「大体お前らなぁ! サポートってかむしろ邪魔してただろ!」
「誤解だ、桐原。最後にお前に綺麗に勝たせてやる予定だった」
「会頭も! つーか今更だけど十師族がこんな所で遊んでていいのかよ!」
「仕事だ。さっきまで『十文字焼き』をやっていた」
「十文字家はもうだめだな」
「んだとコラァッ‼︎」
なんてやってると、「あの……」と幹比古が声を上げた。
「どうした? 吉田」
気付いた服部が聞き返す。
「あの、壬生先輩は?」
「………あっ、そういえば」
直後、ヒラッと紙が降って来た。
「なんだこれ」
『司波冬也とそのお仲間の全力ボケナス様
貴方達のお姫様は預かりました。返して欲しければ、指定の場所まで来てください。 エガリテ残党より』
「! ど、どうしますか!?」
「エガリテか……生き残りがいたのか」
焦った様子で幹比古が言うが、残りの四人はニヤリと微笑んだ。
「いいじゃないか、是非とも行ってやろうぜ」
「そうだな。どちらにせよ、取り返すには変わりない」
「懲りてないみたいだし、次は息の根を止めてやるか」
「この面子に喧嘩売るとは、バカな奴らだ」
(あっ、これは……)
頼もしすぎてダメになりそう、と思った。
*
指定の場所、廃倉庫。
「ち、ちょっと! 私をどうする気!?」
「はっ、お前はどうもしねぇよ」
「俺たちが狙ってんのは司波冬也だ」
「冬也くん……?」
「ここをあいつの処刑台にしてやる」
ニヤリと笑う男達。何とかして脱出したい壬生だが、魔法が苦手で何も出来ない。
(助けて……誰か……)
直後、倉庫の扉が吹き飛んだ。
「っ!」
「なんだっ?」
「来たようだぜ」
現れたのは五人の男達だった。しかし、何故か首から下はタイツだ。
「まずはレッド、桐原武明!」
「そしてブルー、司波冬也」
「ブラック、十文字克人」
「イエロー、吉田幹比古!」
「ぴ、ピンク……服部刑子……」
「「「「「五人揃って!」」」」」
ドカァーーーン!
「「「「「マホレンジャー!」」」」」
ポカーンとするエガリテ残党と壬生。
「………あのさ、やっぱ性別まで変えることないと思うんだよね」
「いや、そこは拘ってこそだろう」
「そうですよ、せっかく性転換魔法もあるんですし」
「………ひどい」
直後、エガリテ残党が言った。
「おい、ふざけてんのか?」
「それより動くなよお前ら。動いたらこの小娘……」
直後、桐原が壬生に向かってダッシュした。
「話聞いてた!?」
「おい、殺せ!」
一人の団員が壬生にナイフを突き付けた。だが、その男は大きく吹き飛ばされた。
さっきの恥ずかしがっていた様子と大きく変わって、服部の魔法だ。さらに、別の奴を雷童子で幹比古が撃破。
「このっ……!」
反撃してきたが、十文字がガードする。
「オォォォラアァァァァッッ‼︎」
木刀を構えた桐原が気合一閃、敵をブン殴った。そして、壬生の横に座った。
「大丈夫か? 壬生!」
「桐原くん……!」
「良かった……」
ギュッ、と抱き締めようとした桐原だが、その横をドドドドッと走り去る冬也、服部、十文字、幹比古。四人は容赦なく敵を袋叩きにした。
「桐原! じゃないレッド! あとは俺たちに任せろ!」
「お前は壬生を連れて逃げろ!」
「ちゃんと決めろよ! 時間まであと5分ないぞ!」
「吉報、待ってますからね!」
桐原は、壬生の手を引いてその場から離れた。
*
「ち、ちょっと桐原くん! あの子達いいの!?」
「あいつらが負けるところを想像できるか?」
「………ごめん」
で、桐原が逃げた先は小さな公園だった。
「ここは……?」
「………間に合った」
一息ついて、二人はブランコに座った。直後、ヒュ〜……という音の直後、ドォンッという風流な音がした。花火の音だ。
「綺麗……もしかして、この為にここに……?」
「あ、ああ……」
「ありがとう、桐原くん……!」
二人でそのまま花火を見る。花火の光によって見える壬生の横顔を見て、桐原はため息をついた。
「? 桐原くん?」
「あー、ダメだ。もう抑えらんねぇ」
「? 何が?」
「壬生……」
「な、何?」
「好きだ」
「………へっ?」
「壬生、俺は、お前が好きだ」
「………………へっ?」
かあっと顔が赤くなる壬生。
「付き合って、くれるか?」
「……………」
真っ赤な顔をしたまま、目をパチパチする壬生。すると、プッと噴き出した。
「ふふっ、やっぱらしくない。いつも馬鹿やってるくせに」
「う、うるせっ」
「ふふふ……。こちらこそ、よろしくお願いします」
壬生は喜んで受け入れた。
*
「桐原先輩、末長くお幸せに」
「それより冬也、こいつらの始末どうすんだよ」
「焼いとく?」
「過激だな。まぁ俺に任せろ。十師族だし」
四人はその場で退散した。