俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

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貴様が挑むは無限の剣。剣戟の極地。恐れずしてかかってこい!











56話

 

 

 

 

(ヴィラン)襲撃の後少しして救急や消防が駆けつけた

なんでもB組の担任が連絡してくれてたらしい

だから重軽傷者問わずみんな病院へと移された

被害としては生徒40名の内あのよくわからんガスでの意識不明者が15名

このガスの元手を止めたのが俺を助けに来た拳藤と鉄哲だってのは後から教えてもらった

重軽傷者は俺を含めた11名、無傷で済んだのは12名。そして…行方不明者が2名

(ヴィラン)連合は当初の判明していた目的である爆豪だけでなく常闇も一緒に連れ去ったのだ

その代わりという言い方は良くないが(ヴィラン)側は4名を現行犯逮捕した

 

俺たちが楽しみにしていた林間合宿はUSJ襲撃事件の時よりも更に最悪の形で幕を閉じたのだった

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

〜数日後〜

 

 

「君…一体何をした?」

 

病院に運ばれて検査を受けてる時に医者の先生にそう言われた

 

「何を…とは?」

 

その質問の意味がわからなかったため詳しい説明を俺はもう求めた

すると先生は俺の体内の写真を見せてくれた

 

「わかるかい?」

 

「…っ!」

 

俺はその写真を見て息を呑んだ

 

「でも…お、俺は動けてますよ!」

 

そこに写っていたモノ、それは…

俺の体に存在する神経という神経が千切れてしまっている写真だった

 

 

「だから聞いているのさ、普通なら、いや生物ならありえない状況だからね。こんな…神経がズタズタに千切れて完全に機能していない状態なんだから」

 

 

「なんで…」

 

俺の疑問は尽きない

 

「聞いた話だけど君は(ヴィラン)相手に1人で戦って倒したらしいね。その時に一度完全に体が動かなくなったとも。けどそのすぐ後に君はぴんぴんした状態で再び(ヴィラン)に立ち向かった、これに間違いはないかい?」

 

「それは…」

 

拳藤か鉄哲が言ったんだろう

俺はそれを頷くことで肯定する

 

「その時、君に何かあった筈だ。それのお陰で今君は神経が機能していないにもかかわらず体が動いているんだよ」

 

思い当たる節は確かにある

あの時、俺の変数を弄ったから起きたペナルティによって一時的に論外化したことだろう

 

「ちょっと待てよ…」

 

ペナルティとはいえあの状態になれるのは一時的だ

ならなんで今俺は体が動かせる?

本来回復するはずの体力を前借りするのがリザレクションだ

だがこんな神経が完全に死んでしまっているのに回復もクソもない

つまりリザレクションでも治らないはずなのだ

 

「まさか…あいつ…」

 

そうだ、あいつの変数弄りは普通の変数弄りじゃない

あの、G七夜ことおろやんは神すら殺せると言われるキャラなんだから

 

「多分…ですけど俺の個性が関係してるかと」

 

「成る程ね。個性で体が動いている状態か。机上の空論かと言われていたがまさか本当に存在したとは思わなかったよ。すまないが今後の医学の発展のために詳しく教えてもらえないかな?」

 

先生も興味深そうに俺に聞いてくるけど細かいところは俺も知らないからなぁ

変数弄りとか俺にはさっぱりわからんし、それが原因だともまだわかってないしな

 

「その辺は俺にも…ただ俺の個性が関係してるのは確かだと思いますけど、俺もこの個性のことは完全に理解できてないんですよ」

 

「そうか、それは残念だ。とりあえず今日はこれで終わりだよ。あとこのことを口にするのは極力避けてくれ、もしバレたら君は研究材料として捕らわれる可能性が出てくるからね。僕としても今すぐ君をバラして調べ上げたいくらいだよ。まぁしないけどさ」

 

え、この先生笑ってるけど言ってること超怖いんですけど…

 

「それと定期的に検査には来てほしいな、君のことは僕が責任を持って面倒みよう」

 

「まぁその辺は学校の先生と相談してから…ということでいいすかね?」

 

流石に俺1人で全部決めるのはやめといた方がいいよな

少なくとも相澤先生には相談すべきだと思うし

担任だしあの人なんだかんだいって面倒見いいし

 

「うん、それでいいよ。あ、最後にもう1つ」

 

ありがとうございました、と立とうとした時に先生が真剣な目で俺を見る

 

「最低でも1週間、個性を使っちゃダメだ。今の君の状態が個性によって起きていることならば個性を使うことでその状態が崩れる可能性がある。まず1週間、それから様子を見ながら個性を使ってリハビリを行っていきたい」

 

「わかりました」

 

まぁデータの入力くらいは構わないだろ

なんか今俺の中のデータぐちゃぐちゃだからすっげえ気持ち悪いんだよね

しかしなんでこんな壊れ方したんだろ

まるでICカードを強力な磁場に近付けたみたいな壊れ方…

 

「それじゃ他の奴らの様子見て帰ります」

 

 

 

☆☆☆

 

 

「お?見たことある影だと思ったらお前らか」

 

緑谷が入院してるとは聞いてたので見舞いに来たわけだがそこにタイミング良く他のクラスの連中とも居合わせたのだ

 

「おお、嶽大丈夫か?B組のやつから相当ヤバかったって聞いたが…」

 

轟が俺を気遣うようにそう問いかけてきた

 

「ん、俺はまぁ大丈夫だ。検査も終わったから今から帰るとこだったんだよ」

 

「それはちょうど良かった。お前も無事なら誘おうかと思ってたんだよ」

 

俺を誘う?

一体なににだろうか

 

「実は昨日さ、轟と俺は昨日もここに来てたんだよ。そん時なんだけどさ」

 

と、切島が昨日の出来事を話し始める

どうやらその内容が今回の要件らしい

 

「そこでなんだけどよ、オールマイトと警察の人がさ八百万と話してたんだ。その内容が(ヴィラン)の1人に発信機を取り付けたって内容だったんだ」

 

一緒に運ばれた時相当やばそうだったけど八百万そんなことしてたのかよ

やっぱあいつ尊敬するわ

 

「で、それが俺を誘うこととどう繋がるんだ?」

 

「ここまでいってわかんねぇのかよ」

 

「おい、まさかとは思うけどよ切島。八百万にその発信機の電波拾う機械創ってもらうとか言うんじゃねーだろうな」

 

ほぼ確実にそうだとは思うが一応のために聞いておく

しかし切島はそれを黙っているだけ

 

「黙ってるってことはそうだってことか」

 

「馬鹿なことはよすんだ!この案件はプロのヒーローに任せるべき案件、生徒(おれたち)が出てもいいような舞台じゃ決してないんだぞ!」

 

その様子を見ていた飯田がすさまじい表情で止めようとする

実際ヒーロー殺しの時に自分が原因で最悪の事態に至りかけた事もあって飯田の言葉には深みがある

 

「んなもんはわかってる!でもあの時、あの時なんも出来なかったんだよ。爆豪が狙われてるって聞いた時、俺はなにも出来なかったんだ…」

 

切島の表情は悔しさが溢れてる

確か切島はあの時補習を受けてたんだったか

そりゃなにも出来なかったのは悔しいわけだ

だがそれとこれとは話が別だ

 

「ここで動かなきゃ俺はヒーローになる前に男ですら無くなっちまう。飯田の言ってることが正しいって頭じゃわかってる。わかってるが体が、心が叫ぶんだよ、まだ手は届くんだって!」

 

「はぁ…俺はお前のこと友達だと思ってるしお前の言いたいこともわかる。だから、友達だから俺はお前に言う。轟、お前にもだ」

 

切島とその話を一緒に聞いたっていう轟も助けに行こうって案に賛成してるって事だからこいつにも俺は言わなきゃならん

 

 

 

「思い上がりも大概にしろ」

 

 

「なっ、嶽…」

 

「切島は実際あの場に居なかったからわかんないんだろうな。本当の命を賭けた戦いってやつがよ」

 

「オイ、そりゃどういう意味だ」

 

俺の言葉の意味が理解できないのか切島が俺の胸元の服を掴み上げる

 

「言うなって医者に言われてたがしゃーない。俺はあの夜2人の(ヴィラン)と戦った。負ければ死ぬ、そんな状況での戦いだ。1つのミスが自分の命に関わるんだ、USJの時と比にならんレベルの空気だ。その戦いの中で俺の体は限界を迎えた」

 

切島の腕を掴み返しながら俺は続ける

 

「今の俺の状態から想像出来ないだろうがよ、切島。俺は今、全身の神経が千切れて機能してないんだよ。医者もなんでその状態で俺がこうして普通に動けてるのかわからんって言うレベルだ」

 

「!!」

 

俺の今の状態を聞いて驚きの色が切島に浮かぶ

切島だけでなく他のみんなにも同様に…

 

「お前はそうなってまでして爆豪を助けに行くつもりか?」

 

当たり前(あったりまえ)だ。なにも出来ずにいるより友達助けるために死ぬ方がよっぽどマシだ」

 

その言葉を聞いた瞬間俺は切島の顔面を殴り飛ばした

女子からは小さな悲鳴が出たし男子は俺が殴った切島を抱き抱えて助け上げている

 

 

「馬鹿はどこまでいっても馬鹿なのな」

 

「嶽…てめぇ!」

 

俺に殴られて頭に血が上った切島が俺を殴ろうとするがそれを他の男子たちが必死に止める

 

「俺よりも弱いお前が俺よりも強い奴らがいる所にカチコんでなにになる。爆豪と常闇が攫われたとしたら確実に2人は本拠地だ。それにあの場に死柄木が居なかったってことは合宿所に現れたのは奴らの中でも一部のみ。その一部にすら勝てなかった俺らが出る幕なんてねぇんだよ」

 

みんなに取り押さえられている切島に目を合わせて俺は続ける

 

「この案件に俺らみてぇな未熟者がでる幕はない。わかったか?」

 

切島は俺の言葉を聞いて悔しそうに唇を噛み締めている

ここまで言えばこいつらも爆豪達を助けに行こうなんてしないだろ

 

「轟、お前もだ。お前は周りの空気に流されがちだからな。爆豪達は必ずプロのヒーロー達が、オールマイト達が助け出す。お前の親父もその部隊に参加するだろうよ、だから安心して家で待ってろ」

 

俺がそこまで言った時不意に部屋の扉が鳴った

誰かがノックしているのだろう

 

「お話の途中みたいだけどごめんね。緑谷君の診察を行いたいんだけど」

 

「い、行こうぜ。耳郎とか葉隠とかも気になるし…」

 

と、瀬呂が俺たちに誘う

 

「いやいい。俺は先帰るわ。またな」

 

流石にあんだけ言った後にみんなと見舞いに回るのは気が引けたしな

そして最後に飯田にボソッと一言だけ伝える

 

「もしもあいつらが助けに行くってなったら連絡くれ」

 

飯田から返事は無かった

だがあいつなら絶対止めるだろうし俺にも連絡を入れるはずだ

その時は個性を使ってでも止めてやる

使うなとか言われてるけどあいつらのためだから

これ以上取り返しのつかないことが起こる前に…

俺の体1つでそれができるなら安いもんだ

 

 

 

 

 

 





青山ビームが無かったから常闇君も助けられなかった…
このことで原作よりも余計にみんな悔しさを増してます


白い影はおろやんでした
頂いた感想ではこっちが誰かわからないという声が多かったイメージ
極死・七夜の描写が下手すぎたのが原因か?
白い七夜といえばおろやんだと思ってたんだが…

あの状態はおろやんの変数弄りによってペナルティが起きていたわけではなく
おろやんによって嶽京のカラーを変更することでランクを引きあげたという感じ
そのため今の嶽君は扱えるランク帯の上限が上がってます
少なくとも歯車戦で使用したアメジスタ位までは楽に…
呼んでないけどアザゼルさんも負担はかかるけど再現可能という上限突破
なお、神は無理です、無理です
無理矢理感ありますがご了承ください



G七夜
希望絶望で主に活躍してる七夜改変キャラ
オロチの神のポーズしてる
葬志貴のモデルになったんだっけ?逆?
その辺ちょっと忘れてしまった

ところで七夜と京の改変キャラってなんであんなに色物キャラ多いんですかね?
絶対3R行くマンとか七夜レンジャーとな普通さんとか本気さんとか…

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