IS-Twin/Face-   作:reizen

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一体誰がこんなタイトルを付けると思ったのか、私ですら思いませんでしたけどね。

※鬼ヶ島ピックアップでママオルタ……もとい、エミヤ・オルタが引けました。☆4以上で初のアーチャー単体法具持ちです。……ま、今はライダー金時育成しているのでレベルが全く上がってませんが。

ところで、金時の声をしている人があの人なのでどうしても「ライダー」の部分で違和感があるのは私だけですかね? 「僕に釣られてみる」で有名な方が無理して不良をしている風にしか聞こえない。


第41話 恋は盲目-I love you-

 おそらくこれは罠だと、俺の理性が叫ぶが本能はそれを否定する。―――いや、無視する。

 罠だろうが関係ない。どうしてそこにいるのかとか興味がなかった。ただクロエがそこにいるなら、助けるだけだと。

 

【ミサイル群の接近の確認】

 

 ハイパーセンサーが勝手に開き、俺にそう知らせてくる。見ると確かにミサイルが迫ってきたので俺は着弾するよりも早く地面を駆ける。本気を出せばそれくらい余裕だ。

 すべて回避し、100mもあるであろう崖を俺は走って登った。

 

「何で―――!?」

「構うな! 殺せ!!」

 

 瞬時に敵がISを展開する……って、多いな、おい!

 軽く30機はいると思われるが、こっちもすぐにISを展開して応対する。

 

「クロエを………返せ!!」

 

 そう叫びながら、俺は両肩部からレーザーを飛ばして攻撃する。的確に相手を攻撃するのは流石は早坂零司といったところか。

 

「こっちには人質がいるんだぞ!?」

「この少女が殺されても良いって言うの!?」

 

 その声が聞こえた瞬間、俺は近くにいた女たちを容赦なくぶん殴ってクロエに抱き着いた。

 

「……ま……マスター……」

「良かった……無事だな。何もされていないよな? もし何かされたなら言えよ? その組織には物理的に消えてもらうから」

「………だ、大丈夫です……」

 

 にしても可愛いなぁ、こいつは。思わず撫でたくなる。……なんてことをしている場合じゃなかった。

 俺は彼女を庇うようにして消していたISをもう一度展開する。クロエを守りながら逃げるよりも全員潰した方が早いと判断したからだ。

 

 ―――ドンッ!!

 

 いざ、攻撃しよう―――としたところで俺の後ろから衝撃が走った。

 

「……何……で……」

 

 後ろを向きながら、クロエが俺に攻撃したことがわかった。そして何より驚いたのは、彼女の首に見たことがない首輪が付いていることだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 織斑一夏は目を覚ますや否や、すぐに福音のもとに向かった。そのせいだろうか、

 

「……零司……そろそろ……離して……あげて」

「だってIS展開されて行くって言われたら困るからね。」

「それよりも~何でかんちゃんの方に言ったのか~説明が欲しいな~」

 

 零司が暴走し、簪を拘束している。

 

「……一体、何を考えているんですか。一般人にここに入ることを許可するなんて!!」

『ですが、ちょうど良かったでしょう? あなた方は銃を向けられ動けなかったところに彼らのような伏兵がいたからこそ、敵を一網打尽にできた』

「その一網打尽のせいでどれだけの被害が出たと思っているんですか、あなたは!」

「まぁまぁ、落ち着きましょうよ。というかむしろあの程度の被害だと思ってくださいよ」

 

 なお、あの程度の被害とは旅館の2階の屋根が吹き飛ぶ事態のことを指す。

 

「………ふざけているのか、貴様らは」

「全然。僕も手を抜きましたし、轡木朱音のコントロールが無ければ―――生徒たち諸共彼は男を殺していましたよ?」

「…………照れる」

「照れるところじゃないよ。………まぁ、いつものことだしね」

「……いつものこと……なのか………」

 

 千冬は思わず倒れそうになったのをギリギリでこらえた。

 

「そうそう。本当だったら旅館諸共爆破魔法とか使ってたし、ねぇ」

「………流石に魔法は……使えない」

「でもちょうどいい薬じゃない? これで多少は彼女らも強くなる決心はするでしょ? というかあれくらい、普通に対処してもらいたいものだよ。簪にあんな格好させたのって、そもそも周りがクソみたいなレベルの癖に男を弱いとか思っているのが原因だろうに」

 

 ちなみに、簪にあんなことをさせた男は裸で庭に寝そべる形で貼り付けられ、「私は銃を持っていたのに素手に負けたクソ雑魚です」と書かれている。

 

「ところで静流はどこ? いつも通りトレーニング?」

「………行方不明だ。電話に出たらすぐにどこかに行った。今は別の教員に探させている」

「電話に出てどこかに行った………? ……まぁいいか」

 

 それ以上は気にせず、零司は怒る本音を宥めつつ簪を撫でる。

 

「いや、良いのか? 友人だろう?」

「友人だからって入って良い領域とそうじゃない領域があるの。まぁ、静流が持っているISにはちょっとばかり細工をしてあるし」

「………何?」

 

 それを聞いた千冬は眉を動かし、零司を睨むように見る。

 

「何か仕組んでいるのか?」

「武装の強化もだね。改修に時間がないからアドバイスとか欲しいって言われたから個人的にちょちょっと」

 

 そう説明しながら、零司はあることを考えていた。

 

(……こっちとしてはISに自我があることが発見できたし、報酬は十分にもらってるしね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――俺の仲間は、誰1人としてやらせねえ!!

 

 そう叫びながら一夏は福音に仕掛ける。福音は既に二次移行していて、専用機持ちたちを粗方落としていた。

 

「………何で彼、ああも痛いセリフを吐けるんだろ?」

「『さぁな』」

 

 突っ込んでいくのを見て2人は一度攻撃をやめる。そして距離が開いたところを見て福音を攻めた。

 

「『邪魔だ。引っ込め』」

「え? っていうか誰!?」

 

 一夏の反応を無視して黒い機体は福音に剣で猛攻する。満は後ろから当たらないように援護するが、

 

「『お前も邪魔だ。失せろ』」

「私は国家代表だし当たってないじゃん!!」

 

 だが黒い機体は構わずしつこく近接戦を仕掛け続けた。

 

「『やはりISは嫌いだ。生身の方がよっぽど動ける。こんな重りを纏って戦うことの何が楽しいのか理解できん』」

「その発言、全世界の女性に対して喧嘩売ってるからね! 後2人目もさ!」

「『あれも心からISを「手段」としか見ていない』」

 

 会話をしながら攻めるのを止めない2人を見て一夏は内心唖然としていた。

 

(………何なんだ……この人たちは……)

 

 一夏でもわかる力量の差。それを思い知らされた気がした。

 それもそうだろう。1人はそもそも国家代表であり、もう1人はそれ以上の実力者。一夏のような高々数か月程度しか乗っていない男が付いていけるレベルではない。

 

 ―――機体が二次移行した

 

 だから福音を倒せるかもしれない。今度こそ静流と対等に戦えるかもしれないと思っていた一夏の思いが崩れて行く。

 

「『織斑一夏、君は他の奴らを回収して離脱しろ』」

「え………いや、あの―――」

「『気にするな。ここにいる専用機持ちは全員足手纏いでしかない』」

「それ、絶対私も含んでいるよね!? そうだよね?!」

 

 満の突っ込みに黒い機体は対応せず、斬りかかろうとした―――が、

 

 ―――GYIAAAAAAAA!!!!

 

 つんざくような悲鳴に近い雄叫びがどこからか聞こえる。

 黒い機体の近くにいた福音はすぐさまその雄叫びがした方に移動する。黒い機体も同じく追いかけ、満もそれに追随していった。

 

「………俺は……どうすれば……」

「―――何言ってんのよ、アンタは!!」

 

 突然の声に一夏はその場で驚くと、どうやら復帰したらしい5人が上がってきた。

 

「鈴……それにみんなも……」

「全く、らしくないわね。言っておくけど、国家代表って大体あんなもんよ!」

「………いや、少し気になることがあるのだが」

「何ですの、ラウラさん」

 

 静流の人望か、一時期険悪だった仲だが今では名前を呼び合う程回復している。

 

「さっきの機械声の黒い機体の方だが、どこか義兄様に似ている気がしたんだ」

「………そういえば、さっき戸高代表を邪魔者扱いしていたよね。それって考えてみれば……タッグトーナメントの時のラウラの扱いに似てない……?」

 

 シャルロットの意見に全員が「そういえば」と思った。

 そんな中、箒だけはとある人物が頭に過ぎる。

 

(………いや、まさかな)

 

 静流という前例があるが箒は首を振って思い直した。

 

「ともかく行くわよ!」

 

 鈴音の号令に全員が頷き、後から3機の後を追う。だが、すぐにすべてのハイパーセンサーが高エネルギーを感知し、全員が緊急回避した。

 

「ちょ、今の出力は何よ……」

「まるであの時の機体……いや、出力が桁違いだ」

 

 そんな会話をしつつ移動する。だが彼らは―――その中心にいる人物と自分たちの力量の差を何よりも知らされ、容易に近付いたことを後悔するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………なんてことを……してしまったんだろう……)

 

 クロエは対IS用拳銃で静流を撃った。

 彼女はあの事件の後、束に拾われた。そこでの生活は静流という異分子であり、自分を守ってくれるヒーローに会えないということを差し引けば、まだ快適な暮らしをしていた―――はずだった。

 つい昨日の事だった。束はとうとう痺れを切らしてクロエに言った。

 

 ―――ちょっとあの男を殺してきてよ

 

 最初は嫌だと言うつもりだった。だけど彼女の首に巻かれているものは何の命令であれ拒否すれば毒を打たれるものだった。これまで自分がどう見ても料理と言えないダークマターを出しても毒を打たれなかったのは、彼女が一生懸命作った結果だから。

 

「………私は……私は……」

 

 自分の命を選んだ。

 もう彼女は限界だった。ようやく解放されたと思った矢先の絶望。それに耐えられなかったのである。

 

「………がう……」

「………ごめんね……私……あなたのご主人様を……」

 

 ―――殺してしまった

 

 決して嫌いだったわけじゃない。むしろ好きだった。自分を解放しようと策を講じてくれた。肌着を持ってない自分に色々な物を買ってくれた。

 クロエは物を求めたわけじゃない。彼がくれた優しさが好きだった。

 

「まさか……本当にやるなんてね」

「この女、悪魔じゃん……」

 

 気が付けば、女たちはクロエに銃口を向けていた。

 

「実は依頼主に言われているのよね。アンタを殺せって」

「………何で……?」

「さぁ? ま、アンタみたいな遺伝子を操作されて生まれた化け物なんてこれ以上面倒見切れないと思ったからじゃない?」

 

 真相は違う。だが、彼女は「そうかもしれない」と思って意見を述べた。しかしその言葉はクロエの精神を折るのには十分だったようだ。

 

「じゃあね」

 

 その言葉を皮切りに女たちは一斉に引き金を引き、銃弾が1人と1匹に飛ぶ。すべてが貫いた―――そう思われた。

 急に悲鳴に近い雄叫びが聞こえたと思ったら、当たる直前にクロエと彼女が抱えていたキメラの姿が消えたのだ。

 

「―――ずっと思ってんだけど、やっぱりそいつの名前は安直だがレオンにしない?」

 

 そんな、あまりにも場違い過ぎる発言に全員が状況を受け止めることができなかった。

 

「………ま、ますたぁ……え……あれ……?」

「ん? どうした? まるで幽霊でも見るような目で…………あ、そうだ。さっき俺、お前に攻撃されたよな」

「そ………それは………いや、でも、何で―――」

 

 クロエの言葉は無理矢理遮られる。キスという手段によって。

 突然のことに女たちは全員制止した。いや、せざる得なかった。自分たちが攻撃すれば間違いなく全員殺せる―――その状況で目の前の男がしている行為に対する理解が追いつけないのだ。

 1分間ほどディープキスをした静流。クロエの顔は真っ赤に染まっている。

 

「な、な、ななな………何をしているんですか!? 私はあなたを攻撃したんですよ!? 殺そうとしたんですよ! 自分が生き残るために、あなたを犠牲にしたんですよ!? それにあなたにはラウラが―――」

「いや、ラウラとはそう言う関係に発展してないからな。大体、俺が今もアイツと寝ているのは、俺が寝ている時にラウラが侵入する物音で誰であろうと潰すからで、そんな関係になってない」

 

 言い切る静流。クロエも場を忘れて問い詰めそうになった時、銃声が走る。

 

「………アンタたち、状況わかってるの……っていうかアンタ、何で生きてるのよ!? 死んだんじゃないの!?」

「そ、そうよ! おかしいじゃない! だって銃弾に貫かれて―――まさか、アンタも人造人間とかじゃないわよね!?」

「……そうじゃなかったら銃弾が貫通して生きてられないわよ!!」

 

 その言葉に静流は心から笑い、言った。

 

「よぉーく見ておけよ、クロエ。これが男に振り向かれなかったら負け犬……いや負け豚の皆さんだ。あ、さっきのことなんだけど、次あんなことしたらディープキスよりもレベルの高いことをしまくるからな。1日中」

「いや、あの、流石にそれは………じゃなくてですね! 今私たち危険なんですよ!? 殺されかけているんですよ!? なんでそんな話をしているんですか!?」

「ピンチ? どこが?」

 

 あっけらかんとクロエに尋ねる静流。そもそも静流にしてみれば―――大半の女は相手にならないのだ。ましてや生身の相手で銃を持っていようが今の彼には全く関係ないことだ。

 

「調子乗ってんじゃないわよ!!」

 

 1人が叫び、次々と女たちはISを展開して行く。

 

(………私が戦わないと)

 

 さっきのスペックを見る限り、いくら静流とはいえこの人数相手には流石に振りと判断したクロエは自分も戦おうとするが、それよりも先に静流は言った。

 

「そうだ、クロエ。実はお前に言っておきたかったことがあるんだ」

「こ、こんな時に何を言っているんですか!?」

 

 本気で泣きそうになりながらクロエは叫ぶ。次の瞬間、静流たちがいる場所に向かって白銀の熱線が放たれた。

 クロエすら巻き込んだその熱線。どちらもISを展開しておらず、まともに食らった。

 

「―――おい、クズ野郎」

 

 もはやその声は絶望を感じさせる福音だった。

 

「テメェがしたことは最早罪だ。故に死ね―――ディメンション・ブラスター!!」

 

 いつの間に展開したのかと言いたくなるほど早くISを展開した静流はそう叫び、銀の福音に向かって彼の機体が放った熱線よりも出力が圧倒的に高い熱線を放った。


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