私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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ディズニーについて調べたのですが、イマイチよく分からなかったので、ギャグに逃げました。
意見出してくれた方、申し訳ありません。


遊園地

 

1時間後、二人はワープした。

 

「んー、着いたわねぇ。ディズニーラン……」

 

伸びをしながら見上げると、『ウィンターランド』の看板が見えた。

 

「……………」

 

「? どうしました?」

 

「なんか違う」

 

「すみません。間違えました。つい癖で俺が経営してる遊園地に飛んじゃいました」

 

「へ?遊園地経営してるの?」

 

「へ?はい」

 

「いや、当然でしょ?みたいに言われても……」

 

だが、ウィンターランドにはかなり人が入っている。

一部ではだいぶ人気のようだ。

 

「すいませんね、ディズニーに飛びますね」

 

「……いえ、せっかく来たんだからここでいいわ。それに、冬也くんの作った遊園地って気になるもの」

 

「そう?じゃ、ここにしようか。あ、ここアメリカだけど大丈夫?」

 

「ええ。大丈………今なんて?」

 

「じゃ、行こうか」

 

行ってしまった。

 

 

遊園地、と言うだけあって中はかなり広く、ジェットコースターの音と客の悲鳴が良く響いていた。

 

「ところで冬也くん。ここってマスコットキャラクターとかいるの?」

 

「え?あーいるよ。俺は絵心ないから職員に任せてるけど」

 

「菱川師宣の見返り美人の贋作をシャーペンで描いて1億の値がついた人が何言ってるの?」

 

「お、ほらあれ」

 

冬也の指差す先には、白と薄い青のミ○キーマウスが歩いてた。

 

「…………あれは?」

 

「ウィンターマウス」

 

「パクリじゃない!」

 

「パクリじゃないよ‼︎うちの職員が一生懸命ディ○ニーランドのサイトを見ながら描いてくれたキャラクターだぞ‼︎」

 

「とどのつまりパクリよそれは‼︎」

 

すると、今度は白いクマが赤いシャツを着て歩いていた。

 

「………あれは?」

 

「あれはクマのウィンターさん」

 

「いやそれ無理ある!」

 

即、ツッコミである。

 

「ていうか、クマなのにウィンターって平気なの⁉︎冬眠してる時期でしょう‼︎」

 

「あれシロクマだから大丈夫だよ、多分」

 

「多分⁉︎あなた社長よねここの‼︎」

 

すると、今度は目の前を左腕が金属の男が歩いていた。

イマイチ、ピンと来なかったので聞いてみた。

 

「あれは?」

 

「あれはウィンターソルジャー」

 

「いやまんまァ‼︎ていうかなんでオッさんがマスコットやってんの⁉︎」

 

「なんか考えるの面倒になっちゃって」

 

「先陣切ってパクってるの冬也くんじゃない‼︎」

 

「でもいいだろ?ウィンターソルジャー。カッコよ強いよ?ウィンターソルジャー」

 

「そういう問題じゃないわよ‼︎つーか、そもそもどこから連れてきたのよあの人‼︎」

 

「企業秘密。あ、ちなみにあのミッ……ウィンターマウスは本物だよ」

 

「今、ミッキーって言いかけたし……ていうか、本物ってどういう意味?」

 

「だから本物。中に人いないよ。魔法で作った」

 

「あん……‼︎だから魔法で未確認生物作っちゃダメっていつも言ってるでしょ⁉︎」

 

「大丈夫大丈夫。みんな俺の言うこと聞くし、みんな俺より弱いから」

 

「基準が高過ぎるのよ‼︎冬也くんより強い化け物がこの世にいると思ってるの⁉︎」

 

「あれ?今、俺のこと化け物って言った?」

 

「あーもうっ……今更、私が言ったってここまで繁盛してたらもうどうしようもないけど、これからは謎の生物作らないようにね」

 

「は、はは……(これはミカのこと見せらんないわ)」

 

その時の冬也は知らなかった。このウィンターマウスが、交換留学のきっかけになっていたなんて。

 

 

二人がまず行ったのは、ジェットコースターのリバース・コースターだ。室内のアトラクションで、客は酒を飲み過ぎた人間が、酒を飲む前に食べたジャガイモという設定で、胃の中から吐瀉物の映像と共に口の中に上がっていし、最後は便器の中にダイブするという最低最悪のアトラクションだ。

が、中には人の身体の中を見れるだの、一度上がってから一気に下る感じが怖くて面白いだの、かなり人気がある。

ちなみに、もちろん嘔吐する客も多く、出口の近くに必ずあるものは便器だ。

 

「………なんてアトラクション作るのよ」

 

「コンセプトとしては面白くない?」

 

「最低最悪よバカ」

 

「と、言いつつ並ぶんだね」

 

「うるさい。こんだけ人気があったら気になるじゃない。そりゃ気になるわよ」

 

「じゃ、乗ろっか」

 

「そーね」

 

乗った。この後、藤林は目の前のトイレに駆け込んだ。

 

 

次のアトラクションはGBというガンシューティングアトラクションだ。

二人一組で夜の学校に潜む悪魔を、スリッパ型の銃で進みながら撃っていくゲームだ。

 

「なんでスリッパ型なのよ……」

 

「まぁ、色々とあってね」

 

「でも、まぁ銃はともかく、内容はまともそうね」

 

「え?マジ?」

 

「? 何よ」

 

「これ、女性に不人気なアトラクションなんだよね」

 

「へぇ〜、そうなの?こういうの、彼氏と二人で行ったら盛り上がりそうなんだけど」

 

「うん、まぁ悲鳴はよく聞こえてくるよ」

 

「ふっふーん、私を甘く見ないことね。なんて言ったって、軍人なんだから」

 

「そっか。まぁ、一応言っておくね、ごめん」

 

「へ?なんで謝って……」

 

「次の方、どうぞ〜」

 

係りのお姉さんに案内されて、二人は中に入った。

本当に夜中の学校、と言った感じで、月明かりが良い感じに不気味なオーラを出している。

二人は中に入って歩き始めた。

 

「ふふ、腕が鳴るわ。フルスコア出してやりましょう」

 

「ああ、そういえば一つ説明し忘れてた」

 

「へ?」

 

「GBが何の略か」

 

「何よ。後でいいじゃない」

 

「後で文句言われるの嫌だから今説明しとく。GBっていうのは、」

 

そこで言葉を切る冬也。

最初のステージの敵が現れた。直後、藤林の身体は硬直した。

 

「ゴキブリバスターの略だよ」

 

「」

 

数分後、失神した藤林を片脇に抱えながらフルスコアを叩き出す冬也の姿が見えた。

 

 

「もうっ‼︎こんな事ならディズニーの方がよっぽど良かったわよ‼︎」

 

プンプンと怒ってるのは言うまでもなく藤林だ。

GBの後も、『フルフルシェイカー』だの『サンダーファイヤーストーム』だの『心の声の館』だのわけのわからない名前のアトラクションに乗せられていた。つーか最後の、なんで日本語なんだよ。

 

「面白かったでしょ?」

 

「あんた私の感想聞いてなかったの?変なアトラクションばっかでウンザリよ‼︎」

 

「まぁ、何回か泣いてたもんねー。あと少しおしっこ漏らしそうになっ」

 

ビンタされた。

 

「もう帰るわよ‼︎……バカ」

 

「あー待ってよ。最後に観覧車乗ろうよ観覧車」

 

「嫌よ。どうせまともじゃないんでしょ?」

 

「まともじゃないね、確かに。世界一の観覧車だから」

 

「世界一?怖さが?それとも恐怖が?あ、もしかして畏怖が?」

 

「や、それ全部同じ意味だから……。とにかく乗ってよ。乗ってくれれば、次ヤる時は響子が俺の上に乗っていいから」

 

「…………し、仕方ないわね」

 

いつもいじられる側なので、たまには優位に立ってみたい藤林だった。

二人は観覧車に乗り、ホッと息をつく。

 

「いやー、楽しかったな」

 

「私は散々よ。いい歳して戻しちゃったじゃない」

 

「たまには自分の遊園地に客として入るのも悪くないな」

 

「あら、そういうものなの?」

 

「ああ、意外と。お陰で改善点がたくさん見つかった」

 

「私としては改善して欲しいところしかなかったけどね……。それで、ここの遊園地で魔法はどのくらい使ってるの?」

 

「まったく」

 

「へ?」

 

「マスコットキャラクター以外は全部、魔法無しだよ」

 

「あら、意外ね」

 

「そうでもないよ。俺は自分で作ると決めたものを魔法で作るのは好きじゃないんだ。前に食べてもらったたい焼き、あれも魔法なしだからね」

 

「へぇ〜……意外と信念?みたいなものがあるのね」

 

「まぁね。………っと、そろそろか」

 

「? 何が?」

 

「外、見てみ?」

 

「?」

 

言われて、外を見ると地球が見えた。

 

「……………は?」

 

「名付けて宇宙観覧車」

 

「…………………」

 

「すごいっしょ?」

 

ポカンとしてる藤林。だが、すぐに呆れたような笑みに戻った。

 

「まったく……呆れたわ」

 

「何事も、他人が呆れるまでやらないと面白くないからな」

 

「この際だから言うけど、綺麗ね。地球………」

 

「でしょ?」

 

もはや、諦めたしもうこの際楽しもう、と言った感じだ。

思えば、確かに今日も楽しかったのかもしれない、何せ普通は体験できないことをたくさんしたのだ。

藤林はポジティブに考える事にし、冬也に改めてお礼を言おうとした。

 

「ねぇ、冬也くん。ありが」

 

「あ、でもこの観覧車欠点があってね」

 

「へ?」

 

「もうすぐだよ」

 

直後、ガタン‼︎と観覧車が揺れた。何事か、と藤林が辺りを見回すと、燃え上がっているように真っ赤だった。

 

「な、何よこれ⁉︎」

 

「大気圏突入。こればっかりはしゃーない。超熱いけど我慢してね」

 

「ああもうっ‼︎やっぱり全然楽しくなかったわよ‼︎」

 

このあと、超熱くなった。

 

 


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