俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

7 / 72



愛してあげる






6話

「爆豪か…」

 

「なんつーか、あれだな。どんまい」

 

切島がそう言ってくる意味はわかる

まだ少ししか触れ合っていないがあいつは自尊心の塊だ

恐ろしく高いプライドと自分が常に一番であることに誇りを持ってるタイプの人間だ

そしてそれをこのあいだの測定で緑谷に覆された

聞いた所では緑谷と爆豪は同じ小中学校だったらしくそこでは常に緑谷が爆豪について回っていた

そんな緑谷に自分の記録を抜かされたこと、そのせいであいつの中のプライドが傷つけられている

俺としては今の状況の爆豪とペアを組めと言われて「はい、わかりました」と素直に言いたくないという気持ちでいっぱいだ

しかも、だ

火に油を注ぎ更に酸素を打ち込むが如く俺達に対するペアは緑谷、麗日組になった

 

「切島、俺…やばいかもしんない」

 

さすがにこの状況は笑ってられない

 

「まぁ、どんまい」

 

切島に至ってはこの状況を楽しむように笑ってやがる

よし、こいつあとでシルバーソーンからの冥王剣の刑に処す

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「話聞いてただろ。俺らはあれ守んだぞ」

 

爆豪からはゴゴゴゴゴゴ、という効果音が最適といえるくらい何かが昂ぶっておられる

確実に緑谷が対戦相手で処刑対象と認識したからだろう

お陰様で俺の声は全く届いちゃいない

 

「おい、聞いてるのか。これはチーム戦だぞ、私怨は後にしろ」

 

「うるせぇ。お前はそこでそれ守ってろ」

 

わぁ、なんて素晴らしいお言葉でしょうか

ほんと涙が出るくらい頭悪い言葉だぜ

 

「はぁ、もう勝手にしろよ。その代わり俺も俺のやりたいようにするぞ」

 

この時には俺の取る行動は決まっていた

そして演習開始の合図が流れた

その瞬間爆豪は解き放たれた獣のように飛び出していく

餌を目の前にした猛獣、そう例えるのが最適といえるような勢いだ

 

「んじゃ、俺も行くとするか」

 

俺はあるモノをその場に設置して『核兵器』の置かれた部屋から歩いて出て行く

さて、爆豪の奴の個性からして戦闘音がするところ、爆発音のするところが緑谷と戦ってる場所だ

保護対象の場所にはあれを置いてきたから緑谷のもう1人のペアである麗日さんの個性での突破はほぼ出来ないとみていいだろう

その時階下で爆発音が響きわたってきた

 

「ん、あっちか。しっかし(ヴィラン)役だっつっても本気で緑谷潰そうとするあたりあいつも相当頭来てんのか。緑谷の野郎は爆豪になにやったんだよ…」

 

これからやることを考えると心の底からため息が出る

が、それをやらなくちゃ爆豪のためにならないと思うと自然と闘気も湧いてくる

 

「ほんじゃまいっちょやりますかね」

 

俺は戦闘が行われている場所に向かって走っていった

その姿は銀狼のようだった

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

(やれる。まだ上手く個性は引き出さないけどそれ抜きでかっちゃんをこの場に足止めすることは出来る!)

 

ずっと見てきたんだ

僕の中で君はずっとヒーローだったんだから

と緑谷はビビりながらも覚悟を決めた

ここで爆豪を足止めすることで麗日お茶子に『核兵器』の確保をしてもらう

爆豪という核弾頭からの脅威を緑谷が全て受け持つことで麗日を嶽の対処のみに集中させる

それが2人が決めた作戦だった

 

「ちょこまかちょこまか動いてんじゃねぇ!」

 

感情的になった爆豪は動きが直線的だ

そこに付け入る隙があると言わんばかりに爆豪からの脅威を逸らし続ける

その服や体は爆発の余波や回避行動によってボロボロになってはいるが未だに大きな一発は受けていない

そして仕留めきれないからこそ爆豪の怒りは更に増していく

そうなればこちらのものだ

感情的になった爆豪の動きは長年の研究によって緑谷本人が一番よく知っているのだから

 

「はぁはぁ」

 

「おいデクゥゥ…使えよその個性をよぉ」

 

爆豪の怒りを促進させていたのはそれ一点によるものだった

 

「立派なものだよなぁそのパワーは…使えよ、使えぇぇ!!」

 

(右の大振り!)

 

そう判断した緑谷は左側へと体を潜らせる

だがその先には既に構えられた爆豪の左手が存在していた

 

「何回も見てんだ。バカでもわかるわ!」

 

私怨で戦っていようと爆豪は入試トップ

その戦闘センスだけは巨大な宝石の原石のようなもの

本能によってセンスによって緑谷の動きを読んだ爆豪は遂に緑谷の体を捉えたのだ

 

「がぁ!」

 

初めて喰らう爆豪のまともな爆発の個性

それは今まで受けた痛みとは比にならないものだった

 

「ずっと隠してきたんだろ。この俺に。ずっとバカにしてきたんだろ、この俺を!!」

 

怒りに塗れたその姿はまさに悪鬼そのもの

その悪鬼は緑谷に向けて掌を向ける

 

「当たらなきゃ死なねぇよ!」

 

そしてその手に装着された手榴弾のようなものの中に蓄えられた自身の汗を一気に解き放つ

目の前から迫る死の恐怖は緑谷の動きを止めるには充分だった

人は死の恐怖、死の脅威を前にすると動きを活動を止めるという

そういった人としての本能により動きを止めた緑谷をその爆発が襲うのは至極当然のことだった

 

 

「おい、お前なにしてんだ?」

 

彼が現れるまでは

 

「流石の俺もドン引きだわ。お前、やり過ぎ」

 

緑谷を助けたのはそう…

 

「嶽…君…?」

 

 

 

嶽京

爆豪のペアである生徒だった

 

 

 

 

「お前がまだ緑谷をぶっ飛ばしたいって思ってんなら…まずはこの俺を超えていけよ」

 

 

凛としたその姿から発せられた言葉はまさかの言葉だった

 

「あぁ?何言ってんだ。そこどけよ。お前が口出ししていい問題じゃねぇんだよ。お前は上でアレ守ってろっつっただろうが」

 

そうだ!

今ここに2人がいるということは確保対象はガラ空きのはず

そう思った緑谷は麗日に通信を入れた

しかし返ってきた通信は「凄い格好のよくわからない女の人が変な丸いもの出してて入るに入れない」とのこと

彼女の言葉の意味が理解できなかった緑谷は今にも戦いが始まりそうなこの場から離脱を開始する

 

「逃げんじゃねぇぞデク!すぐにこのクソ野郎ぶっ飛ばしてお前を殺してやる」

 

離脱しようとした緑谷を見た爆豪がそう叫ぶ

だがそれを聞いた嶽がカチンときたように反論する

 

「さっさといけ緑谷。どうせここにいたって邪魔なだけだ。お前らの個性じゃアレを攻略出来ないだろうからどこ行こうが関係ない」

 

そう緑谷に告げた後に爆豪の方に向き直る

 

「つーかお前さぁ、まさか俺を倒せるとか思ってんのか?この限定的な空間で?」

 

爆豪の個性とはニトロのような性質を持った汗を起爆させて爆発を起こすというもの

要は爆豪イコール爆弾と思えばいい

だが建物内ということは耐久値が存在する

強力な爆弾を何発も爆発させては建物そのものが耐えられない

つまり屋外と違い爆豪は本気の爆発を起こすことができないのだ

 

「そんなの関係あるかよ。お前が邪魔するんならぶっ飛ばす。それだけだ」

 

完全に嶽を標的として認識した爆豪は爆発による機動力を生かして嶽に奇襲をかける、だが嶽も嶽とてそう簡単にやられるほど甘くはない

 

「血風を纏う」

 

「なに!?」

 

爆豪の奇襲ははっきり言って完璧だった

三角飛びの要領で嶽の視界から消えると背後からその爆発が襲いかかるはずだった

しかし嶽に攻撃が、爆発が襲うその瞬間突如として爆豪はその動きを止めたのだ

それは爆豪も予期せぬ事態だったようで当然動きを止めた自分の体に疑問を持っていた

 

「抱け」

 

動きを止めていた爆豪から今度は唐突もなく血飛沫が舞い散る

 

「あはははははは!もっとだ」

 

辺りに響き渡るように嶽は嗤い声をあげる

その撒き散る血を浴びたことによってテンションを上げるかのように

この様子をモニターから見ていた他の生徒やオールマイトさえもその姿を見て言葉をなくしてしまう程だ

爆豪のみならず他の生徒にも与えたショックは相当なものだった

 

「てめぇ、今なにしやがった…」

 

地面に倒れこむ爆豪はさっきまでのような怒りに塗れた様子から打って変わって冷静に今起きた出来事を判断しようとしていた

 

「ただの当身だ」

 

「あ?」

 

「お前の攻撃に対して俺が当身を取った。だからお前は俺に攻撃を当てられず逆に俺に攻撃を当てられたってことだ。まさかお前、格ゲーしらねぇのか?」

 

そして、「come on」と手招きするように挑発を行う

 

「っざけんなクソ野郎がぁ!!」

 

それによって遂に爆豪が自身に無意識で掛けていたリミッターを解放した

 

「お前の個性がわけわからないもんだとしてもそれ込みでぶっ飛ばせば関係ぇねぇよなぁ!!」

 

今度はさっきとは違うまだ使用してない爆弾に手をかける

だが爆豪がその引き金を引くよりも早く銀狼は駆け抜ける

 

「刻め!」

 

爆豪の顔面を掴み地面に叩きつけながら嶽は技を始動する

 

「魂の鼓動!!」

 

技が当たってしまったが故に爆豪はそれから逃れることはできない

それから抜けたければ特殊な抜けが必要となる

だがそんなデータを入力されていないただの人間である爆豪にそんなことは出来るわけもない

 

「ウルフ!」

 

嶽は腕に拳に込められた力を思いっきり爆豪に向けて解き放つ

 

「ファング!!!」

 

そして勝負はついた

勝者は誰が見ても嶽京その人であり敗者は入試一位の爆豪だった

 

 

 

 

 





ウルフファング
大番長の主人公ナスこと斬真狼牙の技
ナスは各種MUGENトーナメントで上位を叩き出すなどの好成績を残しているがその理由の一つとなる必殺技
コンボから流れるようにこの技に繋がる様はとてもかっこいい


血風を纏う 抱け
アナザー・ブラッドが使う各種当身技の一つ
飛び道具だろうが通常攻撃だろうが関係なく当身を取ることができるニトロワ屈指の高性能
ただアナブラの技の殆どが当身技となっておりまたゲームシステムの都合上ゲージが溜まり難いためどうしても後手になり更に相手の行動を読むという高い技量が必要な非常にテクニカルなキャラ
だがその分この当身技が決まれば気持ちの良いものである
追加のパッチを当てることでスカートが原作同様透け透けにすることもでき、中もきちんと見えるようになる
恋するドラゴンと違い胸部装甲は薄いがそんなもの関係ない位エロい、とりあえずエロい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。