俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

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地獄に着いたら、閻魔によろしく言っといてくれ









51話

 

 

「オラオラオラァ!!」

 

弾幕と爪による直接攻撃、そしてバッタ回避による無敵時間により歯車のラッシュを回避する

1発でも喰らった瞬間殺される

本能がさっきからずっとそう叫んでいた

 

「ああ!鬱陶しい。おとなしく寝てろ!」

 

歯車もイライラが溜まってきたのだろう

外れるとわかっていてもタイランレイブをぶっぱし始めた

 

「ちっ、クソがぁぁ」

 

原作通りならドラインを凌ぎさえすればピヨるはず

そこまで耐えれば勝ちが決まるが…

俺の体がそこまで保つかがわからない

 

「っと、時間だ」

 

俺の中で力が増幅するのを確かめる

それが意味するのはphaseの移行

即ちphase11だ

 

「そろそろ終わりにしようか」

 

溢れ出る力

それが星々の力となってこの空間を支配する

 

「俺が!お前に!」

 

星々の力に押し潰されそうになりながらも歯車は気合と根性でそれをぶち壊す

 

「負けるわけねぇだろ!!」

 

その一撃がその拳がとうとう俺を捉えた

 

「がはっ!」

 

ドラゴンインストール状態のタイランレイブだ

威力なんてモンは計り知れねぇ

それをマトモに喰らった俺は吹き飛ばされる

不幸中の幸いか歯車にも限界がきたのか追撃のグランドヴァイパーが飛んでくるという最悪の事態は回避できた

 

「まだ…おわ…!?」

 

立ち上がろうと腕に力を込めた筈だ、なのに…

 

 

 

 

「腕が…」

 

 

動かない

それだけじゃない

腕だけでなく体全体に力が入らない

 

 

 

 

「ハ…ハハハハッ!ぶっ壊れやがったか!」

 

その様子を見た歯車が笑い出す

 

「そりゃ当たり前だわなぁ。まだその歳だ、体なんか出来ちゃいねぇのにあんな無理すりゃそうなるわ」

 

嘘だろ…

ここに来て…ここまで来て…

 

『もう少し個性を使ってたら神経が引きちぎれててもおかしくなかったよ』

 

死柄木が初めて俺たちの前に出てきたあとでリカバリーガールに言われたこと言葉を思い出した

俺の体に起きたこと、それは単純だ

俺の体がアメジスタの再現による負荷に耐えられなかったということだ

 

 

「まぁよく頑張ったんじゃねーか?」

 

「ぐっ!!」

 

歯車は笑いながら俺の腹を蹴り飛ばす

気絶できない程度の力でだ

だけど不思議だな

痛みは感じない

あるのは蹴られたことで生じた衝撃だけ

 

「あー、残念だ。結局お前の個性がなにから来てるのかはわからんかったが…」

 

それなりに楽しめたわ、と封炎剣を振りかざす

その時だった

 

「ちっ!邪魔すんなよ」

 

手にしたそれで歯車に向かって飛んできた塊を弾く

それとほぼ同時に俺の体を誰かのデカイ手が包み込んだ

 

「鉄哲!こっちはオッケーよ!!」

 

俺を抱えるのはB組の少女、拳藤一佳

 

「おう!」

 

そして歯車に弾き飛ばされたのは切島と個性だだ被り対決をした鉄哲徹鐵だった

 

「お前ら…」

 

「八百万に言われてたんだ。あんたが絶対無理するから余裕があったら助けに来てやれって。そしたらあの状況だもん。飛び出すしかないよ」

 

「八百万か…」

 

なんでもお見通しかよあの副委員長よ

 

「助けてくれて悪いが俺を置いていけ、もう俺は使いもんにならん」

 

「は?何言ってんだよ」

 

「体がな、動かねえんだよ。前にリカバリーガールにも言われてたんだけどさ。無理し過ぎて体の神経が引きちぎれてるっぽい。こうなっちまったらもう治せないだろ」

 

喋れるだけまだマシなのだが今の俺にできるのは囮くらいしかない

 

「だったら尚更助けないとね。あとさ、あんたがかっちゃんって子で合ってる?」

 

「あ、かっちゃん?そりゃ俺じゃなくて爆豪だけどなんで?」

 

まぁ俺も嶽だからかっちゃんって呼ぼうと思えば出来るけどさ

人違いだし爆豪をそう呼ぶん緑谷だけだぞ

 

「くぅ!悪い拳藤、あいつ強ぇ。俺1人じゃマトモに時間稼ぎも出来ねぇぞ」

 

俺の疑問を拳藤が答える前に歯車の乱打を防ぎきった鉄哲がこっちに合流する

 

「とりあえず嶽の回収には成功したから大丈夫よ鉄哲。それでね、なんか(ヴィラン)が狙ってるのがそのかっちゃんらしいの。というよりマンダレイからのテレパス聞いてなかったの?」

 

「あいつと戦ってたせいで多分聞こえてない」

 

まぁ仕方ないだろ

全神経使ってあいつと戦わなきゃいけなかったんだからよ

そのお陰で俺の神経が引きちぎれた訳なんだけど

 

「おい嶽!女に庇われてんじゃねーよ!」

 

俺を殺し損ねた歯車は苛立ちを露わにしている

俺だって体が万全ならお前と戦っとるわ!

 

「拳藤、他の奴らの応援は期待できるか?」

 

「いや、多分ないと思う。八百万がもしかしたら戻ってくるかも…ってところ」

 

マジか…

正直この2人で歯車の相手は無理だ

鉄哲がある程度持ち堪えられるかもしれないがそれも時間の問題

長時間は無理だろう

となると俺たちの戦いの音を聞きつけて助けに来てくれるなんて甘い考えは出来ない

 

「少しずつ戦線を下げて最初の広場に移動できればいいんだが…」

 

ここから広場はかなりの距離がある

その距離を歯車にバレないように移動するのは無理だ

 

「くそ、マジで足手まといだな俺」

 

「んなこたねーよ。お前がこいつを足止めしてなきゃ今頃こいつが暴れまわってた。お前が稼いだ時間は確実に俺達を助けてる」

 

鉄哲は歯車を睨みつけながらそう言った

 

「それによ、お前が根性見せたんだ。俺も根性見せないとな!」

 

鉄哲は弾丸のように飛び出して歯車の攻撃を防ぎながら隙を見て攻撃を繰り出している

その姿は宛らボクサーのようだ

 

「はっ、男前かよ…あいつ」

 

「けど鉄哲じゃ…」

 

「わかってる。だから今必死に探してんだよ。俺は体が動かなくなっただけだ、個性は使える」

 

探せ、俺の中の無限のデータの中から

探せ、MUGENが生み出す可能性を

探せ、俺の原点を

探せ、探せ、探せ!!

 

 

 

 

 

 

 

オールマイトに言われたMUGENの真の意味

その答えを心の底から求めた時、その世界は俺の前に姿を現した

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒な空間だった

そこには影がかかって誰だかわからない無数の人影が存在していた

その中で見覚えのある道着姿の誰かが此方にこいと手招きをしている

しかし俺の体が動くとはない

だがそれでも影達は俺を見つめているだけだ

 

「くそが…なんだってんだ」

 

意地でもあの手を掴んでやろうと体を動かそうとするがやはり動かない

なにをしても動く気配はない

その様子を見かねたのか影は初めて手を招く以外の行動をとった

それは首を横に振るという事だった

 

「どういう…意味だ?」

 

その行為の意味が理解できない

なにかが違うと言うのだろうか

 

「…………」

 

そのあと再び影は黙ったまま手招きを開始する

 

「黙ってたらわからんっての!」

 

俺は焦りと苛立ちから思わず怒鳴り散らす

すると影達は笑うように体を揺らした

笑い声は聞こえない、だが明らかに笑っている

 

「体が万全ならてめぇら全員ぶっ飛ばしてるのによ!」

 

俺がそう叫んだ時、俺に手を招いていた影が再び首を横に振り、影が自分を指差したあと俺に指を差した

そして手を広げ拳を胸に持って行ったのだ

 

まるで目の前の”影達"を"受け入れろ"というように

 

「まさか、お前ら…」

 

俺がその答えに至った瞬間、この世界に真っ白な光が差した

まるでこの世界の異物である俺を追い出すかのように

 

「まて!俺はまだ完全には!」

 

 

背後からいきなり白い姿の影に頭を掴まれる

 

 

『とりあえずは理解したか?そしたら手土産だ、受け取っておけ』

 

 

その影は此方が何かを言う前に俺の首に衝撃を加える

それによって俺は完全にこの世界から追い出された

 

 

 

 

 






アメジスタ
レミリア改変の神キャラ
今回はphaseの上限をいじって狂最上位として再現させてます
金ラオウ杯が狂中位の大会のため妥当かなと判断してます
phaseは9〜11の2Pです
なお、通常嶽君が再現できるのは2Pphase1〜8となっています




手招きしてた影と白い姿の影とは誰なんだろうなー(棒)

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