私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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実験

 

 

数日が過ぎた。論文コンペには護衛というものが付くそうで、市原先輩には服部先輩と桐原先輩というバカコンビが付くそうだ。

もちろん、達也お兄様に護衛は付かない。必要ないからだ。そんなものはむしろ足手まといだろう。ちなみに、五十里先輩には千代田先輩が付くらしい。

それと、論文コンペ会場警備隊で総隊長として十文字先輩、それと冬也お兄様と吉田くんが参加している。

 

「………みんな色々やってるんだなぁ……」

 

思わず呟いてしまった。というか、私が何もしてないだけかもしれない。だが、生徒会の仕事がある以上は仕方ない。冬也お兄様が両立させてるのはありゃ例外だ。てかなんで分身できんのあの人。ナルト?そのうち螺旋丸とか使って来そうで心配だ。

ふと窓の外を見ると、今日はテニス部にお邪魔している。テニスの王子様みたいなテニスをしてテニス部を落胆させてるのを見た後、私は仕事に戻った。

 

 

数日後、何やらプレゼンテーションで使うデモ機の実験をするようだ。人が集まっていたし、私も気になったので見学に向かった。

中々に緊張感のある実験だったのだが、それをぶち壊しにする声が聞こえた。

 

「おーい、達也くーん」

 

知り合いの声だった。エリカが達也お兄様に手を振り、直後に西城くんと吉田くんは顔を背け、全力で他人のフリをした。

 

「エリカちゃん、邪魔しちゃダメだよ……」

 

美月がやんわりと止めようとしたのだが、まるで効果がない。達也お兄様も「仕方ないな」といった様子で手を振り返す。

 

「千葉……お前、ちょっとは空気読めよ」

 

護衛役として立ち合ってる桐原先輩が言うが、それでもエリカは無視して隣の壬生先輩に声を掛ける。

 

「あれっ、さーやも見学?」

 

「お前な」

 

「エリちゃん……」

 

脱力する桐原先輩と苦笑いする壬生先輩。なんか、エリカって私の思ってる20倍くらい自由な人なのね。

 

「エリカは見学というわけじゃ無さそうだな。何か用か?」

 

他の上級生が今にもキレそうだったのを察したのか、達也お兄様が声を掛けた。

 

「美月がお手伝いに呼ばれてたから、その付き添い」

 

美月が美術部の先輩の前でペコペコと頭を下げていた。

 

「エリカ、こちらへいらっしゃい」

 

私が横から手を伸ばして、エリカの手を引いた。これ以上はちょっとアレだからね。

 

「あれ、なんの実験してるの?でっかい電球みたいだけど」

 

「プレゼン用の常温プラズマ発生装置よ」

 

「常温?熱核融合ですよね?」

 

吉田くんが私に質問した。

 

「ごめんなさい、吉田くん。わたしも詳しいことは理解していないから、後でお兄様に聞いてみる方が良いと思うわ」

 

そう言っておいて、私は実験の方を見た。丁度いいタイミングで実験が始まった。

五十里先輩が市原先輩に合図を送った。達也お兄様がモニターしている据え置き型の大型CADへ、市原先輩がサイオンを注ぎ込む。

すると、デモ機が光り出した。

 

「やっぱり電球?」

 

エリカが漏らした失礼な呟きは、幸いなことに「やった!」「第一段階クリアだ!」という声によってかき消された。本当にかき消されて良かったと思う。

その時だ。ピクッと桐原先輩と壬生先輩と吉田くんが反応した。

 

『スケット戦隊マホレンジャー、至急集結せよ。繰り返す、至急集結せよ』

 

何が聞こえたのかは分からないが、3人とも走って何処かに走り去った。私はその後が気になって追いかけた。

 

 

途中、冬也お兄様と十文字先輩と服部先輩が合流したところで、私は追いかける気がなくなったのだが、まさか遊びのために桐原先輩が護衛を放置したわけではないと思い、我慢して追い掛けた。6人が追かける先には女子生徒がいた。

 

『待てェーーーイッ!』

 

そう書かれたボードを冬也お兄様が投げ付けて、女子生徒の前に浮かせた。ビックリしたのか、腰を抜かして後ろに座り込んだ。

おそるおそる後ろを見ると、そのメンバーに更に驚愕の表情を浮かばせた。そして、全員でポケットからよく分からない機械を取り出し、上に突き出した。直後、その場が光に包まれる。

 

「まずはレッド、桐原武明!」

 

「そしてブルー、司波冬也」

 

「ブラック、十文字克人」

 

「グリーン、吉田幹比古」

 

「イエロー、壬生紗耶香!」

 

「ぴ、ピンク……服部刑子」

 

『6人揃って!』

 

チュドオオオオオオオオオオンッッ‼︎‼︎

 

『スケット戦隊、マホレンジャー‼︎』

 

爆発で学内の森を吹き飛ばした。

 

「壬生が入ったのになんで俺がピンクなんだよ!」

 

「いやー6人ものだったら女隊員は二人必要だろ」

 

「そうね。5:1なんてバランス悪いものね」

 

おい、なんの話してんの。いいから捕らえろよそいつ。いや何したか分かってないんだけどね。

 

「あの、何かご用ですか?」

 

その台詞には冬也お兄様が答えた。

 

「お前の手に持ってるの、無線式のパスワードブレイカーだろ?俺もそれ持ってたんだ。改造してこの変身道具にした」

 

や、パスワードブレイカーをどう改造したら変身グッズになるわけ?

 

「それを俺たちに渡して投降しろ。悪いようにはしない」

 

直後、その女子生徒は袖口を冬也に向け、注射器を発射した。だが、その注射器は途中で止まり、下にカランと落ちた。

 

「っ⁉︎」

 

直後、6人揃って女子生徒に飛び掛った。

 

「やっちまえぇーーいッ‼︎」

 

「「「「「うおおおおお!」」」」」

 

「やり過ぎだろうがァアアアア‼︎」

 

私は冬也お兄様の足を掴んで、後ろから全員を殴り飛ばした。ちなみに一年生の子は殴り飛ばされた十文字先輩のフライングヘッドバッドで気絶した。

 

「一年生の女子生徒を相手に何やってんですかあんたら!台詞から何から何まで何処から何処まで悪人そのままじゃないですか!」

 

「や、トドメ刺したのお前……」

 

「こっちがあんた達を成敗したいわ!」

 

「いやもうしてるし……」

 

私はプリプリと怒りながらとりあえず一年生を捕獲した。

 

 


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