俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

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北斗羅漢撃







22話

「あぁ、テンション上がってきたな」

 

今俺は控え室で1人間もなく行われる準決勝2回戦を待っていた

対戦相手は切島を倒した爆豪だ

正直相手はこうなるとトーナメント表を見たときからわかってた

 

「爆豪の性格、個性から考えるにガン攻めで真っ向から叩きのめすタイプだってのはわかってる。となると俺は後出しキャラを使えば楽に戦えるわけだが…アニサマ使うか?いや、双撃紫電掌は負担が大きいし一撃で倒せるとは限らない。ならアナブラか…」

 

と、そこまで考えて俺はあることを思い出す

 

「確か前当身使ったよな。それじゃあいつが対策してないなんてことはありえない。フェイントなりなにかしてくるはずだ」

 

冗談抜きであいつの戦いに対するセンスや嗅覚は俺よりも上だ

一つのキャラに拘ってると必ず痛い目を見るだろう

となるとキャラ性能には頼らず技のみを使っていくしかない

そしてその技の選択を間違えれば即負けに繋がるだろう

かといって運送技で無理矢理場外に出して勝ったとしてもあいつとの戦いを避けたみたいになる

確かにそうすれば少ない体力で勝利をもぎ取れるだろう

だがそんなことをして勝負に勝ったところで俺にはなにも残らない

 

「一つ一つが綱渡り…。いいね、面白いじゃん」

 

過去に一度勝てたからといって油断はしない

さっきの常闇に貰った1発もそうだ

あの一瞬勝ったと思い込んだ故に対応に遅れた

 

「まだ頭ふらふらするな。だがそんなこと言ってらんねぇか」

 

ちゃんと爆豪に勝って轟にも勝つ

そうしないと一番にはなれない

 

「どこまでも足掻いてやる」

 

俺は試合が始まるというアナウンスを聞くと控え室から戦いの場へと向かっていった

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「よぉ爆豪。今度も負けてくれや」

 

「あぁ!?誰が負けるかよ。勝つのは俺だ。あん時は奇妙な技使いやがってよ。俺が一番になるんだよ。お前なんかただの踏み台だ」

 

俺を踏み台だ?なら本当に踏み台にしてみせろよ、爆豪よ

 

「そんなこと言っちゃって…」

 

まぁ俺も負けるつもりは更々ないんでね

初めから飛ばさせてもらうぜ

 

 

「両者準備はいい?いくわよ。はじめ!」

 

 

ミッドナイトの合図と共に爆豪が障害物競争のときに見せた爆速ターボで突っ込んでくる

俺もそれを予想してなかったわけじゃない

あいつの攻撃に合わせて当身技を発動させる

 

「アハハハハ」

 

だが当身技は発動することなく俺はフィールドの真ん中で1人高笑いするだけだった

 

「やっぱな。お前のそれ、こっちが攻撃を当てなきゃ発動しねぇんだろ。それにさっきの笑ってる時はあの変な感じ、やべぇ感じははしなかった。つーことはお前があの吸い寄せるやつは成功するときとしないときがあるってことだ。そっから考えられるのはタイミングが合わなきゃそれは発動しないってことだ」

 

まだ一撃も加えてないのに暴かれた

これは少し想定外だ。一撃か二撃加えたところで当身の性質に気付くだろうと思っていたが高望みだったか

 

「確かにお前の言う通りタイミングをズラせれれば俺の当身は発動しない。だが当身だけが俺の全てじゃねぇぞ」

 

予定より早いがプラン2だ

当身はアナブラのだけ使う

理由はあいつのが一番使いやすいからだ

だがアナブラのキャラ自体を再現させるつもりはない

常に素の俺でいく

キャラを再現させていると他のキャラの技を再現させるときにラグが生じちまう

タイムラグなしにやるにはこの方がいい

 

「バレちまったらしょうがない。警戒は怠るなよ。また今度いつ当身するかわかんねぇぞ?」

 

「はっ、そんなもんさせる前にぶっ飛ばす」

 

「ふん、言ってろ。烈風拳!!」

 

爆豪が俺より闘気が劣っているとは思えない

だが比較的隙が少なく中距離に対応できる技として考えるとこの技以上に適した技はない

あるとしたら波動拳くらいだろうか

 

「はっ!そんなもんまとめて吹き飛ばしてやらぁ!」

 

正面突破か!

こいつの性格考えれば確かにそうするだろう

 

ジャンプで躱してきてくれれば昇竜で対処したんだが…

 

「さっきみてぇなでかいやつは出さんのか?電撃だした剣は出さんのか?」

 

さっきから俺のちまい攻撃を吹き飛ばすだけで攻撃してこないのは俺にそれを出させるため…?

 

「俺は本気のお前をぶっ飛ばさねぇと気がすまねぇんだよ!」

 

爆豪のその言葉を受けて俺は「はっ」とした

後のことを考えて温存だって?

ここまで戦ってた奴らはそんなことしていたのか?

いや、みんなずっと本気だった

本気を出さずに戦ってたのは俺だけだった

緑谷だって麗日だって芦戸や常闇だってそうだった

 

「爆豪…」

 

「あ?」

 

「泣いて謝っても止まらんぞ?」

 

「上等だ」

 

俺と爆豪はニヤリと笑った

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

緑谷視点

 

 

 

 

 

 

『誰かこいつらを止めてくれぇぇ!!』

 

プレゼントマイクが情けない声でそう叫んでる

けどそう叫びたくなる気持ちはすごくわかる

だって…今ステージでは嶽君とかっちゃんの戦いが凄いことになってるんだから

 

 

 

『おらおらどしたぁ、終わりか爆豪ぉ!?』

 

かっちゃんの個性によって撒き散らされる爆発を受けながらも嶽君は笑いながら器用に持った6本の刀で斬りかかる

 

『誰が終わりだっつったよ!ボケが!!』

 

対するかっちゃんもかっちゃんで笑いながらそれを爆発で吹き飛ばす

得物を無くした嶽君はそのまま今度は手に炎を灯して殴りかかっていく

ほんと嶽君の個性は幅が広い

今の試合を見てると今まではどこか出し惜しみでもしてたんだろうか

多分その可能性が高い

 

「お、おい。あいつらこのままじゃやべぇんじゃねぇか?」

 

震える声で僕に話しかけてきたのは騎馬戦で今戦ってる嶽君と同じペアだった峰田君だ

 

「うん。けどあそこにはミッドナイト先生もいるし本当に危ないと判断されたら止めに入るだろうから大丈夫だとは思うよ」

 

若干遠くに避難してはいるが確かにちゃんとミッドナイト先生は試合を見守っていた

 

 

 

 

 

「けどよぉ、もうステージの半分壊れてんだぞ!!」

 

 

 

 

僕が轟君と戦った時よりもステージの状況は悪い

殆ど場外との境界は壊れて曖昧になってる

あんだけかっちゃんが爆発させてそれを掻い潜って凄い威力の攻撃を嶽君も繰り出してたらそうなるのは当たり前だ

 

「それに、あの2人楽しそうに戦ってるから、ミッドナイト先生も止めるに止められないんじゃないかな」

 

今まであんなに楽しそうに戦ってるかっちゃんを僕は見たことがない

それを引き出してる嶽君も芦戸さんや常闇君と戦ってた時のように熱い中にあったどこか冷めたような雰囲気が全くないんだ

お互いがお互いを高め合うように普段以上のチカラを発揮させてるみたいだ

僕もいつかはあんな風に戦えるようになれればいいんだけど…

 

「楽しそうって言ったってよ…あれじゃどっちかが倒れるまで絶対止まらねぇぞ」

 

「それでいいんじゃないかな」

 

あ、かっちゃんが動いた

爆発によって生じた煙に隠れて死角から手を伸ばした

だがそれはあの演習の時と同じようにピタッと動きを止めるとかっちゃんから血が吹き出る

 

「はぁ!?緑谷お前何言ってんの!?このままじゃ体育祭どころの騒ぎじゃ無くなるかもしれねぇんだぞ?」

 

「きっと今あの2人の邪魔をすればもっと暴れるよ。少なくともかっちゃんは暴れる。見ての通りかっちゃんは負けず嫌いだからさ。嶽君に負けたままなんて絶対に許さない」

 

血が流れながらもかっちゃんはふらふらと立ち上がる

対する嶽君も頭を押さえながらかっちゃんを睨んでる

 

 

 

『さっさと降参しろよ』

 

『誰が降参なんかするか。しんどいならお前が降りろ』

 

『やだね。お前にだけは負けてやらん。だからちっと無理するわ』

 

と、一通りのやり取りを終えるとまた両者は走り出す

ステージの真ん中に向けて多分だけどこれが最後の攻撃になるだろう

2人とも既に限界を迎えているはずだから

 

 

『くらえ、北斗剛掌波!!』

 

嶽君は掌から凄まじい気を放出させる

それは肌で感じ取るだけで鳥肌が立つくらい圧倒的な闘気だ

これだけの力をまだ隠していたことに驚きを隠せない

 

『ぶっ飛べクソゲー野郎!!』

 

対するかっちゃんは最大火力に回転を加え威力を底上げした今打てる最高の威力の爆発を放つ

そのおかげでステージは吹き飛び土煙が盛大に舞う

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっちゃん!嶽君!!」

 

 

 

 

 

 

 

思わず僕は2人の名を叫んだ

あれだけの爆発が起きたんだ、ただではすまない

そう思って土煙が晴れていくのを待っていたら1人の影が立っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぬぅぅぅ…心地よき痛みというべきか…』

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな言葉と共に立っていたのは嶽君だった

 

 

 

 




ちょっとずるいが主人公の勝利です






アナブラ
アナザー・ブラッド
エロい人

烈風拳
ギース、ロックなどが使う闘気を飛ばし自分より闘気の弱い者を戦わずして倒す技
ストリートファイターでいう波動拳的技

6本の刀
六爪流、我らが筆頭の武器

北斗剛掌波
ラオウの得意技
掌から闘気を飛ばし相手を倒す技
闘気を操れる者には通用しないがこの世界に北斗世界の闘気を操れる者など存在しないのでそのまま通る



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