俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

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いきましたーというフガッ!






4話

「嶽君…一体彼は何者なんだ…?」

 

横のメガネ、確か飯田って名前の奴からそんな声が聞こえてきたから俺はそいつに教えてやる

 

「あいつは入試の時真・昇竜拳であのでっかい(ヴィラン)を一発でぶっ飛ばしたやつだ」

 

「なに!?ではあの(ヴィラン)を倒したのは緑谷君だけではなかったというのか」

 

ん?このメガネの言葉が真実だとしたらあの緑谷って地味な奴もアレをぶっ飛ばしたってことになるな

だけどよ、さっきから緑谷は記録は一般の無個性の人たちと同じ記録ばっか

個性を使ったようなところも見えない

嶽も同じように使ってなかったけどさっきのアレは確実にあいつの個性だと思う

どんな個性だって聞かれると全くわからないけど個性を使わずにサンドバッグ掴んであんな風に空中を移動するなんて人間には出来ないからな

 

「へー、あいつ以外にもアレをぶっ飛ばしたのか。けどあいつさっきから一向に個性使わねぇけどなんでだ?」

 

「それはわからない。だが彼は自分の個性を使った後、つまり(ヴィラン)を破壊した後その反動を受けたようにボロボロになっていた。まるで個性が発現したての子供のように個性が暴走した、そんな印象を僕は感じた」

 

なるほど、話を聞く限りだとあの緑谷は個性が暴走するのを恐れて個性が使えないでいると考えるのが妥当か

そして逆に嶽はなにかしらの条件化でしか発動しないタイプの個性でさっきの場合はあのサンドバッグが無いと発動しなかったと推測できる

まぁ頭の悪い俺があいつの個性がなにかって考えた所で答えが出る訳でもないし後でそれとなく聞いてみればいいか

 

「まぁ俺たちはドべにならないように頑張るしかないってことだ。他人のことを考えて足元掬われちゃ元も子もねえからな」

 

「む。確かにそうだ。では僕はこれで。切島君も頑張りたまえ」

 

「おう、またな」

 

飯田と別れた少し後くらいに相澤先生と一緒に嶽が帰ってきた

 

「おかえり。あれ、お前の個性か?」

 

「おう、まぁアレが個性かって聞かれたら個性の一角ではあると答えるしかないな」

 

「ん?どういう意味だ?」

 

よくわからない答え方をするな

俺が頭悪いのもあるけどさすがにこれは意味がわからん

 

「前の真・昇竜拳も俺の個性による技だしさっきの運送も俺の個性だ。けど運送するのが真・昇竜拳をするのが俺の個性って訳じゃないってことだ。俺の個性の本質はもっと別の所にあるからよ」

 

「つまりあれはお前の個性で使える副産物みたいなものか」

 

「まぁそう思ってくれて構わない。けど俺の個性が知りたいならもっとゲームをするべきだ。勘のいいやつなら俺の個性なんかすぐにわかる」

 

「ゲーム?なんでそこでゲームが出てくるんだよ」

 

「次ボール投げだろ…ボール投げはあいつ使うから…」

 

と、いきなり考え込み始める嶽

 

「ぶっちゃけるとだな。俺の個性は今回みたいな測定系と頗る相性が悪い。俺が個性使えるのはあと2つが限度だ。これは個性の特徴のせいだ」

 

「なんだよ、勿体ぶらず教えてくれたっていいじゃねーか」

 

「それじゃつまんないだろ?けどまぁ言っておくと俺の個性は対人だと無類の強さを誇るって事だな。ま、ボール投げ行ってくるわ」

 

名前を呼ばれた嶽はボール投げをしに円の中に入っていった

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、円の中ならどんな個性でもいいんですよね」

 

「あぁ、そこからでなければ個性を使おうがなにをしようが構わない。だが…」

 

「わかってますよ。さっきみたいなことにはならないです」

 

よし。個性の使用の許可は得た

個性発動のために物を使っても構わないという事だ

ほんと、俺には対人用の技しかないからこういうの無理だっての

まぁこの種目だけはなんとか出来るからいいや

 

「ふぅ…」

 

手に持ったボールをもう一度見る

普通に大きさはソフトボールと変わりない

 

「メルヘェェェン!」

 

ボールを軽く目線の高さに放りながらどこからともなく木製のバットを召喚する

そしてそのバットを思い切り振り抜く

 

「ゲットォォォォ!」

 

カァァァン!!

という気持ちのいい快音と共にボールが弾けとぶ

ボール『投げ』なのにバットで『打つ』のはダメとか言ってはいけない

だってこれ高野レンの技だもん

 

「乙女は強くなくっちゃね!」

 

と俺がガッツポーズをしていると相澤先生に出席簿て頭を叩かれた

 

「個性は使用してもいいとは言ったがこの種目はあくまでボール『投げ』だ。『打って』いいとは言ってない」

 

「ストップ!これも一応は個性です!個性発動に制限はないって言ったじゃないっすか!!」

 

証拠に技の発動時に使ったバットは今はどこにもない

格ゲーあるあるの技の時だけアイテム召喚のアレだ

 

「今回はこれをお前の記録にしておくが次から種目に反することを行えば即アウトだ」

 

と相澤先生が忠告をして去っていく

なんだよ、せっかくテンション上がってきたから『ペルセウス』歌いたかったのに…

しょんぼりとしてるとまた切島が大爆笑しながら話しかけてきた

 

「お前最高だな!ボール投げなのにバットでボール打つとかさ」

 

「うるせぇ。アレが俺ができる最高のボール投げだ。記録見たろ、874mだ。プロ顔負けだっての」

 

「お、あいつの出番だ」

 

するといきなり切島がとある生徒を注目して見る

 

「あ?誰だあいつ?」

 

「飯田からの情報なんだけどよ、お前の他にもあのでっかい(ヴィラン)ぶっ飛ばした奴がいるみたいでそれがあの緑谷なんだと」

 

「へー、あんな地味な奴がねぇ」

 

「今のところなに1つ突出した記録は出てないからそろそろ来るとは思うんだけど…」

 

と切島が話している時にその緑谷がボールを投げる

俺は個性の性質上技の発生に対して、つまり他人の個性の発生に関しては結構敏感なほうだ

でないと当身キャラの超反応を再現なんかできない

だから緑谷がなにかしらの個性を発動しようとしたのはわかった

だが所謂インパクトの瞬間、その個性が消失したのだ

 

「あいつ確かに今個性使おうとしたよな?なんでだ?」

 

「個性を使おうとしたけど使えなかったんだよ。相澤先生が見てたからな」

 

「相澤先生が?」

 

やっぱ知らないのか

確かイレイザーヘッドはめんどくさいとかいう理由でメディアには極力出ない事で有名だ

切島が知らなくても不思議はない

 

「相澤先生は現役ヒーロー、イレイザーヘッドだよ。その個性は目で見た対象の個性を消失させること。さっきの立ち幅跳びの時に俺を止めたのはその個性を使ったから」

 

「へー。ってことはあいつはなんか危険なことやろうとしたのか?」

 

「飯田から(ヴィラン)ぶっ飛ばした時の状況聞いてないか?」

 

「そのあと反動でボロボロになってたってよ。個性が発現したての子供の暴走みたいだったって」

 

なるほどね〜

さっきの相澤先生の呟きから考えられるに緑谷は個性の扱いに慣れてない

(ヴィラン)をぶっ飛ばせるほど強力なパワー型の個性持ちは爆豪のような強気な性格になりがちだ

しかし当の緑谷は弱気でなにかに怯えている印象を受ける

個性を持たない者に見られがちな劣等感に押しつぶされた人間に現れがちなそれだ

 

「なにかしらの影響で最近個性に目覚めた…か?」

 

「なに言ってんだ、個性の発現はもれなく4歳までだろ」

 

そう、自発的な個性の発現は4歳までだ

だが誰かに個性発現のきっかけを与えられたとすれば?

事実俺がそうだ

最初は俺は無個性だと思ってたしみんなもそう思ってた

普通PCからデータ取得なんか誰もしないからそれによって技を再現する俺の個性が発現していても気付かない

偶々PCに詳しいやつがコードを繋いだところ勝手にMUGENのデータを取得し始めて今に至る

だから緑谷の奴も個性が発現していたにも関わらずそれに気付いていなかったという説を俺は唱えたい

 

「とりあえず分かってることはあいつは今自爆覚悟で個性を使おうとしたってことか。そりゃ先生も止めるわな。ヒーローになろうとしてるやつが自爆して逆に人様に迷惑かける訳にはいかねぇわなぁ」

 

「そうっぽいな。相澤先生もなんか緑谷の奴と話してるしそういうこと言ってるんじゃねーか?」

 

「うしっ、んじゃ俺ちょっくら行ってくるわ」

 

「行くってどこに?」

 

「緑谷んとこ」

 

それだけ言って俺はぶつぶつ呟いてる緑谷の所に向かっていく

 

「よ、緑谷だっけ。なにそんなに怯えてんの?」

 

「え、えっと…「嶽、よろしく」嶽君…」

 

「聞いた話だけどあの入試ででっかい(ヴィラン)倒したんだろ?そんな立派な個性持ってんのになんで怯える必要あんの?」

 

「いや…その…」

 

マジでなににびびってんだろこいつ

 

「個性が暴走するかもしれねぇからか?」

 

ビクッ!っとわかりやすく体が反応する

 

「お前のそれ最近発現した個性だろ。なんかのきっかけで発現したはいいけど使い方わからないって感じだもんな」

 

「嶽君…君は一体なんで…」

 

「俺も同じようなもんだから。ま、気楽に考えればいいんじゃないの?」

 

「でも、それじゃ…」

 

「あ〜やっぱりそうだわ。お前自分に自信ないだろ」

 

緑谷は唇をかみしめながら下を向く

涙を堪えてるように見える

 

「自信持ってない奴が個性使っても個性が答えてくれるわけねぇだろ。もっと自信持てばいいじゃん。A組に入れてるってことは入試でお前がそれだけの事をしたって事なんだからさ。思いっきりやればいいじゃん。相澤先生になに言われたか知らないけどさ、個性使って暴走するなら暴走するであろう場所を極力抑えるとかしたら?」

 

「っ!!」

 

あ、なんか案思いついたっぽい

ならこれ以上俺がなんかいう必要ねーな

 

「ま、自分の思うようにやりなよ。それで結果として除籍処分になってもいいじゃねーか。それはお前が考えてやったお前の答えなんだから」

 

ぽん、っと肩に手を置いて緑谷を送り出す

あいつはキリッとした顔つきになった

答えを得た男ってのは昔から結果を残すって相場が決まってるもんだ

心配はいらない

 

「なに話してたんだよ」

 

「お前はさ、ヒーローの条件ってなんだと思う?」

 

「いきなりなんだよ。(ヴィラン)から市民を守る事じゃないのか?」

 

「ちげーよ。ヒーローの条件は最後に立ってること。それが(ヴィラン)相手だけじゃない。目の前に立ち塞がるでっかい壁や困難でもだ」

 

「おー、カッケーこと言うじゃん。けどそれと緑谷がどう関係するんだ?」

 

「俺はあいつに思うようにしろって言っただけ。まぁ見てろって、あいつは必ずやる男だ」

 

俺が切島にそういうと切島も黙って緑谷のボール投げを見守る

緑谷は右腕に力を込めている

個性を発動しようとしているわけだが少しさっきと違う

 

「わお、そーゆーことね」

 

そして指先からボールが離れる刹那の瞬間にその個性を爆発させたのだ

右手の人差し指のみを犠牲にして結果を出したのだ

確かにそれだけなら立っていられる

人差し指だけの痛みなら我慢ができる

我慢ができるならまだ戦える

 

「やればできんじゃん」

 

多分俺はその時嬉しそうに笑ってたと思う

心の底から本当に…

 

 

 

 




グワァラゴワガキーン!
高野レンの大ダメ技
パッチを追加することで一撃技になる
この技でKOすると行う行動であるレンたんがダイヤモンドを一周する姿は必見
ネタ、強さ、人気を兼ね備えたレン改変キャラである
どっかのセフセフなレンたんのようにカオス過ぎるわけでもないので安心して見ることができる
cvはレンなのに中村千絵である

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