ハイスクールD×D 死を宿した人外   作:ゼルトナー

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 1話で終わらせるつもりだったのに思っていたより多く書けてしまいました。取り敢えず今は書いているのが出来たらすぐに投稿する予定です。

 今回は何時もより少なめです。それではどうぞ。


Life.10 『禍の団』の集まり①

 『禍の団』のメンバーが今夜中に集まると聞いた俺たちは支度を済ませ、オーフィスが開いた次元の狭間を漂っていた。

 

 そこでは今、ミッテルトがこれから何処に行くのかを聞いていた。

 

「ハースさん、これから何処に行くんスか?それと、さっき言っていた『禍の団』ってなんスか?」

 

 ミッテルトが気にするのは無理もない。ミッテルトとカラワーナにはまだ俺の事を詳しく教えていないからな。

 

「そうだな、俺たちは今『禍の団』のメンバーが集まる場所に向かっている。『禍の団』ってのはオーフィスをトップに活動しようとしている組織のことだ。組織されてから日が浅いから知らなくて当然だ」

 

 オーフィスをトップにしている組織だと聞いた途端にミッテルトは体を固めてしまった。

 

 体を固めたミッテルトの目の前で手を振りながら声を掛けるが反応がなかった。仕方ないからこのまま放置しておくか。

 

 ミッテルトを放置しておくことにした俺は、エレナの元に近寄った。

 

「エレナ、ミッテルトとカラワーナ用の外套を仕立てて持ってこれたか?」

 

「はい、二人とも私と真紀とのサイズが殆ど同じだったのですぐに仕立てることが出来ました」

 

 エレナが手に持っていたカバンの中からミッテルトとカラワーナのサイズに合いそうな顔を隠せる程のフードが付いた黒い外套を取り出した。

 

「カラワーナ、此方に来てくれ」

 

 真紀と楽しそうに話していたカラワーナを呼んだ。カラワーナはすぐに傍まで来てくれた。

 

「何か用か、ハース」

 

「ああ、これをカラワーナに渡そうと思ってな」

 

 手に持っていた外套をカラワーナに差し出した。するとカラワーナは俺の顔と外套を見ながら受け取った。

 

「ハース、このマントは一体なんなんだ?」

 

 カラワーナは戸惑いながらも、畳まれていた外套を広げた。

 

「それはエレナが仕立てた外套で、俺たちの仲間になった記念のプレゼントだ。それとこれも受け取ってくれ」

 

 外套をまじまじと見ていたカラワーナに宝玉の付いたペンダントを渡した。

 

 それをカラワーナが手に持つと突然、宝玉が紫色に輝き始めた。その輝きがあまりにも眩しく目を手で覆った。

 

 輝きが止むとカラワーナの手にある宝玉が紫色の波紋を中で発していた。

 

「ハースこのペンダントに付いている宝玉はなんですか!?何の前触れもなく紫色の光を発しましたよ!?」

 

 突然の出来事にまだ混乱しているカラワーナは俺の目の前にペンダントを向けた。

 

「それは人の心に合った色を発生させる石で作ったペンダントだ。その石は俺が魔力で作った物だから大切にしてくれよ」

 

 カラワーナがペンダントの事を聞いてからもう一度それを見てみると宝玉の中で発生している波紋に変化が起きた。

 

 宝玉の中では紫色の波紋しか発生していなかったが白、緑、黒、とそれぞれの色の波紋を発生させていた。

 

「こ、今度はなんなんだ!?」

 

 カラワーナが慌てているのを宥めるために首に架けている黒い波紋を発しているペンダントを外した。

 

「カラワーナ、その宝玉は別の宝玉と共鳴するように作っているんだ。その証拠に俺のペンダントを見てみろ」

 

 カラワーナに俺のペンダントを見せた。そのペンダントに付いている宝玉も黒い波紋から白、緑、紫の順番に波紋を発生させていた。

 

「ハースのペンダントも私が持っているのと同じ様に色が変わってるということはこのペンダントを私も含めて四人持っているということか」

 

「その通りだ。俺以外にこのペンダントを持っているのはエレナ、真紀、そしてカラワーナだ。勿論、ミッテルトにも渡すつもりだ」

 

 ミッテルトの名前を出してから本人の方を見てみるがそこにミッテルトは居なかった。それからエレナを見てみるとそこではエレナがミッテルトにカラワーナが持っているのと同じ外套を渡しているところだった。

 

 しかし、エレナとミッテルトはいつからあんなに仲良くなったんだ?確かに彼女たちは歳が近いからすぐに仲良くなるとは思っていたが出会ってからまだ一日しか経っていないんだぞ。そんなすぐに仲良くなれるものなのか?

 

 仲良くなれるならそれでいいか。とりあえず今はカラワーナと話しているからこっちに話を戻すか。

 

 カラワーナに視線を戻すと少し機嫌の悪い顔をしていた。それもそうか、話を止めたと思ったらエレナたちの事を見ていたんだ。機嫌が悪くなるのも仕方ないか。責任は俺にあるんだからな。

 

「人と話しているのに意識を別の所に向けないでくれないか。それでだが、この宝玉はなんで他のと共鳴するように作っているんだ?」

 

「それは俺たち全員の位置を知るのと生死を確かめるためだ。例えば俺の宝玉の色は黒だが、俺が死ぬと他の宝玉から黒い波紋が発生しなくなるんだ。位置を知るときはその人の色を強く念じれば宝玉が場所を教えてくれる」

 

「宝玉が場所を教えてくれる?どうやって場所を教えてくれるんだ」

 

 宝玉がどうなるのかを教えようとすると、コートの袖をオーフィスが掴んできた。

 

「ハース、そろそろ、着く」

 

 思っていたより速いな。仕方ない、宝玉についてはまた今度教えることにしよう。

 

「カラワーナ、すまないがそろそろ着くからこの話はまた今度しよう。とりあえずその外套を纏ってからフードを被っておいてくれ」

 

 カラワーナは「わかった」と言い、外套を纏った。それとミッテルトの方も見てみると既に外套を纏っていた。おそらくエレナが着るように施したんだろう。

 

 カラワーナにミッテルトの所に行ってくると言ってからカラワーナの傍を離れた。

 

 それからミッテルトの所に行き、ペンダントを渡した。するとペンダントは黄色く輝き始めた。カラワーナの時と同じ位の光だが、目が慣れてたおかげで眩しすぎるとまではいかず明るいと感じる程度だった。

 

 だが、ミッテルトは違ったようで咄嗟に目を守れなかったので、「ふぎゃー!?目がー!!」と目を押さえながら転げ回っていた。

 

 流石にこの状態で『禍の団』に参加はさせられないな。

 

「エレナ、『聖母の微笑』を使ってミッテルトの目を治して・・・いや、言わなくてもよかったか」

 

 エレナにミッテルトの目を治す様に言おうとしたが、それより先にエレナはミッテルトの目を『聖母の微笑』を使って治療をしていた。

 

 ミッテルトの目の治療が終わり、何とか立ち上がることが出来るようになってからペンダントの事を説明した。ミッテルトのペンダントの色は黄色だった。

 

 ミッテルトが俺たちのペンダントに付いている宝玉を見てみたいと言ってきたのでエレナと真紀にペンダントを見せるように言った。

 

 俺の宝玉は黒い波紋を主に発生させている。エレナは緑の波紋を、真紀が白の波紋を発生させていた。

 

「えっと、ハースさんのが黒で、エレナが緑、真紀さんは白っと。なんか宝玉に浮かんでいる色がその人の気配に影響されてる気がするっスね」

 

 ミッテルトの推測は殆ど合っている。違うのは気配じゃなくて、正確にはその人の魂に影響しているということだ。

 

 その魂に反応して持ち主の生死が分かるというのを調べて分かった時は嬉しい誤算だと思った。

 

「ハース、着いた」

 

 オーフィスの声がした方を見ると家で開いたのと同じ狭間が開いていた。その狭間にオーフィスが入っていくのを見た俺は骸骨の仮面を付けてからオーフィスの後に続いて狭間に入っていった。

 

 

 

 

 

 狭間から抜け出すとそこにオーフィスの姿はなく、ぬるりと生暖かい感触が全身を包んだのを感じると足元に霧が立ちこめていた。

 

 後ろを見てみるが、俺が出てきた狭間はいつの間にか閉じていた。

 

 周りを見てみるが、そこは地平線の先が見えないほどの広い荒野だった。

 

 おそらくだが、ここはオーフィスが出た場所とは違う場所、いや、空間なんだろう。狭間を通ろうとした時にはオーフィスはまだ狭間から出きっていなかったんだ。俺だけこの空間に移されたんだろう。

 

 すると視線の先に転移の魔方陣が出現した。そこからは制服にローブを羽織った魔法使いの青年に隣には小さな男児がいた。他にも二メートルはある巨漢な男に金髪の外国人の女がいた。

 

 彼らに見覚えがあった。彼らはこの間『禍の団』のメンバーを調べたときに見た顔だ。確か彼らが所属している派閥は英雄派だったか。

 

「英雄派のメンバーか。俺をこんな所に『絶霧』で転移させて何のつもりだ?」

 

「これは驚いた。この空間を一瞬で看破するとは予測以上だ。まぁ、そうでもなきゃオーフィス自身が連れて来る程の実力者だとは思えないけどね」

 

 ゲオルクが淡々と言うが、そんなことはどうでもよかった。

 

「そんなことはどうでもいい。さっさと目的を言え」

 

「それもそうだね、僕たちの目的は君の実力を知るためだ。君の事を調べようとしたんだけど情報がひとつも見つからなかったからね、直接君の実力を知ることにしたんだ」

 

 やっぱりか。そんなことだろうと思っていたよ。だが、これで目的は分かったんだ。やることを早く済ませよう。

 

「ならさっさと目的を始めろ。こっちはもう準備できているんだ」

 

 右手に西洋剣を握り、いつ始めても問題ないように剣を構えた。

 

「そうですか、それじゃあ、始めよう。レオナルド遠慮は要らない。全力で頼むよ」

 

 それだけ言うと男児、レオナルドはコクりと頷いて足元に不気味な影を広げていった。その影はこの荒野に広がっていった。すると、その影が盛り上がり、形を成していった。その影は巨大な化け物になっていき、その数は数百は下らない程の数だ。

 

「成る程、その子が『魔獣創造』の所有者か。道理で情報が集まらない訳だよ」

 

 全ての影が形を成すとレオナルドは糸が切れたかのように倒れた。それを金髪の女が受け止めてゲオルクにレオナルドを預けた。ゲオルクはすぐに魔方陣を展開してレオナルドをその魔方陣に置いた。

 

 あんなに小さい子供がこれだけの数の魔物を産み出したんだ。その分、体にかかる負担は大きいはずだ。

 

「さて、これでこちらも準備が整った。ジャンヌ、ヘラクレス、始めるぞ」

 

「はいはい」

 

「おう!」

 

 ゲオルクの呼び声にジャンヌとヘラクレスが前に出てきた。二人とも歴史と神話に名を残した英雄の名前か。

 

「強者揃いだな。久しぶりに心踊る戦いができそうだ。精々楽しませてくれよ。長い間強者と戦っていないんだ。俺の、この俺の渇きを癒せー!!」

 

 喉がはち切れんばかりの声を出して魔物の軍団とゲオルク、ジャンヌ、ヘラクレスに突撃していった。

 




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