私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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冬也お兄様の夏休み3

 

 

「大体お前らなぁ! サポートってかむしろ邪魔してただろ!」

 

「誤解だ、桐原。最後にお前に綺麗に勝たせてやる予定だった」

 

「会頭も! つーか今更だけど十師族がこんな所で遊んでていいのかよ!」

 

「仕事だ。さっきまで『十文字焼き』をやっていた」

 

「十文字家はもうだめだな」

 

「んだとコラァッ‼︎」

 

なんてやってると、「あの……」と幹比古が声を上げた。

 

「どうした? 吉田」

 

気付いた服部が聞き返す。

 

「あの、壬生先輩は?」

 

「………あっ、そういえば」

 

直後、ヒラッと紙が降って来た。

 

「なんだこれ」

 

『司波冬也とそのお仲間の全力ボケナス様

貴方達のお姫様は預かりました。返して欲しければ、指定の場所まで来てください。 エガリテ残党より』

 

「! ど、どうしますか!?」

 

「エガリテか……生き残りがいたのか」

 

焦った様子で幹比古が言うが、残りの四人はニヤリと微笑んだ。

 

「いいじゃないか、是非とも行ってやろうぜ」

 

「そうだな。どちらにせよ、取り返すには変わりない」

 

「懲りてないみたいだし、次は息の根を止めてやるか」

 

「この面子に喧嘩売るとは、バカな奴らだ」

 

(あっ、これは……)

 

頼もしすぎてダメになりそう、と思った。

 

 

指定の場所、廃倉庫。

 

「ち、ちょっと! 私をどうする気!?」

 

「はっ、お前はどうもしねぇよ」

 

「俺たちが狙ってんのは司波冬也だ」

 

「冬也くん……?」

 

「ここをあいつの処刑台にしてやる」

 

ニヤリと笑う男達。何とかして脱出したい壬生だが、魔法が苦手で何も出来ない。

 

(助けて……誰か……)

 

直後、倉庫の扉が吹き飛んだ。

 

「っ!」

 

「なんだっ?」

 

「来たようだぜ」

 

現れたのは五人の男達だった。しかし、何故か首から下はタイツだ。

 

「まずはレッド、桐原武明!」

 

「そしてブルー、司波冬也」

 

「ブラック、十文字克人」

 

「イエロー、吉田幹比古!」

 

「ぴ、ピンク……服部刑子……」

 

「「「「「五人揃って!」」」」」

 

ドカァーーーン!

 

「「「「「マホレンジャー!」」」」」

 

ポカーンとするエガリテ残党と壬生。

 

「………あのさ、やっぱ性別まで変えることないと思うんだよね」

 

「いや、そこは拘ってこそだろう」

 

「そうですよ、せっかく性転換魔法もあるんですし」

 

「………ひどい」

 

直後、エガリテ残党が言った。

 

「おい、ふざけてんのか?」

 

「それより動くなよお前ら。動いたらこの小娘……」

 

直後、桐原が壬生に向かってダッシュした。

 

「話聞いてた!?」

 

「おい、殺せ!」

 

一人の団員が壬生にナイフを突き付けた。だが、その男は大きく吹き飛ばされた。

さっきの恥ずかしがっていた様子と大きく変わって、服部の魔法だ。さらに、別の奴を雷童子で幹比古が撃破。

 

「このっ……!」

 

反撃してきたが、十文字がガードする。

 

「オォォォラアァァァァッッ‼︎」

 

木刀を構えた桐原が気合一閃、敵をブン殴った。そして、壬生の横に座った。

 

「大丈夫か? 壬生!」

 

「桐原くん……!」

 

「良かった……」

 

ギュッ、と抱き締めようとした桐原だが、その横をドドドドッと走り去る冬也、服部、十文字、幹比古。四人は容赦なく敵を袋叩きにした。

 

「桐原! じゃないレッド! あとは俺たちに任せろ!」

 

「お前は壬生を連れて逃げろ!」

 

「ちゃんと決めろよ! 時間まであと5分ないぞ!」

 

「吉報、待ってますからね!」

 

桐原は、壬生の手を引いてその場から離れた。

 

 

「ち、ちょっと桐原くん! あの子達いいの!?」

 

「あいつらが負けるところを想像できるか?」

 

「………ごめん」

 

で、桐原が逃げた先は小さな公園だった。

 

「ここは……?」

 

「………間に合った」

 

一息ついて、二人はブランコに座った。直後、ヒュ〜……という音の直後、ドォンッという風流な音がした。花火の音だ。

 

「綺麗……もしかして、この為にここに……?」

 

「あ、ああ……」

 

「ありがとう、桐原くん……!」

 

二人でそのまま花火を見る。花火の光によって見える壬生の横顔を見て、桐原はため息をついた。

 

「? 桐原くん?」

 

「あー、ダメだ。もう抑えらんねぇ」

 

「? 何が?」

 

「壬生……」

 

「な、何?」

 

「好きだ」

 

「………へっ?」

 

「壬生、俺は、お前が好きだ」

 

「………………へっ?」

 

かあっと顔が赤くなる壬生。

 

「付き合って、くれるか?」

 

「……………」

 

真っ赤な顔をしたまま、目をパチパチする壬生。すると、プッと噴き出した。

 

「ふふっ、やっぱらしくない。いつも馬鹿やってるくせに」

 

「う、うるせっ」

 

「ふふふ……。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

壬生は喜んで受け入れた。

 

 

「桐原先輩、末長くお幸せに」

 

「それより冬也、こいつらの始末どうすんだよ」

 

「焼いとく?」

 

「過激だな。まぁ俺に任せろ。十師族だし」

 

四人はその場で退散した。

 

 


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