「あばばばばばばばば、あばばばばばばばばばばばば」
どうも皆さん。そして故郷の母さん父さん、私です。めぐみんです。
絶賛転がっております。
お山の斜面はでこぼこがキツくていけません。
「あばばばばばばばばばっばばばばばばばb」
ヤッベェ、意識飛びかけてきた。
でも止まれない。さきほど景気よくぶっ放したおかげで、いまの私は立ち上がる事すらままならないんですから・・・。
(止まったら、多分死にますし。おすし)
死にますし、ですしおすし。何故なら”仕留め損ねた奴ら”が、凄まじい速度で斜面を追走してくるから。
プランB、所謂”ピンチ”ですね。
「あ”あ”ッーーーーーー!?」
スポーンと投げ出されて、体は宙を舞います。
「あぁーーーーーー、ギャ! 痛い!」
どすん!とナニかにぶつかって、そいつと一緒にさらに横転すると、今度は非常に柔らかいものが顔面を包み込みました。
———むにっ
「・・・・むに?」
試しに手で数度触ってみると・・・・
むに、むにむに、たぽっ———
やはりやわっこい・・・・・。
(こ、これはまさか・・・)
「おっぱいですね?!」
「その通りよ! どこ触ってんのよ!」
青い髪の、たいそう美しい方でした。
瞳も衣服も、そして長い髪も、まるで空を落とし込んだかのように青く澄んでおり、手に伝わる感触はやわっこくて素敵です。
「助けてセトさぁーん! 空から女の子がァー!」
青い女性が声を張り上げると、視界外から「ガッシャ、ガッシャ」と、重厚な足音が聞こえてきました。
「何やってんだお前ら……、そしてなんだこいつ」
「うわ! ちょ、首根っこを掴まないでくださいっ。せめて抱っこに!」
むんずと掴みあげられ、宙ぶらりんの私の目に焼け爛れたような黒い鎧が映りました。
「……変わった鎧ですね」
「お前も変わった防具だなぁ。 ズタズタじゃないか」
「これは破られたんです、あいつらに」
宙ぶらりんのまま、なんとか動く左手で斜面の上を指すと、案の定そこには大量のオークどもが集まり始めています。
「"異形"か。人型は油断できん、アクア」
「はいはい?」
「このロリッ娘に回復頼む。全快で」
(ロリッ娘?!)
聞き捨てならない言葉に眉を顰めた私を置いて、黒づくめの騎士はオークどもに睨みを効かせ始める。
青い髪の女性……アクアは、どこからともなく杖を取り出すと呪文を唱え始め、私は横たえられました。
「『アーク・ヒーリング』」
突然。私が黒い騎士に気を取られていると、視界を青白い光が柔らかく包み、数々の裂傷や打撲が消えて行きました。
(上位の回復術師でしたか……)
かろうじて杖を保持していた右手にも力が戻り、体は元気を取り戻しました。
「ありがとうございまーーー」
いきなりでした。
後方から「ドバンッ」という爆音がしたかと思うと、同時に切り裂くような魔力光が迸ります。
「もういっっちょー……そぉおおい!」
続けざまに二度三度。
騎士の両手にはどこからともなく現れた、青く澄みわたる宝石のような刀身をもった大剣が握られており、一振りごとに数メートル先のオークを両断していきます。
「ま…魔法剣」
魔法剣……すなわち魔剣。
月明かりを閉じ込めたように迸る剣光。放たれる光波が、あの醜くて臭いメスブタ共を一掃しました。
呆気にとられている間に、たちまち敵の姿は消え、後には肉塊だけが残る結果となり、私ことめぐみんは彼らに名乗り、礼を述べました。
「我が名はめぐみん。助けて頂き、感謝します」
「セトだ。みたとこ生粋の魔導師らしいが、できれば短剣の一本も用意することを勧めるよ」
「女神アクアよ!崇め奉りなさーーーいったぁい!なにすんのよ!」
「黙れ回復薬。奇抜すぎる自己紹介でドン引かれたいのかお前は、ドMか」
みるからに仲のいい二人組でした。
「取り敢えず、立てるか?」
「あ、無理ですー。おぶって下さい」
「あいよ」
ヒョイ、と軽く持ち上げられて、肩に担がれました。
鎧がゴツゴツしてて痛いれす。
と言うより、今の申し出はいくらか図々しい筈ですが、二人組はなんら気にした様子もなく、私を伴い下山を始めました。
「セトサンこのキノコマズイ!」
「お前キチガイキャラでいくの?ほんとにそんなキャラ付けでいいの?満足なのお前は」
「それは下痢を伴ったオナラが止まらなくなるやつですよ?ペッしたほうが……」
「-----ッ!!?」
こうして私ことめぐみんは、彼らと出会ったのでした。
すぐに投稿すると言ったな
あれは嘘だ。