迷い人   作:どうも、人間失格です

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遅くなって済みません。長すぎたんで切りました。


孤独なポケモンと彼 前編

 

 

 

 フジ老人はロケット団に引っ張られるようにして歩きながら、どうしてこのような事になったのか考えていた。

 

 何時もの様に保護したポケモン達の世話を雇った従業員達と共にして、ポケモン達を庭に遊ばせ、自分達が休憩していた時だった。

 突然現れたロケット団に保護していたポケモンや働いている従業員を人質にされ、フジ老人はシオンタウンにあるポケモンタワーに無理矢理連れてこられていた。

 シルフスコープで出てきた野生ポケモンを見ながら、自分達の手持ちポケモンで撃退していくフジ老人を連れ去ったロケット団男女二人組の団員はフジ老人の両手を後ろで縛り、左右で並んで歩いている上に、前を歩かされている従業員とポケモンがいる為、逃げようともがけばロケット団男女二人組がモンスターボールから出している手持ちポケモンが従業員とポケモンにまとわりつき、攻撃しそうなそぶりを見せる為、逃げる隙が全く無く最上階まで来てしまった。

 

 最上階にいたのはRと書かれた特徴的な服を着た四人の下っ端であろうロケット団団員達と茶色交じりの黒髪黒目の黒い服を着た少年であった。

 

 フジ老人を連れていたロケット団二人組は少年に連れてきた事を報告しているのを見て、この少年がこの中で一番偉い地位にいる人物である事にフジ老人は驚いた。

 整った容姿をしているが、どこにでもいる好少年の様に見えた為だ。

 そして、老人としての勘であるが、何処か道にでも迷っているかの様な目にふと、同じ目をしたあるポケモンの姿が脳裏によぎった。

 

 

 

 「フジ老人ですね。手荒なお呼び立てをして申し訳ございません」

 

 

 

 穏やかな表情をして丁寧な物腰で話しかけてくる少年にフジ老人はこの少年が悪の組織であるロケット団に所属しているとはとても思えなかった。

 だが次の言葉で、その考えを改める。

 

 

 

 「早速ですが、そこにいる貴方の施設で働いている従業員と保護したポケモンを殺されたくなければ話してくれませんか。ミュウツーの居場所を」

 

 

 

 目が笑っていない微笑を見ながらフジ老人は少年の中にある大きな闇を見た気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぴちょんとどこからか聞こえてくる水音を聞きながらカオルは懐中電灯を持ちながら洞窟の中を歩く。

 ハナダシティにあるゴールデンボールブリッジを渡り、波乗りで西へ回り込んだ先に位置している名無しの洞窟の最下層にミュウツーがいるという事をフジ老人から聞き出した後、部下達にポケモンタワーでフジ老人を見張りながら待機を言い渡すと、元々組織から借りていたテレポート用のポケモンを使い、ハナダシティに飛んだ。

 

 ジュンサー達かレッドが来るであろう場所に長く居座る必要は無い上に、部下達を残せば彼らの足止めになると踏んでの事であった。

 あの場にいた部下達はあまりロケット団の情報を持っていない捨て駒である為、カオルには彼らはどうでもいい存在だった。

 

 出てきた野生ポケモンは横にいるウサギのような耳に水色の肌に白色の斑点があるボディ、ギザギザなしっぽの先に丸い水色の玉が付いたポケモン、マリルリが相手をしていた。

 ヤマブキシティの時はブラッキーやゲンガー等で事足りてしまった為、マリルリの出番はなく、元々好戦的で力自慢なマリルリは久々に思う存分バトル出来る事にはしゃいでいるらしい。

 カオルが指示を出さずとも勝手に出てきた野生ポケモンの相手していた。

 だが、はしゃいでいようともカオルに敵意を持っている野生のポケモンにだけバトルを挑むあたり、むやみやたらと攻撃しているわけではないとわかり、カオルは注意をする事なく好きにさせている。

 

 レベルが高い野生ポケモン達ばかりで、これならレッドも来ることができないのではと考えたが、歴代主人公の中でも強運と底知れないバトルセンスを持つといわれる主人公レッドにその考えを否定する。

 レッド自身が来る力がなくともレッドを連れてくる誰かがいるかもしれないからだ。

 とにかく、最悪の事態を何通りか思いつき、その対応と方針をミュウツーに会う前に歩きながら固めていた時だった。

 マリルリがカオルに向かって鳴く。

 

 カオルが何だ、と問いかける様に視線をマリルリに向けると、マリルリは短い手を使い懸命に何かを指さしている様であった。カオルがその方向に視線を滑らせるとそこには長年の歳月でたまったのであろう地下水が湖の様に広がっていた。

 その地下水に近づき、懐中電灯を当てながら覗いてみると一定の場所から底が見えない程の深さである事がわかり、ため息をつく。

 カオルには水タイプを含むヤドランとマリルリがいるが、カオルを乗せて波乗りができる程の大きさではない。

 

 幸い、あたりを見渡して見ると、先程までは低い天井ばかりであった洞窟はここでは高く広い天井なので、カオルは空から行く事にした。

 カオルは腰からあるポケモンが入ったモンスターボールを取り、掌大にしてから中にいるポケモンを出す。

 モンスターボールの赤い閃光から出てきたポケモンは空中に上がり、滞空する。頭に赤と薄い黄色の長い羽があり、力強い大きな翼と鋭い爪を持った大きな鳥ポケモン、ピジョットは一声鳴き、カオルの元へと降り立った。

 

 マリルリをモンスターボールに戻し、ピジョットに肩を足で掴んでもらいながらカオル自身もピジョットの足を握り、飛んでもらう。

 この世界では波乗りや空を飛ぶの秘伝技は技として覚えていなくともポケモンの大きさや力次第で短い距離では出来る為、カオルは遠慮なく使っている。

 

 ピジョットは翼を大きく広げ、飛ぶ。飛びながらカオルはあたりを見渡し、ミュウツーを探した。

 名無しの洞窟にカオルが入ってからの時間経過からするともうすぐ最下層なのだが、一向にミュウツーがいる気配がない。

 ピジョットがズバットの群れをフェザーダンスで追い払いながらよけた時だった。

 

 

 

 前方から紫電が走る黒い球体、シャドーボールが()()()()飛んできた。

 

 

 

 ピジョットはいち早くシャドーボールに気づき、カオルが振り落とされない程の速度で回避する。

 カオルはピジョットの足を握り直し、シャドーボールが来た位置を確認しようとするが、すぐさま第二弾がやってくる。どれもがカオル自身を狙って打たれており、打っているポケモンがいかに人間に対してどれ程嫌悪感を持っているかがわかる。

 

 

 

 「ピジョット!追い風」

 

 

 

 カオルはシャドーボールをよけた隙にピジョットに指示を出す。

 ピジョットはカオルの指示に従い、大きな翼で追い風を繰り出し、強い強風がピジョットの背中を押してくれる。

 追い風の相乗効果で風に乗り、飛ぶスピードが上がるが、それでも正確にシャドーボールがカオルに向かう。

 カオルは舌打ちしながらこの状況を打破する方法を考える。

 ピジョットの攻撃技は物理技しかない為、カオルがピジョットと飛んでいるこの状況では使えない。

 カオルは振り落とされないように気を付けながら腰にあるモンスターボールからヤドランを繰り出した。

 ヤドランはモンスターボールから状況を見ていたのか、地下水に飛び込み、飛んできたシャドーボールをサイコキネシスで器用にも返した。

 

 シャドーボールは一気に岩陰へと向かっていくが、岩陰から何かが離れて回避した。

 土煙が上がり、煙を振り払うかのように飛び出してきたのは二足歩行の尻尾を有する人型に近いが、体色は白で四肢は細長い宇宙人じみたポケモン、ミュウツーであった。

 

 

 

 「ヤドラン、電磁波!」

 

 

 

 カオルが()()()()()()指示した。ヤドラがミュウツーへと電磁波を放つが、ミュウツーはよけてから瞑想を繰り出す。

 だが、ヤドランが放った電磁波は青白い光をまとった瞬間に急激に方向を変え、ミュウツーに当たった。

 内心でカオルはミュウツーに瞑想を積まれた事に苦い思いをしつつも、ヤドランに左手を上げた事により追加指示した電磁波をサイコキネシスで軌道を捻じ曲げ当てる事により麻痺状態にするのは成功したので結果的によかったとして、視線に入った地下水の中に島の様な岩肌が見える場所に降りる様にピジョットに指示する。

 ゆっくりと着地したカオルはヤドランをモンスターボールに戻し、ミュウツーに向き直る。

 追い風の風がなくなりつつある時、ミュウツーは空中で静止し、じっとカオルを見つめながら余裕の表れかしっぽを優雅に動かす。

 

 

 

 『ここに何の用だ、人間』

 

 

 

 頭の中に男性よりの声が響いた。

 テレパシーで話しかけてきたのだと思い、カオルはこのままポケモンバトルに突入すると思っていたので、少し意外に思いながらも、ミュウツーの言葉に答える為、口を開く。

 

 

 

 「もちろん、強い君を捕まえるためさ」

 

 『お前は今でも十分強いだろう。何より私はお前に従う気はない』

 

 

 

 カオルは表情に出てしまう程驚いた。

 カオル自身自分の事はまだまだだと思うところがあるのだが、ポケモン最強クラスの性能を誇るミュウツーに強いと称されるとは思いもしなかったのだ。

 そんなカオルの様子をよそにミュウツーは話を続けた。

 

 

 

 『私はここで人間と関わらずに静かに過ごしたいのだ。それを邪魔するのであれば容赦はしない』

 

 

 

 そういった瞬間にまたシャドーボールを繰り出してきた。

 カオルは必要最低限の動きで回避してからピジョットに追い風を指示する。

 再び追い風が洞窟内に吹き荒れ、ピジョットは効果によりスピードを上げた。

 

 

 

 「最速のとんぼ返りで戻って来た給え」

 

 

 

 トップスピードで放たれたとんぼ返りは麻痺状態になったにもかかわらず、ミュウツーは掠る程度でよけて直撃は無く、とんぼ返りの効果でピジョットはモンスターボールに戻っていく。

 その隙に再び瞑想を積まれ、カオルは即座にゲンガーを繰り出し、金縛りを指示して瞑想をしばらくの間封じる。

 そして、今までのお返しにシャドーボールを指示する。

 ミュウツーも対抗するようにシャドーボールを放ち、相殺した。

 

 シャドーボールの衝撃と煙があたりに立ち込め、互いの姿が見えなくなるが、カオルはゲンガーに鬼火で周りを照らすを指示しながら()()()()()()()()()()

 鬼火であたりが少し照らされたその瞬間、紫色の気泡のような球、サイコブレイクが黒い煙からゲンガーに突然襲い掛かった。

 ゲンガーは追い風の恩恵で通常よりも早く動きながらカオルの()()()()()()()()身代わりでその攻撃を回避し、シャドーボールを攻撃を放たれた煙の方向に放つ。

 煙の中からミュウツーの苦渋の声が聞こえ、緑色の光が見える。

 カオルはその光を見たことがあった。

 

 自己再生の光だ。

 

 

 

 「ゲンガー!金縛り」

 

 

 

 すかさず、金縛りで自己再生を封じ、一気にたたみかける様にシャドーボールを指示する。

 ゲンガーのシャドーボールは自己再生をしているミュウツーに当たり、ダメージを負わせたが、自己再生の恩恵により、ダメージは半分になってしまったらしく、まだ動ける様子であった。

 カオルは眉を寄せながら、思案する。長期戦になれば再び瞑想を積まれ不利になる。さすがにミュウツーに瞑想を三つ積まれたサイコブレイクはひとたまりもない。早期に決着をつける必要があった。

 

 

 

 「シャドーボール」

 

 

 

 両者の技が再び当たり、洞窟の中は黒く染まった。

 

 

 




出てきた我が家のかわいい子達パート3



マリルリ

技構成
じゃれつく/たきのぼり/ばかぢから/アクアジェット

特性
力持ち

性格
わんぱく

持ち物
突撃チョッキ

解説
フルアタマリルリです。特殊&耐久型が多いので攻撃アタッカーとして採用しました。まあ、この子も耐久型でもあるんですが。
高火力先制技による縛りと広範囲技+高火力+先制技によるタイマン性能があり、今の環境ではよく活躍してくれます。
この子はブラッキーというよりもメガフシギバナと相性がいいです。
耐性が7個と多目ですが耐久が特に高い訳ではないので無理な後だしは禁物です。



ピジョット

技構成
追い風/とんぼ返り/フェザーダンス/ブレイブバード

特性
鋭い目

性格
陽気

持ち物
気合のタスキ

解説
このパーティーでの先陣係。サポートタイプのピジョットです。
鈍足なヤドランを先制させるのが主な役割。
この子を入れるよりも、メガボーマンダやサンダー、同じポジションでウォーグルを入れたほうがいいかと思われます。
特性はどれでもいいのですが、私は鋭い目を採用しています。千鳥足は私的に使いづらいので。

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