第0-1話 End peace~平和の終わり~
中学生活の三年目、その終盤は大抵の人たちは勉強で忙しい。けど、それは僕にはもう関係がないことだ。
そのため周りが頑張って勉強しているというのに、僕は余裕たっぷりでロボットの設定資料集を眺めていた。
「……おい、舞崎」
「何? 篠田さん?」
隣に座る同じく受験終了組の篠田さんが声をかけてくる。彼女の名前は
それはともかく、文武両道と言う言葉と袴姿が意外に似合う彼女は一体何の用で僕に声をかけたのだろうか?
「そういう勉強に関係ない本を読むのは止めてやれ。周りが睨んでいる」
「篠田さんだって難しい本を読んでいるくせに」
「こ、これは我が家に伝わる剣技が記されている本でだな……」
………篠田さんは僕以上に変わっている。
よくわからない本を持っていたり、家が厳しいのかスマートフォンが普及昨今で何故かガラパゴス携帯だったり、電話帳は何故か家族以外の人の情報を乗せてはいけなかったりと、結構古風だ。転校当初はそれで弄られていたが、僕の得意なギャグと話を逸らす方法で漫才を確立させてうやむやにし、僕がボケで彼女が突っ込みと言う名の暴力を繰り返していた。そのせいか、何故か僕たちが夫婦認定されてよく囃されたが、そこは得意な話術でカバーした。そう。SHRを乗っ取って急に持論を展開したのである。そのおかげで僕は度胸を、彼女はテクニックを身に着けただろう。でも正直、後から考えて思ったけどあの言い方はないな。
『篠田さん。どうやら僕らは他者が認めるほどにお似合いなカップルらしい。だから言わせて。結婚しよう。必ず幸せにするから』
アレを聞いた瞬間、男子たちは本気でメモをしていたのには驚いた。しかも卒業アルバムに乗せられている「女が決めた。男に言ってもらいたい告白ランキング」では堂々の一位を獲得したのだ。まぁ、ランキングとして成立していないから、僕を除け者にして男たちに好きな女子に告白する時に言うセリフを募集したみたいだけど。それでも一位を取れるのは、周りが本気じゃなかったからだろう。ちなみに僕と篠田さんの間では、「おふざけの一環」と言う話で蹴りが付いている。
「あのねぇ、篠田さん。そういう本よりも君はもっとこういう本を読んだ方がいいと思うよ」
そう言って僕は『今時だからこそ学べ! 男を落とす女のテクニック集』というタイトルの本を渡した。
「き、貴様、この時期になんて本を持って来たんだ!?」
「いやぁ、前々から思っていたんだよね。篠田さんっておっぱいは大きいけどその話し方と性格故にその利点を潰している気がするんだ。ま、その話し方でも利点はあると言えばあるけど―――」
「そういう問題ではない! 第一、これはどう考えても18歳未満は閲覧が禁止されている―――」
すると彼女はある一点を見つけ、
「お前が著者か!?」
「表紙は結構できているけど、裏面や中身はスッカスカ」
「———おい」
声をかけられ、そちらに向く。担任の田辺女史(27(自称22歳))が俺たちを睨んでいた。
「いつまで話しているのかしら? 今は自習だけど話していい時間じゃないのよ?」
「まぁまぁ、落ち着いてください。先生はアラサーですがまだ希望はありますよ?」
「私は男になんか興味はないわ!」
「以上、行き遅れかけている女性の言い訳でした。みなさんはこうならないように気を付けましょう」
「舞崎ぃいいいい!!」
どうやら図星だったようだ。
「先生、うるさいですよ」
「お前たちが原因だ!!」
「「「うるさい!!」」」
今度は周りから言われて田辺女史は沈黙する。
するとチャイムが鳴り響き、六時間目の終了を告げた。
掃除、HRと終えた俺たちはそのまま帰り、僕はそのまま近くのトレーニング施設へと向かう。
「今日も手伝いか」
後ろから篠田さんが付いてきた。まぁ、やることは違えど目的地は同じだ。それに僕は彼女のある秘密を握っていて、そのせいかより絆が深まっていると言えるだろう。……それでも僕の彼女ではないのは、僕が女に対して性的好奇心はあれど恋愛感情が抱くことはないからだ。
「よぉ、もう学校は終わったのか?」
声をかけられたのでそっちの方を見ると、そこには僕の従兄の
「そうじゃなかったら怒るでしょ」
「違いない。篠田ちゃんも一緒にどう? 今日は人が少ないからいつも以上に設備を貸し出したりとかはできるよ。その代わり、真壁さんには内緒―――」
「——ほう。誰には内緒だって?」
晴文……ハルさんが「ギギギ」という擬音が聞こえてくるとすら思えるほどブリキ状に首を動かす。入口にはサングラスをかけた男がいた。
「よぉ、ガキ共。お前ら勉強はどうした? 受験終わるまでは来るなって言っただろうが」
彼の名前は
「受験なら終わりましたよ。余裕で合格です」
そう言って俺は藍越学園の合格証書を見せる。
「ほう。国際PC学部か……それってすごいのか?」
「将来的にはPC関連で何でもできる人を作るのが目的らしいですからね。希望者には夏休みに強化合宿に参加できるとのことですし、藍越学園は他分野……まぁ、僕の場合は技術関連での特別講義も開いてくれますしね。まさしく、うってつけの学校ですよ!」
僕には両親がいない。捨てられただけだから生きてはいるが、ここ6年ほど会っていないのは確かだ。
そのため周りで相談してくれる人はほとんどおらず、進路は誰の意見も聞かずに行動しなければならないのだ。逆に言えば、やりたい放題と言うわけである。でもそんなことをしていたらこのご時世、間違いなく普通に生きられなくなるのは確かだ。
「んで、嬢ちゃんはどうなんだ?」
「私も一応は合格しました」
そう言って篠田さんは鞄の中から合格証書を出す。
「お、お前さん……それは……」
「………IS学園です」
あ、IS学園って……アレの操縦を学びに行くつもりだったの?
驚きを隠せない僕は唖然としてその証書に書かれた校門らしき部分を見る。
(………いや、まぁ彼女の場合は仕方がないか)
これは彼女の秘密に関係するものだが、まぁ話を聞けば聞くほど篠田さんの本意ではなさそうだ。おそらく政府からの圧力みたいなものだろう。まったく。ろくな法律を打ち出したりとろくなことをしないな。それでいて無駄に権力を持っているから困る。
「悪い、篠田ちゃん。もうしまってくれないか?」
事情を知っているハルさんがそう言って篠田さんに言うと、僕の方を見ながら「わかりました」と言い、証書を片す。
僕は親に捨てられた。でもそれは巡り巡ってISが現れたことが原因だった。
ISが現れたことで政府は「女性優遇制度」と言うものを施行し、女の地位を上げたのだが、それによって一部の過激派のようなものが言い始めたのだ。「すべてにおいて女が優れているのだ」と。実際、そんなことあるわけがない。篠田さんもその辺りの事は理解していると思ったけど―――
(………難関校に合格したって割にはそんなに嬉しそうにしてないね)
負の感情もそんな違和感のせいでなくなり、今では普通にしていると思う。
するとどうしたことか、ハルさんは何故かこんなことを申し出た。
「すみません、真壁さん。ちょっと空き部屋を借ります。篠田さん、一緒にいいかな」
「え、ええ―――」
すると真壁さんはハルさんの肩を掴む。
「おっと。そいつはいけねぇな。いくらもうすぐ卒業っていっても彼女はまだ中学生だぞ。そんな子供に酷いことをする気か、ロリコン」
「ちょ、違いますって。少し聞きたいことができたので―――」
「……ほう」
出た。真壁さんの「尋問魔眼」。これに見られた人は恐怖のあまりについ余計なことを言ってしまうのである! ただし、その効果には個人差があり、
「ちょっとキツイ話なので、その―――」
どうやらハルさんには効かなかったようだ。
というかハルさん、何で僕の方を見たの?
「……わかった。ただし―――」
「問題は起こしませんから」
そう言ってハルさんは篠田さんを連れて中に入る。僕も手伝いがあるので中に入ると、付けていたテレビはニュースをしていて、キャスターは何故か血相を抱えていた。
『ここで臨時ニュースをお伝えします。三日前に行われたIS学園の試験会場で史上初の男性IS操縦者が発見されました』
———え?
僕は―――いや、僕だけじゃない。ハルさんも真壁さんも、そして篠田さんもテレビに釘付けになった。
それほどその事項は問題であり、注目することなのである。
『動かしたのは○○中学三年の
それは聞いた僕は顔を青くしているだろう。
しばらくすると画面が表示される。どうやら地区によって開催日は違うらしい。
「………ああ、うん……日にちを変えてもらえないかな」
僕は思わずそれを二度見してしまった。
何故なら―――僕の地区の開催日が中学の卒業式と同じ日だったから。
———この時、僕は達観するんじゃなかったんだ
僕は後に起こる未来がわからず、最悪な運命を迎えようとしていた。
卒業式っていうのは、大体思い出を振り返るものだと思う。
だけどはっちゃけ過ぎた僕には泣けるような思い出はない。というか、これから始まる適性検査で胸が高鳴っているのか、卒業式に使われた体育館で集められた男たちは動かした時の予定を語っていた。
「俺、ISを動かせたらハーレムを作るんだ!」
「は? お前の顔じゃ無理だな。そしてハーレム王には俺はなる!」
「お前こそ無理だ。この天才である僕がなろう!」
「「「黙れ、万年最下位男!」」」
本当に正反対だ。とはいえある意味仕方がないことかもしれない。男の子というものはロボットに興奮してしまうものだから。
(………でも、さすがにISなんかには興奮を覚えないな)
20m級の人型兵器なら興奮を覚えるんだろうけど、ISなんかじゃ興奮を覚えない。
「なぁ、舞崎はどう思う? 俺たちの誰がモテると思う?」
同じクラスの人が僕の所にやってきてそんなことを聞いてきた。
「……誰が動かせるとかじゃなくて?」
「もちろんだよ。動かせるか動かせないかじゃない。モテるかモテないがか重要なんだ」
「………モテてハーレムなんか作っても、最終的に血を血で洗うような大惨事になると思うよ。僕が知っているゲームだと全員がヤンデレと言って、簡単に言えば好きな相手が好きな同性を殺したりとか、好きな人を拘束して世話をしたりとか………で、気に入らないことがあれば刺したり……って、刺激が強すぎたかな?」
全員が顔を青くして僕から距離を取る。
「よ、良かったな。篠田さんがヤンデレじゃなくて―――」
「僕の場合は結構純愛の方が好きだから―――というかむしろ僕がヤンデレ化しちゃうかな? 例えば拘束されたらなんとか口説いて拘束を外してもらって、そして逆に拘束して動けない状態で僕の言う事を聞くまでじっくり時間をかけて調教して体を慣れさせてあげる。しっかり従順になるまで多少厳しくしたり、いや、ある程度言う事を聞くようになったらネットリの方へと移行して、それからキチンと教え込んで誰が主人なのかをわからせて、初めて自分がペットだという事を自覚させようと思う―――そんな大逆転ゲームを開発するのってありかな?」
「あ、アハハハハ。ゲーム、だよね? ね?」
「あくまでゲームか。う、うん。いいんじゃないかな?」
その割には随分と距離を開けてくるね、君たち。
「くっ。これが舞崎静流の能力「マウスビジョン」か」
「し、篠田さんが僕の息子を○○してくれるのを想像してしまった。そんな馬鹿な!!?」
「俺はさゆりちゃんが自慢のボディにすり寄ってくるイメージだ!」
か、カオスだなぁ。
ちなみに「マウスビジョン」というのは、僕の説明によって彼らの脳内でそういうイメージがはっきりとできることからそういうことを言われたようだ。
どうせ彼らの場合、想像力が高いってだけで僕にそんな力ががない。あったとしても使いどころがわからない。
そんなことを思ってると前のサイドドアから男性や女性が複数人入ってきて、大きな囲いを設置し始める。
「静かにしなさい!」
そう一喝されたことでその場にいた男子たちは一斉に口を閉ざす。それを確認した女性は言った。
「これから適性検査を始めるわ。いい? 私語は特別に許可してあげるけど、その代わりキビキビ動きなさい。こっち暇じゃないの」
たぶん全員思っただろう。「ああ、そういう人間か」と。
ISができ、女性優遇制度が施行されてからというもの、高圧的な態度を取る女性は増えてきた。昔は男尊女卑だったから、今度はこっちのターンだと言わんばかりにだ。そもそもそれはその方が都合がいいし、僕たちは男女平等の世界しかしらない。知っているのは僕らではなく、むしろ高齢者の方がだろう。というか僕たちは僕と言う少し変わった男が常識の範囲でかき乱しているが、高圧的な態度を取られる理由はない。
「わかったら返事くらいしなさい」
するとパラパラと返事を返す。マイクをオンにしたままだったので「これだから男は」という呟きが聞こえて来た。
「まぁいいわ。ではこちらで名前と学年と出席番号、そして住所を記入した後、ISに触れなさい。良いわね」
そう僕たちに命令した彼女は用意されたらしい椅子に座る。
その近くには個人情報を書くブースがあり、対応するのは全員女性だった。
(………早く終わらせて帰ろう)
どうせ動かせないのはわかり切っている。いくら一人が出たからって政府は焦りすぎだ。前々から思っていたけど、やっぱり馬鹿なんだろうか? ほら、いくら学歴が良くても馬鹿な人は馬鹿でしょ? つまりそういうこと。
(そういえば、ハルさんと篠田さんは結局何の話をしていたのだろうか?)
結局、あの後二人だけで部屋に入って話をしていたらしい。そして気のせいか篠田さんは以前よりもハルさんと話すことが多くなった。………でも前にあのニュースが流れた時、熱っぽい瞳で動かした男を見ていたよね。……というかあれ、篠田さんの好きな人だし。
(ダメだなぁ。最近、ちょっと一般的基準を忘れつつある。やっぱり周りが異常だと自分たちもそれに染まってしまうのだろうか?)
そんなことを考えていると、どうやらブース前まで来ていたらしく、さっきからブースに座っている女性が僕を呼んでいた。
「早く来なさい! あなたのせいで詰まっているのよ!」
「あ、はい」
言われて僕は急ぎ足でブースの前に立つ。そして名前を書いていくと、さっき僕を呼んでいた人とは違う女性が僕を見て言った。
「本当に愚図。よくそんなので生きていけるわね」
「……………」
ここまで露骨だと引くよ、本当に。
なんとかそれを顔を出さずにやり過ごそうとすると、さらに言ってきた。
「何? あなた、言い返すこともできないヘタレなの? 死んだ方が良いんじゃない?」
「……………クス」
「!?」
去り際に意味深に笑ってやると、凄い形相で睨みつけて来た。後ここで「可哀想な人を見る目」を向けてやると、効果は倍増します。
後ろから「男風情が馬鹿にしてんじゃないわよ!」と聞こえてくるけど、興味ないしどうでもいいしタイプでもなんでもないので完全に無視。聞こえていない振りをしてそのまま進んでいく。
「舞崎、よくあんな罵倒を我慢できるな。正直すげぇよ」
「そうかな? あれくらい、誰だってできるでしょ」
「いや、あんなに言われたら普通に無理だ」
クラスメイトに話しかけられた僕は平然と答える。そうか。みんなは無理か。
「流石は誰とも距離を置いていた篠田さんをクラスに溶け込ませた裏委員長。やり方も半端ない」
「別に。僕はただ普通に行動しただけだよ」
「普通に行動した結果がクラスの中心でおふざけとはいえ告白かよ」
そんな会話をしていると、クラスメイトの番になった。
「見てろよ。俺が桃源郷に乗り込んでやるぜ!」
「あ、スト○イクフリ○ダムがあるかの確認もよろしく!」
「おうよ!」
クラスメイトは意気揚々とISの周辺に置かれている仕切りの中に入っていく。だがどうやら無理だったようで、肩を落としながら中から出て来た。
「次の人、早く来なさい」
「はい」
さっきの女性が中から呼ぶので、仕方なく行くことにした。
仕切りの一部に入れる場所があるのでそこから中に入る。目の前にはISが深緑色のISがあり、僕は思わずそれに見とれてしまった。
「何をしているの。早く触りなさい」
「———! ……」
女性の声に僕は正気に戻る。
(………そうだった。これは―――)
僕の家族を潰す原因となった物に見とれてしまうなんて、僕もどうかしている。
たぶん整備士の腕がよく、磨き上げられた綺麗さに見とれてしまったんだろう。馬鹿だ、僕は。
そう思いながら僕はそっと腕を伸ばす。
———………こ……な……こ
「……え?」
一瞬、ほんの一瞬だけど声が聞こえた。
辺りを見回すが、不正をしないためか中にいる女性以外は誰もいない。
「何をしてるの? さっさと手を離して出ていきなさい。あなたの汚い手でISが汚れるじゃない」
(…………)
この人は普通に話すことはできないのだろうか。いや、彼女はこれが普通なのだろう。こんなのが世界にたくさんいるのだから、よく人類は滅びないでいるものだ。
人類の異常な粘り強さに感心していると、急に頭に何かが突き刺さった。
「…………え?」
あれ? 痛くない? っていうか何? 動かし方? PIC? 知らない単語がさっきから頭に入ってくる。
何かに押しつぶされそうな感覚に襲われる。そういえば、さっき女性が何かを―――
———何故か女性は僕を見て「信じられない」という顔をしていた
すると急に体が浮き上がったと思ったら、腕に何かが現れて引っ付いた。
「………これは一体……?」
嫌な予感がして辺りを―――そして僕の体を見回す。するとどうしたことだろう。さっきまでの深緑のISは僕の体に引っ付いてしまっているではないか。
「…………何なんだよ、これは」
今、自分に起きていることが理解できなかった。
本来、ISは男には扱えないはずだ。だがどうしてか、俺はそれを装着しているのである。
「………君」
わけがわからず混乱していると、さっきから近くにいた女性が俺に声をかけていた。
「あ、はい。何でしょう?」
思わず返事してしまったところで思い出した。「こいつ、動くぞ?」と言うのを忘れた、と。
「今すぐそれを解除しなさい。仕方はわかるわね」
「わかりま…………」
物は試しということで俺はさっきまで食い込んでいたアームが解除するイメージをする。実際それが行われているかと聞かれれば「No」と答えるだろう。うん。結構混乱しているね。
(落ち着け、落ち着くんだ。今のは夢かただ事故で、ちょっと間違えて動いてしまってだけなんだ)
完全に解除されたことを確認した僕は、もう一度そのISに触れるが―――どうやら夢ではないらしい。
「何をしているの。降りなさい!」
「……………はぁ」
盛大にため息を吐く。
別にこんなものを動かしたくなかった。むしろ何で僕? ISの技術力の高さは評価しているけど、それでも冷静に考えて発覚し次第
そんなことを考えていると、目の前に見慣れない物が現れた。
「まさか本当に他の男が動かせるなんてね」
「……え、えーと……」
———モノホン?
うん。本当は見慣れてる。確か彼女が持っているのはベ○ッタとかいう銃だったはず。いや、でもちょっと待って? 何でそれを一般人(?)が? そしてどうしてそれを僕に向けているの?
「恨むなら、ISを動かしてしまった自分自身を恨みなさい。じゃあね」
そう言ってその女性は銃口を僕に向けた状態で、トリガーを引いた。
■■■
その頃、指定された地区にやってきた静流の従兄であり、兄のような存在でもある高間晴文は中学校に訪れていた。
「………はぁ。まさかあの問題児の妹がここに通っていたとはな」
そんな意味深な言葉を吐きながら、左手をポケットに入れて何かをまさぐっている。
(まぁ、別にあの子が悪いわけじゃないか)
そう思いながらも会場となっている中学校体育館に入ると、彼の耳に銃声が届いてその音源の方へと走った。
――どうでもいい問題↓
実は新装版で立ち絵が出たのに未だに描かれていないキャラがいます。さて、誰でしょう?