俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

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さぁ、天にゆだねましょう


13話

 

 

 

「はっ!」

 

俺が目覚めたのはリカバリー・ガールの待機する保健室だった

 

「おやおや、お目覚めかい」

 

無理矢理起き上がったため体の痛みに耐えているとリカバリー・ガールが声をかけてきた

 

「あんたも中々ピーキーな個性を持ったもんだね。そこの緑谷の坊ちゃんも大概だけどあんたのはもっとやばいね。あんた、もう少しでも個性を使ってたら神経が引きちぎれててもおかしくなかったよ」

 

リカバリー・ガールは俺に向かって今の俺の体のことを教えてくれている

 

「わかってますよ。そんなこと俺が一番…。そうだ、(ヴィラン)はどうなったんですか?」

 

俺はようやくそのことを思い出した

普通なら一番最初に聞かなければならないことなのに

 

「そこのところはオールマイトが話してくれるよ」

 

と、リカバリー・ガールは俺の前にあるベットのカーテンを叩く

俺が顔に『?』を浮かべているとそのベットから声が聞こえてきた

 

「まずは君に伝えておかなければならない事がある」

 

その声の主は間違いなくオールマイトその人だった

 

「ありがとう。君のお陰でイレイザーヘッドは、相澤君は一命を取り留めた。怪我の症状は酷いが脳に損傷はなかった。もしも君があの脳無とかいうバケモノを相手にしてくれていなかったら最悪の事態に至っていたかもしれない。そして(ヴィラン)だが私が到着して少し経ったあと他の先生達も駆けつけてくれてね。それを見た彼奴らは逃げ帰って行った。負傷者は何名かいるようだけど不幸中の幸いか死者はゼロだったよ」

 

よかった…

俺は心の底からそう思った

あの時の相澤先生の状況は一刻を争う状態だった

だから無事だったと聞いて本当に安心した

 

「君はあの戦いでいろいろなものを感じただろう。勿論君だけではない。1-A組の生徒全てが各々の敵と相対し戦い対処した。入学して間もない君たちにとって今回の戦いは良くも悪くもいい経験だったと言えるだろう。こんな事を教師である私が言ってはいけないのかもしれない。だけど僕は声を大にしてこう言うよ。君は君たちは強くなる。今回の経験を忘れずにこれからも精進してくれ給え」

 

オールマイトの話は素晴らしいものだった

 

「あ、だけど今回みたいに自己犠牲はダメだよ。周りのみんなが助かっても君が無事じゃなかったら誰も喜ばないんだから」

 

「はい。わかりました、オールマイト」

 

最後におちゃらけたようにそう締めくくりオールマイトの話は終わった

話が終わった事を判断したリカバリー・ガールが「あんたはもう大丈夫だよ。今日はゆっくりと休みなさい」と俺に言うと保健室から追い出すような形で教室に帰らされた

あのオールマイトと直接話せるいい機会だったため少し名残惜しい気持ちはあったがあのリカバリー・ガールの言うことなので渋々俺は1-Aの教室に向かって歩いて行った

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

翌日は事件の後始末や休養も必要と判断されたのか臨時休校となったがあの時の死線を掻い潜った戦闘のお陰で体は休まっても気持ちが休まることはなかった

そしてその休校の日も明けた次の日からは普通に授業を開始されることとなった

 

 

 

「皆!朝のHRが始まる。席に着け!」

 

皆の非常口、飯田学級委員長が騒いでいるがいつものことなので無視する

 

「お早う」

 

すると全身に包帯を巻いた相澤先生が教室に入ってきた

 

「ま、まじかよ」

 

流石にあの怪我だ

少しは休みを取るかと思っていたが意地なのかなんなのかはわからないが普通に復帰してきていた

ここら辺はプロだということを実感させられる

若干ふらつきながらも相澤先生は教卓の前に立つと俺らに向けていつもの如くボソボソときた喋り方で重要な話を始める

 

「俺の安否はどうでもいいが…まだお前達の戦いが終わったわけじゃねぇ」

 

相澤先生の表情はいつになく真剣だ

包帯で顔見えないけど

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

まさかのくっそ学校っぽい行事がきたぁぁぁ!!

うっそだろ!?

まさかここで体育祭かよ!

流石の俺も笑ったわ!

 

ちくしょう、こういった行事絶対一位とらないといけないやつじゃねーか!

 

(ヴィラン)に侵入されたばかりだがそんな状況でもあえて開催させることによって雄英の危機管理体制が磐石であると示すという考えのもとこの行事は行われる。勿論警備は例年の5倍に強化するとのことだ。だがお前達にとってはこの体育祭は最大のチャンスだ」

 

相澤先生は語る

この雄英高校の体育祭の意味を

 

「うちの体育祭は日本のビックイベントの1つといっても過言じゃない。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が全世界が熱狂したように。今は規模も人口も減って縮小化しちまったが…今はそれに変わるもの、かつてのオリンピックと同位の代物。それが『雄英体育祭』だ」

 

当然全国のトップヒーローたちも見に来る

生徒のうちから有能な個性を持った者にツバをつけておく

所謂スカウトが目的としてだ

雄英生は基本卒業後はプロの事務所に入りサイドキックとなるのが定石となっている

そこから独立しそこねて万年サイドキックというヒーローも少なくはないが有名な事務所に入ることができればその分ネームバリューもある上に経験値も豊富にもらえる

高校三年間で3回しかないプロに直接訴えかけられる最大のチャンス

ヒーローを志す者として絶対に外すことはできないそんなイベントだ

 

 

「なんだかんだテンション上がるよな!」

 

喚くように切島が俺に話しかけてくる

 

「煩い。確かにテンションあがるがお前見てると逆に冷静になるわ」

 

「なんだよ、お前はヒーローになりたいんじゃないのかよ」

 

「なりたいさ。いや、なるさ。約束だからな」

 

おれは昔を思い出すようにそう呟いた

 

「約束?誰とだよ」

 

切島は気になったのか俺にその約束がなにか問いかけてくるがそれを語るつもりはない

 

「悪いがそれは言えねぇよ。けど…忘れることができない奴との約束だ」

 

俺は切島にできるだけ笑いながらそう言った

正直ちゃんと笑えてたかはわからないが俺の様子を見た切島は察しが良かったのかこれ以上踏み込んだ質問をしてくることはなかった

 

 

 

 

 

 

 


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