俺はMUGENの可能性 作:轟く雷鳴のギース
ばーーか
「ふぅ、目ぇ覚めたかよ。お前がしようとしてることの愚かさをよ」
まだかろうじて意識だけは保っていた爆豪に向けて俺はそう告げる
「お…めぇは…必ず…ぶっ殺す」
息も絶え絶えに爆豪はそう呟く
まだ負けちゃいねぇとでもいうように立ち上がろうとするが体へのダメージが凄まじいため思うように動かすことができないようだ
「なんで今お前が負けたかわかるか?」
それじゃここから爆豪に話をする時間だ
「………」
負けてねぇと言い返してくるかと思ったが爆豪は黙って唇を噛み締めている
その姿はまるでこの間の緑谷のようだった
「俺を頼らなかったからだ。現に今お前を倒した俺とちゃんと作戦を作って俺がそれに同意した上で緑谷と戦いにいけばよかったんだよ。なのにそんな事すらせずに自分の欲だけに忠実に動いていれば誰も後ろはついてこねぇ。そんな自分勝手な男がヒーローになった所で誰もお前に憧れねぇ。お前が憧れたヒーローってのはよ、そんな自分勝手で自身の欲を満たすためにしか行動しねぇ奴なのかよ」
その言葉が決め手になったのか爆豪は込められていた力を解いた
「わかってる。お前が言いたいことも俺がボール投げでデクに負けたこともわかってんだよ。今回だってデクが俺を倒そうとしてたわけじゃないってこともよ」
爆豪は悔しそうに地面を叩く
うちに秘められた思いをぶつける相手がいないから
「お前、ほんとバカだな。勝負はまだ着いてねぇだろ。緑谷達が『核兵器』の確保に成功したってアナウンスが流れたか?」
「なっ…」
俺の言葉を聞いてまさかと顔を上げる爆豪
「言ったろ?それはちゃんと守ってるってよ。んでどーすんだよ。俺はこのままお前の復活を待たないであいつらを倒すことが出来るが…お前、それで良いのか?」
「いいわけ…あるか!」
まだ負けたわけじゃないと気づいた爆豪はその体に鞭打って立ち上がろうとする
「いい子だ、ジュースを奢ってやろう」
と、懐から瓶を取り出し中身を爆豪にぶちまける
するとどうだろうか
爆豪は突然のことで「お前!」と俺に怒りを見せたがそれ以上にその身におきたことでそれを収めた
「なにしやがった」
「体力がねぇんだろ?だから回復させてやっただけ」
本来バトル中にキャラを回復させる手段などない
ダメキャン搭載や自動回復搭載キャラ、便乗回復持ちでなければ戦闘中に回復することはない
だが今行った行動の元となったキャラ、ブラントさんは例外で相手プレイヤーにジュースをおごることで回復させることが可能なのだ
これはブロントさんが謙虚故に起こすことができることなのだ
「さ、行くぞ。今度はちゃんとチームであいつらを倒すんだ」
「ちっ、しかたねぇが協力してやるよ」
渋々といった形で爆豪は同意し『核兵器』のある部屋へと向かっていった
☆☆☆
「くっ!強い…」
「もー!なんなんあのひと!」
なんとか麗日さんとは合流できたはいいけどあの人が強すぎる
特にあの鎖と爆弾のようなもの
距離を取ろうと離れればあの爆弾を振りまいて鎖が届く範囲まで近寄れば鎖でこっちを攻撃してくる
「う〜…しかもあの人なんか色透けてるし…ほんとに人なのかなあれ…」
麗日さんの言葉でやっと気が付いた
あれは恐らく嶽君の個性だ
そういえばあれを置いてきたとか言ってたから確定だろう
しかし人を呼ぶような個性ってなんだろうか…
「とりあえず麗日さんは隙を見て確保に向かってほしい。あの人は僕が引き受ける」
「いいの?」
「出来るかはわからないけどあの人は近寄った者に対しては鎖を使ってる。だから僕が耐えてるうちは麗日さんに攻撃が向かないはずだ」
動きもどこか決められたことのみをするロボットみたいなんだよね
麗日さんの言うように色が透けてるのも不思議な点だし…
「合図をした…危ない!」
僕は視界に入った影から麗日さんを守るために飛び出した
「ちっ!外したか…」
僕らに奇襲をかけたのはかっちゃんだった
「ちゃんと狙えっつったじゃん」
そして入り口から部屋に入ってきたのはさっき助けてくれた嶽君
「まずい…」
あの人だけならなんとかなった
けどそれにかっちゃんと嶽君まで現れたんじゃ殆ど詰みだ
「ど、どないしよ…」
流石の麗日さんもこの状況ではビビるしかないみたいだ
「くっ…」
「お役目ご苦労さんシャルラッハ」
と嶽君が『核兵器』を守る謎の女性に声をかける
すると彼女は顔を覆い隠し声のない嗤いをあげながらフッとなにもなかったかのように掻き消えたのだ
「やっぱり…あれは君の個性だったんだね」
「おう。ただ設置した場所から動かないゲージ持ってないからゲージ技も使えない。接近してきた敵にしかその鎖を使わないといった微妙な性能だけどよ」
まぁ分身にもそういったAIあったらランクあがるわな
やれやれと首を振りながら彼は言った
「ゲージ…技?」
嶽君のいうゲージ技というものが何かはわからない
AIだって機械やロボットに搭載するものだ
ということはさっきの女性はロボットだったというのか?
嶽君の個性がロボットを生み出すことだとすればあの測定の時の平行移動やどこからともなく現れて消えたバットの説明がつかない
と思考に没頭しそうになった時だった
目の前に現れた姿があった
「デク君!」
麗日さんのその声で現実に引き戻された僕の目の前に迫ってきてたのは右手
それが誰の右手かなんて説明するまでもない
「うわっ!」
本当に咄嗟だった
しゃがみこむことでかっちゃんの右手は僕という目標を失い空振りにおわる
「だーからちゃんと当てろよ。お前のそれどっかの全身青タイツの槍かよ」
「あ!?どういう意味だそれ!」
圧倒的強者
この2人は間違いなく最強にして最悪の組み合わせだ
さっきまでみたいな僕に執着してたかっちゃんと違って今は凄く冷静だ
この状態のかっちゃん相手に『ワン・フォー・オール』なしで戦えなんて不可能だ
だけど僕はまだ個性のコントロールが完璧にはできない
だったらどうするべきか…
「麗日さん!走って!」
僕の合図に最初彼女は疑問を浮かべていたがすぐに察してくれたのか『核兵器』の確保に向かってくれた
幸いかっちゃんは僕の目の前、嶽君は部屋の入り口だ
初めから中にいた僕たちの方があれには近い
位置的優位性を持った僕らの方が今の状況でできる勝利条件はこれしかない!
「お前に足りないものは、それは!情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもォォォオオオオッ!!」
突然叫びをあげた嶽君にちょっと怯んだがここを通すわけにはいかない
負けるために戦ってるんじゃないんだ
勝つために戦ってるんだ
僕は嶽君やかっちゃんがなにをしてきてもいいように構えをとった、しかし…
「速さが足りない!!!!」
僕のすぐ隣を風が通り過ぎたと思ったら「うげ!」という麗日さんの声が聞こえてきた
何事かと振り返って確認するとそこには麗日さんを捕らえている嶽君がいた
「嘘…だろ?」
だってさっきまで入り口にいたじゃないか!
「また世界を縮めてしまった…」
縮めたって、そんなレベルの話じゃない!
こんなスピードが出せるならなんで50m走の時に出さなかった
それ以前に個性に幅がありすぎてわけがわからない!
実際彼がクーガーを使用しなかったのはクーガーのデータを取得していなかったためで更新のついでにデータを取得したためであるがそんなことは今は関係がない
「さて、緑谷。まだ個性使わんのか?そんなんで俺らに勝てるとでも思ってんのか?」
そうだ
僕はなんて舐めプをしてたんだ
冷静になって全力全開のかっちゃんと理解不明な個性の嶽君
この2人を相手にして個性を使わないなんて手段なんて初めから存在しないじゃないか
麗日さんには悪いけどこの勝負、負けてもいい
けど、一矢は報いたい
せめて一発だけでも、ただで負けてやるつもりなんて毛頭無い!
「てめぇの相手は俺だろデク!!」
これを躱した所でかっちゃんのことだ
すぐにリカバリーをしてくる
現にさっきだって回避した先にすでに攻撃を放ってた
ならぼくができるのはこれしかない
「君には、君にだけは!負けたくない!」
右の一撃を僕は左腕でガードする
確かに痛い
けどこんな痛みで根をあげてればヒーローなんてなれやしない
「うおおおおお!!SMASH!!!!」
半ば暴発気味だったがちゃんと発動した!
もう一発は撃てないけど少なからずかっちゃんに今までの僕とは違うってことを示すことができた…とお…も…う…
そうして僕は意識を手放した
原作とは違ってかっちゃんが勝ちました
かっちゃんはちゃんと誘導すれば扱いやすそうなキャラですよね
その素直故に
ジュースを奢ってやろう
ネ実の実在した人物ブロントさんの技
その特徴的な誤字や言い回しから熱烈なファンが多くナイトという職に異常なまでの拘り、誇りを持っていたためファンが完全オリジナルキャラとして作成したキャラ
時既に時間切れ、リアルではモンクタイプ、きた!盾きた!メイン盾きた!これで勝つる!など多くの名言を残している
この技はそんなブロントさんのとある伝説をモチーフに作られた技である
分身
アルカナシリーズに登場するシャルラッハロートの改変キャラが使う技
一定時間経過すると画面上空からもう1人のシャルラッハロートが降ってくる
分身の方の彼女も攻撃判定を持っており2人が揃う前に勝負をつけなければほぼ詰む
あと勝利セリフで優しく罵ってくれます
速さが足りない!
みんなの兄貴クーガー先輩の技
飯田顔負けの超スピードで突進し蹴り飛ばす技
今回はその超スピードのみを利用したが…