俺はMUGENの可能性 作:轟く雷鳴のギース
その首、なぜ付いている
「まぁ落ち着けよ。俺はお前らと話がしたいだけさ。そっちには逃げられたが…少しでもおかしな挙動を見せてみろよ。俺の5本の指が全てがこの首に触れた途端に皮膚から崩れ落ちて1分も経たずにこいつの命はチリと化す」
「ちっ、わかった。お前の言う通りにする。ただ、緑谷から手を離せ。俺がお前の横に座る」
「人質交換ってことか。ダメだね、緑谷出久よりもお前、嶽京の方が厄介な存在だ。残念だがお前に安心しておとなしくしてもらうために交換はできない」
ちっ!っと思わず舌打ちをしそうになったがそれをなんとか抑える
「それにさぁ…」
俺の苛立ちをさらに膨大させるかのように死柄木は続ける
「お前見てるとうっかり潰しちゃいそうになっちまう」
本気だ
こいつは間違いなく俺の首に手を当てた途端殺しにくる
だがこれでこいつの個性の発動条件が発覚した
この間は相澤先生が居なかったら確実にあの瞬間で蛙吹はやられていたということもだ
「とりあえずそこに座ろうか」
相変わらず気色の悪い笑みを浮かべながら死柄木は俺たちを誘導する
こいつの思い通りに動いていることに苛立ちを覚えるがそれを抑え込む
「悪い、緑谷。今はこいつの言う通りにするしかねぇ。今ここで俺がお前を助けることはできないことはない。だけどそれは周りの被害を考えない場合だ。こんなに周りに人がいるんじゃなにが起こるかわからないしパニックになる」
「わ、わかった」
緑谷もそれをわかってくれたようで死柄木の言う通りに指示された場所に座る
「それで、お前は俺らに何が聞きたいんだ?」
「ほんとお前気に入らねぇなぁ。まぁ今一番気に入らねぇのはヒーロー殺しなんだけどさ」
あ?
こいつらとヒーロー殺しは繋がってた筈だ
じゃなかったら脳無があんな都合よく暴れ出すなんてありえない
「世間じゃあいつと俺らは仲間みたいになってるが俺は認めちゃいねぇ。俺が気に入らねぇ理由はそこなんだよ。どの人間もどこの人間も口を開けばヒーロー殺し。あいつらが今一番興味が向いてるのはヒーロー殺しなんだよ。お前らの学校を襲ったこともあの時に脳無を放ったこともぜーんぶあいつに喰われた。誰1人俺を見ちゃいねぇ、ついで扱いだ」
ぞわぞわと鳥肌が広がっていく
こいつは本当にあのヒーロー殺しに対して明確な敵意を持っている
「いくら能書き垂れたってあいつも俺と同じで気に入らないものを壊し回ってただけだろう。一体俺とどこが違うって言うんだよ」
「何が…違うって…」
そんな死柄木の言葉を受けた緑谷が口を開いた
俺もガツンと言ってやりたい気持ちになっていたが緑谷のを聞いてからでも遅くない
「僕は…お前のことは何1つ理解も納得もできない」
だけど、と緑谷は続けていく
「ヒーロー殺しは納得はできなかったけど…理解はできた」
成る程、と俺は緑谷が言いたいことを察した
あの時あいつに感じた俺の印象と緑谷が感じていたあいつへの思いは同じだったらしい
「僕はあの時助けられた。少なくともあいつは死柄木、お前が言うようにただ壊すことだけが目的だったわけじゃない。途中で投げ出すようなことはしなかった。あいつはやり方が壊すやり方しか思い浮かばなかっただけで確かに理想のために困難に立ち向かってた」
「あー、そーいうことか…」
俺の体がとうとう限界を迎えた
無意識に俺はこいつに向かって天帝絶を再現させていた
それほどまでにこいつが醸し出す負のオーラが俺に影響を与えたのだ
「で、お前は?お前はあいつに対してどんなこと思ったんだよ」
ここで引けば間違いなくこいつは周りの人間を手にかける
こんなやばい状況の男を人通りが多いこの場で野放しにはできない
「お、俺は…緑谷と同じだ。お前は理解できないし納得もできない。そしてなによりお前には…覚悟がない。ヒーロー殺しはこの社会を変えるという覚悟があった。ただその方法が壊すという方法だっただけであいつも中身は立派なヒーローだった。たがお前は違う、お前はただ俺らの社会を脅かすだけのそこら辺にいる
ぞわぞわとした感覚が増していくが俺の口が止まることはない
「あいつは自分が信じたヒーローを、オールマイトを心に掲げてた。お前なんかじゃ到達しない遥か高みにあいつは立ってた。だから世間はお前みたいなやつに見向きもしない。芯がない人間を誰が期待なんかするんだよって話だ。お前ごときじゃ誰にも認められることは絶対にない」
「そうか、そうか。やっとだ、やっとスッキリした。頭の中にあったモヤモヤも、心の中にあった苛立ちもお前らが物凄く気に入らないのかも、全部スッキリした。」
本当にスッキリしたというように清々しい笑みを浮かべる死柄木
ただその笑みは物凄く狂気に満ちていた
どういう人生を歩んでくればこんな歪んだ笑みを浮かべることができるのか問いただしたいくらいに
「オールマイトだ。全てあいつが悪い。やっぱりそこに行き着くんだよ、なにも悩むようなことなんかなに1つなかったんだ。こんな風にこいつらがへらへらと笑ってられるのも、あの
その時緑谷の首に置かれていた死柄木の手が締まる
それを見た俺は死柄木をぶん殴ろうとその手の扇を振り上げる
「おっと暴れるなよ。こいつが殺されてもいいのか?民衆が死んでもいいのか?」
「ちっ!クソ野郎が…」
1か10か選べってか?
マジで胸糞悪い野郎だ
今ここで本気でぶん殴りたい
「デクくん?嶽くん?」
不意に聞こえてきたそんな俺たちを呼ぶ声
その声の主に目を向けるとそこに立ってたのは麗日だった
「お友達じゃ…ないよね?」
まず!
こいつの個性じゃ死柄木をなんとかすることはできない
「手、離して?」
「麗日、大丈夫だからあっちいっ「なんだ、連れがいたのか」はぁ?」
麗日を見た死柄木はさっきまで締めていた手を離すと緑谷から離れるように立ち上がる
「邪魔して悪かったな。けど楽しかったよ。またな、追ってきたりしたら分かるよな?」
死柄木はそう俺たちに釘を刺すとすぐに人混に紛れて姿を消した
この後すぐに麗日が警察に連絡し数人のヒーローを引き連れて来たがその時にはもう死柄木は完全に行方を晦ました後だった
天帝絶
相手が格上になると多数のペナルティによって撃破が困難になる射命丸文の改変キャラ
相手が格下になるとこのペナルティが発生しないため撃破が簡単になる(倒せるとは言ってない)
またカラーによっては卵を産んで増える
KOすると服が破れます
主にきぼぜつなどで活躍
カラー変更により希望軍と絶望軍の両方を渡り歩いたキャラ