私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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謝罪

 

「ヒック、ヒック、エグッ……」

 

泣いちゃったほのか。そりゃ泣くだろう。自分の胸のサイズを晒された上に好きな人に見られたのだ。私でも泣くだろう。

その泣かした本人である冬也お兄様は、一人で砂浜で1/1スケール江戸城を作っている。

 

「冬也お兄様」

 

「んー?」

 

「謝ってください。今回は冬也お兄様が悪いです」

 

「なんで」

 

「デリカシーってものがないんですか?」

 

「デリカシーならこの前鼻水と一緒にティッシュでチーンしてトイレに流した」

 

「最低………」

 

「冗談だよ。まぁ少しは悪いと思ってるよ。ちょっとキューピッド最近やったからって調子に乗ってたわマジで。女心 イズ マインだと思ってたわ」

 

「キューピッド?」

 

「いや、なんでもない。こっちの話。つーか、桐原の話」

 

「桐原先輩に何したんですか?」

 

「マホレンジャー」

 

「アホレンジャー?」

 

「一番間違えちゃいけないところ間違えたな。とにかく、ほのかに謝ればいいんだろ?」

 

「そうです」

 

「ごめんねー!」

 

「雑過ぎでしょ!」

 

「練習だよ」

 

「まぁ、謝ってくるよ」

 

言うと、冬也お兄様は江戸城の屋根から飛び降りた。いつの間にか、砂の江戸城は本物のような外見になっていた。内装も。あの人本当に凝り性なのね……。

 

 

『ほのかちゃん』

 

水で名前を呼ぶと、ギロッと涙目で睨むほのか。当然だろう。

 

『悪かったな。まぁ、俺が悪かったよ』

 

「………胸の大きさまでバラすのは悪かったじゃすまないと思います」

 

『うん、分かる。ゴメンなさい』

 

………意外とキチンと謝ってるわね。流石に謝るときは真面目なのね。

 

「まぁ、今回は許して」

 

『体の事に関しては本当にデリケートな問題だ。ごめんで済むことではない』

 

「えっ?あのっ、冬也さん?」

 

『だから、俺の命を持って償おうと思う』

 

「…………はっ?」

 

私もポカンとする中、冬也お兄様は自分のコメカミにCADを向けた。

 

「ちょっ、冬也さ……」

 

直後、一切のためらいも無くCADの引き金を引いた。頭から血が噴き出て、パタリと倒れる冬也お兄様。

 

「き、キャアァああああッッ‼︎」

 

悲鳴をあげるほのかと美月。私と達也お兄様は冬也お兄様の元へ駆け寄った。

 

「脈がない……」

 

「まさか、本当に……!」

 

こ、こんなことで自殺するなんて……!嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!

 

「っていう仮死状態を作る魔法を考えたんだけど……」

 

とりあえず、全員で蹴りを入れた。

 

 

結局、土下座したうえに、「今日一日なんでも言うことを聞く」のオプション付きで冬也お兄様は許してもらっていた。

けど、「今日1日何でもいうことを聞く」なんていうのは、冬也お兄様にとっては造作もないことだった。

 

「じゃあ冬也さん!私、カキ氷が食べたいです!」

 

ほのかはおそらく冗談で言ったのだろう。それに、エリカも雫も西城くんも私も冗談のつもりで「私も!」「俺も!」と言った。

直後、冬也お兄様は海から一辺1メートルの正方形を抜き取り、魔法で精製水にした後、凍らせて粉々に砕いて、更に氷の器まで作ってカキ氷を作って見せた。元々、カキ氷は食べる予定があったのか、シロップは雫の家が用意してあった。

 

「じ、じゃあボートに乗りたいです」

 

すると、島の森の中に入り、ズバッザザッカーンカーンと音がしたあと、木製のボートを持って来た。

 

「…………」

 

意地になったのか、ほのかは更に命令した。

 

「土星がみたいです!」

 

飛んでった。

 

 

ヤケにグッタリした様子で、ほのかが私の隣に座り込んだ。

 

「………すごいね、深雪。よく深雪はあの行動に間髪を容れずにツッコミ入れられるね」

 

「一緒に暮らしてればね……嫌なスキルだわ……」

 

「ちょっと、羨ましい……」

 

「はっ?」

 

「いや何でもない」

 

私の目の前では、吉田くんと西城くんとエリカと雫がビーチバレーをしていて、冬也お兄様は何処から持って来たのか、ビーチバレーの審判の服装で審判をしている。

美月と達也お兄様は副審なのか、コートの端にそれぞれ並んでいる。

 

「で、土星はどうだった?」

 

「声が出なかった」

 

「でしょうね」

 

 




正直なところ、夏休みさっさと終わらせたいです。なんか何も思い付かんです

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