないからな。ここは俺から説明しよう。
「兵藤。リアスが言っていた危険な力というのは、
兵藤は神器と言う単語に聞き覚えがないのか首をかしげた。まあ、当たり前の反応だよな。
「
・・・木場くん。その説明、俺がしたかった。そこからも、俺が説明したかったのに木場くんに続いて朱乃、そしてリアスに説明されてしまった。
俺の心中を察してくれたのか、エレナは俺に同情の視線を向けていた。エレナ、ありがとう。けど、その視線が今は逆に辛いよ。
心の中で、号泣していると、リアスが兵藤に手を上にかざすように言っていた。兵藤はリアスが最初に、何を言っているのか、分かっていない様だったが、リアスに急かされて、兵藤は左腕を上に上げた。
「目を閉じて、あなたの中で一番強いと感じる何かを心の中で想像してみてちょうだい」
あれ?俺がエレナに教えた方法とは少し違うな。俺の場合は、何かを心の中で一番強く想像しろって教えたんだよな。神器はその人の強い想いに反応するからな。なにも、一番強いと感じる何かを心の中で想像しなくてもいいんだよな。対して変わらないけど。
その時エレナが、俺を守れる位強くなりたいって言ってくれたな。あの時は、顔には出ていなかったけど内心かなり嬉しかったな。
「い、一番強い存在・・・・。ド、ドラグ・ソボールの空孫悟かな・・・」
なんだそれ?初めて聞くな。
「では、それを想像して、その人物が一番強く見える姿を思い浮かべるのよ」
そこから兵藤は、そのドラグ・ソボールとか言う物の人物を想像しているのか、無言になった。
「ゆっくりと腕を下げて、その場で立ち上がって」
リアスが兵藤にそう言うと、兵藤は左腕を下げてソファーから立ち上がった。
「そして、その人物の一番強く見える姿を真似るの。強くよ?軽くじゃダメ」
ん、どうした?なんか兵藤が一瞬動揺したように見えたぞ。どうしてだ?それに、なんか躊躇してるようにも見えるぞ。
「ほら、早くなさい」
リアスが、兵藤のことを急かしていた。
すると、兵藤が両手を合わせて、両手を腰まで引いた。いったい何をするつもりなんだ?
「ドラゴン波!」
兵藤が声を張り上げながら両手を前に突き出した。
・・・兵藤。いい年してそんなのをやるのは恥ずかしくないか。いや、恥ずかしかったからこそ、躊躇もしていたし、動揺もしていたんだろうな。
俺が兵藤に憐みの目を向けていると、リアスが兵藤に目を開けるように言った。兵藤が目を開けると、兵藤の左腕が発光しだした。光が眩しかったため、俺は目を少しだけ手で覆った。光が止み始めると、兵藤の左腕には、手の甲に宝玉の付いた赤い籠手ができていた。
あれが兵藤の
「な、なんじゃ、こりゃぁぁぁぁぁ!」
兵藤が自分の腕に突然、籠手が現れたことに大声を出して驚いていた。まあ、そうだよな。エレナは兵藤ほど驚いてはいなかったが、それなりに驚いていたな。
それからリアスが兵藤に発現した
「あなたはその
天野夕麻、それが兵藤を襲った堕天使の名前か。手掛かりも分かったことだし、後で調べておくか。
「殺されかけた・・・。そうだ!あの時俺を助けた人がいるんです。その人についてはなんか知らないですか!」
兵藤、それ俺だ。なんて思っていたら、リアスが目線を俺に向けていた。俺はリアスを見ながら頷いた。
「兵藤。お前を助けた人ってのは俺のことだ。あの時偶然お前を見かけていなかったら、今頃お前は死んでいたぞ」
兵藤の目を見ながら話すと、兵藤は驚愕した顔で俺を見ていた。それからすぐ兵藤はなんで俺がここにいるのか理解したように見えた。
「そうですか、ハース先輩が助けてくれたんですね。あの時は、助けてくれてありがとうございます!いつかこの恩は返します!」
兵藤が頭を深く下げた。そこまでしなくてもいいんだが、兵藤からしたら俺は命の恩人なんだからこれぐらいしないと気がすまないんだろうな。
「いいさ、兵藤。助けて貰った恩はいつかしてもらうさ」
それから兵藤は頭を上げて、「はい!!」と大きな声で返事をした。いい返事だ、兵藤とはそこまで話したことはないが、兵藤のことが気に入ってきたな。
「さて、イッセーがハースにお礼をしたことだし、話を続けましょう」
リアスの合図を始め、俺達は話を再開した。
まず初めにあの時なぜ俺があの場所に居たのか、俺が一体何者なのか、なぜリアスがあの場に現れたのか、どうやって俺が堕天使を退けたのか、俺とエレナがここにいるのかなどを話した。
「そう。つまり、ハースは堕天使の投げた光の槍を蹴り返す何ていう人間離れした芸当をして退けたと。他にもハースとエレナとの関係は師弟と言ったところかしら?」
「その認識で大体合っている。エレナとは師弟の様な関係であると同様に仲間でもあるからな」
俺がリアスと話していると、エレナ以外の周りの奴等は俺のこと見ながら、あり得ないとでも言いたげに見ていた。そんな目で見られても本当のことを話しているんだからしょうがないだろ。
「はあ。あなたの話を聞いていると、本当に人間なのか疑いたくなるわ」
そんなことを言うなよ。まあ、確かに俺自身が人間なのか疑っているんだから他の奴等がそう思ってもしょうがないよな。
「さてと、俺から今話せることは全部話したぞ。他に聞きたいことはあるか?」
そう言ってから周りの奴等を見てみるが特に反応はなかった。
「そうか。なら、この話はおわりだ。そろそろ兵藤のことについて話し合おう」
俺が兵藤のことについて話そうと言うと、当の本人が驚いていた。
「な、なんで俺のことについて話し合うんですか!?」
兵藤の奴、そこまでさすがに考えが至ってないか。
「いいか、兵藤。お前は一度堕天使に目を付けられたんだ。このままにしておくのはあまりにも危険が大きい。だからこれから兵藤をどうするか話し合うんだ。」
さて、そんなことは言ってみたもののどうするかはまだ考えていないんだよな。どうしよう。
「だったら、イッセー。あなた、私の眷属になってみないかしら?」
そう言うとリアスは何処からともなく、
「リアス先輩。それ、なんです?」
「イッセー、これは
成る程、確かにそれを使えば兵藤はグレモリー眷属になって堕天使には狙われなくなるな。兵藤は神器も宿していたことだし眷属にするのはありだな。だが、それは兵藤が悪魔になる意志があるのかによるな。
「そ、それでその
兵藤の質問にリアスは悪魔になったときのメリットを話始めた。かなりの年月を生きること、爵位を得ると自分の眷属を持てるようになるなどを話すと兵藤は食いつくように悪魔にして下さいと頼んできた。
兵藤の奴、自分の眷属をハーレムにすることもできると聞いたらすぐに決断しやがった。どんだけハーレムを作りたいんだよ。
「そう。なら、あなたには私の
リアスが兵藤に最後の確認をしていた。これで兵藤が、イエス、と答えたらそこで兵藤は人から悪魔になるからな。最後の確認は必要だろう。
「はい。お願いします。リアス先輩」
兵藤が返答すると、リアスが
兵藤の身体に駒が入っていく。だが、その中で驚くべきことが起きた。兵藤の身体に
おい、どういうことだ。なんでこの間まで一般人だった兵藤に
その考えはリアスも同じ様で、目が見開いていた。
「
だろうな。今の兵藤は良くてアスリートより身体能力が高い位だからな。原因はなんなんだ。兵藤自身の能力だけじゃ駒を八個も消費はしない。そう考えると、あの
「まあ、いいわ。これであなたは私の眷属になったわ」
リアスが言い終わると同時に、俺とエレナ以外の背中から蝙蝠の様な翼が生えた。なんだろう、俺とエレナがこの場だと浮いている様に見える。
「それじゃ、イッセー。改めて紹介するわね。祐斗」
リアスが木場の名前を呼んで、木場は兵藤に自己紹介を始めた。それから小猫、朱乃、そしてリアスという順番で自己紹介をしていった。
「さて、ハース。あなたの番よ」
おっと、俺の番か。けど、兵藤は俺のことを知っているみたいだから自己紹介しなくてもいいんじゃないかな。まあ、いいか。
「兵藤くんと同じクラスのエレナ・ルタスです。仕事の時は、ハースのサポートをしています。以後、お見知りおきを」
俺より先に自己紹介をしたか。さて、今度こそ俺の番だな。
「知っているかもしれないが、リアスと朱乃のクラスメイトのハース・べスタードだ。はぐれを狩って金を稼いでいる。今後ともよろしくな。」
自己紹介を終えた俺は、兵藤に伝えたいことを伝えた。
「こちら側へようこそ。兵藤一誠くん。俺達は君を歓迎しよう」
こうして、俺たちとオカルト研究部の話し合いは終わりを告げた。
ちなみに、話し合いが終わった後、小猫から羊羮が売っている場所を聞いて、俺とエレナの分も含めて俺の家に住んでる奴等の分を買って帰ったのは、余談である。
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