ハイスクールD×D 死を宿した人外   作:ゼルトナー

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初投稿です。
よろしくお願いします。

2016.8/30、9/9に一部の文章を書き直しました。


旧校舎のディアボロス
Life.0 プロローグ


 彼女との出会いは偶然だった。

 

 その日俺は、ある人物からはぐれ悪魔を討伐してほしいという依頼を受けていた。

 

 はぐれ悪魔とは、簡単に言うと主のもとを去って各地で暴れまわっている悪魔の事だ。

 

 そのはぐれ悪魔は単体である国の古びた工場に潜伏しているというので、俺は早速その工場に向かった。

 

 工場に着くとそこは人が寄り付かないであろう不気味な雰囲気を漂わせ、辺り一面には草木が生い茂げり、今にも崩壊しそうな工場があり、隠れ蓑には最適な場所だった。

 

 工場の中に入るとそこは数多くの機材が散らばり、鼻を押さえたくなるような酷い悪臭がしていた。その臭いの中には鉄の錆びついた臭いやオイルの臭いだけでなく、腐った人の血と肉の臭いも混ざっていた。

 

 その臭いをかぎ分けた瞬間、俺は手を横に伸ばし何も無いところから空間を開き、西洋剣を取り出した。すると、奥の方から何かが近づく足音が聞こえ始めた。それはゆっくりとだが、確実にこちらに近づいていた。

 

 そしてようやく足音の主がその全貌を現した。高さは3メートルは優に越えている巨体でその姿は人狼と呼ばれる者だった。そいつは俺のことを見ると静かに口を開いた。

 

『誰だ?最近この俺を殺しに来た悪魔どもとは違うようだが、テメエ一体何者(なにもん)だ』

 

 そう、本来こいつらはぐれ悪魔は付近の悪魔や天使、堕天使が討伐することになっているが、そいつらでは手に負えないほどの強さを誇るはぐれ悪魔が極稀に存在している。こいつもその極稀に存在するはぐれ悪魔でその強さ故に付近の悪魔達では討伐できず、俺のようなのを雇う時がある。

 

『俺はお前のようなはぐれ悪魔を専門に討伐しているしがない賞金稼ぎだ。SS級はぐれ悪魔アーベル、お前の首にはそれなりの賞金が懸かっているんでね、狩らせてもらうぞ』

 

 そう言うとやつ、アーベルはつまらなそうにため息をした後、纏っていた雰囲気が打って変わり、姿勢を低くして殺気の込もった瞳で俺を睨んできた。

 

『そうか。つまりテメエは俺を殺しに来た敵って事でいいんだよなっ!!』

 

 するとアーベルは神速とも呼べる速さで迫り、俺を通り越し背後に立っていた。

 

『ぎゃはははっ!!まずは左腕もらったぞ!!』

 

 ゆっくりとアーベルの方に振り向くと奴の右手の爪から血が滴り落ちていた。俺は感覚が感じられなくなった左腕を見てみるとそこから血が溢れ、床に血の水溜まりが出来、アーベルによって切り落とされた左腕が落ちていた。

 

『ぎゃはっ!ほらどうした?速くしないと血が足りなくなって死ぬぜ?』

 

 確かにこのままにしておいたら出血多量で死ぬかもしれない。だが、それはただの人間だったらの話だ。

 

『まさか、左腕を切り落とした程度で勝ったつもりになってるんじゃないよな、アーベル?だとしたらお笑い草だぞ』

 

『・・・なに?』

 

 正直に思った事を言ったら奴は額に青筋を立てた。

 

『左腕が無くなっただけで勝敗が決まる訳がないだろ?俺にはまだこの右腕が残っているんだぞ』

 

 アーベルに黒いブレスレットが着いた右手を見せた。するとアーベルは呆れたのかため息をついた。

 

『馬鹿かテメエは?ただの人間が、左腕を無くして、さらにはその出血の量だ。どんなに足掻いてもテメエが死ぬのは時間の問題だ。そんな状態でどうやって俺に勝つつもりだ?』

 

 この時、俺は呆れてしまった。奴はなんて言った?ただの人間と言ったのか?

 

『アーベル、ひとつ勘違いしているようだからはっきり言っておこう。俺はただの人間なんかじゃない』

 

 奴は疑問に思った素振りを見せ、一体どういうことだ、と言おうとしたが、途中で話すことが出来なくなった。何故なら奴の四肢が突然切り落とされたからだ。

 

『ガアアアアアァァァ!!?』

 

 突然の出来事に奴は悲鳴をあげた。何故こんなことが起きたのか理解できていない様だが、元凶が俺にあると考えたのか俺を睨んできた。

 

『テメエ、一体何をしやがった!!』

 

『何を、と言われてもただ四肢を斬っただけだぞ?』

 

 血が一滴も付いていない西洋剣を振り回しながら疑問に答えてやると、奴は怒りの形相を表した。

 

『俺が聞きたいのはそんなことじゃねえ!!テメエ、いつの間に俺のことを斬ったんだ!?』

 

 いつ斬ったのか、と言われたらひとつしかないだろう。

 

『そんなの、お前が俺の左腕を切り落とした時に決まっているだろう?何を当たり前の事を聞いてくるんだ』

 

 そう言うと奴は驚愕していた。

 

『ありえねぇ。あの一瞬でそんなことができるはずねぇ!この俺ですらできないんだぞ!?』

 

『なら、お前の実力はその程度ということだ。俺はお前よりも遥かに強い方々に育て上げられたんでな、お前みたいな雑魚なら片手でも殺すことができるぞ?』

 

『ッ!!化け物めッ!!』

 

 化け物・・・か。もう聞きなれた言葉になってしまったな。まあ、確かにSS級はぐれ悪魔を雑魚呼ばわりするんだ。化け物と言われても仕方ないな。

 

 そんなことを考えている間に俺はゆっくりと奴に近付きながら、西洋剣を空間の中に戻し、右手首に着けていた黒いブレスレットを口を使い外した。

 

『おい、何をしてやがっ!?』

 

 奴が俺の最後に行っている行動に疑問を抱いたのか何かを言おうとしていたが、急に話すのを止め、俺を青ざめた表情で見ていた。

 

『な、何なんだよ?て、テメエのその身体を覆っているそれは何なんだよ!?』

 

 俺からすると何を纏っているかわからないが、父さん達が言うには黒くて禍々しいオーラを纏っているらしい。

 

『ああ、これか?見てればわかる』

 

 そう言って俺は切り落とした奴の右腕を拾いに行き、その右手を拾い上げた。すると拾った右腕に変化が起きた。

 

『なっ!?』

 

 奴が驚くのも無理はない。なんたって奴の右腕が黒く染まり始めたんだからな。右腕が完全に黒く染まりきると端から崩れていった。その後俺は、他にも切り落とした左腕や両足をさっきと同じ様に拾い上げては黒く染めて崩していった。

 

 こんなことをしているのは、悪魔の中には魔力で切り落とした腕を使い、不意討ちをしてくる輩もいるからだ。

 

 奴の四肢を使い物にならない様にした俺は、奴の居る方に振り返った。すると奴は小さく情けない悲鳴をした。一歩、また一歩と近づくにつれて奴は徐々に恐怖に顔を染めていき、小さな声で来るな、来るなと言い続けた。

 

 そして奴の目の前まで来た俺は、右手で奴の首を強く握りしめた。すると奴の身体は黒く染まり始め、自身の身体が黒く染まり始めたと気付くと最後の足掻きのつもりなのか奴は激しく暴れ始めた。だがそれは無駄な足掻きでしかない。四肢の無い身体ではどんなに暴れても、それはただ見苦しいだけだ。

 

『見苦しいぞ、アーベル。さっさと自分の運命を受け入れろ』

 

 そう言うと奴は恐怖に顔を歪めながら、少しずつ暴れるのを止め、そのまま黒く染まりきり、身体が崩れていった。

 

 奴の討伐を確認した俺はブレスレットを右手に着け、依頼主に討伐の報告をした。報酬は指定された場所に送ってくれる手配になった。

 

 ここまでは、いつも通りだった。

 

 報告が終わった後、不意に後ろから微かな殺気を感じた俺は前に飛んだ。するとさっきまで俺のいたところに巨大なクレーターができ、その中心には白いマントを羽織い、両手には聖なるオーラを纏っている長剣を持った青髪に緑のメッシュが入った黒いボンテージ服を着た女性がいた。

 

 この時、俺と彼女の目が一瞬だけ合った。その瞬間、俺の鼓動が大きく高鳴った。生まれて初めてだった。この時の気持ちが何だったのかその時は理解ができなかった。

 

 そして俺はこの時あり得ない行動をした。

 

『・・・・・お前の名前は何て言うんだ?』

 

 この時なんで名前を聞きたくなったのか解らなかった。

 

『・・・私の名前が知りたいのか?』

 

 彼女は俺を警戒しながらそう聞いてきた。

 

『そうだ』

 

 無意識のうちに即答してしまったせいか彼女は少し驚いた様子をしていた。

 

『そ、そうか。私の名前はーーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジリリリリリリリッ!!

 

 けたたましく鳴る目覚まし時計の音に俺、ハース・ベスタードは一気に目が覚めた。・・・懐かしい夢を見たな。彼女と初めて出会った日の夢か。

 

 そういえば、あの後彼女の名前を聞こうとしたんだが、工場が倒壊し始めてしまい、名前を聞きそびれてしまった。原因はある程度予想がつく。今にも崩れそうな工場に巨大なクレーターが見事なまでにできたんだ、その威力に今にも崩落しそうだった工場が耐えられるはずがないからな。それが原因だろう。

 

 まあ、そんなことがあったせいで彼女の名前を聞くことができなかった。次に会うときは、絶対に名前を聞こう。

 

「しかし、どうして夢であの日のことをあんな鮮明に思い出したんだ?」

 

 どうしてあんなに細かな出来事を夢で見たんだ?・・・まあ、今そんなことを考えても仕方がない。

 

「とりあえず、腹も減ってきたことだし飯でも食うか」

 

 そう言った俺は2階にある自分の部屋から出て一階のリビングに向かった。

 

 リビングに着くとそこには、金髪のショートヘアに黒が強調されたメイド服を着た小柄な女性がいた。

 

「おはようございます、ハース」

 

 挨拶をしてきた彼女の名前はエレナ・ルタス、昔は悪魔の存在を知らなかった普通の一般人だったが、はぐれ悪魔に襲われ、その時に初めて悪魔の存在を知ってしまった女性だ。その際にエレナの家族は全員殺され、エレナが殺されそうになっていたところを俺と父さん達がすんでの所で助けた。

 

 それ以来、エレナは俺に恩返しをしたいというのと、悪魔などの異形の存在との戦い方を教えてほしいと頼んで来たので、普段は主に俺の家で家事をしてもらいつつ、同じ学園に通い、空いている時間に異形などの戦い方を教えている。

 

 そういったこともあり、今彼女は俺の家で暮らしてもらっている。

 

 他にもエレナは神器(セイクリッド・ギア)を宿している。神器(セイクリッド・ギア)の名は『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)。かなりレアな神器だ。エレナには以前、はぐれ悪魔を討伐した時に切り落とされた左腕を付け治してもらっている。近いうちに礼をするつもりだ。

 

 ちなみにエレナが家にいる時にメイド服を着ているのは、雰囲気作りの為らしい。

 

「おはよう、エレナ。今日はどうする予定だ?せっかくの祝日だし、この間の礼もしたいから一緒にどこか出かけないか?」

 

 今日は祝日というのもあり、少し遠出して買い物に行こうと考えているのでエレナを誘ってみた。

 

「折角誘ってもらったのに申し訳ありませんが、今日は神器(セイクリッド・ギア)と魔法の特訓をする予定です」

 

 もう予定が決まっていたか。ならしょうがない、また今度誘ってみるか。

 

「そうか、それは残念だ。何か買ってきてほしい物はあるか?」

 

「いいえ、特に買ってきてほしい物はありません」

 

「・・・分かった。それと俺が居なくても特訓は大丈夫か?」

 

 最近のエレナは神器(セイクリッド・ギア)の方をメインに特訓する様になっている。俺が主に教えているのは魔法の使い方だからな。神器(セイクリッド・ギア)については的確なアドバイスをすることができない。はっきり言ってお手上げだ。

 

「はい、今日は特に神器の特訓をしようと思っていますので問題ありません」

 

 それを確認した俺はエレナが作った朝食を食べ、その後、食器をキッチンに持って行き、そのまま自室に戻り出掛ける準備をした。

 

 準備を終えた俺はエレナに行ってくると伝えにリビングに再び寄って行った。

 

「行ってくるぞ、エレナ。・・・ああ、それとあいつらはどうしている?」

 

 一応出掛ける前に俺の家に住んでいる、他の奴等について聞いてみた。  

 

「他の人達ならまだ自室にて寝ています。起きるのは夕方頃になると思いますよ」

 

 まだ寝ているのか。まあ、今日は祝日だしまだ寝かしていても良いか。

 

「そうか。今日は、帰りが遅くなるかもしれないからな、俺が帰って来るまでには起こしておいてやれ。」

 

「承りました。帰り道には気を付けてください」

 

 母親みたいなことを言うなと、思いながら俺は、家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家を後にしてから数時間が経ち、俺は今コンビニで雑誌を読んでいた。読みたかった雑誌を読んでいるとふと目に知り合いが知らない女性と一緒に歩いているのを見つけた。

 

 知り合いの名前は兵藤一誠、俺と同じ学園に通っている後輩で学園では悪い意味で有名だ。最近の噂だとたしか兵藤に彼女が出来たとかで学園内ではかなり話題になったな。

 

 そんな噂が広まってからしばらくすると兵藤からあることを相談されたな。相談の内容は女性が喜ぶデートスポットについてだったな。なんで兵藤にそんなことを相談されたのか、わからなかったが、とりあえず無難な所をいくつか教えてやったな。

 

 ということは、兵藤の隣にいる女性が噂に聞く彼女で今はデートの途中なんだと思う。

 

 この後の予定は特に無いし、兵藤のあとを尾行するか。兵藤の彼女、あいつは人間の気配なんかじゃなくて、堕天使の気配がする。

 

 万が一の事を考えて兵藤達にばれない様に尾行をするとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 尾行を始めてからしばらくすると辺りは日が暮れてきた。兵藤達は人気のない町外れにある公園に入った。俺は二人の死角にある草むらに身を隠した。すると人払いの結界が発動され、噴水の前に立った兵藤達が何かを話し合っていた。

 

 何を話しているのか気になるな、聴力が一時的に上がる魔法を発動して盗み聞きするか。

 

「今日は楽しかったね」

 

 へぇ、兵藤もそれなりに計画を練ったのかな。まあ、あいつは彼女が出来たら本気でその想いに答えようとするだろうな。

 

「ねぇ、イッセーくん」

 

「なんだい、夕麻ちゃん」

 

「私たちの記念すべき初デートってことで、ひとつ、私のお願い聞いてくれる?」

 

 さて、今のうちに俺が兵藤を助けたと堕天使にばれない様に準備をしよう。後々困るからな。

 

 そうして俺は、空間魔法を使い、裾と袖がぼろぼろになっている黒のロングコートと黒のズボンに服を入れ換え、ロングコートに付いているフードを深く被り、顔には骸骨の仮面を被った。

 

 ・・・久し振りにこの服を着るな。あの日の夜以来か。

 

 俺が服を着替え終わったのと同時に彼女は兵藤に向かって微笑みながら、はっきりと言っていた。

 

「死んでくれないかな」

 

 ああ、やっぱりか、くそ!

 

 兵藤は彼女の言っているいることを理解できていないのか彼女に何て言ったのか聞き返していた。

 

「死んでくれないかな」

 

 さっきと同じことを彼女は言い、兵藤が苦笑いしていると、彼女は背中から黒い翼を生やした。

 

 鴉と同じ黒い翼、やはり彼女は堕天使だったか。だが変だな。堕天使は人間を襲うことはないはずだぞ。襲ったとしても、その人間が危険だと判断した時か、神器(セイクリッド・ギア)を宿しているときだけだぞ。

 

 前者はあり得ない、後者だとしたら普通は保護したりするはずだぞ。なんであんなに殺気を放っているんだ。

 

 そんなことを考えていると、彼女は光りの槍を手に握っていた。

 

 それを見た瞬間俺は、二人の間に割って入った。突然の乱入者に二人は驚いていた。

 

「あら、確か人払いの結界を張ったはずだけど、どうやって紛れ込んだのかしら?まあ、同じ人間みたいだし別に殺しても問題無さそうね」

 

 そう言うと彼女は俺に向かって光りの槍を投げてきたが、俺はその槍を魔法を纏った蹴りで彼女にお返しした。

 

 すると、彼女は一瞬驚愕していたが、槍が自分に向かって跳ね返されたのに気付くと、すんでのところで槍を回避し、俺のことを睨んできた。

 

「あなた一体何者かしら?私の槍を蹴り飛ばすなんて唯の人間ではないわね」

 

「ああ、確かに唯の人間じゃないな」

 

「そう、だったら貴方、私達に協力しなさい。私達に協力したらそれなりに良いものをあげるわよ?」

 

 へぇ、それなりにか。だがそんなんじゃあ、俺は釣れないし、協力するつもりもない。

 

「生憎、人間を殺そうとした奴に協力するつもりはないな」

 

「そう、ならここで死になさい」

 

 そう言うと彼女は再び光りの槍を作って俺に投げようとするが、突然兵藤の近くに魔方陣が展開された。

 

 あの魔方陣の紋章、この町にいるグレモリー家の紋章か。良いタイミングで来たな。

 

「どうやら、邪魔が入ったらしいな。さっさと退散するのが賢明じゃないか?」

 

 そう言うと彼女は悔しそうな顔をすると、槍を下げて空に飛んだ。

 

「今日の所は邪魔が入ったから見逃してあげるけど、次に会ったら殺してあげるから」

 

「おう、せめて俺を楽しませてくれる程度には襲うんだな」

 

 そして彼女は足下に魔方陣を展開してこの場を去って行った。さて、兵藤は無事かな?

 

「おい、どこかに怪我はないか?」

 

「は、はい!俺は大丈夫です!助けてくれてありがとうございます!!」

 

「ああ、気にするな。あんな奴に襲われた人を助けるのは当たり前の事だ」

 

 すると、兵藤の近くに展開された魔方陣がより一層光り輝いた。するとそこには、鮮やかな紅髪にスタイル抜群な美女、リアス・グレモリーが立っていた。

 

 リアスは辺りを見渡した後、何かを理解したのか俺達に向き直った。

 

「ここに堕天使の気配がして来たのだけれど、どうなったのか説明して貰えるかしら?」

 

 兵藤は、何でいきなり魔方陣からリアスが現れたのか理解できていないのと、堕天使に襲われたショックのせいで気を失った。ここはとりあえず兵藤が起きていなきゃ意味がないからな。説明はまた後日にしてもらおう。

 

「説明したいのは山々なんだが、堕天使に襲われた本人がこんな状態だと説明しても意味がないからな。説明はまた後日でいいか?」

 

 そう言うと彼女は兵藤のことを見ると納得してくれたのか小さく頷いてくれた。

 

「分かったわ。この事についてはまた後日、使いを出すから、そのときに話すとしましょう。彼は私が家まで送っていくわ」

 

「そうか。すまないな、助かる。じゃあ、俺は帰るぞ」

 

 時間も時間だしそろそろ帰んないとエレナが心配するからな、さっさと帰るか。

 

 俺が帰ろうとすると、リアスに呼び止められた。もう話すことは話したはずだか、何かあるのか?

 

「聞き忘れてたのだけれど、貴方・・・誰?」

 

 凄く大切なことを言ってないじゃないか。今の服の俺と会うのはリアスにとっては初めてだったな。

 

 とりあえず俺は仮面とフードを外して、リアスに同じクラスのハース・ベスタードだということを話した。するとリアスはどこか納得したような素振りをしていた。

 

 その後、俺のことについて話したら、使いは出さず、リアスと一緒に行動してほしいということで公園を後にした。

 

 ちなみに、家に帰ったらエレナが俺のことを心配していたのか玄関で俺が帰ってくるのを待っていて、俺の姿が見えるとすぐ胸に飛び込んで来て上目遣いをしてきた。この時、エレナが可愛いと思ってしまった俺は悪くないと思う。

 

 

 

 




至らない点もあったかもしれませんが、感想、評価よろしくお願いします。

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