次回からはもっと早めに投稿出来るようにしたいと思います。
それではどうぞ。
けたたましく鳴る目覚まし時計の音に意識が少しずつ目覚め始めた俺は顔を枕に沈めながら音を頼りに目覚ましを手探りで探していた。
右手に目覚まし時計のスイッチが当たり、それを押してアラームを止めた。
何時もより早めに目覚ましを設定したせいで意識が朧げだが、両手をベッドに押し当てて起き上がろうとすると、左手はベッド特有のふかふかな感触なのに対して、右手は柔らかい何かに触れた。
右手に触れた物が何なのか分からなかった俺は右手のある方を枕から顔を横にずらして見てみた。
すると、そこには寝息を立てながら寝ているオーフィスの顔があった。それに驚いた俺は慌てて上半身を起こしてオーフィスの事を見た。オーフィスは一糸纏わぬ姿で寝ていて、俺の右手はオーフィスの小さな胸の上に置かれていた。
「・・・・・・・・は?」
なんで俺の部屋にオーフィスが居るんだ。いや、それよりなんで服を着ていないんだ?そうか、これは夢なんだ。オーフィスがこんな姿で俺の隣にいるはずがないんだ。
これが悪い夢だと思った俺は自分の顔を思いっきり殴った。鈍い音が部屋の中に響いたがそのおかげで目が覚めた。
そして再び右手を置いていたところをもう一度だけ見てみるとそこには先程と同じ様子でオーフィスが寝ていた。
これが夢ではなく現実だと分かるまで頭の中が真っ白になっていた。そしてこれが現実だと分かった俺はあることを思い、そして叫んだ。
「なんでだーーー!!??」
朝早くから大声を出し、その声は家全体に轟いた。
それから数秒もしない内に、俺の部屋に向かって誰かが走ってくる音が聞こえた。
そして部屋の扉を勢いよく開けてきたのは、白いパジャマを着たエレナだった。
「どうかしたんですか、ハース!!朝からそんな大声・・を・・出・・し・・て・・・?」
扉を勢いよく開けたエレナは俺とオーフィスを見てしまうとその場で固まってしまった。
「お、おい、エレナ?」
エレナに声を掛けてみるが、反応がなかった。あのままにしておくのは不味いと思った俺は隣で寝ているオーフィスに声を掛けて起こすことにした。
「おい、オーフィス起きてくれ」
オーフィスに声を掛けながら体を揺らしてみるが、起きる気配が全くしなかった。仕方ないと思った俺はオーフィスを起こすのを諦めてベッドから出た。
すると、ベッドから出たのに気が付いたのかやっとエレナが正気に戻って顔を横に振った。
「ハ、ハース!!何をしていたんですか!?オ、オーフィスと一緒に寝ていただなんて・・・」
正気に戻った瞬間に俺がオーフィスと寝ていたことについてエレナが顔を赤くしながら質問してきた。
「エレナ、そのことについてだが」
オーフィスはいつの間にか俺のベッドで寝ていたんだ。と、言おうとしたら先にエレナが口を開けた。
「オーフィスとだけ寝ているなんてずるいです!!なんで私と寝てくれないんですか!?私とも寝てください!!」
大声を出したエレナは一気にパジャマを脱ごうとした。それを止めようとしたが、エレナの後ろにいつの間にか真紀が立っていて、エレナの肩に手を置いていた。
「エレナ、何をやっているんだい。こんなところで?」
真紀が俺の代わりにエレナを止めてくれたようだった。
おかげでエレナがパジャマを脱ぐという事態を防いでくれた。
「すまないな、真紀。エレナを止めてくれて」
「いいよ、そんなことは。それより何があったんだい?」
真紀の質問に俺はオーフィスが俺の隣に寝ていたこととエレナが突然パジャマを脱ごうとした事を話した。それに関して真紀は何かを思い付いた顔になった。
「そうかい、そうかい、そういうことかい」
そう言うと真紀がエレナに耳打ちをした。真紀が話終わるとエレナの顔が先程より赤く染まりだした。
何を話したんだ、真紀の奴?エレナの顔が真っ赤になっているじゃないか。
するとエレナが突然パジャマを上からゆっくりと脱ぎ始めた。
って何をしてるんだエレナの奴!?
「何をしてるんだエレナ!?そしてなんで真紀はそんな良い笑顔をしているんだ!?」
エレナは遂に耳が赤くなるまで顔を染めるとパジャマを脱ぐのを止め、真紀は笑いを堪えているのか肩を振るわせていた。
「いやね、エレナに男は一気に服を脱ぐより上からゆっくりと服を脱いだ方が興奮するもんだよっておしえたんだ」
・・・何て事をエレナに教えているんだ。確かにゆっくりと服を脱いだ方が興奮はするが、なんでだよ。
「はあ、とりあえずエレナは部屋に戻って制服に着替えてこい。真紀はいつもより速く起きたんだから着替えてから朝食の準備をしておいてくれ」
エレナと真紀にそう言うと二人はそれぞれ自分の部屋に戻るために部屋から出ていった。
さて、オーフィスはべつに起こさなくても良いだろう。おそらく朝食の匂いで起きるだろうからな。ミッテルトとカラワーナは後で起こしに行こう。
そして俺は制服に着替えてからリビングまで降りた。そこでは台所で朝食を作っている真紀とさっきの事を思い出したのか俺と目が合うとすぐに目線を逸らしたエレナがいた。
真紀が朝食を作っていると、リビングの扉が開いた。開けたのはエレナのパジャマを借りて寝ていたミッテルトと真紀の寝巻きを着ているカラワーナだった。
ミッテルトは起きたばかりなのか目元を擦っており、カラワーナは胸元を整えながらリビングに入ってきた。
「おはよう、ミッテルト、カラワーナ。昨日はよく眠れたか?」
「ウッス。昨日は久しぶりにゆっくりと眠れたっス。おかげでまだ眠気がとれてないっスよ」
大きな欠伸をしながらミッテルトは口元を片手で隠した。
その眠そうな様子につい鼻で笑ってしまった。いまのミッテルトは年相応の少女にしか見えなかったからだ。
「そうか、なら眠気を覚ました方がいいだろうな。洗面所で顔を洗ってこい。場所は昨日の夜に教えたから分かるよな?」
「ウイッス」と返事をしたミッテルトはおぼつかない足取りで洗面所まで歩いて行った。
さて、次はカラワーナだな。カラワーナは寝巻きのサイズが合わないのかミッテルトと話している間も胸元を整えていた。
「カラワーナはどうだった?」
「ええ、おかげさまでよく眠れた。わざわざ寝巻きまで貸してくれたのには感謝している」
「そうか、それはよかった。寝巻きについては真紀に感謝してやってくれ」
感謝をするなら俺ではなく真紀にしてくれと言うとカラワーナは「そうか」と言うと真紀の隣まで歩いて行った。
それから真紀とカラワーナは何かを話しているようだった。おそらく寝巻きを貸してくれたことについて話しているんだろう。
話が終わるとカラワーナはリビングに戻って来ないで真紀と一緒に朝食を作り始めた。
その光景に驚きはしたがおそらくカラワーナは寝巻きを貸してくれてことへのお礼として朝食の手伝いをしているんだろう。
その光景を見ているとリビングの扉がゆっくりと開く音がした。扉の方を見てみるとそこには先程の姿とは違い黒いワンピースを着たオーフィスがそこにいた。
「我、起きた」
そう言い終わるのと同時にオーフィスの腹が鳴る音がした。どうやらオーフィスはお腹が空いたらしい。
「真紀、朝食はまだできないのか?」
「いま作り終わったところだよ。そっちに持っていくから少し待ってな」
真紀が朝食を作り終えたと聞いたオーフィスは俺の隣にある椅子に座った。
オーフィスが俺の隣に座ったのを見計らい真紀とカラワーナが朝食を運んできた。それと同時に洗面所から帰ってきたミッテルトがエレナの隣に座った。
そして俺たちはいただきますの挨拶をしてから朝食を食べ始めた。朝食を食べ始めてからミッテルトとカラワーナの様子を見てみるがどうやら昨日よりは警戒をしている様子は無く、真紀とエレナの二人と楽しげに話をしていた。
それからしばらくして全員が朝食を食べ終えると、ミッテルトが俺の傍まで近づいてきた。
「ハースさん。ちょっと気になることがあるんスけど」
「気になること?彼女のことか」
オーフィスの事を見るとミッテルトはそうだと言いたいのか小さく頷いた。
「昨日の夜に彼女はいなかったスから気になったんス。彼女は何者なんスか」
そうだな、オーフィスについてはまだ教えていなかったな。だが、今は教えない方がいいだろう。彼女達はまだ俺の仲間になった訳じゃないからな。
「ミッテルト、彼女についてはそこまで詳しく知らなくていい」
朝食を食べ終えた食器を台所に運んでいこうとすると、ミッテルトが俺を呼び止めた。
「え、それだけスか?」
「そうだ。俺の仲間になってから彼女のことは詳しく教えてやる」
食器を台所に置き、水で洗い流した後は自分の部屋に戻ろうとリビングの扉を開けようとした。
「ああ、そうだ。言い忘れるところだったが、ミッテルトとカラワーナは後で俺と一緒に学園に行くから着替えておけ」
それを聞いた二人は疑問を抱いたのか、お互いの顔を確認し合った。
「それはグレモリー家の者に会いに行くからか?」
「そうだ。二人の事をグレモリーの者、リアスに伝えなきゃいけないからな」
「そういうことなら分かった。何時でも行けるように支度しておこう」
「頼むぞ、カラワーナ。ミッテルトもだぞ」
食器を台所に運んでいたミッテルトに伝えると「了解っス」と言う返事が聞こえた。
それを確認した俺は部屋に戻り、教材の入ったカバンを持ってエレナと一緒に学園に向かうために玄関まで来ていた。
見送りには真紀にミッテルトとカラワーナの三人が来ていた。
「それで、私たちはどうすればいいんだ?」
「ミッテルトとカラワーナを呼ぶときは魔方陣を展開するから、そこから学園に来てくれ。詳しいことは真紀に伝えてあるから聞いておいてくれ」
目線を真紀に向けると真紀は一度だけ頷いた。ミッテルトとカラワーナも真紀と同じように頷いた。それを確認した俺は、行ってくると言ってから家を出た。
旧校舎にあるオカルト研究部までの道のりを歩いていると、小猫、木場、朱乃の三人と出くわした。
「なんだ、朱乃たちも今からオカルト研究部に行くのか?」
「ふふ、はい。私たちも今からオカルト研究部に行くところです」
朱乃はいつもの笑顔でそう答えてくれた。それから俺たちは世間話をしながらオカルト研究部の部室まで行った。部室の中には既にリアスに兵藤、それと金髪の長髪に緑色の目が特に目立つ少女がいた。
「おはよう、リアス、兵藤、それと・・・」
俺が金髪の少女の名前がわからなくて悩んでいると、彼女はそれに気づいてくれたのか俺の傍まで小走りで近づいて来た。
「あ、はじめまして。私はアーシア・アルジェントと言います!アーシアと呼んでください」
彼女、アーシアはそう言いながら頭を深く下げてきた。それに対して俺も頭を下げて挨拶をすることにした。
「アーシア・アルジェントか、いい名前だ。俺の名前はハース・ベスタードだ。よろしく、アーシア」
挨拶を済ませた俺は右手を出して握手を求めた。それに対してアーシアは顔を明るくして元気よく「はい!」と言い、俺の握手に握り返して答えてくれた。
それからアーシアはエレナにも同じように挨拶をするために近づいて行った。アーシアが俺の傍から離れたので、その間にリアス達の元まで歩いて行った。
「おはよう、リアス。なかなか良い子が眷属になったじゃないか」
アーシアのことをほめてあげるとリアスは誇らしげな顔になった。
「そうでしょう?最初はアーシアに宿っているレアな神器に目を付けたのだけれど、どうもその考えは間違っていたみたいね。あんなに良い子は滅多にいないでしょうから大切にしてあげようと思うわ」
「それはいいことだ。神器に目が眩んだことは感心できないがな」
「しょうがないでしょう?私の眷属には回復要員が居ないんだから」
リアスはしょぼんとしながら答えた。普段から大人のお姉さんのような雰囲気なのに時々年相応の女性になるからその時のギャップがかわいいんだよな。まあ、回復要員が欲しくなることについてはしょうがないか。
「それとリアス。大事な話があるんだ」
雰囲気が変わったのに気付いたのかリアスも真面目な雰囲気に変わった。
「どういったことかしら?」
リアスから視線を逸らしエレナに視線を向けると、それに気づいたのか小さく頷いた。それを確認した後、部室の中心に俺の家と繋がっている転移用魔法陣を展開した。そこからは打ち合わせ通りにミッテルトとカラワーナが現れた。
二人が現れたのにリアスは驚いていなかった。おそらく俺が話そうとしていたことが彼女たちのことについてだとなんとなく予想していたんだろう。だが、兵藤たちは違うようで突然のことに驚いているのか話が止まっていた。
「ちょっ!?ハース先輩なんでこいつらがここにいるんですか!!」
「そのことについてはこれから詳しくリアスと話すから話を聞いておけ」
そしてリアスに家で話したミッテルト達についてのことを詳しく話した。それに関してリアスはなんの意見も言わず、俺に全部任せると言ってくれた。
それを聞いた俺はミッテルトとカラワーナを呼んだ。そして二人にはオカルト研究部に謝罪をするように言った。二人ともそうなることは真紀から聞いていたようでちゃんと頭を深く下げて謝罪の言葉を述べた。
その態度に兵藤たちは対応に困っていたが、アーシアが二人の前に出て手を取り二人の事を許して、さらには友達になってくださいとまで言ってきた。その対応がまるで本当の女神のようだった為、二人は大号泣をしながらアーシアに抱きついた。その二人の様子とアーシアの対応には流石の兵藤たちも二人のことを許す気になったのか昨日の教会の件については許すと言った。
それを聞いたミッテルトとカラワーナは何を言っているのかわからないぐらいに感謝の言葉を言っていた。そして俺たちは二人が泣き止むのを待った。
ミッテルトとカラワーナが泣き止むと、リアスが手を叩いた。
「さて、話も終わったみたいだし、そろそろ今日のメインイベントを始めましょう」
そういうとリアスは指を鳴らした。
すると、テーブルの上に大きなホールケーキが出現した。その大きさはオカルト研究部員だけでは食べきれないほどの大きさだった。それを見て思ったことは、俺が仲間も連れてくると推測したんだなと思った。
「ありがとうな、リアス。俺たちの分まで準備してくれて」
リアスが照れくさそうに咳払いをした。
「た、たまにはオカルト研究部員以外の人と集まって朝からこういうのもいいでしょ?あ、新しい部員もできたことだし、ケーキを作ってみたから、みんなで食べましょう。もちろんあなた達ふたりもね」
リアスの言葉を聞いた二人は心底うれしそうな顔になりパーティーに参加した。俺もそのパーティーに参加しケーキを食べた。ケーキを食べているとミッテルトとカラワーナの二人が傍まで来た。
「ミッテルトにカラワーナか、どうしたんだ。ふたりして俺のところに来るなんて。せっかくのパーティーなんだから楽しめよ」
「ええ、そうしたいのですが、ハースにどうしても伝えたいことがあるんです」
なんだ、二人が真剣な顔になって詰め寄ってきたぞ。
「ハースの仲間になるって話っスけど、今日からうちらはハースの仲間になるっス!」
そのことを聞いた俺はとてもよろこんだ。自分じゃ分からないかもしれないがたぶん、嬉しそうな顔になっているんだろう。
「そうか、仲間になってくれるか。だったら俺も二人のことを歓迎しよう。これからよろしく頼む」
こうしてミッテルトとカラワーナは仲間になることになった。正式な仲間になるのは家に帰ってからだがな。
そういったこともあり、朝早くからのパーティーは予鈴がなるまで続いき、ミッテルト達は先に家に帰った。
学園から家に帰ってきた俺はオーフィスの傍に近寄り、なぜ日が昇るより早く来たのかを聞いた。
「オーフィス、今日はなんで俺のところに来たんだ」
そう言うとオーフィスは俺の顔を覗き込んで口を開いた。
「『禍の団』のメンバー、今日、集まる」
「・・・そうか、わかった全員に伝えてから支度するから少し待っててくれ」
オーフィスにそう言った俺は全員を集めて『禍の団』のことを話した。それを聞いたエレナと真紀は迅速に支度を始めた。ミッテルトとカラワーナも二人の支度を手伝いに行ってくれた。
そして支度が終わり、俺たちは『禍の団』のメンバーに会うためにオーフィスが開いた次元の狭間に入っていった。
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