私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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戦闘

 

十文字と一条は、ある意味最強の盾と矛だった。

爆裂とファランクス、それの両方が上手い事重なり合い、敵を片っ端から片付けつつ、魔法協会支部へと歩を進める。

 

(俺、出番ねーな)

 

後ろでついていきながら、和寿はそう思った。

 

 

冬也は空中から敵の位置を把握していた。人や直立戦車などを上空から見下ろしながら、魔法を発動。

右手から焼却砲を出した。青白いビームのようなものが直立戦車に直撃し、一撃で燃やし尽くした。

 

「おい見ろ!アイアンマンだ!」

 

「うおお!マジかよ!」

 

「怯むな!奴はアタッシュケースからアイアンマンになった癖に飛んでいるぞ!偽物だ!」

 

大亜連合の面々が空中を自由に駆け回る冬也に集中砲火する。それを回避しながら冬也は新たな魔法を発動、すると、空中から紫色の魔方陣が出てくる。

その魔法陣から、金色のヤケに細いドラゴンが降りて来た。いつの間にか、青と赤の鎧に着替えた冬也が、そのドラゴンの背中に跨った。

 

「あ、あれは!」

 

「竜騎士ガイア!」

 

「懐かしい!」

 

そして、冬也は……いや竜騎士トウヤはランスを構えた。赤いランスを敵に向け、緑色のオーラを纏い始める。

 

「螺旋槍殺!」

 

そこから出た緑色の何かが敵の兵隊を全員叩きのめした。

 

「うおおお!」

 

「永続魔法じゃなかったっけあれ⁉︎」

 

「もうメチャクチャだよ!」

 

メチャクチャだった。

 

 

「………何をやってるんだあの人は」

 

遠目からその様子を見ていた達也は、思わずそう呟いた。

 

「どうした、特尉」

 

「いえ、大丈夫です。あちらは竜騎……ウィンター・エクゾディア・ルルーシュ・ランペルージ特尉に任せ、我々は別ポイントに向かいましょう」

 

「そうだな。奴の近くにいると我々の身が危ない」

 

直後、轟音と熱気が遠くから聞こえた。何事かとそっちを見ると、冬也の周りに魔法陣がさらに三つ出て来た。

一つ目から出てきたのは、真っ白の悪魔のようなモンスターだ。

 

「デーモンの召喚⁉︎」

 

「ほんと懐かしいチョイスだなオイ!」

 

さらに、二つ目からは何かが合体したようなロボットが現れた。

 

「マグネット・バルキリオン⁉︎切り札が勢ぞろいだ!」

 

「ということは、最後は一番の相棒とも呼べる……!」

 

三つ目、ブラックマジシャン・ガール。

 

「「お前の趣味じゃねえかああああ‼︎」」

 

二人の空中飛び蹴りが冬也の顔面に直撃した。

 

「痛っ!何するんすか!達也、やなぎん!」

 

「ブラックマジシャンじゃないんですか⁉︎そこまで面子を揃えておきながら!」

 

「てか、誰がやなぎんだ!女子高生でもないし異常でもねぇよ!」

 

「いいじゃん。かわいいじゃんブラックマジシャン・ガール」

 

「そんな、マスター……可愛いだなんて……」

 

「頬を染めるな!てか意思あるのかあんた!」

 

「そういうわけだから、達……竜也も黒柳徹子さんも持ち場に戻って下さい」

 

「だぁれが黒柳徹子だああああああ‼︎」

 

「柳大尉、行きましょう」

 

「お前あとでほんとマジ覚えてろ」

 

「あ、じゃあお二人にお守りってことで」

 

冬也はさらにモンスターを2体出した。達也と柳の周りに出て来るクリボーとビッグ・シールド・ガードナー。

 

「では、お気をつけて。大黒竜也特尉、柳の下に土壌」

 

「今日くらい本気で殴り合うか?ん?」

 

「あ、そいつら二人とも守備力八億くらいあるから」

 

達也と柳は持ち場に戻った。

 

「さて、戦闘再開」

 

冬也も敵との戦闘に戻った。

 

 

一高前。他の高校の生徒達は、バスなりヘリなりで帰って行った。残りは一高と三高の生徒だけだ。

深雪と七草が全員の人数を数えた。

 

「やっぱり、達也お兄様と冬也お兄様、十文字先輩の姿がありません……」

 

「将輝もいないよ」

 

「それと、私のバカ兄貴も」

 

吉祥寺とエリカが二人に言った。

 

「まったく……申し訳ありません。うちの兄が」

 

「いいのよ。私達が無事に帰って来れたのは冬也くんのお陰だから」

 

「まぁ、そうですね。横浜はもう終わりですから」

 

「ん?ど、どゆこと?」

 

エリカが聞き返すと、深雪は澄ました顔で答えた。

 

「んー……簡単に言うと、魔界になっちゃう感じ?」

 

「………へっ?」

 

「魔法協会支部は魔王城になって、城の周りを守る悪魔、空中を守るドラゴン、海を守る魔獣が彷徨くような世界に……」

 

「魔界⁉︎」

 

「まぁ、冬也お兄様に少しでも理性があれば大丈夫だとは思いますが……」

 

あの冬也だからなぁ……と、全員が全員思った。

 

 

横浜。気が付けば、ほぼ全ての敵が片付いていた。空中からの攻撃、やられても達也による蘇生、そもそも作品が違う悪魔達の無双、他にも十師族次期当主二人の参戦などで、大亜連合は押されていった。

 

「ふぅ……こんなものか」

 

ガース・オブ・ドラゴンと分離した冬也は、辺りを見回して呟いた。その冬也の耳元に声が聞こえた。

 

『ウィンター・エクゾディア・ルルーシュ・ランペルージ特尉。聞こえますか?』

 

「はい」

 

藤林からだ。

 

『魔法協会支部の背後から少数による奇襲を確認。フリーなら相手してくれない?』

 

「了解、キャプテン」

 

『引っ叩くわよ』

 

「…………なんでみんなこれ言うと怒るんだろう」

 

冬也は羽を生やして急行した。

魔法協会支部の背後に3秒で到着すると、ズダンッと音を立てて着地した。目の前には、呂剛虎とその部下が数人立っていた。

 

「………お前は、魔術師。大黒・ウィンター・エクゾディア・ルルーシュ・ランペルージ」

 

「あれ?虎じゃん。どうしたのこんなとこで」

 

 


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