IS-Twin/Face-   作:reizen

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前回に引き続き、無理ある設定ですが温かい目で見てくださると幸いです。

でも、これって手としては使えますよね? 急に転校できましたよりかはまだマシですよね?


第32話 フランス遠征

 協議の結果、ドイツのことは保留となるがやはり国内での争いという線は消えていないためしばらくはドイツ国内での捜査を行うようだ。それによってかなりの被害が出ると思っていたが、逆に感謝された俺は対価として金をもらうことにした。

 

「…にしても……もう少し張り合いが欲しいな……」

「そういう点でラウラは……合格かな……?」

「……妥協点としては……だけどな……今後強くなることを期待……する…」

「……そうか………にしても……まさかこんなことを……毎日しているとは……」

 

 まぁ、身体を鍛える点では最適だろ? 丸太を持ってスクワットは。

 

「そうでもしないと強くなれないからな」

 

 地響きがしたけど気にしないようにする。……遠巻きに見ているのはドイツ軍人だろうか? 俺と目が合うと逃げて行ったが。

 

「んで、これを斬ればいいのか?」

「そうだ」

「了解っと」

 

 俺は大剣を持って軍人たちのトレーニング道具を作るために斬った。

 

 

 

 

 ラウラの一件から夜が明けた。

 IS委員会は所詮アラスカ条約に加盟している各国の集まりであり、それぞれ思惑が存在するのは目に見えていたから「もしかしたらドイツを消したい他の国が行ったことで、次はお前のところかもしれないよ?」という意味で書状を用意したらあら不思議、それぞれは牽制しあってとりあえずはドイツを調べるという形に落ち着いたのだ。

 ラウラに対する質問は2、3あったが、特に問題はなかったこともあって「ラウラが意図的にVTシステムを持ち込んで発動させた」という線もなくさせる。もちろん俺も「仮にそうだとしても俺の活躍によって沈静化したんだから無能は黙ってろよ」と「じゃあアンタら、織斑千冬に勝てるのか? だったらテメェらの中から代表者を選べ。俺が直々に戦ってやる」とそのまま言ったら全員が沈黙した。うーん。やっぱり「五体満足になるようには手加減してやるから」と言ったのはマズかったのだろうか? 

 

「で、次はフランスなわけだが、ラウラと戸高はお留守番な」

「な、何故だ!?」

「ちょっと待ってよ!? それはいくら何でもあんまり―――」

「その代わり引き続き戸高と武藤さんは同室―――」

「任せなさい!」

 

 別にどうでも良いんだけど、学生に簡単に操られる国家代表ってどうなんだろ。

 ちなみにドイツとフランスは近いけど距離的には遠いので飛行機で移動中である。

 

「………ストレスで吐きそうだ」

「だったら俺が相手になろうか? 性欲は戸高で発散すればいいと思うけど?」

「君は弱いから嫌だ」

「OK、空中戦で相手してやる。表出ろ」

 

 飛行機の上を果たして空中戦というのかはともかく、俺は武藤さんに喧嘩を売った。

 

「………そんなことをしたところで意味はない。で、今度も勝算はあるのかい?」

「まぁな。具体的に言えばデュノア社長と友人になる」

「………友人に、か? 話を聞けばその男がシャルル・デュノアを男として侵入させた元凶なのだろう?」

 

 道中、盗聴器がないことは確認してから軽く今回の遠征のことは説明している。なので情報は共有済みだ。

 

「そうだな。ま、おそらく政府も繋がっているからそいつらとも友人になるが」

「? 話がイマイチわからないが……」

「ま、この際ぶっちゃけるか」

 

 俺は笑みを浮かべて説明すると、3人は驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わってデュノア社。戸高満は「女の子が生まれた時の予行練習」とか言ってラウラとショッピングに出かけた。……ま、ラウラは化粧とかしていないけど綺麗系だし、武藤さんも戸高も整っているから美形が生まれてもおかしくはないだろうけど。

 なんて思いながら最上階の待合室で俺は座り、武藤さんが立って待機していると、秘書と思われる女性が3人の男たちを連れてきた。武藤さんからあらかじめ情報を得ていたからその人たちが今回のターゲットだということはわかった。

 

「初めまして。本日はお忙しい中一学生の私、舞崎静流のためにお集まりいただきありがとうございます。こちらは私の護衛を務めている武藤です。ただの動く置物程度と思っていただいて構いません」

「全くだ。学生が学校をサボりこうして我々を呼び立てるとは、君でなければ追い返していた」

 

 残り2人はそれを賛同するような態度を取る。

 

「それで、君が我々フランスに所属したいという話だが。それは本当かね?」

「ええ。私は強いということになっていますが、それでも今は所属を持たぬ人間。そのままの立場でしたら流石に危ういかなと思って相談に来た次第です」

「ほう。だがその必要はない。我々は既に男性IS操縦者を獲得したも同然だからな」

『何で男の振りなんてしてたんだ?』

『それはその……実家からそうしろって言われて……』

『うん? 実家って言うとデュノア社の―――』

『そう。僕の父がそこの社長。その人から直接の命令なんだよ』

「で、お聞きしたいのですが、誰が男性操縦者だって?」

 

 デュノア社の社長であるアルベール・デュノアは顔を青くした。

 

「これは一体どうことだ!?」

「お待ちください。これはその男が我が国に取り入ろうとするために何らかの脅迫をした可能性も―――」

「あーあ。これじゃあフランスは大打撃だなぁ。まさかおいそれと出るわけがない男性操縦者が出て小躍りしたんだろうなぁ。イグニッション・プランだっけ? あれに参加できないからって焦ったんだろうなぁ。不祥事にしても国としての信頼が落ちるだろうなぁ」

 

 わざとらしく騒ぎ立てる。3人は揃って顔を青くするが俺は構わず続けた。

 

「ま、本来なら委員会でも騒がれて最悪クビ。デュノア社は解体待ったなし。これを世界に公開してもいいかな? 良いよね?」

「だ、ダメだ! ダメに決まってるだろう!?」

「答えは聞いてないけど?」

 

 全くなんて悪役ぶりだ。正々堂々なんてものは存在しない。だけどこれは計算だ。………あからさま過ぎるのは自覚しているがな。

 

「ま、条件を呑むというのならこれは消してやる」

「………元のデータもだ」

「それは流石に譲歩できないな。今これを消すだけで手を打ってくれ。なに、アンタらにとっても悪い話ではない。選んでもらえるか? 一先ずはこれを消すことを承諾して俺の提示する条件を呑むか、実力行使して俺を倒してデータを吸い出すか。2つ目は止めておいた方が良いぜ。ドイツじゃ楽しんだから最初からある程度の加減しかできなくなってるからな」

 

 それでもISを出さないだけマシだろうけど。

 

「……その条件とは何だ?」

「1つ目は俺に今回の件での金を支払うこと。そして2つ目は俺と友達になること。最後に、ある物を用意してもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話は出発前に遡る。

 轡木十蔵と話をしていて、フランスのことをどうやって回避するかというものだ。

 

「今回の件に関わっている人と友人になる、か。それで、どうやって理由を付けるんだ?」

「実は面白いことに俺は以前フランスに行っているんだ。そこでたまたま休憩していた重役と話をして盛り上がって文通していたことにする。公式発表をしてから調べても後の祭りだしな」

「…………それで?」

「文通していた時に、「女たちは恋愛に花を咲かせたりしていますが、最近は俺のことを狙ったりする人が多くて困ってるんです」という文を送ったことを説明する」

「……はい?」

「だけど文通で話している以上、どうしても時間はかかる。だから向こうは先に手を打ってサプライズとして俺を孤立する状況を作らせる。「1人になっているところよく襲われる」とすれば、後からそのサプライズとして贈られた人間が護衛してくれる寸法であり、男だったら織斑一夏に接触できてさらに俺が孤立している状況を作って反乱分子を生み出しやすい。アンタはこう切り出してくれてもいい。「いずれ研究素体になるであろう男を女の下らない嫉妬で潰されていいのか」ってね」

 

 俺でも結構ガタガタな気がするが、単細胞な俺だとそれくらいしか出てこない。

 それでも実際、実行者をあぶり出す方法はそれくらいしかない。

 

「だからアンタにはデュノアが織斑一夏のデータを盗んでいないことを調べてもらいたい。ログかなんかを調べることはできるか?」

「……できますよ。むしろ、秘密裏にしてはいますが常時各専用機持ちの機体にアクセスして怪しい動きをしているかを調べていますから。ああ、ご心配なく。通常の操縦データなどはそのまま放出していますし、あなたの場合は全く取得していません。要は通信を一度こちらに送ってもらい、関所を通せると判断した場合に本来のアクセス場所に移動させていますから」

 

 IS学園を守るための防衛策、そう考えた方が良いだろうな。

 普段は何でもない情報はそのまま流しているが、もしIS学園に害を成そうとする動きがあれば潰すか。

 

「こりゃあ、学園で何か悪いことはできないな」

「する気もないでしょう?」

「まあな。俺の目的は戦うこと。戦って強くなれば、あんな思いはもうしなくていいだろうからな」

 

 それが何かを察したのか、轡木十蔵は俺に優しく手を置いてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。轡木十蔵に説明したことは思いのほか受けが良かった。

 

「確かに、我々の信頼は落ちることはない。………だが」

「勘ぐられる可能性はある、か。即興だと難しいし、質問パターンはいくつか考えておく必要がある。だがここには俺がいるんだから打ち合わせは容易だ」

 

 ま、道筋は立てたからここから先は大人の戦場だ。

 

「………大筋は理解した。また、このような提案をして我々が助かるヒントを提供してくれたことを心から感謝する」

「勝手にしたことに対しての不満はあるだろうが、その処理はそっちで頼む」

「それくらいはお安い御用だ。……それで、君が先程言っていた「あるもの」とは何かね?」

 

 向こうからそんな話が出てくるとは思わなかった俺は少し意外に思った。

 

「……てっきり、俺を捕らえるかと思ったぜ」

「そんなことをして録音データを流されては困る、ということもある」

「正直で何より。ま、そう身構えることじゃねえよ。俺はただ、アンタのところの機体のデータ……というよりもライセンスが欲しいんだ。もちろん無料で今後もライセンス料の支払いは無し。もちろん部品の注文でかかる費用も一切なし、だ」

「………その費用は委員会から出るが?」

「やっぱり注文の費用の件はなかったことにしてくれ」

 

 俺が払わないなら金はジャンジャン使うさ。他人の金でたくさん買い物できるのは幸せの極みだな。

 

「貴様………」

「黙っていろ。もちろん大歓迎だ。サービスとして、君はラファール・リヴァイヴの装甲一式を送らせてもらおう」

「できれば前のも欲しいかな」

「もちろんだ」

 

 本当は羽だけで良かったんだが、古いのを知って新しい発見があるかもしれないしもらっておいて損はない。

 

「待ってください! それではこちらが赤字です!」

「それがどうした? そもそも、そちらが成果を出せないことを苛立って暴走したのが原因だろう!」

「………それが嫌なら、デュノア社の暴走が原因だというのを入れようかな」

 

 小さく呟くように言うと、案の定震え上がって契約成立となった。

 

 その会議はとりあえず円満に終わり、俺たちは予約していたホテルに向かおうとした。だけどその前に、

 

「で、何か用?」

「ナイスタイミングだな。そろそろ私も暴れようと思ってね」

 

 さっきから見ていた危ない奴らにはご退場願うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、服屋に来ていたラウラはため息を吐いていた。

 これまでラウラは軍の中で育っていたこともあって世間には疎い。特に異性に褒めてもらうために着飾るということは理解できず、綺麗ではあるが服を買うのが何が良いのかわからない。

 

(………私がこういうのを着れば、少しは私の方にも向いてくれるだろうか……)

 

 とはいえラウラにも知識はあり、今回静流のおかげで助かったことは理解していた。だが、ラウラは今回の件で静流に振られている形であり、心のどこかでそれを感じているラウラは気持ちが落ち込んでいる。

 

「? 何か買わないのかい?」

「……まあな。私はこういったものは疎い。それに、着たところで今更だろう。逆に聞くが、何故貴様は着飾ろうとする?」

「そりゃあもちろん、好きな人に振り向いてほしいからだよ」

「………あの男か」

 

 武藤正勝。ラウラにとってあまり知らない人物であり、数日行動を共にしているがあまり良い印象は抱いていない。

 

「今のあの人は女性に頭が上がらない、そこらにいる男だと思ってるだろう?」

 

 表情から読み取られたラウラは少し顔を背ける。

 

「ま、そう思うのも無理はない。実際同期の人間に言われたよ。「あんな男に本気になるなんて趣味が悪い」って」

「………ならば、何故あの男を思うのだ?」

「顔、というのもあるよ。でも、あの人は本当に強い。……本当に今の女はどうかしているとしか思えないけどね」

「…どういう意味だ」

「私はね、一度あの人に勝負を挑んだことがあるんだ」

「……確か、貴様は近接もこなせるんだったな」

 

 戸高満の機体「打鉄射型」はブルー・ティアーズ同様遠距離型だ。だが、満は近接戦もこなすことができ、シャルルと同じオールラウンダーでもある。

 

「ま、近接専門には流石に後れを取るけどね。当時私はあのクソアマ……織斑千冬に負けっぱなしでね。どうにかして近接戦でも強くなりたいって思って彼が所属する場所に行って師を探して出会ったのが彼だった」

「………一目惚れ?」

「ううん。あっさり承諾したからまさか体目的ではないかと疑ったこともあったけど。ある日私の存在を目障りだったからって話だけど、ナイフで刺されそうになったところを助けてもらった」

「……よくある話だな」

「本当は私でも対応できたと思うけど、ともかく早かったんだ。私に来るはずのナイフはコンクリートにぶつかって折れたと思ったら、その人の首に向けていた。そこから興味を持ってお礼と称してデートしたら惹かれて。それに経歴とかも申し分なかってそういうのを重視する親にも好評。……本人はまだ私といることに抵抗あるみたいだけど、いつか落とす!」

 

 惚気始めた満に対してラウラはため息を吐いた。

 

「で、君はどうなんだい?」

「どう、とは?」

「舞崎君のことだよ。たぶん、あの子は警戒心が強くて攻略するのは至難の業だけどその分のリターンはある」

 

 そう宣言する満にラウラはため息を吐くが、誰もいないところで無意識に顔を赤くした。




ロリでランサーなメデューサが欲しいですが、違うのが当たって微妙です。

何が当たったのかは言ったら怒られるので沈黙します。

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